ブリッジレポート
(4707) 株式会社キタック

JASDAQ

ブリッジレポート:(4707)キタック vol.1

(4707:JASDAQ) キタック 企業HP
中山 正子 社長
中山 正子 社長

【ブリッジレポート vol.1】会社概要・業績レポート
取材概要「インタビューにおいて、中山正子社長は高い専門性を持った自社エンジニアについて「心から尊敬し、感謝の気持ちでいっぱいです。素晴らしい社員・・・」続きは本文をご覧ください。
2019年1月16日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社キタック
社長
中山 正子
所在地
新潟市中央区新光町10-2
決算期
10月20日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年10月 2,472 207 213 146
2016年10月 2,430 226 187 126
2015年10月 2,446 189 149 86
株式情報(12/19現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
290円 5,969,024株 1,731百万円 7.3% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
5.0円 1.7% 31.60円 9.2倍 424.48円 0.7倍
※株価は12/19終値。ROE、BPSは18年10月期実績。
 
キタックの会社概要、業績動向、中山正子社長へのインタビューなどをご紹介します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
新潟県を地盤とする総合建設コンサルタント。高度な専門家を擁する地質調査、土木設計、環境の3部門連携による総合的な対応力に強み。「防災のキタック」として、「解析技術の活用によるシミュレーションシステム」の開発にも注力中。
 
【1-1沿革】
1973年、技術士(※)の資格を持つ中山輝也氏(現:代表取締役会長)が地元新潟県の発展に資するために地質調査・土木設計を主業務とする北日本技術コンサルタント(株)を創業。
新潟県唯一であることに加え、総合建設コンサルタントとしての堅実かつ質の高い業務遂行能力が高く評価され着実に受注量を増大させ業容は拡大。1989年12月(株)キタックに社名変更。
1981年の福島県に続き、1990年に仙台に営業所を開設し、1995年には山形県にも事務所を設置するなど活動範囲も東北一円に拡大させ、2004年12月、JASDAQに上場した。
2017年1月、中山正子氏が代表取締役社長に就任。これまでに培ってきた事業基盤や企業力をベースに更なる成長を目指している。

※技術士:技術士法において、「科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価またはこれらに関する指導の業務を行う者」のこと。国土交通省の建設コンサルタント登録制度では、技術士登録をした者を常勤の技術管理者として設置することを必須条件としている。
 
【1-2 企業理念】
「優れた技術を提供し、社会の発展に寄与すること」を企業理念とし、「安全・安心で豊かな社会づくり」に貢献している。
「安全で安心な暮らしはあたり前。あたり前の幸せを未来に届ける。」との想いに対する社員の意識は極めて高く、同社の特長・強みの源泉となっている。
 
【1-3 市場環境】
同社を取り巻く事業環境を見ていくうえでは、下記のような点を踏まえておく必要がある。
 
◎自然災害に見舞われやすい「日本」
日本は狭い国土に世界第4位(2017年現在)の110に及ぶ活火山を有し、世界の活火山の7%を占める火山大国であり、多くが東日本に位置している。
加えて、日本列島周辺では4枚のプレート(地殻)が分かれ、プレート同士がぶつかり合っている「日本海溝」、「南海トラフ」はプレートが下に沈み込んでいるため古来より多くの地震被害を受けてきた。
さらに、日本は中山間地の中小河川の奥地にも集落があり、古くから崩壊・地すべり・土石流の被害を受けてきた。特に北陸地方は人口が分布する地域に地すべり地形が密集し、他の地域と比較しても地すべり災害が多いエリアであり、都道府県別の土砂災害数は新潟県が圧倒的なトップとなっている。
また、集中豪雨や台風などによる洪水、土砂災害は近年その頻度及び規模が大きくなっている点も大変気がかりであり、「防災・減災」への取り組みは国民が強く望むものとなっている。
 
◎国土強靭化計画
阪神淡路大震災、東日本大地震や毎年のように各地で起こる風水害への対策として2014年6月に閣議決定された「国土強靱化基本計画」は、4年経った2018年12月に見直しが行われ、以下のような総括・今後の取り組みが示されている。

