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(6191) 株式会社エアトリ

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ブリッジレポート:(6191)エボラブルアジア vol.3

(6191:東証1部) エボラブルアジア 企業HP
吉村 英毅 社長
吉村 英毅 社長

【ブリッジレポート vol.3】2017年9月期業績レポート
取材概要「全ての事業分野においてアグレッシブでスピード感溢れる事業展開が続いている。なかでも国内メルマガ最大手まぐまぐの子会社化はそのシナジーが・・・」続きは本文をご覧ください。
2018年8月15日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社エボラブルアジア
社長
吉村 英毅
所在地
東京都港区愛宕2-5-1 愛宕グリーンMORIタワー
決算期
9月末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年9月 5,634 829 794 488
2016年9月 4,000 618 571 340
2015年9月 2,754 312 305 172
2014年9月 1,451 99 93 44
株式情報(12/4現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
2,267円 16,919,100株 38,355百万円 16.6% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
10.00 - 52.09円 43.5倍 163.91円 13.8倍
※株価は12/4終値。発行済株式数は直近決算短信より。ROE、BPSは17年9月期決算短信より。
 
エボラブルアジアの2017年9月期決算概要などをお伝えします。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
国内航空券取扱高でOTA(※)業界最大手。国内全航空会社グループと契約を有するOTA(※)唯一の企業。国内線航空券を中心にWEB販売を行うオンライン旅行事業、急増するインバウンドに対応する訪日旅行事業、東南アジアで日系最大の陣容を誇るITオフショア開発事業が主力事業。各事業の同社ならではの強みや特長を活かして、「2019年取扱高1,000億円、各事業No.1確立」を目指している。 ※OTA(Online Travel Agent):インターネットを通じた旅行商材の販売を専業とする旅行会社 【沿革】 2007年5月、吉村社長は、大石会長と共同でオンライン旅行事業を行うために株式会社キャピタルを設立。 その後、M&Aや事業譲受により取扱商材を拡大していった。 2012年3月にベトナムにおいてITオフショア開発事業を開始したのを契機に、総合IT事業を手掛ける会社の方向性を明確にするため、2013年10月、現社名に商号を変更。 2016年3月、東証マザーズに上場。1年後の2017年3月には東証1部に市場変更した。 【企業理念など】 企業名の「エボラブルアジア(Evolable Asia)」は、進化を表す「Evolve」と、可能であるの「Able」に、アジア「Asia」をかけたもので、進化するアジアを意味している。 【市場環境】 ◎成長が続くオンラインによる旅行商材販売 LCC(格安航空会社)の参入に伴う航空券比較横断検索需要の高まり等を受け、2015年度におけるOTAによる旅行商材取り扱い規模は2.5兆円と、2011年度からは年率26%というスピードで急成長している。 この急成長を支えたのは主として国内宿泊市場であるが、航空券の取扱高も2,300億円とこちらも年率14%で2桁成長となっている。 今後は国内宿泊市場に次いで、国内航空券市場も大きな成長が期待できる。 ◎訪日旅行客数も急拡大 2016年の訪日旅行客数は前年比2割増の2,404万人であった。 政府は2020年の訪日旅行客数目標を4,000万人と設定している。 ◎拡大余地大きいITオフショア開発 日本国内の受託ソフトウェア開発市場は約10兆円で年率3%程度の伸びとなっているが、そのうちオフショアを利用した開発の割合はわずかに1%程度(約1,000億円)にとどまっている。 米国ではこの比率は10%以上であることから、日本においても現在の10倍である1兆円規模まで拡大する余地はある。 実際に、日本からベトナムへの発注額は年率17.8%で増加している。 【事業内容】 中心事業はオンライン旅行事業、訪日旅行事業、ITオフショア開発事業、投資事業の4事業。(報告セグメントは、オンライン旅行事業、ITオフショア開発事業、投資事業の3つ。