ブリッジレポート
(6575) ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス株式会社

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ブリッジレポート:(6575)ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス vol.1

(6575:東証マザーズ) ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス 企業HP
渡部 昭彦 社長
渡部 昭彦 社長

【ブリッジレポート vol.1】2018年3月期業績レポート
取材概要「人材紹介事業では、「コンサルタントの積極的採用・人材育成」がテーマの一つだが、人材マーケットは需給がひっ迫しており採用計画の進捗が・・・」続きは本文をご覧ください。
2018年8月8日掲載
企業基本情報
企業名
ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス株式会社
社長
渡部 昭彦
所在地
東京都港区芝5-33-7
決算期
3月末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2018年3月 1,948 255 257 176
2017年3月 1,675 203 229 113
2016年3月 1,542 183 195 103
株式情報(7/20現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,955円 2,738,000株 5,352百万円 29.1% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
- - 62.02円 31.5倍 247.25円 7.9倍
※株価は07/20終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
東証マザーズに株式を上場するヒューマン・アソシエイツ・ホールディングスの会社概要について、2018年3月期決算の概要及び2019年3月期の見通しと共に、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
持株会社である同社の下、エグゼクティブやグローバル人材の紹介を行う人材紹介事業と組織人材向けのカウンセリング、ストレスチェック及びその後のフォローアップサービスを行うメンタルヘルスケア事業を手掛けている。グループは、持株会社であるヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス(株)の他、会社経営層や高度スペシャリストのエグゼクティブサーチを行うAIMSインターナショナルジャパン(株)、ミドルマネジメントのキャリア開発を手助けする登録型人材紹介会社(株)A・ヒューマン、外資系企業を中心にグローバル人材を紹介するOptia Partners(株)、及び組織人材のメンタルヘルスケアを行うヒューマン・フロンティア(株)、の100%子会社4社。尚、大和PIパートナーズ(株)が発行済株式数の36.5%を保有する筆頭株主であり、取締役1名の派遣を受けている。
 
 
【経営理念】
「企業組織における最も重要な経営資源である人材の価値を高め、企業がより高度な活動を継続していくお手伝いをすること」。 様々な人事機能に関するサービスを当社グループで一括して提供することで、企業を取り巻く様々なリスクや課題を解消するための解決策を総合的に提供し、また、当社グループの特色を活かした事業展開による高付加価値ソリューションの提供を行っております。
 
【沿革】
1996年9月に安藤秀人氏が(株)ケンブリッジ・リサーチ研究所から独立してヒューマン・アソシエイツ(株)を創業し(1990年3月に設立され、当時休眠会社だった和栄(株)を買収して創業)、ヘッドハンティング(サーチ型人材紹介)事業を開始した。2000年2月にメンタルヘルスケアサービスを提供するヒューマン・フロンティア(株)を、11月に登録型人材紹介を手掛ける(株)A・ヒューマンを、それぞれ設立。2007年9月に、安藤氏の後継者として渡部昭彦氏(現代表取締役社長)がヒューマン・アソシエイツ(株)代表取締役社長に就任。業容拡大を踏まえて、2009年7月にHAグループ(株)を持株会社とする体制へ移行した。

2011年9月、グローバルサーチファームのAIMS Internationalと提携し、AIMSインターナショナルジャパン(株)を設立。2013年には5月にサーチ型医師紹介会社HAメディカル(株)を設立し、同年6月には持株会社HAグループ(株)がヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス(株)に商号を変更。2014年12月に大和PIパートナーズ(株)が安藤秀人氏から株式を取得した。

2015年5月にHAメディカル(株)がヒューマン・アソシエイツ(株)を吸収合併し、ヒューマン・アソシエイツ(株)に商号を変更。2016年4月に(株)A・ヒューマンがヒューマン・アソシエイツ(株)を吸収合併。2016年11月には人材紹介会社Optia Partners(株)の全株式を取得。2018年4月に東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場した。
 
【事業概要】
事業は人材紹介事業とメンタルヘルスケア事業に分かれ、人材紹介事業は、企業の人材ニーズを的確に把握する一方、キャリアコンサルティングを通じ個々の人材に対して最も適した企業を紹介し、企業と人材の橋渡しを行う。一方、メンタルヘルスケア事業は、従業員の日常の悩み事についてカウンセリングを行い、問題解決のサポートや職場環境の改善を支援する。
18/3期の売上構成は、人材紹介事業58%、メンタルヘルスケア事業42%。
 
