ブリッジレポート
(2157) 株式会社コシダカホールディングス

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ブリッジレポート:(2157)コシダカホールディングス vol.33

(2157:東証1部) コシダカホールディングス 企業HP
腰髙 博 社長
腰髙 博 社長

【ブリッジレポート vol.33】2018年8月期業績レポート
取材概要「カラオケ事業では運営効率の良い大型店に力を入れている。首都圏での店舗ネットワークの充実と知名度の向上で集客に自信を深めている事が背景・・・」続きは本文をご覧ください。
2018年11月7日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社コシダカホールディングス
社長
腰髙 博
所在地
東京都港区浜松町2-4-1 世界貿易センタービルディング
決算期
8月末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年8月 55,283 6,146 6,354 3,255
2016年8月 51,170 4,810 4,699 1,900
2015年8月 44,257 4,394 4,492 2,098
2014年8月 37,720 4,276 4,370 2,423
2013年8月 34,515 4,151 4,237 3,072
2012年8月 33,746 4,077 4,096 2,279
2011年8月 29,093 3,356 3,336 2,877
2010年8月 21,932 2,503 2,579 1,125
2009年8月 18,955 1,496 1,427 549
2008年8月 13,649 691 731 421
2007年8月 11,332 535 561 134
2006年8月 8,878 552 560 319
2005年8月 6,360 403 400 233
2004年8月 3,552 340 337 192
2003年8月 2,037 104 99 57
株式情報(10/23現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,356円 81,318,284株 110,268百万円 18.7% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
12.00円 0.9% 64.01円 21.2倍 315.51円 4.3倍
※株価は10/23終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
コシダカホールディングスの2018年8月期決算の概要と2019年8月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
“総合余暇サービス提供企業”を標榜し、「アミューズメント」、「スポーツ・フィットネス」、「観光・行楽」、「趣味・教養」の4分野で「既存業種新業態」戦略を推進している。現在、カラオケ事業とフィットネス(カーブス)事業を二本柱に、上場以来、増収・増益を続けており、新規事業として取り組んでいる温浴事業も基盤固めが進んでいる。
尚、「既存業種新業態」とは、既に世の中にある業種や業態において、「余暇」を切り口とした発想で、今までになかった付加価値を生み出すビジネス。
 
【企業理念 -豊かな余暇生活の実現と希望に溢れた平和な世界の構築に貢献-
企業理念は、「進化させた有意なサービス・商品を常に考案し、そして全世界の人々に提供し続けることによって、豊かな余暇生活の実現と希望に溢れた平和な世界の構築に貢献すること」。この企業理念の下、①安近短の身近な余暇の分野において既存業種新業態を追求する、②各国地域並びに各業種の実情に即した最適な業態、仕組みを開発する、③顧客のニーズを探求し、驚きと感動を与える質の高いサービス・商品を常に提供する、④強い志と企業家精神を持って活躍する人材を育成する、及び⑤業態間のシナジーを図り、グループ力を最大限に発揮する、の5つをビジョンとして掲げている。
 
 
【事業セグメント】
事業は、「まねきねこ」やひとりカラオケ専門店「ワンカラ」を運営するカラオケ事業、“女性専用30分健康体操教室”として中高年齢層をターゲットに女性専用フィットネスクラブ「Curves(カーブス)」を展開するカーブス事業、温浴事業(各種温浴設備を備えた施設の運営)、及び不動産管理事業に分かれる。18/8期の売上構成比は、それぞれ51.7%、45.2%、2.6%、0.5%。連結調整前営業利益の構成比は、それぞれ36.2%、61.4%、0.8%、1.5%。

カラオケ事業は、上質なサービスと低価格で差別化に成功しており、国内店舗数は業界第2位。韓国、シンガポール、マレーシアでも事業展開している。カーブス事業は、取扱高、店舗数、会員数で業界第1位。2018年3月に世界総本部を買収した。18/8期末現在、カラオケ事業520店舗(この他、海外23店舗)、カーブス事業1,912店舗、会員数82.7万人、温浴事業5店舗。
 
