ブリッジレポート
(8912) 株式会社エリアクエスト

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ブリッジレポート:(8912)エリアクエスト vol.31

(8912:東証2部) エリアクエスト 企業HP
清原 雅人 社長
清原 雅人 社長

【ブリッジレポート vol.31】2019年6月期第2四半期業績レポート
取材概要「上期の業績が期初予想に届かず、通期の業績予想も下方修正されたが、販売用不動産の売却収入の下振れと株主数の増加による経費増が要因で・・・」続きは本文をご覧ください。
2019年2月27日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社エリアクエスト
社長
清原 雅人
所在地
東京都新宿区西新宿六丁目5番1号 新宿アイランドタワー7階
決算期
6月 末日
業種
不動産業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2018年6月 2,675 426 416 268
2017年6月 2,341 420 401 255
2016年6月 1,861 262 254 294
2015年6月 1,498 188 183 140
2014年6月 1,147 100 102 143
2013年6月 819 49 50 37
2012年6月 646 4 5 19
2011年6月 595 -45 -43 -50
2010年6月 735 12 14 3
2009年6月 879 -182 -179 -381
2008年6月 1,015 -311 -307 -556
2007年6月 1,530 -95 -94 -118
2006年6月 1,580 18 18 -139
2005年6月 2,091 240 236 189
株式情報(2/15現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
123円 21,000,000株 2,583百万円 17.5% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
4.00円 3.3% 9.10円 13.5倍 76.19円 1.6倍
※株価は2/15終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
エリアクエストの2019年6月期上期決算の概要と通期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県の駅前店舗を対象にしたサブリースやビル管理・メンテナンス(清掃、設備保守、警備管理等)を中心に契約更新・契約管理(売買仲介を含む)等も手掛ける「ストック収入型ビジネス」と、テナント誘致等の「成功報酬型ビジネス」を展開。グループは、グループマネジメントが中心の同社の他、テナント誘致等を手掛ける(株)エリアクエスト店舗&オフィス、ビル管理等の(株)エリアクエスト不動産コンサルティングの連結子会社2社。「エリアクエスト」と言う社名には、「地域に根差して(エリア)、不動産の価値を追求する(クエスト)」と言う思いが込められている。 【代表者プロフィールと会社沿革】 代表取締役社長を務める清原雅人氏は1967年2月2日生の50歳。予備校までを熊本で過ごし、一浪して明治大学法学部に入学。卒業後は野村證券に入社。大阪で4年、名古屋で3年、営業の腕を磨いた。1998年4月に友人と起業し、2000年1月に独立してエリアリンク(株)を設立(2001年3月に社名を(株)エリアクエストに変更)。2003年2月に(株)エリアクエストを東証マザーズに上場させ、2014年11月に本則市場(東証2部)での上場を果たした。現在、(株)エリアクエスト、(株)エリアクエスト店舗&オフィス、及び(株)エリアクエスト不動産コンサルティングの代表取締役社長を務める。 会社設立から上場後数年間はテナント誘致で業績を拡大させたが、需要一巡とリーマン・ショックによる景気悪化が重なり06/6期から4期連続の最終赤字。「業績の立て直しには、謙虚にビルオーナー等との信頼関係構築に取り組む事が必要」との認識の下、日常的に発生する設備の不具合・老朽化によるトラブルやテナント管理の問題への対応等、迅速かつ丁寧なアフターフォローに力を入れた。この取り組みが成果を上げ、ビルオーナー等との信頼関係の構築が進み安定収益源となる管理物件やサブリース物件が徐々に増加。テナント誘致事業、サブリースを含むビル管理事業、売買仲介を含む更新及び契約管理事業の三本柱による貸主・借主への徹底サービスを原動力に、18/6期で7期連続の増収・増益を達成した。 【特徴・強み 1都3県の駅前商業地においてテナント誘致に強いビル管理サービスを提供】
特徴1  ビル管理事業(サブリースを含む) 清掃業務は「顧客満足度No.1」を自負
特徴2 更新及び契約管理事業
(売買仲介を含む)
トラブルの未然防止と、トラブルが起きてしまった場合の迅速対応
特徴3 テナント誘致事業 ビル管理事業とのシナジー
ビル管理事業や更新及び契約管理事業は2003年3月に100%子会社化した(株)日本総合ビルメンテナンスがベースになっているが、ビル管理事業では、清掃を中心にした日常対応にととまらず、水回り、電気、空調、ガス、エレベーターといった設備面での臨時対応をこなし(問題が発生すれば、いち早く駆けつけて対応)、更新及び契約管理事業では、更新及び契約管理に加え、消防法上問題となる共用部分の不正使用といったビルオーナー等の貸主共通の悩み事にも対応する等、同社ならではのサービスが加えられている。 一方、テナント誘致は同社にとって祖業であり、会社設立から3年1カ月でマザーズ上場を果たす原動力となった。独自に分類した63業種・約3,000社の店舗テナントをデータベース化し、このデータベースに基づき営業活動が行われている。また、物件毎に、ビル管理事業、更新及び契約管理事業、及びテナント誘致事業の各事業部門から担当者が選出され、各担当者は担当業務をこなすと共に、チームを組んでテナント誘致に取り組んでいる。 【成長をけん引するサブリース事業】 12/6期以降、サブリースに力を入れている。サブリースは空室で賃料収入がなくても、賃料をビルオーナー等に払わなければならないが、テナント誘致での強みを活かす事ができ、もとより、人の流れの多い1都3県の駅前商業地に物件を絞り込む事でリスク低減を図っている。 また、サブリース物件の開拓に当たっては、地域特性や立地に応じて物件の用途や機能を変更して性能を向上させたり価値を高めたりするリノベーションの提案も行っている。もともと同社がサブリースする物件は築年数が古い物件が多いため、リフォームはもとより、水回り、電気、空調、ガス等、躯体以外の設備の修繕が必要な物件が少なくない(物件によっては鉄骨を入れ床の補強を行った事もあった)。こうした費用は同社が負担するため、ビルオーナーは自ら負担する事なく、資産価値を高めると共に安定収益を享受できる。一方、同社は先行投資負担を織り込んだ収益性を試算した上で提案を行っているため、テナントが埋まれば先行投資を吸収して確実に利益を上げる事ができる。 広告宣伝にもサブリース物件を活用 オーナーの同意を得てサブリース物件を含めた同社の管理物件への広告看板設置を進めており、2018年8月24日現在、112箇所。同社の認知度の向上に寄与し、看板効果で問い合わせも増えている。広告看板は1箇所20万円程度の設置費用は必要だが、オーナーの同意を得てサブリース物件を含めた同社の管理物件に無料で設置させてもらっている。 景気動向によっては店舗出店意欲の低下等が予想されるものの、サブリース収入等のストック収入を中心とした同社グループの利益に与える影響は少ない。 19/6期は、販売用不動産の売却で17/6期及び18/6期と売上が押し上げられた反動で売上の伸びが鈍化するがサブリースの増加で吸収する。利益面では、17/6期に着手した営業部門や管理部門の強化(人員増強)と社員の処遇改善に向けた取り組みが本格化する。売上が前期比微増収にとどまる中で、販管費が増加するため減益となるが、販売用不動産の売却収益を除くベースでは増益基調を維持する。20/6期には前期比増収・増益に転じ、販売用不動産の売却収益が寄与した18/6期の利益水準を確保できる見込み。
 