本計画における取組はおおむね計画どおりに進捗したと評価できる一方、大規模地震の発生確率の増加、異常気象の頻発・激甚化等を踏まえれば、我が国において国土強靱化の取組は引き続き喫緊の課題である。
近年の災害から得られた貴重な教訓や社会経済情勢の変化等を踏まえて、ここに本計画を見直し、その歩みの加速化・深化を図ることとする。
南海トラフ地震、首都直下地震等によって国家的危機が実際に発生した際に我が国が十分な強靱性を発揮できるよう、本計画を基本として関係する国の他の計画等の必要な見直しを進めることにより国土強靱化に関する施策を策定・推進し、政府一丸となって強靱な国づくりを計画的に進めていくこととする。
 
今後も社会資本の整備を中心に積極的な「防災・減災」、「国土強靱化」を推進していくことを閣議決定している。
 
◎老朽化が進む社会資本
国土交通省によれば、我が国の社会資本ストックは高度経済成長期に集中的に整備され、今後急速に老朽化することが懸念されている。
道路橋、トンネル、河川、下水道、港湾等は今後20年間で、建設後50年以上経過する施設の割合は加速度的に高くなる見込みであり、一斉に老朽化するインフラを戦略的に維持管理・更新することが求められている。
 
 
◎公共事業費の推移
1979年度以降の公共事業費(当初予算ベース)は1997年度をピークに減少に向かい2012年度にボトムを打った後、ここ数年は約6兆円で推移している。
今後の大幅な増加は見込みにくいものの、上記のような環境の下、老朽化対策など必要なインフラ投資は継続的に実施されていくものと見られる。
 
 
【1-4 事業内容】
報告セグメントは「建設コンサルタント事業」と「不動産賃貸等事業」の2つだが、建設コンサルタント事業が主たる事業である。
 
 
(1)総合建設コンサルタント「キタック」の建設コンサルタント事業概要
①「総合建設コンサルタント」とは?
「総合建設コンサルタント」とは、建設コンサルタント業と地質調査業を中心に、国民の快適・安心・安全な暮らしを支えるために、施設設計、環境整備、既存の施設を維持管理など、社会資本整備を担うプレーヤーのこと。
 
 
建設コンサルタント業とは、建設技術を中心とした開発・防災・環境保護等について、計画・調査・設計業務におけるコンサルティングを行うもので、国土交通省の建設コンサルタント登録規定に基づき国土交通省に登録されることが必要となる。
一方、地質調査業とは建設事業等に関し、地質構造、基礎地盤、地下水、土や岩の工学的性質などについて、調査・計測を行い、その結果を解析・判定し、設計・施工・管理等のために必要な情報と所見を提供する。こちらも国土交通省の地質調査業者登録規程に基づき国土交通省に登録されることが必要である。
 
②コア事業
「総合建設コンサルタント」である同社にはコア事業を担う地質調査分野・土木設計分野・環境分野のエキスパートが多数在籍しており、技術3部門の連携による「総合力」を武器に社会資本整備のあらゆるニーズに応えている。
 
 
③顧客・仕事の流れ
総合建設コンサルタントとして、企画・調査から始まり完成後の維持管理まで、施工以外の全てのプロセスへの対応が可能である。
 
 
顧客は発注者である政府、地方自治体、民間企業などだが、約50%が新潟県、約20%が政府(国土交通省)と官公需が中心である。
 
(2)注力する4つの重点テーマ
同社では、時代と共に変遷する社会インフラに対するニーズに応えるために4つの重点テーマを掲げ、必要となる技術を磨いて課題解決に取り組んでいる。
 
 
この4つのテーマの下、「建設」、「防災」、「維持管理」、「環境」といった主要フィールドでの取り組みは以下の通り。
 
◎建設
道路、橋梁、トンネル、下水道などの公共施設の建設において求められる「維持管理のしやすさ」と「高品質」を実現する精度の高い地質・土質調査から、解析・ 設計まで一貫したコンサルティングを提供している。
 