 
 
 
 
2018年8月期決算
 
 
前期比11.7%の増収、同27.8%の営業増益
売上高は前期比11.7%増の617億71百万円。新規出店効果でカラオケ事業が同7.8%の増収、プロテイン販売が伸びたカーブス事業が同17.8%の増収と共に過去最高を更新した。

利益面では、減価償却費や開店諸費用の減少で収益性が改善したカラオケ事業の利益が同53.8%増と伸びた他、増収効果でカーブス事業の利益も同14.4%増加し、連結営業利益が同27.8%増の78億58百万円と過去最高を更新。為替差益の増加(79百万円→3億02百万円)で営業外損益が改善した他、減損損失や固定資産除却損の減少で特別損益も改善した。特別損失については、東南アジアにおけるカラオケ事業の中間持株会社である KOSHIDAKAINTERNATIONAL PTE. LTD.ののれん未償却残高の減損損失(4億35百万円)等5億20百万円を計上した。
 
 
 
 
国内では、31店舗(うち駅前繁華街18店舗)の新規出店を行う一方、10店舗の退店等で期末店舗数は520店舗(前期末499店舗)。首都圏での店舗ネットワークが充実してきた事やブランド力の向上に伴う集客力の向上を踏まえ、物件を厳選して店舗の大型化を進めているため新規出店は減少傾向にある。この他、42店舗(前期は37店舗)でリニューアルを実施した。既存店は首都圏店舗の好調で前期比100.8%(客数102.5%、客単価98.4%)。

売上高は金額ベースで23億22円の増加。前期出店分も含めた新規出店効果が25億08百万円、既存店の寄与が2億31百万円。一方、海外売上が45百万円減少した他、その他の3億72百万円の減収要因が発生した。

利益面では、売上総利益率が0.1ポイント改善する中、減価償却費(△2億19百万円)、開店諸費用(△1億84百万円)、備品・消耗品費(△71百万円)を中心に販管費が減少した。
 
 
海外の期末海外店舗数は23店舗(前期末24店舗)。シンガポールは主力3店舗のリニューアル伴う減価償却費の増加や東南アジア向けカラオケ機器の開発費が負担になった。また、マレーシア子会社が1店舗(32ルーム)を譲受し7月から営業を開始した。
 
 
期末の国内カーブス店舗数は前期末との比較で89店舗(4.8%)増の1,912店舗(内グループ直営店61店舗)、会員数は6千人(0.7%)増の827千人。会員の年齢構成は、50代21.5%、60代38.5%、70代29.3%(この他、40代7.4%、30代以下3.3%)。50代以上が89.3%。

売上高は金額ベースで42億13百万円の増加。新製品投入によるプロテイン販売の好調でショッピング売上(約144億円)が40億62百万円増と増収をけん引した。FCに係る収入では、加盟金収入等の出店に関わる一時的な収入であるスポット売上が5億69百万円減少したものの、ロイヤルティ収入等の継続的な収入であるベース売上が4億22百万円増加。この他、直営店舗の売上も2億97百万円増加した。

利益面では、カーブス世界本部買収に係る一時的な費用5億45百万円の計上による販管費の増加を吸収した。
 
 
新規出店を行わず、店舗リニューアルや飲食メニューの強化で既存店のテコ入れを行ったが、単価の低下で売上がわずかに減少した。利益面では、自動精算機やオーダー端末の導入による省人化・業務効率化で販管費が減少したものの、エネルギーコストの増加が負担になった。
 
 
 
期末総資産は前期末との比較で246億67百万円増の683億57百万円。カーブス世界本部の買収に伴い、無形固定資産に商標権205億59百万円を計上した他、のれんが9億31百万円(10億34百万円→19億65百万円、カーブス世界本部15.5億円程度)増加した。また、固定負債の繰延税金負債が49億08百万円(1億19百万円→50億28百万円)増加した。自己資本比率37.5%(前期末49.6%)。
 