 
2019年6月期上期決算
前年同期比12.5%の減収、同41.6%の営業減益 販売用不動産の売却収入が減少したため、売上高は14億03百万円と前年同期比12.5%減少した。期初予想を下回ったのは、販売用不動産の売却収入が若干想定を下回ったため。 利益面では、経費節減に努めたものの、販売用不動産の売却収入減少の影響を受けた事に加え、営業部門・管理部門の強化(人員増強)と社員の処遇改善による人件費の増加や株主数の増加に伴う証券代行費用(支払手数料)等の増加が負担になった。利益の下振れは、販売用不動産の売却収入が想定を下回る中、証券代行費用等が想定を上回った事が要因。ただ、注力しているサブリース事業は順調に拡大した。 上期末の総資産は前期末の比較で55百万円増の35億09百万円。借方では販売用不動産が減少し、貸方では自社株買いに伴い純資産が減少した。一方、サブリースの拡大を受けて長期預り保証金が増加した他(前年同期末比4.6%増)、運転資金の増加に伴い短期借入金を積み増した。自己資本比率76.19%(76.74%)。 運転資金が増加したものの、2億42百万円の営業CFを確保した。投資有価証券の売却により投資CFも黒字となり、前年同期を上回る2億53百万円のフリーCFを確保した。
 
