ブリッジレポート
(6094) 株式会社フリークアウト・ホールディングス

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ブリッジレポート:(6094)フリークアウト・ホールディングス vol.4

(6094:東証マザーズ) フリークアウト・ホールディングス 企業HP
本田 謙 社長 Global CEO
本田 謙 社長 Global CEO

【ブリッジレポート vol.4】2018年9月期3四半期業績レポート
取材概要「前回のレポートでは、「IRIS、Fintechを始めとした新事業の進捗と合わせ今期の投資がいつごろから成果として顕在してくるのかを注目したい。」と・・・」続きは本文をご覧ください。
2018年8月29日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社フリークアウト・ホールディングス
代表取締役社長
Global CEO
本田 謙
所在地
東京都港区六本木6-3-1
決算期
9月末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年9月 12,019 601 1,208 842
2016年9月 5,792 358 561 394
2015年9月 4,217 96 95 65
2014年9月 3,224 191 172 49
株式情報(8/10現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,735円 13,310,900株 23,094百万円 23.4% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
0.00円 - 19.71円 88.0倍 309.99円 5.6倍
※株価は8/10終値。発行済株式数は直近期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。
 
株式会社フリークアウト・ホールディングスの2018年9月期3四半期決算概要などを報告します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
最適な消費者に最適なタイミングで最適なメッセージを伝えたいという広告主の課題を、AI(人工知能)を用いた先端テクノロジーで解決するマーケティング・テクノロジー・カンパニー。 広告主や広告代理店が、広告主の利益を最大化するために効率的にインターネット広告を買い付け、配信するプラットフォーム「DSP(デマンドサイド・プラットフォーム)」の運営やOEM提供を行う「DSP事業」が事業の中心。 「最大級のデータ保有量」、「良質な広告掲載面の確保」、「優れたアルゴリズム構築のための積極的な投資」などが大きな強み・特長。 広告に留まらず様々な分野でテクノロジーによって「人に人らしい仕事を」提供し、創造的な社会づくりに貢献する事を経営理念としている。 【1-1 沿革】 日本よりも1年ほど先行して米国でRTB(Real-Time Bidding)という、インターネット広告の表示回数ごとに入札形式で広告枠を自動的に売買する配信手法が一般化していたころ、日本でもこの手法を導入して広告分野におけるGame Changeを起こすことを目指してエンジニアでありヤフー株式会社で広告ビジネスに携わった経歴を持つ代表取締役Global CEO本田兼氏が2010年10月、同社を設立。グーグル株式会社で同じくエンジニアとして広告製品を担当していた代表取締役社長 佐藤 裕介氏も創業に参画し、2011年1月、日本国内で初めてRTB技術の商用化を実現した。 新しいプロダクトに対する感度が高いという広告業界の特性もあり、リリース直後から利用する企業は多数に上ると同時に顧客の満足度も高く、売上、利益は順調に拡大。2014年6月、設立から4年弱で東証マザーズに上場した。 2017年1月には意思決定のスピードアップやよりダイナミックな事業展開を目指し持株会社体制に移行した。 【1-2 経営理念など】 『Give People Work That Requires A Person.』、『人に人らしい仕事を』を経営理念として掲げている。 沿革にあるように、インターネット広告のリアルタイム取引を日本で初めて事業化し、広告取引を人間の手作業からコンピュータ間の取引に変えていくことを目指したのが創業の経緯。 テクノロジーによって、広告主は消費者一人ひとりとコミュニケーションを取ることが可能になり、従来のマス広告では不可能だった真の 1to1 マーケティングに近づく。 また同時に、広告業に従事する「人」たちは、取引に関する雑務から解放され、より人間らしいコミュニケーションのプランニングや、共感を起こすメッセージの作成など、クリエイティブな仕事に集中できるようになる。 同社は、「コンピュータにできることはコンピュータに任せることで、余剰労働力(人が創造的な仕事と向き合う時間)をつくること。」