 
ミドルマネジメント以上の人材紹介に特化し、特色のある事業会社3社からなる人材サービスであり、3社のシナジーを追及した求人企業及び求職者のニーズに沿ったサービス提供が可能である。具体的には、会社経営層や高度スペシャリストのエグゼクティブサーチを行うAIMSインターナショナルジャパン(株)、ミドルマネジメントのキャリア開発を手助けする登録型人材紹介会社(株)A・ヒューマン、及び外資系企業を中心にグローバル人材を紹介するOptia Partners(株)の事業会社3社が、それぞれ上位職階、グローバル人材等に注力し、求人企業に対して候補者(求職者)を紹介する。
 
市場動向
同社資料によると、人材紹介市場は2016年度にリーマンショック前のピーク時の水準を上回った。今後は伸び率の鈍化が予想されるものの、「人材不足」を背景に7%前後での成長が見込まれる上、経営職階での需要の増加も見込まれる。
また、職業別の就業者数の推移をみると、同社が強みを持つ専門性や技術力の高い管理職が増加しており、上位職階の就業者数の増加も続いている。

一方、グローバル人材の分野では、外資系企業の日本進出社数の推移をみると、伸び率は鈍化しているものの、引き続き社数は増加しており、特にアジア系企業の伸びが大きい。こうした企業群は日系と比べて給与水準が高く中途採用への依存度も高い事から、同社グループは引き続き注力していく考え。
 
 
 
同社グループの強み
各業界で15~20年の勤務経験を持ち業界知識の豊富なコンサルタントを確保している事が強みであり、インターナショナル領域では、Optia Partners(株)の充実したコンサルタント陣に加え、提携先であるAIMS Internationalとの連携が強み。Optia Partners(株)はコンサルタントの9割超が外国人のため外資系企業のトップ(外国人)へアプローチしやすく、的確にニーズをつかむ事ができる。AIMS Internationalとの連携では、世界50ヶ国以上に90ヶ所以上の拠点を構え、350人以上のコンサルタントを擁するエグゼクティブサーチネットワークを活用できる。
また、エグゼクティブ層人材を対象としているため付加価値が高く、経営層・シニアマネジメント層(報酬体系:リテーナー)や上級専門職(同:成功報酬)をターゲットとするAIMSインターナショナルジャパン(株)のターゲットの年収は11.9百万円(過去3年平均)、バイリンガルグローバル人材(同:成功報酬)をターゲットとするOptia Partners(株)は11.1百万円(過去2年平均)、ミドルマネジメント人材(同:成功報酬)をターゲットとする(株)A・ヒューマンのターゲットの年収は7.3百万円(過去3年平均)。
 
 
メンタルヘルスケア事業
 
ヒューマン・フロンティア(株)が、カウンセリング、ストレスチェック及びその後のフォローアップサービス、及び各種研修等のメンタルヘルスケアサービスをワンストップで提供している。
具体的には、大企業約480社と年間契約し、全国約80名のカウンセラーがEAP(Employee Assistance Program(従業員支援プログラム)を顧客企業の現場に赴いて提供する現場出張型カウンセリングを中心に展開している。また、EAPカウンセリングを通して培ったノウハウを活かして、管理職向けメンタルヘルスケア研修、パワハラ研修、ワークライフバランス研修等、様々な研修を年間1,000回以上実施している。この他、ストレスチェック・組織分析、休業者・復職者支援プログラム、CISM(Critical Incident Stress Management)、組織コンサルテーション等のサービスも提供している。
ストレスチェックについては、2015年12月の改正労働安全衛生法の施行に伴い、従業員50名以上の事業所で実施が義務化され需要が拡大した。厚生省モデルの質問を使い、従業員の回答を集計し、問題点等を整理・分析して企業に提出する。また、ストレスチェックを通して、組織上の問題が浮き彫りになれば、組織コンサルテーションにより様々なコンサル提案により問題の解決を支援する。
 
