ブリッジレポート
(8130:東証1部,名証1部) サンゲツ 企業HP
安田 正介 社長
安田 正介 社長

【ブリッジレポート vol.17】2019年3月期第2四半期業績レポート
取材概要「前回のレポートで「第2四半期以降のインテリア事業の回復スピードを注目したい。」と書いたが、残念ながら見本帳の問題もあり、壁装材は想定・・・」続きは本文をご覧ください。
2018年12月19日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社サンゲツ
社長
安田 正介
所在地
名古屋市西区幅下1-4-1
事業内容
インテリア専門商社最大手。壁紙、床材、カーテン、イス生地などトータルインテリア商品の開発・販売を行う。壁紙は首位、カーテン、塩ビ・繊維系床材でも上位。創業は1849年。
決算期
3月末日
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2018年3月 156,390 5,033 5,698 4,514
2017年3月 135,640 7,572 8,368 6,570
2016年3月 133,972 9,112 9,463 6,393
2015年3月 132,050 8,031 8,506 4,402
2014年3月 131,978 8,952 9,475 5,459
2013年3月 123,150 8,020 8,393 4,806
2012年3月 118,518 7,095 7,180 4,151
株式情報(12/13現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
2,142円 62,607,008株 134,104百万円 4.2% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
56.00円 2.6% 72.06円 29.7倍 1,648.48円 1.3倍
※株価は12/13終値。発行済株式数は直近期決算短信より。ROE、BPSは前期末実績。
 
株式会社サンゲツの2019年3月期第2四半期決算概要などをご紹介致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
壁紙、床材、カーテンなどインテリア商品の専門商社最大手。商社ではあるがデザインや機能など製品の企画・開発から手掛ける「ファブレス企業」。安定した業績を生み出すビジネスモデル、主要商品の高いシェア等が強み。グループ企業に、沖縄地区でのインテリア商品の販売を担う「株式会社サンゲツ沖縄」エクステリア商品の専門卸「株式会社サングリーン」、照明器具の企画、設計、製造、販売を行う「山田照明株式会社」、中国での事業展開の拠点「山月堂(上海)装飾有限公司」、米国の非住宅向けを中心とした壁装材製造販売会社「Koroseal Interior Products Holdings,Inc.」、施工能力の強化を通じて更なる受注獲得を目指す「フェアトーン株式会社」、カーテン専門の販売会社「株式会社サンゲツヴォーヌ」、東南アジアにおける内装材料販売会社である「Goodrich Global Holdings Pte., Ltd.」の8社を有する。 【沿革】 1849年(嘉永2年)、表具(布や紙などを張って仕立てられた巻物、掛軸、屏風、襖、衝立、額、画帖など)を商う「山月堂」創業。1953年、創業家により株式会社山月堂商店として株式会社化。1970年代後半以降、東京、福岡、大阪を始め全国で事業展開。1980年、名古屋証券取引所市場第2部に上場。1996年、東京証券取引所市場第1部上場。海外にも進出し、トータルインテリアを供給するブランドメーカーとしての地位を確立する。 2014年4月、安田正介氏が初めて創業家メンバー以外から代表取締役社長に就任。第1期(創業)、第2期(株式会社化)に次ぐ、第3期(第3の創業)として位置づけ、新たなステージに臨む。 【企業理念】 新たなステージに臨む同社では、変革のチャレンジを進める上で、2016年4月、新ブランド理念を含めた企業理念を再構築した。 以下の、「社是」、「企業使命」、「サンゲツ三則」に新しい「ブランド理念」を合わせ、企業理念としている。 <社是> 誠実 <企業使命> インテリアを通じて社会に貢献し、豊かな生活文化の創造に寄与します。 <サンゲツ三則> 創造的デザイン・信頼される品質・適正な市場価格 <ブランド理念> ブランドステートメント「Joy of Design」を掲げ、ブランドパーパスとして「私たちは、新しい空間を創りだす人々にデザインするよろこびを提供します。」と謳っている。 インテリア商品の作り手と使い手、同社に関連する全てのステークホルダーとともに、新しい価値創造のよろこびを分かち合うことを目指す考えだ。 【市場環境】 ◎概観 同社の主力商品である壁紙や床材の出荷状況は国内建設市場の動向に影響される。人口減少や家族構成の変化による新設住宅着工戸数の減少やデフレ経済における販売の低下で国内インテリア市場は下のグラフの様に、縮小傾向にある。 一方、下のグラフは、同社売上高、国内インテリア市場、新設住宅着工戸数(国土交通省発表)の推移を比較したもの。同社の売上高及び国内インテリア市場の動向は、新設住宅着工戸数にほぼリンクしてきたが、リーマンショック後の動きを見ると、市場全体及び新設住宅着工件数は低水準で推移しているのに対し、同社売上高は過去最高を連続して更新している。 これは、M&Aに加え、民間住宅以外に非住宅市場の開拓に注力してきたことによるものである。 国土交通省発表の「建設投資見通し」によれば、民間住宅建築投資、民間非住宅建築投資ともにリーマンショック後は回復途上にあるが、民間住宅建築投資が未だ2000年レベルの8割の水準であるのに対し、民間非住宅建築投資は同レベルを超えている。 一方、一般財団法人 建設経済研究所が発表した「建設経済モデルによる建設投資の見通し」(2018年10月25日発表)によれば、名目民間非住宅建築投資の対前年度伸び率は、2014年度10.6%増、2015年度7.4%増、2016年度(見込み)4.8%増、2017年度(見通し)10.9%増の後、2018年度(見通し)1.5%、2019年度(見通し)0.4%と急速にスローダウンする見通しとなっている。 着工床面積も、事務所が16年度の10.3%増から17年度は一転して4.6%減、18年度(見通し)は4.8%と回復するが、19年度(見通し)は再び0.0%へ低下する見通しで、店舗も14年度以降前年割れが続く見通しとなっている。 2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、民間非住宅市場は新設、リニューアルも含め需要は堅調である一方、人手不足によるボトルネックが生じているとの見方もあり、不透明感が残っている。 ◎同業他社 インテリア、内装材を扱う主な同業他社としては以下の8社が挙げられる。 【事業内容】 壁紙、床材、カーテン、椅子生地などインテリア商品の企画開発及び販売が中心事業。生産設備を持たない「ファブレス経営」が特色だが、単なる商社ではなく、扱う商品はすべて自社で企画・デザイン・開発を行っている。子会社を通じてエクステリア事業、照明事業も展開している。また2019年3月期から連結対象となったGoodrich社を含めた子会社3社により海外事業も展開している。 商品数は約12,000点と他に類を見ない多彩なラインアップを誇っている。 主力の壁紙で商品数は約4,200点。2年毎に見本帳の更新を行っているが(カーテンは3年毎)、旧い商品を見本帳から外し、新しい商品に入れ替える所謂「改廃率」は壁紙で30〜40%程度。廃止されたデザインの商品は破棄しなければならないため無駄が発生してしまうが、見本帳の鮮度もユーザー満足度を高める重要な要素であり、同社の体力や長年に亘るノウハウの蓄積により効率と鮮度のバランスを取っている。 ◎営業体制 名古屋の本社の他、全国に8か所の支社、51か所の支店・営業所・事務所を持ち、重要な営業拠点として9か所のショールームを有している。 最終的に商品を納入し、売上を立て、代金が入金されるのは上図右の川下の内装仕上げ段階で、主な相手先は代理店を通じた内装工事業者やインテリアショップ、建材店となるが、その前工程での商品PRも重要だ。 住宅やビルが竣工するまでには、発注者(施主)、設計事務所、デザイン事務所、ゼネコン、サブコン、ハウスメーカーなど、数多くのプレーヤーがかかわっており、インテリアをデザインや機能から最終的に選択する意思決定は川上から始まっているケースも多数ある。 そのため、同社では見本帳、ショールームなど様々な機会を通じて商品のPRを行っている。