訪日旅行事業はオンライン旅行事業セグメントに含まれる。) それぞれ同社ならではの強みや特長を活かして成長を続けている。 ◎オンライン旅行事業 国内航空券、国内宿泊施設、海外航空券・宿泊施設等の旅行商品を、インターネットを通じて販売している。 ※IATA(International Air Transport Association):世界の航空会社で構成される業界団体 以下のようの、多様な販路を有している。 (直販サイト) (同社HPより) (事業の強み) 同社はOTA業界における国内航空券取扱高No.1である。 同業界で唯一国内全航空会社グループと契約を有していることから、自社での発券が可能となっている。優位な仕入れ価格と合わせ、発券を委託する必要が無いためコスト競争力は圧倒的に高い。 これに加え、各航空会社との長期の取引関係による強固な信頼に基づく「競争力のある仕入れルート」、「多様な販路」、「自社オフショアIT開発力を用いた低コストでのシステム構築」といった要因により、高い参入障壁を構築している。 ◎訪日旅行事業 今後も増大が期待される訪日旅行客需要に対応し、旅行商材の直販サイトの多言語展開(現在7か国語)のほか、アジア地域を中心とした現地旅行代理店や媒体運営者に対して国内航空券を中心に日本国内旅行コンテンツの検索・予約エンジンをOEMで提供している。 中国最大の旅行会社である「Ctrip.com」と国内航空券領域において日本初のシステム連携を開始したほか、中華系旅行社との提携を進めている。 (事業の強み) OEM提供のノウハウが豊富であることに加え、自社オフショア開発により顧客ニーズに合致した開発を安価かつスピーディーに行うことができる。 ◎ITオフショア開発事業 ベトナムのホーチミン、ハノイ、ダナンの3拠点で、2017年3月時点で熟練エンジニア約600名を雇用している。 Webサービスやアプリケーションなどシステム開発のほか、BPO(Business Process Outsourcing)を手掛けている。 顧客は(株)ディー・エヌ・エートラベル、グリー(株)といったWebサービス企業が中心。 (事業の強み) ベトナムにおける人材採用力と開発チームの立上げノウハウに強みを持っている。 日本国内のITエンジニア不足とエンジニアの賃金高騰を背景に、2012年の事業開始後、東南アジアにおける日系オフショア開発会社としては最大規模の陣容となっている。 また、受託開発は行わずラボ型開発と呼ぶ開発スタイルに特化している。 これは、原則的に1年以上の長期契約を前提に顧客の要望を反映した専属チームを組成し、クライアントの計算の下で稼働するため、稼働率がほぼ100%となっている。 また、エンジニアのコストは雇用した時点から全てクライアントチャージなので、納期遅延リスク、遊休人員発生リスクはゼロとなる。 ストックビジネスであるため規模拡大と共に収益の大幅な向上が期待できる。 ◎投資事業 17年9月期より報告セグメントとして新設。CVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)の性格を持つ第4の事業として位置付け、シナジー効果とともにキャピタルゲインの機会も追求していく。
 
 
2017年9月期決算概要
大幅な増収増益で過去最高を更新も計画には未達 売上高は前期比38.3%増の55億34百万円。営業利益は同18.1%増の7億30百万円。ともに過去最高を更新した。 取扱高は同44.0%増の401億16百万円でこちらも過去最高を更新した。 競争激化、シェア拡大のためのマーケティングコストの先行投資、新規事業準備やM&A推進によるコスト先行により期初計画に対しては売上、利益とも未達となった。 ①オンライン旅行事業 増収増益となった。 (オンライン旅行事業) *B to Cサービス(PC、スマートフォンを通じた一般消費者向けの旅行商材の直販サイトの運営) 新規顧客獲得のためのマスマーケティング、SEM強化、基幹システムの大幅リニューアル、リスティング広告等施策の強化、リピーター増加施策のためのUIの改善などが寄与し、利用者が順調に増加した。 *B to B to Cサービス(提携先企業のブランドによる旅行コンテンツを提供する事業) 大手提携先の開拓強化、主要取引先のニーズに合致したサービスの提供のほか、取引先において使用頻度を高めてもらうために取引先とのコミュニケーションを強化したことが寄与し、利用額が増加した。 <新規提携先> スカイスキャナー(17年3月)、H.I.S(17年4月) *B to Bサービス(他社旅行会社に対するホールセール事業) 航空会社の業界動向や取引先の施策に影響を受ける部分があり、国内線運航数の増加にともない、国内航空券を取り扱うオンライン旅行代理店業界全体が活況となり堅調だった。 *BTMサービス(企業の出張に係る社内承認手続き及び手配を一元管理する事業) 顧客企業数の増加及び利用率の増加と連動して売上が増加するビジネスモデルであるため、営業人員の追加、及び既存顧客中の利用率が相対的に低い顧客の掘り起し等を実施したため好調だった。 ②ITオフショア開発事業 増収増益となった。 エンジニアの人員数の増加と、開発の効率化に伴う単価の上昇が増収につながった。 ③投資事業 投資先を22社まで拡大した。株式会社かんざしの一部株式を売却、初のイグジット案件となった。 売上債権の増加などで流動資産は前期末から11億円増加とほぼ変わらず。のれん、ソフトウェアの増加で固定資産は同15億円増加。資産合計は同26億円増加の74億78百万円となった。 長短借入金の増加などで負債合計は同17億円増加の42億52百万円。 利益増による利益剰余金の増加で、純資産は同8億円増加の32億26百万円。 この結果、自己資本比率は前期末の47.0%から9.8%低下し37.2%となった。 営業投資有価証券の増加で営業CFのプラス幅は縮小。無形固定資産の取得による支出の増加で投資CFのマイナス幅は拡大。フリーCFはマイナスに転じた。 前期の公募増資に伴う株式発行による収入が減少し、財務CFのプラス幅は縮小した。 キャッシュポジションは低下した。
 
 
2018年9月期業績見通し
今期も大幅な増収増益。 売上収益は前期比25.1%増の70億円の予想。取扱高は700億円で同74.4.%増を見込む。 旅行客のインターネット利用頻度が一層増加し、市場規模も引き続き拡大を続ける見込み。取扱高の増加に比べ売上収益の伸びが低いのはセールスミックスや値付け面で保守的に見ているとのこと。 営業利益は同48.8%増の15億円。前期に続きスケールメリットが増大し、販管費増を吸収し大幅増益。 営業利益率は前期を3.3%上回る。 配当は3円/株増配の10円/株を予定。予想配当性向は19.4%。 「グローバル展開を加速させるためのグループ経営管理の基盤強化」や「資本市場における財務諸表の国際的な比較可能性の向上」などを通じた企業価値拡大を目指し、今期よりIFRSを任意適用することとした。 IFRS においては、M&Aの結果生じたのれんが償却対象外(顧客資産などの無形資産は償却対象)となることで、日本基準と比較してのれん償却費用が減少すること、投資先の株式の公正価値評価により、評価損益が計上され、日本基準と比較して、より厳密な効果測定による投資事業の評価が可能であること等、同社の事業形態や事業展開を評価するのにより適した会計基準であると判断した。
 
 
成長戦略とトピックス
同社では、これまで「2020年 取扱高 1,000億円、各事業のNo.1確立」を目標として掲げてきたが、「エアトリ」への投資による旅行事業の成長加速、投資事業の回収フェーズ、ITオフショアやBTMなどストック収益の安定成長、キャンピングカー事業や両替事業など新規事業の収益化、M&Aの推進によるスケール拡大などを鑑み、「2019年 取扱高1,000億円達成」と1年前倒しでの達成を目指すことした。 また、17年9月期より「投資事業」を第4の事業として位置づけ、報告セグメントとした。 各事業における成長戦略及び最近主なトピックスは以下の通りである。 (1)オンライン旅行事業 ①総合旅行フラットフォーム「エアトリ」 国内航空券販売市場は約1.5兆円という巨大市場であるが、オンライン宿泊予約業界の「じゃらん」、「楽天トラベル」のような圧倒的ブランドがまだ存在していない。 じゃらん、楽天トラベル合わせてオンライン宿泊予約市場の約4割のシェアを有していると見られるが、オンライン国内航空券販売市場では最大手の同社でも約2%となっている。 そこで、同社では前期に新ブランドとして立ち上げた「エアトリ」を、徹底したサービス内容によってオンライン国内航空券販売市場における圧倒的NO.1ブランドとする考えだ。 「既存サービスで行っているWEB広告による集客コストを削減し、顧客へのポイント還元に徹底」、「顧客に対し航空券購入代金の2%を還元」、「エアトリ」で付与されたポイントは航空券購入時に使用できるだけでなく、Gポイントを経由して各種共通ポイント、航空マイル、ギフト券などのポイントに交換が可能」といった、業界最大級の顧客還元を実施する。 また、WEB、電話、メールに加えチャットでの問い合わせ対応もはじめたほか、スムーズで直観的な操作性で圧倒的に使いやすいユーザーインターフェースを実現し、ユーザーの利便性を追求。 顧客に対し最もおトクで、最も便利なサービスを提供する。 同社では「エアトリ」を総合旅行プラットフォームと位置付けており、これまでの国内航空券に加え、国内宿泊、海外航空券、民泊の販売を開始した。今後も順次商材を拡大する。 また、オンライン航空券業界NO.1という実績、徹底した顧客還元が「エアトリ」の強みと考えているため、顧客還元に関しては国内航空券で利益を確保し、他商材については徹底して利益を顧客に還元する方針である。 