ブリッジレポート
(3134) Hamee株式会社

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ブリッジレポート:(3134)Hamee vol.7

(3134:東証1部) Hamee 企業HP
樋口 敦士 社長
樋口 敦士 社長

【ブリッジレポート vol.7】2018年4月期業績レポート
取材概要「19/4期はiPhone新機種の販売如何で、業績が大幅に上振れする可能性がある。しかし、注目すべきは目先の業績よりも、Hameeコンサルティングとの連携・・・」続きは本文をご覧ください。
2018年7月18日掲載
企業基本情報
企業名
Hamee株式会社
社長
樋口 敦士
所在地
神奈川県小田原市栄町2-12-10 Square O2
決算期
4月末日
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2018年4月 9,376 1,379 1,266 872
2017年4月 8,502 1,106 1,048 695
2016年4月 6,501 450 427 257
2015年4月 5,657 336 329 192
2014年4月 4,681 226 222 121
株式情報(7/9現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,495円 16,053,314株 24,000百万円 28.3% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
6.50円 0.4% 61.00円 24.5倍 215.97円 6.9倍
※株価は7/9終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
Hameeの2018年4月期決算と2019年4月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
happy mobile, easy e-commerce」(社名の由来でもある)を事業Domainと定め、「happy mobile」を実現するためのモバイルアクセサリーの企画・デザイン、インターネット販売及び卸販売事業(コマース事業)と「easy e-commerce」を実現するためのEC事業者向けクラウド型(SaaS)業務マネジメントプラットフォーム「ネクストエンジン」の開発・提供事業(プラットフォーム事業)の2事業を展開している。モバイルアクセサリーECではトップクラス。プラットフォーム事業も業界トップのユーザーを有する。グループは、同社の他、(株)JSコンサルティング、Hamee Korea Co., Ltd.(韓国)、Hamee US ,Corp.(米国)、Hamee Taiwan ,Corp.(台湾)、Hamee India Pvt. Ltd.(インド)、Hamee Shanghai Trade Co., Ltd.(中国)の連結子会社6社、及び持分法適用会社シッピーノ(株)。 Domain:happy mobile, easy e-commerce -コマース事業でhappy mobile、プラットフォーム事業でeasy e-commerce- VISION   “クリエイティブ魂に火をつける” 積極的に商品を企画し、中国・韓国で量産し、国内外で流通させているコマース事業に蓄積されたノウハウ、3,000社以上の企業に利用されているプラットフォーム事業のSaaS、そして、この間に位置するのが、IoT・AIやビッグデータ解析であり、現在、IoTガジェット等の開発を進めている。 コマース事業とプラットフォーム事業及び事業間シナジーに加え、両事業から生まれるビッグデータを活用したIoT・AI関連事業の育成によりクリエイティブ魂に火をつけ、事業を拡大させていく。 【事業概要】 事業は、コマース事業、プラットフォーム事業、及び18/4期から区分したその他(コマース事業、プラットフォーム事業のいずれにも明確に分類できない新たなサービスに係るもの)に分かれる。18/4期の売上構成比は、コマース事業86.6%、プラットフォーム事業13.2%、その他0.2%。 コマース事業   商品企画力を活かし流通の川上から川下までカバー、ネクストエンジンで自社ECを効率運営 モバイルアクセサリーを中心とした雑貨等の商品企画・製造(ファブレスメーカー)及び仕入を行い、一般消費者へのインターネット通信販売(小売)や大手雑貨量販店・大手家電量販店等への卸販売を行っている。