もちろん「待ち」のみでなく、コントラクト営業部(全国的に法人顧客をカバー)をはじめとした全国の営業員約450名が、各担当先に足を運び情報提供・収集、提案を行っている。主として代理店を経由した販売スタイルをとっているが(名古屋を中心とした中部地域の一部では直接販売)、顧客数は中部地域だけで約6,000社。代理店を通しているので正確な数字は把握できていないが、全国の顧客数は数万社にのぼる。 ◎物流体制 全国12か所に物流センターを含めた物流施設を保有している。 東・名・阪・福はほぼ全商品が常に在庫されており、出荷点数は一日6万点に上るが、欠品率は1日平均で約0.14%(約70点程度)となっている。周辺の物流センターから即座にカバーする事で、納期待ちを依頼する事はレアケースである。内装の工期に合わせた「Just in Time」を全国物流ネットワークによって実現している。仕入先は約100社と広範囲に亘っている。 ②「エクステリア事業」 (2018年3月期 売上高 15,013百万円、営業利益 439百万円) 2005年に子会社化した株式会社サングリーンが門扉、フェンス、テラスなどのエクステリア商品を国内で販売している。 ③「照明事業」 (2018年3月期 売上高 3,663百万円、営業利益 -137百万円) 2008年に子会社化した山田照明株式会社がダウンライト、Zライトなどの一般照明器具を国内外で販売している。 ④「海外事業」 (2018年3月期 売上高 17,151百万円、営業利益 -870百万円) 中期経営計画(2017-2019)「PLG 2019」の事業戦略において、海外を重点注力市場と位置付けて連結経営管理することとしたため、2018年3月期第1四半期より新たに設けられたセグメント。2016年11月に買収したKoroseal Interior Products Holdings,Inc.、2016年4月に設立した山月堂(上海)装飾有限公司および2017年12月に買収したGoodrich Global Holdings Pte. Ltd.の3社で構成される。 新中期経営計画では2019年度(2020年3月期)の定量目標をROE 8〜10%としている。 資本政策に基づく自己資本の削減に加え、収益性向上のための取り組みが課題となろう。 【特徴と強み】 ①安定した収益を生み出すビジネスモデル 同社は製造部門を持たない「ファブレス経営」の先駆けとも言うべき存在で、製造部門を持たないため固定費負担が小さい。また、商品数12,000点、仕入先100社以上、顧客数万件と、多くの面で分散が効いており、建設市場動向に連動する景気敏感型企業でありながら業績変動は決して大きくなく、設立以来赤字決算を行ったことが無い。 ②「創る」・「提案する」・「届ける」 「創る」 同社は商品の製造を行ってはいないが企画・デザイン・開発は自社で行っている。昭和40年に初のオリジナル壁紙を発売。昭和48年に制定以降、現在も守り続けられているサンゲツ三則にある「創造的デザイン」に力を入れており、積極的な投資を行っている。 同社で様々なデザインをベースに約25名の企画担当者が、デザインを練り上げ、同社オリジナルデザインを開発している。担当者育成は海外の展示会への参加、営業の意見のヒアリング、デザイン顧問とのディスカッションなど、OJTで行っている。若い感覚をより積極的に採用していく方針だ。商品ラインアップは他社には例を見ない約12,000点。また2〜3年ごとに定期的に改訂する約30種類の見本帳も他社にはない同社の大きな特徴。 「提案する」 同社の営業スタッフ数は全従業員数のおよそ3分の1に当たる約450名で、業界最大である。 全国8支社、51拠点で前述のような、提案営業を展開している。9か所のショールームには約45名のショールームスタッフが在籍。また、各商品を組み合わせた室内空間を顧客にイメージしてもらうためのデザインボードを作成するインテリアデザインスタッフが約40名おり、その提案力も業界最高水準となっている。 「届ける」 先述の様に、商品の全点常備在庫を行い、内装工期に合わせて「Just in Time」を実現する全国の物流ネットワークを有するのは同社の強みである。 ただ、全点在庫は一方で過剰在庫や低効率につながりかねず、同社の様な注文に応じて正確に加工して出荷する加工物流において、ロス率を上げない正確な加工技術とスピードが重要な要素となる。 通常、壁紙は1ロール50m。30mの注文があった場合、同社の場合は正確に30mでカットして出荷し、加工後残った素材は次の注文に合わせ効率的にカットし、なるべく無駄が出ないように加工する。こうした加工技術は同社が長年蓄積してきた貴重なノウハウによるものである。
 
 