商材の拡大・統合により、ポイントの相互利用が可能となったため、国内宿泊予約では業界最大級の7%のポイント還元を実現している。 ≪トピックス≫ ◎積極的なプロモーションを展開 ブランド確立には認知度の向上が不可欠である。 *TVCMを放映開始 札幌、福岡、沖縄エリアで人気漫才師を起用したTVCMの放映を開始した。反応は大変良好ということで、今期中に巨大市場である関東・関西でも放映を開始する予定だ。 *メールマガジン最大手「まぐまぐ社」とのアライアンス 2017年10月、メールマガジン最大手である株式会社まぐまぐを子会社化した。 まぐまぐのメルマガ、メディアを活用し「エアトリ」の販路拡大を始めとした事業シナジーを追求する。 (詳細は、「投資事業」の項を参照) ◎商材の拡充 17年11月、「エアトリ」で航空券と宿泊施設をセットにした国内旅行商品(パッケージ商品)の取り扱いを強化することを目的とし、沖縄、北海道への国内旅行商品(パッケージ商品)に強みを持つ株式会社エヌズ・エンタープライズを子会社化した。同社は日本航空専売認可代理店であり、日本航空の国内チケット仕入れに大きく貢献するものと考えている。 エヌズ・エンタープライズの今期(18年9月期)取扱高は約100億円を見込んでおり、2020年の取扱高目標1,000億円達成に向け大きく前進すると会社側は考えている。 また、今期より従来からの主力商品である国内航空券に加え、海外航空券の販売も強化する。 ②BTM(Business Travel Management)市場 日本におけるビジネストラベルマネジメント(BTM)市場は、6.4兆円規模であり、そのうち国内移動・国内宿泊は約1.8兆円規模と言われている。ビジネストラベルマネジメント(BTM)導入によって、出張経費の10~20%削減に繋がるとの調査結果があるものの、航空券利用に関しては過半数の企業が出張経費管理を行っていないという背景から、今後更なる拡大が見込まれる。 具体的な施策としては、営業パートナーを拡大し、市場開拓のスピードアップを図っている。 また、航空券以外の商材としては、「新幹線+宿泊パッケージ」の取り扱いを開始予定。今後も、あらゆる出張ニーズに対応する。 (トピックス) ◎クライアント数は着実に増加 17年9月末時点でのBTM事業クライアント数は前年9月末比で485社増加の1,152社となった。 安定したストック収益拡大に繋がっている。 (2)訪日旅行事業 民泊プラットフォームの構築、海外旅行会社との提携、両替事業やキャンピングカー事業の展開などによりインバウンド需要を様々な形、ルートで取り込む。キャンピングカーレンタル事業では売上国内No.1を目指し、自社保有台数は2020年には300台まで増強する予定。 ≪トピックス≫ ◎中華系旅行会社との提携 2017年5月に中国最大の旅行会社Ctrip.comと国内航空券領域においては日本初となるシステム連携に向けた業務提携契約を締結したのに続き、17年11月、中国OTAのQunar社が運営する「Qunar.com」の旅行検索システムとエボラブルアジアの国内航空券予約サイトと、システム連携することで合意した。このシステム連携により、Qunar.Comで、日本の国内航空券を、団体旅行やパッケージツアーを利用しない個人手配の中国人旅行客向けに提供を開始する。この提携によりエボラブルアジアはCtrip.comに次いで、中国のOTA最大手2社へ国内航空券の提供をすることとなった。 また同じく17年11月、台湾最大手の旅行会社である雄獅旅行社股份有限公司(ライオントラベル)が運営するオンライン旅行予約サイトへ訪日台湾人を中心とした外国人向けに国内航空券のOEM提供を開始。 今後ますます増加が予想される中華系旅行者に国内航空券を始めとした各種商材を提供するための基盤構築を着実に進めている。 ◎両替事業の強化・拡大 (フィンテック両替機を自社店舗に設置) 2017年11月、IoT機能やAIを用いたフィンテック機能を搭載した外貨両替機を自社開発する株式会社エクステックの第三者割当増資を引き受け、資本参加した。 エクステック社の両替機は、多数の通貨や言語に対応し、様々な国からの訪日外国人の両替要望に対応する。小さなスペースにも設置でき、人手もかからず無人運用が可能。オリジナル機を2017年11月より運用開始した。 今後は電子マネーや仮想通貨にも対応し、2020年までにホテル、空港・ターミナル駅、商業施設等へ1,000台の設置を目標としている。 (ホテルと提携し両替サービスを提供) 同じく2017年11月、日本国内最大級の客室数を持つホテルチェーンである株式会社東横インと訪日外国人観光客誘致に関して提携を行うことで合意した。 東横INN最大規模となる東横INN成田空港(全1,384室)がグランドオープンするのに伴い、両社共同で訪日外国人観光客の誘致ならびに顧客満足度の向上のため、ホテルカウンターにおける訪日外国人向け電子決済サービスの導入、ホテルカウンターにおける両替サービスの導入のほか、両社の商材を組み合わせたパッケージ商品の組成、販売などを検討していく。 