インターネット通信販売は、国内に加え、海外子会社を通して、一般消費者向けの現地ECサイト運営や海外ECショッピングモール等への出店(越境EC)も行っている。 国内インターネット通信販売(小売)   自社ドメインサイトの運営や有力ECサイトへの出店を通して消費者に販売 自社ドメインサイトに加え、同じタイプの店舗を、楽天やYahoo!等、複数のECサイトに出店している他、コンセプトやターゲットの異なる店舗を同一のモールに出店する等、多店舗展開を進めている。例えば、総合店舗と位置付けられている「Hamee(各モール店)」は、老若男女を問わず、わかりやすい店舗づくりが特徴で、男性向けの「iPlus」「Hamee TV」、女性向けの「Ketchup!」、店舗関係者が“可愛い”と思ったものを集めた「Kawaii館」等がある。商品部(商品開発)、CRマネジメント部(接客)、WEBマーケティング部(店舗づくり)が一体となった事業展開が強みとなっている。 卸販売(卸売)   量販店及びEC業者に販売 大手雑貨量販店や大手家電量販店を中心にモバイルアクセサリーの卸売を行っている他、EC事業者向けにインターネット卸販売サイトの運営を行っている。小田原本社(神奈川県)の他、東京、大阪に拠点を設け、ラウンダーと呼ばれる実店舗の売場構築を支援する人材を配置している。 海外向け販売   韓国、米国、台湾、中国の子会社が一般消費者向けインターネット販売を展開 韓国、中国、米国、台湾、インドの連結子会社5社を通じてインターネット通信販売及び小売り事業者向けの卸販売を行っており、韓国子会社は商品企画・デザイン・選定等の業務も手掛けている。インドは米国ECのバックオフィス業務の機能も担っている。中国では自社ドメインサイト1店舗を含む3店舗を展開している。 尚、商品仕入については、500社を超える仕入先のネットワークを有し、モバイルアクセサリー関連の情報網としても機能している。また、社内に商品デザイナーを中心とした商品企画・デザイン専門チームを有し、海外を含む外部メーカーの協力を得て、利益率の高い自社企画商品の製作も手掛けている。この他、玩具や実用品等も取り扱っており、10,000種類を超える商品の卸販売を含めた販売状況を分析する事で、売れ筋商品をリアルタイムに把握し、商品仕入・企画に活用している。 プラットフォーム事業   自社ECの運営ノウハウ注入による差別化・優位性、アプリ充実でプラットフォームとしての魅力向上 自社サイトやインターネットショッピングモール等でインターネット通販を展開するEC事業者向けに、ネットショップ運営に必要なバックオフィス業務(受注、発注、仕入、在庫~分析等、ネットショップ運営に必要な業務)を一元管理できるマネジメントプラットフォーム「ネクストエンジン」を開発・提供している。「ネクストエンジン」は同社グループがECを展開する中で開発されたECのバックオフィスシステムであり、現在も同社グループのコマース事業において使用されている基幹システムである。 海外展開も視野に入れており、「海外現地法人で実際にECを運営し、各国のECショッピングモールとの連携等、ノウハウを蓄積したうえで現地(海外)版ネクストエンジンを開発、リリースする」事を基本戦略としている。 インターネット通信販売事業者向け業務マネジメントプラットフォーム「ネクストエンジン」をSaaSとして提供 「ネクストエンジン」は、メール自動対応、受注伝票一括管理、在庫自動連携、商品ページ一括アップロード等の機能を有し、ネットショップ運営の業務プロセスの自動化を進め、EC事業者の経営効率向上を支援するSaaS型のシステム。ネットショップのルーティーン業務を可能な限り自動化すると共に、自社ネットショップや大手ネットモール等、異なるインターネットショッピングモールに出店した複数のネットショップの一元管理や複数のネットショップの在庫数表示の同期が可能。業務効率アップにより残業削減はもちろん、販売戦略や商品開発のための時間創出にも寄与する。 メイン機能(標準仕様)とアプリケーション(拡張機能、以下「アプリ」)でユーザーニーズに柔軟に対応 「ネクストエンジン」には、メイン機能(標準仕様)とアプリケーション(拡張機能、以下「アプリ」)があり、ユーザーはニーズに合わせて機能を使い分ける事が可能。メイン機能はEC事業者の利便性に資する標準的な機能がワンパッケージで搭載されており、アプリはそれ以上の特殊なニーズに対応するためのオプションと位置付けられている。