2019年3月期第2四半期決算概要
売上横這い・微増益。利益は計画を上回る。 売上高は前年同期比横ばいの759億円。住宅、非住宅とも内装材需要が低調だった。17年12月にM&AしたGoodrich社が寄与し海外事業は増収だった。 Goodrich社の販管費に加え、人件費、物流費など販管費は同3.2%増加したが増収効果で吸収し、営業利益は同3.3%増の25億円となった。 壁装材の一部商品に安定供給問題が発生したため主力見本帳を回収し、その後再配布するなどの混乱があったことから売上高は計画を下回った。一方、見本帳経費の一部が下期にずれ込んだため利益は計画を上回った。 ①インテリア事業 減収・減益。 <壁装材> 減収。東京オリンピックや首都圏を中心とする都市再開発需要の増加を背景に、非住宅向けの不燃認定壁紙見本帳「FAITH」の売上が堅調に推移。また、フィルム営業部による商品特化型の営業活動が奏功し、粘着剤付化粧フィルム「リアテック」と「ガラスフィルム」も好調だった。一方、住宅市場においては総出荷量減に加え低価格シフトが進んでいる。 一部商品に安定供給問題が発生したため、見本帳を一旦全て回収し再作成・再配付したことも影響した。 なお、特定の仕入先からの一部の商品において品質問題が発生し、お客様相談室を設置の上、仕入先と連携しつつ商品の施工先住居、施設等に対する補修対策を実施している。この補修に係る費用は仕入先によって全額負担されており、同社では損失計上されていない。 <床材> 減収。商業施設や賃貸住宅等において、床用塩ビタイルの売上が継続して堅調に推移。また、8月にはオフィスなど非住宅向けの繊維系床材見本帳「カーペットタイル NT-700」を発売し、全国で新作展示会を開催したほか、施工講習会の開催など市場への浸透に注力した。一方、非住宅市場での大型物件の納品が一巡したこと、医療・福祉分野における昨年からの新築着工面積の減少が影響している。 <ファブリック> 増収。住宅市場での販売が順調に推移し、住宅向けカーテン見本帳「STRINGS」、ワンプライスによる選びやすさを追求したカーテン見本帳「Simple Order」が好調だった。また、カーテン専門の販売会社「サンゲツヴォーヌ」では、東京・大阪・名古屋・福岡の主要4都市での営業体制を整備した。 <その他> 減収。施工体制を担うフェアトーン株式会社の業績、施工代などを含んでいる。 ②エクステリア事業 減収・減益。 販売の主力となるガーデン製品のほか、門周り全体をデザインした「ファサードエクステリア」、宅配ボックスやIoTなどデジタル技術を融合した商品など、市場の変化に対応した商品の拡販に注力したが、他社との競争が激化する中、猛暑や台風等の自然災害の発生も影響した。 ③照明器具事業 増収・黒字転換。 インバウンドやオリンピック需要増加に伴うコントラクト市場の好調を背景に、ホテル・宿泊施設分野で売上が伸長した。また、サンゲツのコントラクト営業部とともに営業活動を強化し、事業シナジーの創出に取り組んだ。重点分野である道路照明の強化を進めるとともに、販管費の削減にも努めた。 ④海外事業 増収・損失縮小。 北米市場を担うKoroseal社ではホテル市場を中心にデジタルプリントや粘着剤付化粧フィルム「リアテック」の販路拡大が進んだ。 中国市場を担う山月堂(上海)では、中国国内における従来のスケルトン販売からインフィル化への推奨が追い風となり、レジデンシャル分野、医療・福祉分野で壁紙と塩ビ系床材等の納品が進んだ。 今期より連結対象となったGoodrich社では、サンゲツグループとのシナジー効果を高める仕組みづくりに努めた。 前期は買収時在庫評価の調整により粗利が減少したが今期解消した。 売上債権の減少などで流動資産は前期末に比べ48億円減少。固定資産は無形固定資産の減少などで同10億円減少した結果、資産合計は同59億円減少の1,650億円となった。流動負債は仕入債務の減少などで同30億円減少。固定負債はほぼ変わらず、負債合計は同29億円減少の618億円となった。利益剰余金の減少などで純資産は同29億円減少し、1,032億円となった。自己資本比率は前期末の61.5%から0.5%上昇し62.0%となった。 売上債権の減少などで営業CFのプラス幅は拡大、投資有価証券の取得による支出が減少。投資CFおよびフリーCFはプラスに転じた。自己株式の取得による支出の減少などで財務CFのマイナス幅は縮小した。 キャッシュポジションは上昇した。 各種取り組みによりCCCは目標とする60〜75日に近づいている。
 
 