 
(例)交通事故を減らすための交差点改良設計
交通事故が多発している交差点改良の調査・解析・設計を行っている。同社が設計した環状交差点(ラウンドアバウト)は、 信号機がないので停電時にも安心して通行できる。
 
◎防災
多雨、豪雪の気象条件と脆弱な地層からなる日本では、梅雨期、融雪期には特に多くの自然災害が発生することに対応し、自然災害の調査、発生メカニズムの解析を踏まえ、防災・防災工の計画・設計を行う。
 
 
(例)災害に備えるための危険個所抽出
GIS(※)を用いて、崩壊が発生した箇所の地形データを解析することで、類似した地形箇所を抽出し、ハザードマップなどに反映する。
※GIS:地理情報システム:文字、数値、画像を地図と融合させコンピュータ上でわかりやすく表現するもの。
 
◎維持管理
道路、橋梁、トンネル、下水道などの構造物が長く健全な状態を保つよう、点検調査、補修設計から、効率的な維持管理計画まで幅広くサポートする。
 
 
(例)公共構造物の老朽化診断
前述のように、橋梁等の公共構造物の老朽化対策が社会的な課題となっている。同社は老朽化構造物の診断や補修・補強設計を行っている。
 
◎環境
地球環境から生活環境、自然環境まで、広範化、複雑化する環境分野において、環境地質科学研究所の20年の業務実績を継承して環境に関わる多様なニーズに応える。
 
 
(例)太陽光発電
太陽光発電所「新潟海辺の森ソーラーパーク」を運営している。
 
【1-5 特長と強み】
◎3部門の連携による対応力
地質調査、土木設計、環境3部門の専門技術者が連携しプロジェクトを組むことにより、多様なニーズの業務に柔軟に対応できることが最大の強みである。
創業以来培われた経験・多彩な技術力・地域の情報を蓄積した総合建設コンサルタントとして、顧客から高く評価されている。
 
◎飽くなき技術力の追求
創業以来、地域のリーディングカンパニーとして、常に高いレベルで期待に応えるため、「知見豊かなエキスパートの育成」を第一に掲げ、技術者育成と技術革新を重要テーマの一つとしている。
そのため、各専門部署では調査・分析・解析技術や設計技術を磨くための勉強会や検討会を定期的に開催するほか、全国レベルの最新技術を学ぶため、21の学協会に所属し、技術社員は「講習会」、「研修会」、「研究発表会」に積極的に参加し、専門性の深化と継続的な技術研鑽を図っている。
また、自社のレベルアップだけではなく、同社が取り組んだ事例や成果を研究発表、論文、書籍として発信し、関連分野の技術者育成や技術の進歩による地域貢献・業界貢献にも取り組んでいる。
2018年10月末現在の技術士は35名で全社員の約21.2%。社員教育や資格取得支援も積極的に行っている。
 
◎防災のキタック
創業以来、災害復旧のための地質調査・土木設計を行ってきた同社だが、特に近年は新潟・福島豪雨(2004年7月)、新潟県中越地震(2004年10月)、能登半島地震(2007年10月)、新潟県中越沖地震(2007年7月)、東日本大震災(2011年3月)等多発する災害時にいち早く駆けつけて各部門が連携して早期の復旧を目指し尽力してきた。
加えて、災害に対する地質調査から土木設計までを一貫して請け負い、機動力を駆使し迅速な対応を行ったことから「防災のキタック」と呼ばれるようになった。
今後も数値解析を活用した予測・シミュレーション技術の独自開発など、より精度の高い防災対策を追求していく考えだ。
 
【1-6 株主還元】
配当原資確保のための収益力を強化し、継続的かつ安定的な配当を行なうことを基本方針としている。
 
【1-7 社会貢献】
「規模に応じた社会貢献を行うのが企業の社会的責任」、「長者の万灯より貧者の一灯であれ」という創業者であり代表取締役会長である中山輝也氏の信念のもと、国内外で社会貢献活動に取り組んでいる。
 
