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(6722) 株式会社エイアンドティー

JASDAQ

ブリッジレポート:(6722)エイアンドティー vol.6

(6722:JASDAQ) エイアンドティー 企業HP
三坂 成隆 社長
三坂 成隆 社長

【ブリッジレポート vol.6】2018年12月期業績レポート
取材概要「変化率は小さかった18年12月決算であったが、自社製品販売の拡大、中国ビジネスの伸長と手応えは大きかったようだ。351百万円から780百万円・・・」続きは本文をご覧ください。
2019年3月20日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社エイアンドティー
社長
三坂 成隆
所在地
横浜市神奈川区金港町2-6 横浜プラザビル
決算期
12月末日
業種
電気機器(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2018年12月 10,430 774 768 518
2017年12月 10,371 773 757 678
2016年12月 10,234 1,015 1,004 651
2015年12月 10,138 1,202 1,183 839
2014年12月 9,569 856 832 455
2013年12月 9,221 742 716 471
株式情報(2/22現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
926円 6,257,900株 5,794百万円 7.4% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
24.00円 2.6% 115.07円 8.0倍 1,147.47円 0.8倍
※株価は2/22終値。発行済株式数、BPSは第2四半期末。ROEは前期実績。
 
株式会社エイアンドティーの2018年12月期決算概要などをお伝えします。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
電解質検査、グルコース検査を中心とした臨床検査のための装置、試薬などの開発、製造、販売を行う「血液検査事業」と、臨床検査作業の効率化を支援する「IT化・自動化支援事業」が柱。 検査室に必要な製品を揃え、レイアウトも含めて導入から運営までの最適なソリューションをワンストップで提供できる総合提案力、海外の有力OEM供給先が評価する高い技術力などが強み。 【1-1 沿革】 総合化学メーカーである株式会社トクヤマ(4043、東証1部)がそれまでの素材中心からファインケミカルへと事業範囲の拡大を指向していた1980年代、保有する様々な技術・アイテムのたな卸を行う中で、化学製品の一つであるラテックス(ゴムの原料)を用いて抗原抗体反応を検査するラテックス試薬の開発に取り組むこととした。 その過程で、1978年に全自動血糖分析装置を発売するなど業界をリードしてきた臨床検査装置の開発・製造・販売を手掛ける株式会社アナリティカルインスツルメンツと業務提携を行い、1988年4月に両社により販売合弁会社、(旧)株式会社エイアンドティーが設立された。(アナリティカルインスツルメンツの「A」とトクヤマの「T」を結合) 1990年11月には現在の主力生産拠点である江刺工場(岩手県)を新設。 1994年に(旧)株式会社エイアンドティーを吸収合併し、併せて株式会社トクヤマの診断システム部門を統合し商号を株式会社エイアンドティーに変更した。1980年代から90年代は臨床検査の分野において多くのコア技術が産み出された成長期であり、その追い風を受けて順調に業容は拡大。 2003年7月、株式を店頭登録した。現在は東証JASDAQ市場に上場している。 【1-2 経営理念など】 企業理念として「医療を支え、世界の人々の健康に貢献する。」を掲げ、以下3つの経営方針の下、医療の質向上と医療コストの削減を目指している。 【1-3 市場環境】 ◎市場規模 (国内市場・世界市場) 日本臨床検査薬協会のホームページの情報を基にエイアンドティー社が推定した国内の装置・試薬市場は約5,900億円。