 
税金費用の増加(19億23百万円→41億05百万円)で営業CFが減少する中、カーブス世界本部の買収に伴う支出184億05百万円等で投資CFのマイナス幅が拡大した。182億97百万円の長期借り入れ等で資金需要に対応した。
 
 
2019年8月期業績予想
 
 
前期比6.9%の増収、同18.9%の営業増益予想
売上高は前期比6.9%増の660億44百万円。踊り場を迎えつつあるカーブス事業の売上が3.1%増にとどまるものの、新規出店効果でカラオケ事業の売上が同10.3%増と伸びる他、郡山まねきの湯における新規温泉開湯効果等で温浴事業も増収に転じる。
営業利益は同18.9%増の93億45百万円。売上の増加と減価償却費の減少等でカラオケ事業の収益性が一段と高まる他、カーブス事業も世界本部買収に伴うスポット費用が無くなり営業利益率が改善。売上の増加と省エネ化や食事メニューの見直し効果で温浴事業も利益が大幅に増加する。
 
 
カラオケ事業
首都圏の駅前繁華街を中心(新規出店の2/3程度を想定)に35店舗の新規出店を計画している。店舗は大型化を進め、55ルームの大宮西口店や新宿西口店の出店が確定している他、60ルームの店舗計画もある。また、引き続きリニューアルによる既存店舗のてこ入れにも取り組んでいく。店舗では、入店フローの簡略化や自動精算機の導入に加え、事務作業の本社集約も進め、自動化・効率化を図る。また、「ザ・プレミアム・モルツ」の全店「プレミアム達人店」認定や「築地銀だこ × まねきねこ」コラボの継続に加え、新たなアイテムも投入し、飲食の面での差別化にも取り組む。

カラオケルームの利用促進を念頭にスマートフォンアプリの提供にも力を入れており、6月にカラオケ「まねきねこ」を利用している他のグループと合流できるアプリ「おまねきParty」の運用を開始した他、10月には会員サービスアプリ「まねきねこアプリ」の提供を開始した。「おまねきParty」は、アプリをインストールして「まねきねこ」にチェックインすると、利用料が総額20%オフになる「チェックインクーポン」を取得できる他、アプリを使って他のユーザーとメッセージの交換を行うと、合流後の利用料が総額50%オフになる「おまねきParty クーポン」が取得できる(アプリのインストール、合流やメッセージ等の使用は無料)。一方、「まねきねこアプリ」は、ポイントシステム、ランクアップシステム、ミニゲーム、最寄りのお店検索、お気に入りのお店からのお知らせ等の機能が搭載されている。この他、モバイル端末の動画等を投影できるキャッティングシステムも計画しており、開発を伴う新しいサービスの創造でカラオケ以外のエンターテイメントの提供にも取り組んでいく。

海外市場では、11月にマレーシア2号店、2019年2月にタイ1号店のオープンを予定しており、インドネシアでは駐在員事務所を開設して市場調査を始めている。現在、東南アジアで事業展開している日本のカラオケオペレーターは同社のみ。資本規制のある国での合弁も含めて、ブルーオーシャンである東南アジア全域へ展開していく考え。
 
カーブス事業
通常出店とアメーバ出店(後述)で計86店舗の出店を計画している。アメーバ出店とは、会員数がキャパシティ(600~650名)を超えた店舗の商圏内での姉妹店の出店の事。潜在商圏が存在する場合に限られるが、既存会員が通いやすく利用しやすい店舗網の構築を目的としている。また、現在のカーブス会員は、健康意欲が高く、かつ、運動意欲も高い層だが、今後は、健康意欲が高いものの、運動意欲が低い層の開拓にも力を入れていく。カーブスの入会動機で最も多いのが、紹介(52%)であり、次いで新聞折込チラシ(19%)、看板(11%)、その他(18%)。運動指導、コミュニケーション、コミュニティ等によるサービス強化が既存会員の満足度向上につながり、継続率の向上だけでなく、口コミ・紹介による会員の増加や会員の増加によるショッピング売上の増加にもつながる。