市場動向
同社の資料によると、企業が従業員のメンタルヘルスケアのために行うプログラムであるEAPのメインユーザーは、景気の回復や新規導入アプローチを行うEAPサービス事業者が増えた数年前から、数万人規模の従業員を抱える大企業で導入が進んでいる。
また、2015年12月の改正労働安全衛生法の施行に伴い、2016年11月末までに労働者数50人以上の事業所に対してストレスチェック(SC)が義務化された事も市場拡大の追い風になっている。EAP・SC共に引き続き市場の拡大が見込まれ、2016年に166.4億円だった市場規模が2022年には1.3倍の217.3億円に拡大するとみられている。
 
 
同社グループの強み
他社では対応が難しい、メンタルヘルス対策の一次予防から三次予防までのワンストップ提供や「現場型」出張カウンセリングが強み。メンタルヘルス対策に対するニーズは、企業規模に比例して多様化する傾向があるが、同社のように、多様化する企業ニーズに全国規模かつワンストップで、柔軟に対応できる企業は限られる。
「現場型」出張カウンセリングは、ヒューマン・フロンティア(株)が擁する全国の専属カウンセラーが可能にしている。専属カウンセラーは、理論だけでなく、実際に組織で働く社員の気持ちを理解できる人材でなければならない、という考えから、臨床心理士や産業カウンセラー等の資格保有に加え、企業での勤務経験も採用条件となっている。また、専属カウンセラーは原則として月1回、東京での集合研修を受講しており、常に高い水準の知識が維持されている。同社グループでは、全国津々浦々、Face To Faceで、専属カウンセラーが現場でカウンセリングを行っているが、専属カウンセラーを持つ同業者は少なく、電話でのカウンセリングや外部に委託するケースが多いと言う。
この他、カウンセラーだけでなく、スタッフも高い専門知識を有する。このため、ストレスチェック後の職場改善提案や研修等のフォローアップサービスが充実している事に加え、災害・事故時におけるCISM(惨事ストレスマネジメント)にも対応できる。これは、定期的に実施している組織内研修の成果であり、この結果、年間EAP契約(1年契約)の継続率は95%と高い水準を維持している。
 
 
 
2018年3月期決算
 
 
前期比16.2%の増収、同25.9%の営業増益
売上高は前期比16.2%増の19億48百万円。内訳は、マーケットの拡大と2016年11月に完全子会社化したOptia Partners(株)の通期寄与で人材紹介事業が同26.7%増の11億21百万円、ストレスチェック法制化に伴い38.8%増加した前期の反動を、既存顧客の維持、新規取引先の獲得、更にはフォローアップサービスの強化で吸収したメンタルヘルスケア事業が同4.5%増の8億26百万円。

営業利益は同25.9%増の2億55百万円。Optia Partners(株)の寄与も含めたスケールメリットで人材紹介事業の利益率が19.5%と3.0ポイント改善した他、メンタルヘルスケア事業の利益率も増収効果で29.6%と0.6ポイント改善した。
連結ベースでは、Optia Partners(株)の連結に伴う経費増(1億15百万円)や、採用、昇給、賞与等に伴う人件費増等による営業費用の増加を売上の増加と売上総利益率の改善で吸収した。前期に保険解約返戻金を計上した反動で営業外収益が減少し経常利益が同12.4%の増加にとどまったものの、特別損失の計上がなかった事と税負担率の低下で当期純利益は1億76百万円と同55.4%増加した。
 
 
 
期末総資産は前期末と比べて38百万円増の10億63百万円。事業の特性上、バランスシートはシンプルで流動性に富む。上記はIPO前の3月末時点ではあるが、自己資本比率も63.6%と高い。4月10日の東証マザーズ上場に伴う資金調達と自己株の処分で2億円程度の資金を調達している。IPOに伴い調達した資金はM&Aやシステム投資等、グロース投資に充てていく考え。
CFの面では、利益の増加で前期(1億10百万円)を上回る1億66百万円の営業CFを確保する一方、M&A関連の支出がなくなり投資CFの出超幅が減少。この結果、1億54百万円のフリーCFを確保した(前期は△13百万円)。
 
 
2019年3月期予想
 
 
前期比12.3%の増収、同10.0%の営業増益予想
売上高は前期比12.3%増の21億87百万円。コンサルタントの増員と生産性の改善で人材紹介事業の売上が同13.7%、ストレスチェック後のフォローアップサービスの拡大と、その一環としてのEAP新規開拓でメンタルヘルスケア事業の売上が同10.5%、それぞれ増加する見込み。