 
2019年6月期業績予想
サブリース事業の順調な拡大を見込み、下期の利益予想を上方修正 売上については、販売用不動産の売却収入を保守的に想定したため下方修正したが、契約の積み上げ効果によるサブリース事業の順調な拡大を見込み、利益予想を上方修正した。サブリースの売上は前期末までの契約分のみを織り込み、今期の期中契約・期中売上分を織り込んでいなかった。 販売用不動産の売却収入の減少で前期比6.5%の減収、同17.8%の営業減益予想 下期は増収・増益が見込まれるが、上期の下振れを吸収するには至らない見込み。期末配当は1株当たり2円を予定しており、上期末配当と合わせて年4円となる(年2円の増配)。
 
 
今後の注目点
上期の業績が期初予想に届かず、通期の業績予想も下方修正されたが、販売用不動産の売却収入の下振れと株主数の増加による経費増が要因である。いずれも一過性の要因であり、同社の成長戦略に影を落とすものではない。長期預り保証金の推移からもわかるように注力しているサブリースは順調に伸びている。また、修正された通期の業績予想も、修正幅はわずかである。サブリース事業の期中契約・期中売上次第では、或いは販売用不動産の売却収入次第では、期初予想に沿った着地となる可能性を残している。
 
 
 
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎コーポレート・ガバナンス報告書更新日:2018年11月20日 基本的な考え方 当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、その重点を株主利益向上に置き、コーポレート・ガバナンスの充実を図ることが重要な課題と認識しております。その一環といたしまして、意思決定の迅速化、経営の透明化等を意識しコンプライアンスの徹底等が機能する体制の構築に取り組んでまいります。 <実施しない主な原則とその理由> 【原則4-8】(独立社外取締役の有効な活用)  当社の独立社外取締役は、その有する専門的知識から、当社の経営全般に対して独立した立場から助言・提言を行い、経営の意思決定機能及び監督機能を強化する役割を担っております。そのため、当社は、独立取締役の複数選任の必要性を見極めた上で、候補者を選定することが当社の中長期にわたる持続的成長につながるものと考えております。  今後、当社の成長及び規模を勘案し、独立社外取締役の複数化に向けて、検討してまいります。 【補充原則4-10-1】(独立社外取締役が取締役会の過半数に達していない場合の諮問委員会の設置の対応)  当社は、独立社外取締役が取締役会の過半数に達しておりませんが、社外取締役による問題提起を含め建設的な議論・意見交換を尊ぶ気風の醸成を行っております。  したがって、取締役会は、取締役の指名・報酬などの特に重要な事項の検討や決定に関して、その機能の独立性・客観性の確保及び説明責任は果たすことができる構成となっていると認識しております。 【補充原則4-11-3】(取締役会全体の実効性の分析・評価とその結果の開示)  当社は各取締役の自己評価を参考に、取締役会において監査役から常々是々非々の意見を頂き、取締役会全体の実効性について活発な議論を行っています。今後は、その分析・評価の結果について、より具体的な説明で開示を検討してまいります。 <開示している主な原則> 【原則3-1】(情報開示の充実) (1)会社の目指すところ(経営理念等)や経営戦略、経営計画  当社は当社ホームページや決算説明会資料等で、経営理念や経営戦略、中期経営計画を開示しております。 (2)本コードのそれぞれの原則を踏まえた、コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針  当社ホームページにて「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」及び「コーポレートガバナンス・コードに基づく情報開示」等を開示しております。 【原則5-1】(株主との建設的な対話に関する方針)  当社は、持続的な成長と中長期的案企業価値向上のためには、株主・投資家との積極的且つ建設的な対話が重要であると考え以下の体制の整備及び取り組みを行っております。 ・定時株主総会において、総会終了後に「株主懇親会」を開催し、株主から株主総会議案以外の質問も受け付け、代表取締役社長が適宜、回答するように努めている。 ・管理部を株主と対話する事務局とし、管轄する取締役を開示責任者とし、各部署連携に努め、迅速且つ的確な対応に尽力する。 ・代表取締役社長が説明を行うIR説明会を年2回以上開催し、中期事業計画も含め説明を行い、当社ホームページにおいて開示する。 ・重要な株主の意見等については毎月開催される取締役会へ報告を行い、取締役及び監査役との情報共有を図る。 ・株主及び投資家との対話にあたってはインサイダー情報を伝達しないことを方針とし、IR担当部署が適宜確認し、直接対話する者に対して指導を行う。