この他、新規分野の展開として、11月にメンズ・カーブス(男性向けカーブス)のテスト店をオープンする。長野県茅野市のカーブスオギノ茅野店(1F)の階上にメンズ・カーブス(2F)を開設し、カーブス会員からの紹介・口コミによる広がりを確認する。また、今期中に世界展開に向けた何らかの方針を示したい考えで、現在、世界各国のカーブスの状況把握に努めている。
 
温浴事業
新規出店は計画していないが、女性層の取込みや安心・安全のアピールに加え、郡山まねきの湯における新規温泉開湯と既存コンテンツの一新等で集客を強化する。また、更なる省エネ化や食事メニューの見直しによる業務の効率化にも取り組む。
 
(3)株主還元 上場以来、11期連続の増配
配当は1株当たり上期末6円、期末6円の年12円を予定しており、株式分割を考慮すると実質2円の増配。また、株主優待として、株主優待券やカタログギフト券を贈呈しているが、今回から長期保有の株主に対して優遇措置を講じる。
 
 
 
今後の注目点
カラオケ事業では運営効率の良い大型店に力を入れている。首都圏での店舗ネットワークの充実と知名度の向上で集客に自信を深めている事が背景にあるが、店舗人材の確保で厳しい状況が続いている事も理由の一つと思われる。同社にとって「人材確保は利用者獲得と同じくらい重要」(腰高社長)であり、「競争優位に立てるか否かの肝になる」(同)と言う。このため、店舗の大型と並行して、サービスを提供する現場を更に磨き上げ、従業員にとって魅力あるものにしていく考え。
人材面では朗報もある。外国人労働者の受け入れ拡大に向けた入国管理法改正案の動きだ。新たな在留資格を設け、原則として認めてこなかった単純労働にも門戸を開くもので、10月24日に召集された臨時国会において審議される。同社は、外国人受け入れ政策の転換を追い風としたい考えだ。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書       更新日:2017年12月04日
基本的な考え方
当社グループは、株主に対する企業価値の最大化を図るために、経営の透明性と健全性を維持しつつ、変化の激しい経営環境の中における企業競争力の強化のために、迅速な意思決定と機動的な組織運営を実現することをコーポレート・ガバナンスの基本的な方針とし、体制を整備し諸施策を実施しております。当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を経営の重要課題としています。この課題を実現するために、当社グループは、株主やお客様をはじめ、当社に係るすべてのステークホルダーの立場を尊重し良好な関係を構築するとともに、以下の当社グループ「経営理念」及び、それを具体化した「行動基準」を定めております。

「経営理念」
私達の使命は、進化させた有意なサービス・商品を常に考案し、そして全世界の人々に提供し続けることによって、豊かな余暇生活の実現と希望に溢れた平和な世界の構築に貢献することである。
 
<開示している主な原則>
【原則1-4 いわゆる政策保有株式】
当社は、政策保有株式について、保有しないことを基本方針とします。

【原則1-7 関連当事者間の取引】
当社は、役員や主要株主との重要な取引(関連当事者間の取引)については、取締役会の決議事項と定めております。また、決算期ごとに、取締役及び主要株主に対して、関連当事者間の取引の有無につき確認書の提出を義務づけております。

【原則5-1 株主との建設的な対話を促進するための体制整備・取組みに関する方針】
(基本的な考え方)
 当社は、株主との建設的な対話を通じて、当社への理解を促進し、持続的な成長および中長期的な企業価値の向上に繋げてまいります。
(担当部門)
 当社は、株主からの対話(面談)の申込みに対しては、IR担当部門が対応することとしております。また、株主の対話(面談)の目的等を確認したうえで、必要に応じて、IR部門を担当する役員等の経営陣幹部が面談に臨むことといたします。
(個別面談以外の対話の手段)
 当社は、決算説明会等を通じて、取締役による定期的な情報発信を行ってまいります。
(インサイダー情報の漏えい防止)
 当社は、インサイダー情報の管理については、社内規程である「内部情報管理及び内部者取引防止規程」に基づき、情報管理の徹底を図り、インサイダー情報の漏えい防止に努めてまいります。