2019年3月期業績見通し
業績予想に変更無し。増収増益、利益率も上昇 業績予想に変更は無い。売上高は前期比4.9%増の1,640億円。売上総利益は増収率を上回る同9.3%増で粗利率も1.3ポイント上昇。Goodrich社の販管費、ロジスティクス費などによる販管費増を吸収し、営業利益は前期比19.2%増の60億円。配当は前期比0.5円増配の56.00円/株を予定。予想配当性向は77.7%。
 
 
中期経営計画(2017-2019)「PLG 2019」の取り組み
(1)機能強化 全社的に各機能を強化するため1979年に導入した旧基幹システム(受発注処理対応など業務処理を中心としたもの)に代わり、経営・事業を支援する新基幹システムが2018年10月に稼働を開始した。 SAPの基幹システムを中心に、受発注「営業コア」、オンライン受注「EDI」、営業支援「Salesforce」、商品統合DB「eBASE」、物流・出庫「WMS」を稼働させ、将来的には営業、調達、物流におけるデータ活用を強化する。 (2)営業体制 (Value Chain) 壁装材において一部商品に安定供給問題が発生したため、見本帳を一旦全て回収し再作成・再配付を行ったことに加え、10月1日にスタートした新システムで、トラブルが発生し営業前線が混乱したが現在はほぼ終息した。 今後同様な事態とならないよう体制の再強化を図っている。 (商品軸) 18年4月、フィルム営業部を新設した。上期のフィルム販売増に大きく貢献している。 (地域軸) 18年6月登記によりサンゲツ沖縄を設立した。 地域密着による営業活動を強化するとともに、ショールーム併設で提案力を強化する。 (3)ロジスティクス機能 (拠点間輸送) これまで仕入先が全国8支社に個別配送を行ってきたものを、仕入先は新設した中部LC(ロジスティクスセンター)と北関東LCの2拠点へ配送。同社が拠点間輸送を行うことにより仕入れの効率化を図る計画であったが、昨今の運送費上昇の中、仕入原価削減メリットを拠点間および各支社への輸送費増が上回る結果となってしまった。 このため、計画を見直し、拠点間輸送は継続するとともに両LCの輸入品受入拠点としての機能を強化し、海外取扱品の増加に対応することとした。 この見直しに伴う更なる投資の必要はない。 (4)海外事業の課題と対策 ◎Koroseal 課題として、「ホテル・宿泊施設を中心としたコントラクト市場の停滞」、「非効率な製造体制(高ロス率・多数の要員)」、「新商品投入の遅れ」を認識している。 そこで、2019年4月から6月にかけて新規設備および一貫ラインの2系列を導入する。 商品ラインアップを拡充させるため、18年1月および7月には自社製造の新デザインを投入したほか、.ヨーロッパ有力非住宅向け壁紙メーカーVESCOM品の取り扱いを開始した。特殊品(極薄ベニア・ペイント・リアテック・カーテン・椅子生地)の販売にも注力していく。 ◎Goodrich 「他社ブランド品Agency businessと自社ブランド品Principal businessの混在」、「買収前における中堅社員の離職と世代交代の遅れによる営業体制の弱体化」、「グループ各社間における責任・レポート体制の整備不全」を課題として挙げている。 東南アジア一円をカバーしているため多数の拠点を有しているが、マレーシア・香港・中国が100%子会社であるのに対して、タイ・UAEは一部出資、インド・インドネシアはパートナーとそれぞれの拠点との連携状況がまちまちである点が課題である。 対策として、「Principal businessの強化」、「19年1月付け人事による組織再編・世代交代の促進」、「Headquarters機能の強化によるグループ横断的な責任・レポート体制の確立」を進める。 (5)商品力強化 以下の見本帳を新たにリリースした。 (6)人的資源の強化 健康経営優良法人「ホワイト500」の2018年度版を取得したほか、「企業・団体等の枠組みを超えてLGBTが働きやすい職場づくりを日本で実現する」指標であるPRIDE指標2018 シルバー認定を取得した。 