 
【1-8 ROE分析】
 
売上高当期純利益率が上昇傾向にあることを背景に、近年日本企業が一般的に目指すべきといわれている8%にもう一息で届く水準。
引続き外注費縮減、原価管理徹底に取り組むことと並行して、ソフトウェア開発などにより収益性の高い事業の育成が期待される。
 
 
業績動向
 
 
受注好調。売上横這いも、2桁の増益。利益は計画も上回る。
受注高は前期比14.6%増の26億65百万円。防災・減災対策分野やインフラの保守・点検業務の受注確保に努め順調な伸び。
売上高は前期とほぼ変わらずの24億73百万円。建設コンサルタント事業の完成業務収入は前期比0.2%増の23億円。
外注費縮減、原価管理徹底により粗利率は1.9ポイント改善し34.7%、粗利額も同5.9%増加し8億58百万円。
販管費は人件費中心に同4.4%増加したが吸収し営業利益は同10.3%増の2億29百万円となった。
業務受託手数料が増加し、経常利益は同18.4%増の2億52百万円、当期純利益は同15.2%増の1億68百万円。
期初計画に対して売上高は未達だったものの利益は上回った。
 
 
主力の建設コンサルタント事業は増収増益で粗利率も2.7ポイント上昇した。
 
 
現預金の減少などで資産合計は前期末に比べ1億11百万円減少の52億62百万円。
長短有利子負債の減少などで負債合計は同2億37百万円減少。
繰越利益剰余金の増加で純資産は同1億25百万円増加の23億77百万円。
自己資本比率は前期末の41.9%から45.2%へ3.3ポイント上昇した。
 
 
仕入債務の増加等で営業CFのプラス幅は拡大。投資CFはほぼ変わらず、フリーCFのプラス幅は拡大した。
有利子負債の減少で財務CFはマイナスに転じた。
キャッシュ・ポジションは低下した。
 
 
増収・経常増益
売上高は前期比8.1%増の26億74百万円、営業利益は同1.0%減の2億27百万円、経常利益は同3.0%増の2億60百万円の予想。
引き続き、厳しい経営環境が予想されるが、主力事業である地質、防災、土木設計において培った技術力を基盤とした提案力をもって、技術部門、営業部門が連携しながら、原価管理の徹底による収益力強化対策を実行する。
配当は5.00円/株の予想、予想配当性向は15.8%。
 
 
中山正子社長に聞く
 
中山正子社長に、自社の強み・特長、今後の取り組み、投資家へのメッセージなどを伺った。
 
Q:「御社の強みや特徴を社長はどのように考えていらっしゃいますか?」
A:「土木設計と地質調査、この両者を全て自社のスタッフ、設備で対応できる数少ない総合建設コンサルタントであり、この点が当社の大きなアドバンテージだと考えています。」
建設コンサルタントの多くは土木設計が中心であるのに対し、地質調査からスタートした当社は土木設計と地質調査の両者を全て自社のスタッフ、設備で対応できる数少ない総合建設コンサルタントであり、この点が当社の大きなアドバンテージだと考えています。
土木設計と地質調査に環境を加えた3分野が連携してプロジェクトを組むことにより、多様なニーズに対し柔軟に対応できるため、企画・調査、構想・計画、調査・設計・解析、施工管理、維持管理と、建設会社が行う施工以外は全て受注可能です。
また、ほぼ全てのフェーズを自社のエンジニアやスタッフでしっかりと対応できる仕組みを構築しているため、発注者から厚い信頼、高い評価を頂いています。
公共工事の入札においては、従来の価格競争型での競争入札では、業務の遂行能力に問題のある業者による入札を防ぐことができず、これが工事の安全性、成果品質の観点から問題となったため、現在は入札価格だけでなく、総合的に最も「社会的要請を満足出来る」業者を選定できる方式として、総合評価落札方式が中心的な落札形式になってきています。
当社の場合、案件は土木設計でも地質調査の専門家の観点から土木設計に対する適切なアドバイスも可能であるため、そうした提案を盛り込むことで総合評価を高めることができるため、「総合力」という当社の強みを更に磨き上げることは持続的な成長を目指す上で大きなポイントと考えています。
 