が使命であると考えている。 広告分野に留まらずあらゆる分野において、自社の高度なテクノロジーによって、人に人らしい仕事を提供し、より創造的な社会作りに貢献する事が同社の目指す姿である。 【1-3 インターネット広告市場概要】 同社の事業内容を理解するためには、広告主やメディアのニーズと広告市場の変化、テクノロジー、メインプレーヤーといった「インターネット広告」運営を取り巻く環境、構成要素等について一定の知識を有していることが欠かせない。以下、主要ポイントについて概要を説明する。 ≪広告市場の変化≫ 従来の広告市場、特にテレビや新聞といったマスメディアを利用した広告ビジネスにおいては、サプライサイドであるメディアや広告代理店にとっては在庫の独占性や排他性が事業展開するうえで最も重要な要素であった。 大手広告代理店は限りのあるTVのスポット枠をほぼ完全に押さえることで広告主に対する価格リーダーシップを握り、メディアとともに大きな利益を生み出してきた。 ところがTVや新聞によるマス広告は、右肩上がりの経済成長の終焉と、従来のメディアと比較した際のコストの安さや双方向性を大きな特徴とするインターネット広告の登場によりその需要は縮小する傾向にある。 下のグラフが示す通り、日本の総広告費用が過去10年間でほぼ横ばいの中、2005年には3,777億円であったインターネット広告費は地上波テレビの2割弱、新聞の4割弱であったが年平均成長率12.2%で拡大を続け、2017年には1兆5,094億円となり、地上波テレビの8割、新聞の約3倍の規模となっている。(「電通 日本の広告市場 2017」より) 一方で、より効果的な広告を求める広告主のニーズはますます増大しており、いかにして「最適な消費者に」、「最適なタイミングで」、「最適なメッセージ」を届けるかが大きな課題となっている。 こうした中、「アドエクスチェンジ」と呼ばれる、広告枠のオープンなマーケットプレイスが登場してきた。 これは、広告主、メディア、広告代理店などが広告枠を自由に売買することができるまさに「市場」であり、広告主にとっては、より高い広告パフォーマンスを求めて最適な広告枠を買うことが極めて重要になってくるわけだが、それを実現するためのカギとなるテクノロジーの一つが、同社が日本国内で初めて商用化を実現した「RTB」である。 ≪RTBによる広告枠のリアルタイム取引≫ RTB(Real-Time Bidding:リアルタイムビッディング)とは、インプレッション(広告の表示回数)ごとに入札形式で広告枠を自動的に売買する配信手法。 RTBが登場するまで一般的であった「純広告取引」は、ディスプレイ広告(ウェブサイトに表示される画像やFlash、動画などを用いた広告)の枠を、メディアや広告代理店がインプレッション保証や期間保証を付けてパッケージ販売するいわばコースメニュー。 これに対してRTBは、ディスプレイ広告を1インプレッションごとにアクセスしてきたユーザーの属性を解析し、「特定の属性を持ったユーザーへの広告」として1インプレッションごとに入札方式で売買を行なうシステムである。 RTB技術の活用により、広告主は従来の特定サイトの広告枠を予め決定された価格で購入する純広告や、検索キーワードに関連した検索連動型広告では難しかった潜在的な消費者層の開拓や、興味・関心をもってもらうための効果的な広告配信による認知施策が可能となる。 「RTB」には広告枠の需要サイドのシステムである「DSP」と、供給サイドのシステムである「SSP」が主要プレーヤーとして登場する。 (DSP「Demand Side Platform:デマンドサイド・プラットフォーム」とは?) 広告主や広告代理店が、広告主の利益を最大化するために効率的にインターネット広告を買い付け、配信するプラットフォーム。 具体的には、広告主や広告代理店が、RTB技術を活用し独自のアルゴリズムにより、アドエクスチェンジやSSP、あるいはアドネットワークなどに対して、ユーザーの広告1インプレッションごとに最適な自動入札取引・広告配信を行うプラットフォームである。 広告主はあらかじめDSPを通じて広告を見て欲しい対象者の属性、入札の上限額を決めておき、広告主の要望に マッチするユーザーが見つかった場合は瞬時(およそ0.05秒程度)に入札が行われ、最も高い価格を提示した広告が媒体に配信される。 RTBが登場するまでは、広告主は、ターゲットであるユーザーが閲覧すると思われるサイトを想定して、特定の広告枠を予め決められた価格で買い付けていたが、DSPを用いることにより、広告主は広告を配信したいユーザーをリアルタイムで判断し、入札による適切な価格で広告を配信することができるため、広告主は広告の費用対効果を高めることが可能である。 同社は自社開発のDSPである「Red」や「FreakOut」の販売やOEM供給を行う「DSP事業」をメインビジネスとしている。 常に最適なユーザーに広告を配信し、最適な価格で入札を行うには、極めて高度なアルゴリズムを構築し、大量のデータを元に機械学習を繰り返すことで「より賢いAI(人工知能)」に磨き上げていく必要があるが、同社はその点で強力な競争優位性を有している。