また、「ネクストエンジン」のOEM提供も手掛けており、GMOソリューションパートナー(株)が「ストックマネージャー」と言うサービス名で、GMOコマース(株)が「すごい!ネットショップ管理」と言うサービス名で、それぞれの顧客にサービス提供している。 「ネクストエンジン」の基本料金は、ユーザーであるEC事業者の受注件数に応じた従量課金制(ユーザーの事業規模に応じた料金体系)。また、専用サーバープランやカスタマイズ(ネクストエンジンオーダーメイド)等のサービスもあり、この場合は顧客毎に個別料金を適用している。ネクストエンジン上の各種アプリについては、アプリによって異なる(無料、定額料金制、従量課金制)。 プラットフォーム化(システムからプラットフォームへ) 2013年12月に「ネクストエンジン」のAPI(※)を公開した事で、「ネクストエンジン」上で自社及び外部ディベロッパーが開発した各種アプリの展開が可能となる等、いわゆるプラットフォーム化が実現した。プラットフォーム化により、アプリとネクストエンジンを連携させる事によるユーザー企業の環境に応じたシステムの構築・運用が可能になった。 ※API(Application Programming Interface) あるコンピュータプログラム(ソフトウェア)の機能や管理するデータ等を、外部の他のプログラムから簡単に呼び出して利用できるようにするインターフェイスのこと。ここで言うインターフェイスとは、機能の呼び出し手順や記述方法等を定めた仕様を指す。APIが提供されている機能は独自にゼロから開発する必要がないため、プログラムの開発を効率的に行うことが可能になる。
 
 
2018年4月期決算
前期比10.3%の増収、同24.7%の営業増益 売上高は前期比10.3%増の93億76百万円。メイン契約社数・有料アプリ契約数共に順調に増加したプラットフォーム事業の売上が同21.6%増と伸びる中、国内小売や海外の好調でコマース事業の売上も同8.5%増加した。 金額ベースでは8億67百万円の増収。内訳は、国内小売4億12百万円、海外3億02百万円、プラットフォーム事業2億21百万円、その他18百万円。海外は、新たな販売ルートの開拓で米国での売上が拡大した他、日本からの越境を含めて中国でのECビジネスも成長軌道に乗ってきた。一方、国内卸売が79百万円の減少要因となった。 営業利益は同24.7%増の13億79百万円。人件費や支払手数料を中心にした販管費の増加を売上の増加と売上総利益率の改善で吸収した。シッピーノ(株)の株式減損処理に伴う式会社持分法投資損失や為替差損の増加等で営業費用が増加したものの、経常利益も同20.9%増加した。尚、3年連続で経済産業省・東京証券取引所の選ぶ「攻めのIT経営銘柄」に選定された。 コマース事業ではiPhoneX向け商材の伸び悩みで卸売が前期比減少したものの、iPhone旧機種向け商品を中心に国内小売が増加した増加した他、米国卸売及び中国ECビジネスも増加した。国内卸売は、iPhoneX向け商品の苦戦が響いた。iPhone旧機種向け商品の需要が強かった年末年始商戦の結果を踏まえて、旧機種向け商品の増産発注をかけたが春節と重なる等で供給が遅れ、機会損失が生じた。このため、店頭の需要がECに流れ、小売伸長の一因にもなった。ただ、供給体制が整い、足元の卸売は増収に転じている(営業利益段階では、小売と卸売の利益率に大きな差はない)。プラットフォーム事業は契約数が順調に伸び、「ネクストエンジン」の期末メイン契約社数は前期末比17.1%増の3,095社、有料アプリ契約数は同51.9%増の1,486社、店舗数は同17.7%増の23,852店。 機能開発、サポート人員の増員、及び契約社数キャパや処理速度の向上を目的にしたサーバー投資(19/4期を最終とする3年計画を実施中)でプラットフォーム事業の売上総利益率が54.0%と9.0ポイント低下したものの、卸販売比率の低下と自社企画商品効果でコマース事業の売上総利益率が50.1%と5.0ポイント改善した。 期末総資産は前期末との比較で8億02百万円増の50億42百万円。営業CFの増加と好調な業績を反映して現預金と純資産が増加した他、2017年10月の本社移転に伴う内装設備等で有形固定資産が増加した。自己資本比率68.8%(前期末63.6%)。 利益の増加に加え、小売が伸びる一方、卸売が伸び悩んだ事で資金効率も改善し、前期は5億75百万円だった営業CFが12億45百万円に増加した。投資CFは、EC事業者向けコンサルティングの(株)JSコンサルティング(東京都渋谷区、代表取締役CEO寺田昇平)の子会社化や本社移転により、財務CFは借入金の返済と配当により、それぞれキャッシャウトが増加した。尚、Hamee(ハミィ)コンサルティング(株)に商号を変更している。
 
 