Q:「ではそのブラッシュアップのための取り組みをお聞かせください。」
A:「顧客ニーズをより高い次元で満足させるには、専門性を更に高めることに加え、それぞれの分野が他分野についても知識を吸収することが大事だと考え、部門間の異動を含めた人材交流を積極的に行っています。」
地質調査、土木設計、環境はそれぞれ高い専門性を有していますが、これまでは自分の分野に固執する傾向がありました。
しかし顧客ニーズをより高い次元で満足させるには、専門性を更に高めることに加え、それぞれの分野が他分野についても知識を吸収することが大事だと思っています。

例えば、地質調査部門においては「土木設計に役立つ地質調査を行うためにはどんな観点で調査に臨むべきか?」とか、反対に土木設計の立場からは、地質調査を知ることで、より社会のニーズに応えることのできる土木設計への取り組みが可能になるかもしれません。
こうした観点から、部門間の異動を含めた人材交流を積極的に行っています。
これは「人を育てる」ベースでもあると考えていますので、エンジニアに限らず全社的にいろいろな経験を積ませていこうと思っています。
 
Q:「社長に就任されて1年、新社長として新たな取り組みも含めた変えていかなければいけない部分、反対に変えてはいけない部分があると思いますがその点についてどのように考え、どんな取り組みを行っているかお話しいただけますか?」
A:「全社一丸となって更なる成長を目指すための体制作り、環境作りこそが自身のミッションと考えています。部門間の壁を取り払い、協働することの重要性に気付いてもらうことに注力しており、社員には様々な経験を経て、より大きく成長してもらいたいと思っています。一方、「安全・安心で豊かな社会づくり」を掲げている当社の技術者倫理は極めて高く、DNAとしてこれからも脈々と受け継がれていくものと思います。」
これまでの当社は創業者でありエンジニアである会長の強力なリーダーシップの下で着実に成長してきました。 後を継いだエンジニアではなく創業者でもない私は、社員の高い専門性に最大の敬意を払い、感謝の心を持ちながら、全社一丸となって更なる成長を目指すための体制作り、環境作りこそが自身のミッションと考えています。
そこで、社長として会社の目指す姿を掲げるとともに、その目標達成のために自分は何をしなければならないのかを社員各自に考えてもらうことにしました。
各部、各課単位で議論の上、ビジョンを設定してもらい、そのあとは個々人が実際の行動によって掲げたビジョンに到達するという仕組みです。
まだまだ戸惑っている社員が多いように感じますが、一人一人の行動の集大成によって会社の基盤がより強固なものとなりますので、じっくり取り組んで行きたいと思います。

また、社長就任前からリーダーやマネジメント層の育成が不足している点も強く感じていましたので、全部門から将来のリーダー候補をピックアップし、長期にわたる研修も実施しました。
他部門が何をしているのかを知ることを始め、参加者同士の悩みの共有などを通じて社内の一体感は大きく向上したと感じており、これは継続的に実施していく予定です。
先程申し上げたエンジニア部門にとどまらず、部門間の壁を取り払い、協働することの重要性に気付いてもらうことに注力しており、社員には様々な経験を経て、より大きく成長してもらいたいと思っています。

一方、変えてはいけない点は当社の「真面目さ」です。
業務柄派手さはありませんが、地図に残る仕事に携わっていることに誇りを感じている社員がたくさんいます。
また、調査においてはフィールドワークも多く、気を抜くと大きな事故や怪我に繋がりかねませんが、すこしでもルーズな行動をとる若手社員がいると、先輩社員が極めて厳しく叱咤、指導するなど、「安全・安心で豊かな社会づくり」に取り組む当社の技術者倫理は極めて高く、DNAとしてこれからも脈々と受け継がれていくものと思います。
 
Q:「では次に成長のための事業面での取り組みについてお聞かせください。」
A:「当社の強みを活かして着実に受注を拡大させつつ、より収益性の高いソリューションの開発・提供が不可欠だと考えています。そこで現在注力しているのが「解析技術の活用によるシミュレーションシステム」です。また再生可能エネルギー事業についても積極的に経営資源を投入して業容の拡大に努めていきたいと思います。」
国土強靭化計画はポジティブなファクターではあるものの公共工事自体が大きく増加することは見込みにくいのが実情です。
今後は先程申し上げたような当社の強みを活かして着実に受注を拡大させつつ、より収益性の高いソリューションの開発・提供が不可欠だと考えています。