また、財政上および社員向けサービス内容の有利さから自社運営の健康保険組合を19年4月からスタートさせる予定である。このほか、「給食部門」において健康に資する要素を含む栄養バランスのとれた食事「スマートミール」を提供しているとしてスマートミール認証を取得し、認証事業所に選定された。 (7)収益管理体制強化 路線便について18年5月から運賃の徴収を開始した。 また、競争力のある地域特性に合わせた自社配送体制の拡充を進めている。 具体的には、東北地区では共配ネットワークを構築し、18年7月から運用を開始したほか、中四国地区では積み替えのために一時的に荷物を下ろすデポ機能の強化に取り組んでいる。山口県、広島県でそれぞれ8月、10月に開始した。また、九州地区では積載量の増加を受け、18年4月より南九州方面への配送力を強化した。 原材料の上昇、ロジスティクス機能の強化などを要因に、18年10月より15〜20%の幅で商品の値上げを実施した。 第一段階としては当初の予定通り進んでおり、今後も理解を求め徐々に浸透させていく。 (8)ESG/CSR 各テーマに対して以下のような取り組みを行った。 <E:環境> ・環境レポートを発行した。 ・GHG(温室効果ガス)排出量削減の取り組み加速と同時に事故削減による保険料の削減と燃料費の削減を図る「エコドライブコンテスト」で環境大臣賞を受賞した。 <S:社会> ・本業を通じた社会貢献として行っている児童福祉施設改装支援の上期実績は9件だった。年間目標を20件としている。 ・引続きダイバーシティを推進した。 <G:ガバナンス> ・18年7月、東京で個人株主向け会社説明会を実施した。 ・18年9月には初めて監査等委員取締役と機関投資家の懇談会を実施した。 (9)自己株式取得の推移 今上期は3回にわたり合計131万株、29億円の自己株式を取得した。 また2回に分け合計220万株の自己株式を消却した。 18年9月末の自己資本は1,023億円で、中計で掲げている2019年度(最終年度)目標1,050〜1,000億円に既に達している。
 
 
今後の注目点
前回のレポートで「第2四半期以降のインテリア事業の回復スピードを注目したい。」と書いたが、残念ながら見本帳の問題もあり、壁装材は想定を下回って低調な結果となった。ただ、床材、カーテン、椅子生地などのシェアは着実に上昇したようであり、業界トップという同社の強みに揺るぎは無い。 10月より稼働したシステムについても、スタートに当たり混乱も生じたが、すでにほぼ終息に向かっている。また、これだけ総合的なシステムを構築することができるのは事業規模および資金力に勝る同社ならではである。 事業の持続性という観点からも新システムの構築完了・稼働開始は中長期的な事業拡大に資するものとなるであろう。さらに、東北地区で運用が始まった共配ネットワークについても、同社のスケールだからこそ各配送業者が合意・構築できたものであり、決算の数値自体は会社側も認めるように残念なものであったが、同社の競争優位性に変わりはないこと、その優位性を基盤とした施策がいくつも打たれていることには是非留意すべきだろう。
 
 
 
<参考1:中期経営計画(2017-2019)「PLG 2019」概要>
◎ビジョン 「社是:誠実」、「ブランド理念:Joy of Design」のもと、中期経営計画(2017-2019)「PLG 2019」においては、「多様な商品と機能と高い専門性を持ち、国内外で強固な市場を持つ企業グループ構築をする。」ことを目指していく。 PはPersonal。専門性を持ったプロ人材となる。社外との強い人的関係を結ぶ。 LはLocal。各地域での強固な市場ポジションを確立する。 GはGlobal。商品・デザインのグローバル化。 前中計に引き続き、全てのステークホルダーとの共調を志向しながら資本効率性の向上に注力する。 売上高目標の内訳は、以下の通り。 ◎テーマ 基本方針として「内装材事業(企画・調達・物流・販売)の地理的拡大、機能強化」を掲げ、以下の5つの基本施策を推進する。 (1)成長の為の事業戦略 ①安定的かつ基礎的収益源である日本市場において、バリューチェーンでの機能強化・取組領域の拡大により収益の安定的成長を実現 「国内外有力サプライヤーとのアライアンスを通じた材料・原料を含めた商品開発・調達」、「インテリアコーディネーション提案・施工力の強化」、「代理店との連携・協業強化」、「社内営業体制の見直し」などを進める。 ②成長力のある海外市場での活動を強化、地理的な展開を拡大するとともに商品面・機能面での拡充を実行 北米(米国・カナダ)、アジア(中国・東南アジア)を重点注力市場と位置付け、各市場でのローカルな物流・営業体制を拡充・強化する。 ③デザインのグローバル化、製造メーカーのグローバル化に呼応し、グローバルな商品の企画・調達体制を構築 日本・米国・中国のローカル拠点間の連携を深め、「海外有力メーカーとの国内外での連携」や「ヨーロッパデザイン・和のデザインの共同展開や商品の共同マーケティング」に取り組む。 ④地域での事業を担う関係会社・機能を担う関係会社・専門市場を担う関係会社を統合的に経営し、トータルシナジーを生む為の連結経営体制を強化 事業シナジーの最大化や収益管理体制の明確化のために主管部制度を導入するほか、管理部門による横断的なチェック・サポート体制を構築する。 連結経営課を新設し、全体管理や牽制機能を持たせる。 加えて、実効性を上げるために定期的なモニタリングや対話制度も導入する。 ⑤次期中期経営計画を睨み業態の転換の試行を重ねる。 現在のグループ各社の経営資源や特長をより一層活用してシナジーを追求するために、業態転換の試行・検討を進める。 (2)人的資源の強化 真のプロフェッショナル育成のために、グループ各社および本体各組織において、①プロ人材の育成、②能力主義の徹底、③ダイバーシティの推進、④働き方改革、⑤健康経営の推進に取り組む。 (3)収益管理体制の強化 ①販売管理費の削減と管理の徹底 Chief Cost Controllerを任命する。販管費管理手法を整備する。サンゲツ単体では総人員を縮小する。 ②グループ各社へのCCC 管理の導入 連結ベースでのデュポン分析によるROEおよびCCCの目標を設定し、進捗をフォローする。 ③サンゲツ各事業部・各支社での経営管理指標の明確化と進捗管理 各支社社員数ベースでの売上・総利益目標を設定する。 (4)ESG/CSR 方針 ①E:環境 ☆サンゲツグループの事業全体の環境負荷を把握し、地球温暖化防止や持続可能な資源循環に向けての体制を構築する。 ・CO2ゼロエミッションに向けた計画の立案など。 ②S:社会 ☆グループ各社の多様な従業員の活躍を支援するとともに社会的弱者の就労支援 ・女性管理職比率15%以上を達成する。(17年3月期実績 10.6%) ・障がい者雇用率目標3%実現(現在2.3%)、など ☆サプライチェーンにおける社会的責任の推進 ☆社員が主体的となった社会貢献活動の拡大 ・児童養護福祉施設の内装工事支援(目標 20件以上/年) ③G:ガバナンス ☆コーポレートガバナンスの透明性の維持と向上、コンプライアンスの徹底 ・株主、投資家、従業員、取引先などあらゆるステークホルダーとのコミュニケーション向上 (5)資本政策 ①資本効率向上に向けた財務方針 資本市場の状況を鑑みつつ、引き続き自己株式取得と安定的増配を行い自己資本1,050〜1,000 億円への削減を目指す。(17年3月期 1,103億円) ②中期経営計画期間中の株主還元政策 ・3年間トータルの連結総還元性向は100%超とする。 ・長期安定的な増配の基本方針に基づき、安定的増配を継続する。 ・株式市場の状況に応じて機動的に自己株式を取得する。 以下のような資金調達及び資金配分を計画している。
 
 
<参考2:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書 最終更新日:2018年6月26日 <基本的な考え方> 当社は、「誠実」を社是とし、企業価値の向上を図るため全てのステークホルダーとの良好な関係を築き、長期安定的に発展していくことを目指しています。 その実現のため、経営の透明性、迅速性、効率性を基盤としたコーポレートガバナンスの強化が重要な経営課題であると認識しています。 当社は、社外取締役の経営参加による取締役会の監査・監督機能を強化することをねらいとして、監査等委員会設置会社へ移行しています。 このガバナンス体制のもと、更なる企業価値の向上に努めていきたいと考えています。 <実施しない主な原則とその理由> 同社はコーポレートガバナンス・コードの各原則を実施している。
 
 
 
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