今後は提携先ホテルの拡大も進めていく。 ◎キャンピングカー事業の販路拡大 2017年5月にH.I.S.での販売を開始し、9月には国内体験プランをスタートさせたほか、同じく9月にはJTB グループでeコマース事業を担う株式会社i.JTBと国内キャンピングカーレンタルの予約販売に向けた契約を締結した。 また10月には、パーク24のグループ会社でレンタカーサービス「タイムズカーレンタル」を全国展開するタイムズモビリティネットワークス株式会社と提携、キャンピングカーの貸出・返却拠点が都心部や空港近辺などで増加したほか、タイムズカーレンタルのサイト上でキャンピングカーのレンタル予約が可能となった。 キャンピングカー事業における保有台数は現在15台。単月黒字化すれば台数の大幅増に踏み切る考えだ。 (3)ITオフショア開発事業 現在約800名のラボ人員を、2020年には3,000名へ拡充する。 そのために、多拠点化、欧米案件の獲得、開発上流工程の対応強化、日本語人材の創出の4つの施策を推進している。 今期は新たに4社のラボがオープンした。 (4)投資事業 17年9月期より、CVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)の性格を持つ第4の事業として位置付けた。シナジー効果とともにキャピタルゲインの機会も追求する。 前期も多くの投資を行ったが、最も注目すべきは株式会社まぐまぐの子会社化であろう。 ≪株式会社まぐまぐの子会社の概要≫ 株式取得と簡易株式交換により2017年10月、(株)まぐまぐの株式94,256株(議決権所有割合:85.7%)を取得した。 (株式会社まぐまぐ 概要) 1999年創業。「伝えたいことを、知りたい人に」をビジョンに、メールマガジン配信サービス「まぐまぐ!」、WEB メディア「MAG2NEWS」や「MONEY VOICE」の運営を行っている。 メルマガ会員数は国内最大の750万人、メディアもユニークユーザー数300万人/月、ページビュー数1500万PV/月と大きな影響力をベースに、メルマガ等のコンテンツの有料課金、メディア広告収入を収益源に事業拡大をしている。 (想定しているシナジー) 同社は以下3つのシナジー効果創出を想定している。 ① 「エアトリ」の販路拡大 豊富なメルマガ会員に総合旅行プラットフォーム「エアトリ」を遡及する。現在44万人の「エアトリ」会員数を800万人まで拡大させる考えだ。 ② 旅行メディアの設立 まぐまぐ社の持つメディア運営能力とエボラブルアジアの旅行商材を組み合わせた旅行特化型メディアを設立する。 ③ 開発力の向上 エボラブルアジアのベトナム法人でのITオフショア開発リソースを活用し、まぐまぐ社の開発力を向上させる。 (今後の展望) エボラブルアジアの子会社によりシステム開発力を大幅に向上させることで、まぐまぐはサービスの拡大・改善のスピードを加速させることができる。加えてエボラブルアジアのマーケティングノウハウを提供することにより来期以降大幅な利益成長を達成すると見込んでおり、将来的な株式上場も目指している。 (5)その他 ◎地銀との提携 法人向けサービスの営業を強化するため、横浜銀行、四国銀行、京葉銀行の地銀3行と業務提携を行った。 地銀の顧客の中からITオフショアの開発案件、エボラブルアジアが宿泊施設営業開拓に関する独占契約を締結しているAirbnbの顧客紹介、BTMの顧客紹介を受けるというもの。 3行にとどまらず今後も地銀連携を進めていく。 ◎新株予約権による資金調達 クレディ・スイス証券株式会社に対する第三者割当方式による新株予約権を発行した。 3回の合計手取換算額は約101億円で、2020年までに戦略的大型M&Aの実施に約80億円、新ブランドを中心とした認知度向上や顧客獲得を目的とするブランディングコスト約20億円を資金使途としている。 3回の行使価額を段階的に設定することで希薄化を抑制することなどの特徴を持ったスキームであり、資金調達により成長速度を加速させたいと考えている。
 
 
今後の注目点
全ての事業分野においてアグレッシブでスピード感溢れる事業展開が続いている。 なかでも国内メルマガ最大手まぐまぐの子会社化はそのシナジーが大いに注目される。 会社側によれば、まぐまぐのメルマガ会員の約75%が35歳以上で、国内線の6割を占めるビジネスユーザーと親和性が高いと見ている。仮説の検証はこれからということだがその結果を見てみたい。 取扱高1,000億円達成を1年前倒しした同社の進捗も引き続きウォッチしたい。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書 最終更新日:2017年3月31日