そこで現在注力しているのが「解析技術の活用によるシミュレーションシステム」です。
これはGISと数値解析を融合した独自開発中の予測システムで、当社が誇る地質調査をバージョンアップし、土石流や地すべりなどのシミュレーションによって、今まで以上に効率的で効果の高い防災対策の提案が可能になります。
パソコン上で見ていてもその技術が実際の現場に合うかどうかはわかりません。あくまで現場視察・調査を踏まえた上で、その現場に最適な数値解析技術を判断し、組み合わせることで、シミュレーションの信頼性を高めることができると考えており、視察・調査の豊富な経験とノウハウを持つ当社ならではの付加価値がご提供できるものです。
数値解析を活用した予測・シミュレーション技術は、防災分野はもちろん、環境分野でも広く活用することができることから、大きな市場性が期待できると思っています。
 
 
この他、風力発電や太陽光発電など再生可能エネルギー事業にも取り組んでいます。
ジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社との合同会社により2016年8月に竣工したパネル容量約14MWの大規模太陽光発電所「新潟海辺の森ソーラーパーク」は安定的な売電収入を上げており、今後も同事業については積極的に経営資源を投入して業容の拡大に努めていきたいと思います。
 
Q:「では最後に株主や投資家へのメッセージをお願いいたします。」
A:「キタックは国民の皆さんが安全に暮らしていくには不可欠な仕事を担っているとの誇りを決して忘れることのない会社です。更なる高みを目指して挑戦を続ける当社を是非中長期の視点で応援していただきたいと思います。」
建設コンサルタントは極めて認知度が低い業界ですが、インフラ整備・維持管理の使命という点ではゼネコンよりも大きな役割を果たしていると言っても過言ではありません。
皆さんが家を一歩出れば道路があるのが当たり前ですが、そうした極めて身近な、あって当たり前のインフラ整備に当社を始めとした建設コンサルタントが携わっているのだという事を是非知っていただきたいと思います。

また防災に注力する当社は「災害で家族を亡くし悲しむ人を一人でも減らしたい。」との想いが強く、空気と同じように安全が当たり前の世界を作り、国民の皆さんが安全に暮らしていくために不可欠な仕事を担っているとの誇りを決して忘れることのない会社であることもお伝えしたいと思います。

社長に就任して丸2年を迎えますが、創業者の築いた事業基盤や当社の強みを磨き上げてさらに上を目指していくのが私の役割です。
先程申し上げたような取り組みの中で社員の意識も変わりつつあり、変革が進み始めたステージであると認識しています。
これからも挑戦を続ける当社を是非中長期の視点で応援していただきたいと思います。
 
 
今後の注目点
インタビューにおいて、中山正子社長は高い専門性を持った自社エンジニアについて「心から尊敬し、感謝の気持ちでいっぱいです。素晴らしい社員たち。」と何度もおっしゃっていた。
そうであるからこそ、もっと活躍するステージを整えてあげたいというのが創業者からバトンを引き継いだ新社長の願いであり、目指す姿なのであろう。
ただそのためには社員一人一人の自立・自律が不可欠であり、社長の想いがどんなスピードで会社に浸透していくのかを注目してみたい。
事業面においては、大きなトップラインの伸びは見込みにくい中での収益性の動向、および注力中である解析技術の活用によるシミュレーションシステムがどういう形で業績貢献していくのかもウォッチしていきたい。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2018年2月5日

<基本的な考え方>
当社は、従来から株主重視の基本方針に基づき、コーポレート・ガバナンスの充実を念頭においた経営の透明性や公正性、健全性を確保することが重要な経営課題と考えております。

<実施しない主な原則とその理由>
当社は、JASDAQ上場会社としてコーポレートガバナンス・コードの基本原則を全て実施しております。