(詳細は【1-6 特徴・強み】を参照) (SSP「Supply Side Platform:サプライサイド・プラットフォーム」とは?) メディア側から見た広告効果の最大化を支援するシステム。メディアが広告枠を管理及び販売する際に使用するプラットフォームであり、DSPのリアルタイムな入札に対応する技術を有している。 このように、RTB技術をベースにして従来の純広告では困難であった最適化を自動かつ瞬時に行う費用対効果に優れた広告は「運用型広告」と呼ばれ、インターネット広告全体を上回るスピードで成長を続けている。 2017年には日本のインターネット広告の6割強が運用型広告となっている。 (※)運用型広告:膨大なデータを処理するプラットフォームにより広告の最適化を自動的もしくは即時的に支援する広告手法の事。検索連動型広告や一部のアドネットワークが含まれるほか、新しく登場してきたDSP、アドエクスチェンジ、SSPなどが典型例。枠売り広告、タイアップ広告、アフィリエイト広告などは運用型広告に含まれない。 また、同社が日本国内で商用化したRTBは、市場規模は米国の10分の1以下であるが、急成長を遂げている。 このように、他の媒体と比べて高い伸びを見せるインターネット広告の中でも特に伸長著しいRTB技術をベースとした「運用型広告」が同社のフィールドであり、旺盛な需要を確実に取り込んで業容を拡大させている。 加えて、後述するように同社では東南アジアを中心とした海外事業の拡大にも積極的に取り組んでいるが、東南アジアにおいても台湾を筆頭に各国において広告市場におけるデジタル広告費の割合は上昇傾向にあり、マーケットは継続的に拡大している。 【1-4 事業内容】 1.事業セグメント 事業セグメントは、「DSP事業」、「DMP事業」、「その他事業」の3つ。 ① DSP事業 ◎ビジネスモデル SSP・アドエクスチェンジおよびメディアを通じて広告枠を仕入れ、広告主・広告代理店に対してインターネット広告枠を提供。一部広告代理店に対してはDSPプラットフォームのOEM提供を行っている。 ◎サービス形態 以下のような2形態でサービスを提供している。 サービス開始当初は、重要なデータを大量に収集するため、またユーザーの声を直接吸い上げるために広告主への直接販売を中心としていたが、現在は売上拡大のスピードアップを図るため広告代理店へのOEMを含めた販売が中心となっている。 OEM提供先の広告代理店にとっては、サーバコストや開発難易度の点から独自でDSPを開発し、新規参入することは難しいが、同社グループのDSP基本機能とインフラの利用により、早期の新規参入が可能となっている。 ◎主要プロダクト、サービス 広告主の自社サイトのアクセスデータ、広告配信データ、会員データ、購買データなどのビッグデータを同社が開発した解析ソフトウェアにより分析するプライベートDMP「MOTHER」を用いて、DSP「Red」、「FreakOut」による広告配信効果の最大化を追求している。 「Red」、「FreakOut」は広告主にとって有望な見込顧客にターゲティングするために、多様な配信手法を備えている。 具体的には、「知らない人(潜在層)」には知ってもらうための「オーディエンス拡張」等の配信手法を用いた潜在層ターゲティング、「既に知っている人(興味層)」には欲しいと思ってもらうための「キーワードマッチ」等の配信手法を用いた興味関心層ターゲティング、「欲しいと思った人(顕在層)」にはコンバージョン(購入、資料請求、会員登録など実際の行動)してもらうための「リターゲティング」等の配信手法を用いた顕在層ターゲティングを行い、消費者の行動プロセスに応じてターゲティングした広告配信を実施している。 ② DMP事業 DMPとは「Data Management Platform(データ・マネジメント・プラットフォーム)」の略で、広告主がもつ自社サイトへのアクセスデータ、広告配信データ、会員データなどのデータを管理及び解析し、メール配信や分析調査などの様々なデータ活用チャネルと連携して利用可能にする、データ統合管理ツールのこと。 クライント企業や広告代理店のデータマーケティングの最適化を実現するため、メディア企業や調査会社などデータプロバイダーから多様かつ膨大なデータを集め、DMPで蓄積・解析を行い、独自性の高い膨大なパブリックデータDMPの提供、大規模ポータルサイトのDMP構築支援、最適なマーケティングチャネルでの自社データの活用のコンサルティングサービス等を提供している。 ③ その他の事業 持株会社体制への移行に伴い17年9月期より新設されたセグメント。国内外のグループにおける新規事業、及び経営管理が含まれる。 【1-5 グループ企業】 持株会社である株式会社フリークアウト・ホールディングスの下、以下のようなグループを形成している。 加えて、持分法適用関連会社としてスマートフォン向け広告プラットフォームの開発・販売を行うM.T.Burn株式会社(国内、持分比率49.5%)を有している。 