営業利益は同10.0%増の2億81百万円。生産性の改善と自社チャンネルの確立で一段の収益性改善が見込まれる人材紹介事業の利益が同23.1%増と伸び、メンタルヘルスケア事業も、人員増強や研修等のコンテンツ投資に伴う先行費用を吸収して同9.8%増加する見込み。
連結ベースでは、株式上場に伴うガバナンス強化で管理部門を中心に販管費が増加するものの、売上の増加と生産性の改善で吸収する。
 
 
人材紹介事業
コンサルタントの積極的採用(子会社3社で16名の採用を見込む)、1人当たり売上高の増加(精査性の向上)、大阪支店の新設による関西圏マーケットへの展開、及び候補者(求職者)の獲得により、売上高が12億74百万円と前期比13.7%増加する見込み。利益面では、上記の採用とKPI管理による育成でコンサルタントの能力を均質化し1人当たり売上高を向上させる事で収益性の改善を図る(利益率:19.5%→21.1%)。また、システム投資により、Webサイト等、自社チャネルの確立にも取り組む。
 
メンタルヘルスケア事業
ストレスチェック後のフォローアップサービスの更なる拡大と、その一環としてのEAP新規開拓に注力する事で売上高が9億13百万円と前期比10.5%増加する見込み。特に同社グループの中心顧客である大手企業は、少子高齢化の中で社員が働きやすい環境づくりに力を入れており、「ストレスチェックの結果をどのように活かしていくか」(ワークエンゲージメントの向上)について問題意識が高いと言う。また、従来のメンタルヘルス対策の基盤を維持・強化しつつ、組織活性化と生産性向上を念頭に商品開発も進める。ただ、既存領域の維持・強化のためのカウンセラーを含めた人員増強、関西圏強化に向けた大阪支店の人員増強、ワークエンゲージメント等新分野を含む研修等のコンテンツの拡充、更には多様化する顧客ニーズへの対応に向けた継続的なシステム投資等、先行投資に伴い利益率が低下する見込み(29.7%→21.1%)。

上記に加え、メンタルヘルスケア事業及び新規事業(アセスメント、コーチング等)の業容拡大を図るべく、業務提携も含め、M&Aを検討している(上期中のリストアップを予定している)。
 
 
成長戦略と株主還元
 
【成長戦略】
(1)事業別取り組み
人材紹介事業
成長戦略のポイントは、「コンサルタントの積極的採用・人材育成」、「地域拡大」、及び「求職者の一層の獲得のためのHP等自社チャネルのシステム改善」。

19/3期は、ミドルマネジメントのキャリア開発を手助けする登録型人材紹介会社(株)A・ヒューマン及び外資系企業を中心にグローバル人材を紹介するOptia Partners(株)を中心にコンサルタントを16名増員する。現在、ビジネスとしては全国展開しているが、拠点は、田町(東京都品川区)と赤坂(東京都港区)の都内2拠点のみ。このため、東証マザーズ上場時に調達した資金を活用して大阪支店を開設する。この他、高い有効求人倍率が示すように求職者不足が深刻化している事から、登録型人材紹介を手掛ける(株)A・ヒューマンの求職者確保と求職者の利便性向上に向け、Webサイト等、自社チャネルにおける情報の質の向上と量の拡大に取り組む。
 
 
メンタルヘルスケア事業
成長戦略のポイントは、「全国を一律及び均質にカバーするカウンセリング体制の維持構築及び更なる充実」、「ストレスチェック後のフォローアップサービスの強化」、及び「M&A」。

現在の事業拠店は東京本社と大阪支店の2拠点。19/3期は大阪支店を増強して関西での事業基盤強化を図り、東京本社は関東エリアの深耕に専念する。将来的には名古屋への展開(支店開設)により3拠点体制としたい考え。カウンセラーの積極採用も続けていく。
また、労働安全衛生法の改正に伴い、従業員50名以上の事業所で労働者に対するストレスチェック(SC)が義務化される等、マーケットの拡大が期待される一方、競争激化が予想される事から、SCの結果に基づく、組織分析、組織コンサル、更には研修等のフォローアップサービスを強化する(サービスの横展開)。システムについても、法制化以前にSCの自社システムを開発したが、法制化から2年が経過し、顧客のニーズも多様化しているため、組織分析の付加価値向上を念頭にSCシステムを全面改修する。
19/3期は5名の増員を図り期末従業者数は35名を予定しているが、今後の事業拡大については、自社での対応に捉われず、M&Aにも柔軟に対応していく。メンタルヘルスケアサービスに対する顧客ニーズは多様化・総合化が進んでいるが、こうしたニーズに応える事が難しい中小の同業者は多い。こうした同業もM&Aでグループに取り込んでいきたい考え。
 