2019年4月期業績予想
前期比8.9%の増収、同1.7%の営業増益予想 売上高は前期比8.9%増の102億14百万円。iPhoneの新機種効果の不透明感から国内の想定を前期並みにとどめたためコマース事業の売上が同4.9%の増加にとどまるものの、ECビジネスのバックオフィス強化やEC事業者向けコンサルティングを手掛けるHameeコンサルティング(株)の子会社化効果とパートナーとの連携強化による契約の取り込みでプラットフォーム事業の売上が同34.9%増と伸びる。 営業利益は同1.7%増の14億03百万円。プラットフォーム事業の売上構成比の上昇で売上総利益率が52.3%と1.6ポイント改善するものの、ECビジネスのバックオフィス強化やHameeコンサルティング(株)の連結による人件費等の増加が利益を圧迫する。ただ、関係会社の減損一巡による営業外損益の改善で経常利益は13億91百万円と同9.8%増加する見込み。 コマース事業は国内売上が横ばいにとどまるものの、海外の増加で吸収する。国内は小売・卸売共に前18/4期下期におけるiPhoneXの動向を反映した。iFaceシリーズについては、旧モデル向けを含むラインナップの充実及びガラスフィルム等関連商品への展開で足元は好調。保守的な予想にとどめたため、今秋発売予定の新型iPhone商戦の動向次第では、大幅に上振れする可能性がある。 プラットフォーム事業については、Hameeコンサルティング(株)の子会社化効果と契約社数5,000社の早期達成に向けた販売代理店などパートナーとの連携強化による契約の取り込みで売上が伸びる。ただ、利益面では、サーバー増強等の先行投資に加え、上記の営業強化やHameeコンサルティング(株)の子会社化に伴う人件費の増加等のコスト増を織り込んだ。
 
 
成長戦略と株主還元
国内EC市場は2015年の15.4兆円から2022年には26.0兆円に拡大する見込み(経済産業省実績及び野村総研予想)。世界では、1.3兆ドルから3.6兆ドルへの拡大が見込まれている(総務省平成28年「IoT時代におけるICT産業の構造分析とICTによる経済成長への多面的貢献の検証に関する調査研究」)。 同社は、高い成長が見込まれるEC市場において、コマース事業とプラットフォーム事業のそれぞれの拡大と事業間シナジーを追求する事で、国内外でそれぞれの事業を拡大させると共に、コマース事業で培った製造・流通のノウハウとBIGデータ、プラットフォーム事業が有する顧客資産とシステム、そして「ネクストエンジン」を通して得られるBIGデータ、更には研究開発を進めているIoTガジェット等のIoT・AI関連の技術を融合した新たなソリューションの提供により成長力を高めていく考え。 【事業別の取り組み】 コマース事業 コマース事業の強みは、商品起点のブランディングに成功している事。携帯アクセサリーの流通からスタートし、ロングテールの品揃えにより卸売(リアルでの自社販売は行わず)・小売(ネットでは自社販売のみ)を拡大させた同社だが、その後、ファブレスメーカとして製造機能を備える事で売上拡大と共に収益性を高めてきた。しかし、スマートフォンアクセサリ市場の競争は激しく、ネット通販自体、商品があふれ、商品を探すのが難しいほど。このため、しっかりした商品のつくり込みはもちろんだが、何よりもブランディングが重要になってくる。こうした観点から同社が重視しているのが、「商品起点のブランディング」であり、言い換えると、「ユニークな自社企画商品によるブランド価値の創造」。 実際、大ヒットしている「iFaceシリーズ」は言うまでもなく、3つのコンセント差込口を備え、4台充電やタブレットへの充電が可能な高速充電タップ、iPhone 8/7/6s/6専用のダイアリーケース「salistyQ」、高い人気を誇るディズニーのキャラクターを使ったBluetooth Speaker等、ユニークな自社企画商品を積極的にリリースする事でブランドの向上と粗利率の改善に成功している。その上で、IT強化(システム開発)による自動化の徹底と生産力向上により、コストの伸びを抑えての業容拡大を実現し、IPOにつなげた。 