海外事業においてはFreakOut Pte.Ltd. (本社:シンガポール)をヘッドクォーターとして、ネイティブ広告プラットフォーム事業を中軸とするグローバル展開を推進してきた。 2015年に、東南アジア初のネイティブ広告プラットフォームをリリース以降、各国上位のメディアを中心に提携先を拡大し、現在では海外で700社を超える広告主に利用されている。 2017年7月には香港市場に参入したほか、シンガポール、タイ、インドネシアに続く東南アジアの新拠点として、ベトナム、マレーシア、フィリピン、インド、イランに現地法人を設立したほか、M&Aも積極的に推進し、各国のプレミアムメディアと提携。ネイティブ広告プラットフォームをアジア、中東で提供している。 【1-6 特長と強み】 前述のように、常に最適なユーザーに広告を配信し、最適な価格で入札を行うには、極めて高度なアルゴリズムを構築し、大量のデータを元に機械学習を繰り返すことでより「賢いAI(人工知能)」に磨き上げていく必要があるが、同社はその点で強力な競争優位性を有している。加えて、良質な広告掲載面を有している点も大きな強みとなっている。 ① 最大級のデータ保有量 RTB技術を日本国内で初めて商用化したこともあり、データ保有量は国内最大規模となっている。 どんなに優れたAIを開発したとしても、大量のデータを使って機械学習を繰り返し行わないと実用的で効果の高いAIには成長しない。 「日本で一番スマートフォン所有者のことを知っている」同社は、全国6,000万人のモバイルユーザーのうち、5%、300万人の正確なデータがあれば、残り5,700万人の年齢や性別による思考、行動はほぼ正確に類推することが可能ということで、広告主に対し高い顧客満足度を提供している。 ② 良質な広告掲載面を確保 一方、RTBの登場によってオープンな環境でのプラットフォームの「賢さ」が優位性である時期がある程度続くと、技術の格差・優劣が相対的に縮小し、特にモバイルの世界でどれだけ良質な掲載面を確保しているかという「掲載面の品質とその独占性」が再び有力な競争条件となってきた。 そうした中、同社の関連会社 M.T.Burn株式会社はLINE株式会社が50.4%、同社が49.5%を保有する合弁会社であることから、同社はLINEアプリの広告枠を独占的に確保することができており、広告主に高いパフォーマンスを提供している。 ③ 優れたアルゴリズム構築に向けた積極的な投資 ターゲティング広告においては入札金額が高ければ落札はできる。売上規模拡大を目指す同社としては、できるだけ多くの広告枠を買いたいが、パフォーマンスが悪ければ広告主から評価されず、継続的な取引も難しくなってしまう。 そこで、高く買ったとしても結果としてはリーズナブルであったと判断してもらえるような結果を生むことが極めて重要である。 この課題に対し同社では「クリック率予測モデル」、「コンバージョン率予測モデル」を開発し、広告主に対する提案力を高めており、加えてこれらモデルの正確性を一段と向上させるために常に投資を行っている。 同社のデータ・サイエンスチームは日本の、特に中堅企業クラスではトップレベルの能力を有しているとのことで、積極的な投資の蓄積が継続的かつ高いパフォーマンスの提供に結び付いている。 ④ 優秀な人材の獲得 ある雑誌の調査における『「東大・京大生」人気企業ランキング』において、同社は名だたる大手IT企業、外資系金融機関、世界的メーカーに伍して前年の107位から79ランク上がって28位にランキングされた。 インターン制度を積極的に活用し学生との接点を増やしているのに加え、広告がメイン事業ではあるが、今後は新規分野としてHR tech、Fintechといった幅広いフィールドで活躍できる可能性がある事、エンジニアとして業界でも著名な優秀なエンジニアと一緒に働くことが出来る事を魅力と感じているということだ。 また、チャレンジを最大に評価するインセンティブ制度も学生からの人気が高い要因の一つであると会社側は考えている。 【1-7 ROE分析】 17年9月期は3要素それぞれが寄与しROEは大きく上昇した。
 
 
2018年9月期第3四半期決算概要
増収も先行投資により減益 売上高は前年同期比16.3%増の105億70百万円。海外広告の新規M&A先が貢献、第3四半期の最高を更新した。関連取扱額トップメディアを除いたベースでは83.7%の増収。 営業利益は3億8百万円の損失。EBITDAは同39.8%減の7億23百万円。新規事業拡大に向けエンジニアを中心に積極的に採用を行っており、従業員数は大幅に増加。 経常利益は同73.1%減少の2億86百万円。先行投資の他、M&Aによるのれん償却費が2.1億円増加した。 【ポイント】 *国内広告事業 国内は減収。特定の大口媒体関係の売上が低調だった一方、新プロダクト「Red for Publishers」や第2四半期にリリースしたネイティブSSP「Poets」が若干の遅れはあるものの、順調に成長している。