 
新規事業
企業における人材価値向上の実現を念頭に、高付加価値な人事機能サービスを一括して提供する「ソリューション提供型人材サービスの“ワンストップショッピング”」の実現を目指している。このため、人材紹介事業及びメンタルヘルスケア事業において、上記の取り組みを進めると共に、既存事業で培ってきたノウハウを活かす事ができ、シナジー(新規事業も人事部門を窓口とする)も期待できるアセスメント事業とコーチング事業の育成にも取り組んでいく。新規事業の育成に際しては、自社での対応だけに捉われず、M&A等にも柔軟かつスピーディに対応していく。アセスメントは人材の能力・適性の発見・評価による人材ROIの向上につながり、コーチングは能力向上や適性(資質)の磨き込みにつながる。
 
 
(2)中長期成長戦略
人材紹介事業はオーガニックに堅実な成長を目指し、メンタルヘルスケア事業はM&Aも視野に入れより一層の拡大・成長を目指す。中期的には新規事業の育成により成長速度を加速させ、5年以内に売上高50億円を達成したい考え。
 
 
【株主還元】
同社は、株主と長期的な信頼関係を構築するため、利益還元を重要な経営課題に位置付けている。配当については、将来の事業展開と経営基盤強化のために必要な内部留保を確保しつつ、連結配当性向30%程度を目安として安定した配当を実施していく事を基本方針としている。

17/3期については1株当たり24.30円(配当性向29.4%)の配当を実施しており、18/3期については19.29円(同30.0%)。2018年1月に1株を2株に分割しているため、この株式分割を考慮した18/3期配当は実質38.58円となり、14.28円の増配。また、配当金総額については、33百万円から52百万円に58.8%増加した。
19/3期配当については未定だが、業績予想通りの着地であれば配当金総額は54百万円と前期比3.8%増加する見込み。
 
 
今後の注目点
人材紹介事業では、「コンサルタントの積極的採用・人材育成」がテーマの一つだが、人材マーケットは需給がひっ迫しており採用計画の進捗が気になるところだが、応募は活発で採用面での不安は少ないようだ。同社グループの場合、他の産業で経験を積んだミドルの方が、キャリアチェンジによって、初めて、この道に入るケースが多い。ミドル世代は自身のキャリアチェンジに興味を持つ方が多い。このため、採用以上に、どう育成していくかがポイント。育成には、研修とOJTで半年から1年程度を要するが、業務経験を積む事で生産性が向上していくと言う。コンサルタントの採用・育成により、市場の成長を確実に取り込んでいく考えだ。
一方、メンタルヘルスケア事業は、従業員の意欲と能力を引き出すより良い職場環境づくりを支援するもの。約480社にサービスを提供しており、メインユーザーは従業員500人以上の企業だが、特に大企業での導入が増えていると言う。
産業構造の高度化やグローバル化の進展等、企業は常に事業環境の変化にさらされている。こうした中、人事に求められる機能・役割が変化し、働き手に求められる能力・スキルも変化している。同社グループは、総合人材サービス企業として、企業や働く方の役立つ存在であり続けるために、研鑽を続け、高い品質のサービス提供に努めていく考え。専門性の高い人材によるきめの細かい対応力を強みに、事業の拡大を通して社会への貢献を目指す同社の今後の展開に期待したい。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書   更新日:2018年07月09日
基本的な考え方
・コーポレート・ガバナンスの取組みに関する基本方針
当社は、事業環境が刻々と変化する人材紹介業界において企業価値の持続的な増大を図るには、経営の効率化を図ると同時に、経営の健全性、透明性及びコンプライアンスを高めて社会的信頼に応えていくことが不可欠であるとの認識のもと、ガバナンス体制の強化・充実を重要課題と位置づけています。
こうした認識のもと、業務分掌の実施や規程の整備等により内部統制を強化するとともに、随時体制の見直しを実施し、企業価値の向上を図ることで、株主や債権者、従業員など企業を取り巻くさまざまなステークホルダーへの利益還元に努めてまいります。
 
<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
コーポレートガバナンス・コードの基本原則を実施しております。