現在、更なる成長に向け、小売分野ではマルチブランド戦略を推進している。小売については店舗が出そろった感があるため、ターゲットを明確にした、言い換えるとブランド戦略に基づく店舗(サイト)づくりに取り組んでいる。もちろん、商品起点のブランディングが基盤になっている。一方、卸売については、これまでの家電量販店や雑貨店に加え、アパレルやカバン・バッグ等のファッション関係等の新たな販売チャネルの開拓を進めていく。 プラットフォーム事業 ネクストエンジンを起点とする関連サービスの育成とネクストエンジンの更なる進化に取り組んでいく。関連サービス育成の一環として、18/4期第4四半期にEC事業者向け営業支援コンサルを手掛けるHameeコンサルティング(株)を100%子会社化した。プラットフォーム事業では、ネクストエンジンの提供で販売後のバックオフィス業務を支援してきたが、今後はHameeコンサルティング(株)の営業支援コンサル(販売前)とのシナジーを追求し、バックオフィスとフロントオフィスの両面から、EC事業者の成長ステージに合わせたサービスを創造していく。また、地方銀行大手の静岡銀行とネクストエンジンのトランザクションデータを活用した新たな金融サービスの開発で合意した。 一方、ネクストエンジンについては、データ・プラットフォームへの進化に向けた開発を進めている。ネクストエンジンは受発注処理や在庫管理等、日々のルーティーン業務の自動化と複数のショッピングモールの一元管理による業務の効率化のシステムとしてスタートしたが、その後、様々なAPIを搭載する事で多くのアプリの開発・利用が可能なプラットフォームとして進化した。アプリの増加で利用者が増え、利用者の増加でアプリが増え、という好循環で膨大なデータが蓄積されていく。 18/4期期末時点の「ネクストエンジン」のメイン契約社数は前期末比17.1%増の3,095社、有料アプリ契約数は同51.9%増の1,486社、店舗数は同17.7%増の23,852店。 長期的には、メイン機能契約社数5,000の早期達成とそのデータを活用するデータ・プラットフォームとして進化したネクストエンジンにより、「AI・BIGデータ」ソリューションを展開していく。 グローバル展開 韓国(hamee.co.kr)、中国(taobao:strapya.world.taobao.com)、米国(hamee.cm)、台湾(Yahoo!:tw.mall.yahoo.com/store/hamee_taiwan)及びインドでEC事業を展開している。 特に伸びているのが、中国と米国。中国では、ショッピングモールtaobaoでの販売と「天猫国際(TMALL GLOBAL)」での越境ECを手掛けており、18/4期第3四半期以降、売上の伸びが顕著。特に越境EC(販売は日本法人、オペレーションは現地法人)が急拡大している。足元、taobao・越境EC共に好調が続いており、19/4期は更なる事業の拡大が期待できる。一方、米国では、堅調なBtoCをベースに、ハローキティのキャラクターグッズ(SQUISHIES:スクイーズ)の好調等でBtoBが伸びている。今後は、戦略製品であるiFaceシリーズ(世界出荷累計は1,200万個超)のラインナップ拡充やガラスフィルム等関連商品への展開で事業を拡大させていく。 グローバル展開では、Eコマースの現地化を進めながら必要なシステムを自社開発してきた。こうした取り組みが軌道に乗ってきたため、今後はシステムを現地版の「ネクストエンジン」に進化させプラットフォーム事業を展開していく。長期的には、各国のプラットフォームをネットワーク化する事で、「ネクストエンジン」をECに不可欠なグローバルプラットフォームに育てていく考え。 現在は、いずれの国も投資フェーズ(コマース事業の現地化)の段階にあるが、19/4期については収益貢献が一段と高まる見込み。 【中長期成長イメージ】 自社企画商品の強化によるブランド力向上と自動化の徹底による生産性の向上でコマース事業を安定成長させ、これをベースに、プラットフォーム事業を成長エンジンとしていく。プラットフォーム事業では、アプリの充実と外部システムとの連携強化、新たな顧客層の獲得、及び、中期的にはAI・BIGデータ・ソリューションの展開がポイント。更に、海外におけるコマース事業の深耕、ネクストエンジンのリリース、そして各国のプラットフォームのネットワーク化に取り組む事で、コマース&プラットフォームによるグローバル展開で成長を加速させて行く。 【株主還元】 当面は、上記成長戦略を進めつつ配当性向10%を確保する方針だが、将来的には20%~30%の安定配当で株主に報いる考え。19/4期は1株当たり1円増配の6.5円を予定。16/4期の初配以来、3期連続の増配となる(2015年4月、東証マザーズ上場)。
 
 