国内広告事業戦略としては1社には依存しないよう、複数のプレミアムメディアに向けたサービスである「Red for Publishers」を今後も強力に推進する。「Poets」はサービス開始後より順調に売上を伸ばしており、最大日販10百万円弱まで成長している。 *海外事業 海外売上高は大幅増加。設立子会社の成長に加え、17年9月にM&Aした台湾のadGeek Marketing Consulting社が今期から寄与を開始した。 好調なインドネシアに加えてタイや台湾でも大口メディアとの提携などで売上が拡大し、単月黒字化を達成している。 また、フィリピン、インド、ベトナムが新たに連結を開始した。 *新規事業 新規事業では100パーセント子会社であるGardia株式会社が展開するサービス事業者向けの「No-Show保証サービス」や、株式会社カンムとの提携による後払決済など、Fintech関連サービスの売上が立ち始めている。 (デジタルサイネージ事業) 同事業を手掛けるIRIS社について第3四半期より持分法適用を開始した。 設置台数を2020年までに50,000台へと拡大させる中で、台数増に伴う減価償却費や通信費の増加に対して売上がカバーできる水準まで拡大するかが不透明であるため、重要性の観点から慎重に推移を見てきたが、Googleとの接続や日経新聞との提携を通じて広告単価も上昇する中で、固定費増をしっかりとカバーできる目途がたったため今回適用開始を決定した。 今後の台数増やGoogleとの接続による個別乗客に応じた広告配信による単価の大幅上昇、東京オリンピック・パラリンピックに向けた広告需要増などを背景とした収益貢献を期待している。 転換社債型新株予約権付社債の発行による現預金の増加等で流動資産は前期末比20億96百万円増加。投資有価証券の増加等で固定資産は同14億79百万円増加し、資産合計は同35億75百万円増加の135億68百万円となった。 転換社債型新株予約権付社債の発行で負債合計は同34億6百万円増加の90億84百万円。 資本金、資本剰余金、利益剰余金の増加等で純資産は1億69百万円増加し44億83百万円となった。 この結果自己資本比率は前期末の40.8%から9.7%低下し、31.1%となった。
 
 
2018年9月期業績見通し
業績予想に変更なし。大幅な増収も、先行投資により減益を計画 業績予想に変更は無い。2018年9月期は、既存事業を堅調に伸ばしていく中で、2019年および2020年の計画値に向けた、積極的な投資を実行する1年と位置づけている。 売上高は前期比34.0%増の161億円の予想。海外広告が大きく寄与する。 営業利益は同95.0%減の7億20百万円の予想。新規事業領域での先行投資を行うため一時的な減益を予定している。 足元でPoets、海外事業、Fintechの売上が伸長しており、利益面でもIRISの取り込みが始まったことで第4四半期(7-9月)にもう一段成長できると考えているため、業績予想の修正は予定していない。 (2)中期計画 2020年9月期「売上高330億円、EBITDA30億円」を目指している。今後3年で2017年9月期実績に対して、売上高で2.8倍、EBITDAで2.1倍という成長を追求する。 国内広告が着実に伸びるのと同時に、海外広告がその成長ドライバーになると考えている。
 
 
今後の注目点
前回のレポートでは、「IRIS、Fintechを始めとした新事業の進捗と合わせ今期の投資がいつごろから成果として顕在してくるのかを注目したい。」と書いたが、IRISの持分法適用開始を始め、新プロダクト「Red for Publishers」や「Poets」も順調に離陸し、Fintech関連サービスも売上が立ち始めたということだ。 短期的には、通期予想に対しややスローに見える進捗だが、どれだけの積み上げを行って着地するかを、中長期的には立ち上がり始めた新事業の成長スピードを注目したい。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレート・ガバナンス報告書 最終更新日:2018年2月15日 <基本的な考え方> 当社は、経営の効率化を図ると同時に、経営の健全性、透明性及びコンプライアンスを高めていくことが長期的に企業価値を向上させていくと考えており、それによって、株主をはじめとした多くのステークホルダーへの利益還元ができると考えております。経営の健全性、透明性及びコンプライアンスを高めるために、コーポレート・ガバナンスの充実を図りながら、経営環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できる組織体制を構築することが重要な課題であると位置付け、会社の所有者たる株主の視点を踏まえた効率的な経営を行っております。 <実施しない主な原則とその理由> 「当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則をすべて実施しております。」と記述している。