今後の注目点
19/4期はiPhone新機種の販売如何で、業績が大幅に上振れする可能性がある。しかし、注目すべきは目先の業績よりも、Hameeコンサルティングとの連携による営業支援コンサルの取り組み。ネクストエンジンは従量課金のため、営業支援コンサルでユーザーの売上が増えるとHameeの業績に反映される。また、ネクストエンジンには試用期間があり、毎月200社程度のペースで試用が始まるが、実際の契約に至るのは50社程度と言う。業務の効率化効果を実感するには、ある程度の習熟が必要だが、試用期間内で習熟できないユーザーが少なくない。このため、習熟できるまで営業支援コンサルでつなぎとめる事ができれば契約に至る可能性が高まる。解約抑止効果も期待できる。販売不振から解約するユーザーも少なくなく、営業支援コンサルが成果を上げれば契約の維持につながる。19/4期のプラットフォーム事業は前期比35%弱の増収が見込まれ18/4期の22%増を大きく上回るが、金額ベースでは、(18/4期のプラットフォーム事業の売上)+(公表されているHameeコンサルティングの17/10期の売上)+α。19/4期にプラットフォーム事業で期初予想通りの売上・利益を上げる事ができれば、立ち上がりは順調と考えていいのではないか。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレート・ガバナンス報告書更新日:2017年7月27日 <基本的な考え方> 当社グループは、「We Create the Best“e”for the Better“e”World.(より“e”世界につながるもっと“e”を創造する。)」をPhilosophy(経営理念)に掲げ、企業の継続的な発展と株主価値向上のため、コーポレート・ガバナンスに関する体制の強化と経営理念の推進を経営の最重要課題としております。また、当社では、社外取締役(2名)及び社外監査役(3名)により取締役会の監督機能を高め、経営の健全性・透明性の確保に努めております。今後も、取締役及び全従業員が法令・定款を遵守し、健全な社会規範のもとにその職務を遂行し、リスク管理、監督機能の強化を図り、経営の健全性・透明性を高めていく所存であります。 <実施しない主な原則とその理由> 【原則5-2】 当社の属するEC市場は、技術革新や業界の変遷が激しい分野であり、将来収益を見通すことが著しく困難なため、定量的な中長期業績予測を掲げることは、必ずしもステークホルダーの適切な判断に資するものではないと考えており、中期経営計画における数値目標を公表しておりません。 <開示している主な原則> 【原則1-4】 当社では、原則としていわゆる政策保有株式を保有しないことを基本方針といたします。現状において政策保有株式を保有しておりません。 【原則1-7】 当社は、関連当事者取引について、取引を行うこと自体に対する合理性があり、取引条件の妥当性があることが担保され、グループの利益が損なわれる状況にないもの以外は、これを行わないことを基本方針としております。関連当事者との取引を開始する際には、上記内容が担保されているかを慎重に判断し、会社法並びに当社稟議規程、職務権限規程に則り、取締役会決議等の決裁を受けることとしております。また、役員に対し定期的に関連当事者間の取引の有無を確認しており、有価証券報告書で開示しております。 【原則5-1】 当社は、その持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、株主等との建設的な対話を重視しており、代表取締役社長及びIR担当取締役ならびにIR&コミュニケーション室を中心に様々な機会を通じて株主や投資家との対話を持つように努めております。なお、IR&コミュニケーション室は、経理部門及び総務部門と一週間に一度の定例ミーティングを実施し、有機的な連携につとめております。現在のところ、社長が出席する決算説明会を年に2回開催しているほか、随時国内外の機関投資家とのミーティングを実施しており、電話取材、年に複数回の個人投資家説明会等も実施しています。それらの結果は、適宜、取締役会に報告しています。なお、株主との対話に際してはインサイダー情報の漏洩防止を徹底しています。