うち生化学検査が1,958億円、血液検査は306億円となっている。 (医用検体検査機器動向) 厚生労働省の「薬事工業生産動態統計」によれば、2015年の日本の医療機器市場国内生産額は約1.9兆円。大半は治療系機器が占めており、同社が手掛けるカテゴリーに該当する医用検体検査機器は約1,800億円となっている。ただ、医療用機器全体が大幅な入超なのに対し、医用検体検査機器は出超となっており、日本企業の世界的な競争力の高さを示している。日立がロシュ(スイス)に、キャノンメディカル(旧:東芝)がアボット(米国)にOEMで検査機器を供給しているように、同社もシーメンスにOEM供給を行っており、日本製検査機器は世界の臨床検査分野において無くてはならないものとなっている。 主な上場の臨床検査装置メーカーを比較してみた。 同社は表中の企業中では事業規模は最も小さく、株価評価もPBRは唯一の1倍割れと低水準にとどまっている。 認知度向上と今後の業容拡大に向けた戦略の明示、理解促進が望まれる。 【1-4 事業内容】 病院の臨床検査室を構成する検査装置、試薬などの製品群の開発、製造、販売に加え、カスタマーサポートまでを一貫して手掛けている。また、検査室のレイアウト提案も含め、導入から運営までをカバーする総合的コンサルティングも行っている。 (臨床検査とは) 臨床検査には、レントゲン、CT、MRI、心電図、超音波など、医療機器を使用して体を直接調べる「生体検査」と、患者から採取した血液、尿・便、細胞などの生体試料(検体)を調べる「検体検査」がある。 同社が取り扱うのは検体検査で使用される製品群で、検体検査の中でも血液検査が中心である。 また、病院や人間ドッグなどで行われている血液検査には、肝臓系検査、腎臓系検査、尿酸検査、脂質系検査、糖代謝系検査、血球系検査、感染症系検査など多くの種類があるが、同社は「電解質検査」と「グルコース検査」を中心に展開している。 「電解質検査」 人体の約60%は水分で構成されており、細胞内液や血漿などの体液として存在している。体液はさらに、水に溶けて電気を通すミネラルイオンである電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウム、クロールなど)と、水には溶けるが電気は通さない非電解質(ブドウ糖や尿素など)とに区分される。 それぞれの電解質はバランスをとりながら、「ナトリウム」はからだの水分調節、「カリウム」は筋肉や神経の制御、「カルシウム」は骨や歯の形成、神経刺激の伝達、血液の凝固、「クロール」は体内への酸素供給など、人間が生命を維持する上で重要な役割を果たしている。血中の電解質濃度に変化が生じた場合、腎機能やホルモンの働きに異常が発生している可能性がある。 電解質検査は、体液中の電解質イオンの濃度を測定し、バランスの崩れを調べて体内の障害を診断するもので、採取した血液や尿を検査装置で検査する。 「グルコース検査」 血漿中の糖(血糖)はほとんどがグルコース(ブドウ糖)で、人間の大脳を始めとする中枢神経系ではグルコースが唯一のエネルギー源である。空腹時(食後5時間以降)では肝臓から1時間あたり8グラム程度のグルコースが放出され、そのうちの約2分の1を脳が、筋肉と赤血球がそれぞれ4分の1を消費している。 血糖値は通常、腸からの吸収と肝臓での産生による上昇と筋肉などでの消費による低下とのバランスの上に厳密に調節されている。この調節が上手くいかなくなると高血糖や低血糖状態となる。 グルコース検査は血液や尿中のブドウ糖の濃度を調べる検査である。 1.事業分野 同社の事業は、血液検査のための検体検査装置や臨床検査試薬、消耗品の開発・製造・販売を行う「血液検査事業」と、病院の検査室の人的作業の効率化をIT化・自動化によって支援する「IT化・自動化支援事業」の2事業で構成されており、病院の検査室を総合的にサポートしている。 (単一事業であるため、決算短信、有価証券報告書などにはセグメント情報を記載していない。また、同社では決算説明資料等で製品系列別売上高を開示しているが、両事業名としての売上高の開示とはなっていない点には留意する必要がある。) ①血液検査事業 (概要) 「電解質検査」、「グルコース検査」を中心とした臨床検査のための検体検査装置、臨床検査試薬(電解質、血糖値等を測定するために検体検査装置で使用する試薬)、消耗品(検査装置内で使用されるセンサーなど)の開発、製造、販売、カスタマーサポートを行っている。 (商流) *国内 顧客となる中小規模病院に全国8ヵ所の支社を中心に検体検査装置、試薬、消耗品の直接販売を行っている。現在約4,300台が稼働している。 *海外 検体検査装置のOEM販売を行っている。同社が得意とする電解質ユニットを日本電子株式会社(6951、東証1部)など国内他社メーカーに供給。OEM供給先は自社の大型自動分析装置に同ユニットなどを組み込んで販売している。日本電子は大型自動分析装置の世界的企業の1社であるシーメンスにOEM供給している。 (ビジネスモデル) 新規に検体検査装置が導入されると、検査を行うための臨床検査試薬や消耗品が継続的に納入され、加えて検体検査装置の保守サービスも提供することとなる。 一旦採用されると検査データや使い勝手の継続性から顧客である病院が採用メーカーを変更することは少なく、新規参入は難しい。7から10年後には機能を高めた後継機種に更新されるというのが同事業の特長である。 (主な参入企業) シスメックス(6869、東証1部)、日立ハイテクノロジーズ(8036、東証1部)、日本電子(6951、東証1部)、富士フイルム和光純薬(非上場)、アークレイ(非上場) ②IT化・自動化支援事業 (概要) 臨床検査は血液検査であれば、採血室で採取した患者の血液(検体)を臨床検査室に運び、手作業で検体を検査装置にセットする必要がある。 多くの検体について数種類の検査を同時に行わなければならないが、極めて労働集約的な作業で非効率であるとともに、検体の取り間違いといった人的なミスも避けがたいという課題を抱えている。 こうした状況に対し同社では以下2種類のシステムにより検査業務の効率化を支援している。 LASの導入により、従来は7~8名が必要であった作業人員は2名程度で賄うことができるほか、検査時間も90分の検査が30~40分に短縮できるという。 また、LISの導入で、従来は検査項目ごとに紙で出力されていた検査結果をITを使ってデータ集約し、医師に迅速かつ正確にフィードバックできるようになった。また、データマイニングの機能を利用し、異常値の再検数(再検査数)の削減や検査時間の短縮にも役立っている。 (商流) *国内 LISは日立、IBM、富士通といった病院情報システムメーカーと連携し、LASは日立、東芝、日本電子など大型生化学免疫装置メーカーと連携し、総合提案(※)として大中規模病院検査室を対象に同社の営業が直接販売を行っている。 ※総合提案については、【1-5特長・強み】の項を参照。 *海外 LASを韓国、中国などで直接販売を行ってきたが、中国ではOEM供給を開始した。また米国では提携先にLASを構成する主機能である血液を分注するユニット装置のOEM販売を行っている。 (ビジネスモデル) LIS、LASともにシステム導入後の保守サービスに加え、LISでは追加のシステム接続やカスタマイズなど、LASでは保守サービス、消耗品の供給等、どちらも安定的に売上が計上される。 また検体検査装置同様に使い勝手やデータの連続性などから、顧客における他社製品への乗換え動機は極めて小さい。個別案件の価格帯は、LISで1,000万から5,000万円、LASで1,000万から1億円となっている。 (主な参入企業) LIS:シスメックスCNA(シスメックス子会社)、地元ベンダー企業等 LAS:アイディエス(非上場)、日立アロカ(非上場)、シーメンスなど 2.開発体制 長年にわたって培ってきた要素技術を幅広い製品開発へつなげるため製品別の開発グループ組織を採用している。また、電気、機械、化学などの技術統括責任者をおき、マトリックス的組織運営で製品開発を進めている。 本社および湘南サイトに約70名のスタッフが在籍している。 2018年12月期の研究開発費は958百万円。集中的な投資を行った前17年12月期の1,094百万円からは減少したが、今後も対売上高で10%程度を目途に引き続き積極的な研究開発を進めていく。 3.生産体制 臨床検査試薬(一部)、消耗品製造を行う湘南工場(神奈川県)、機器、検体検査自動化システム(LAS)および臨床検査試薬(一部)製造を行う江刺工場(岩手県)の2拠点が生産を担う。 高度な設備と厳重な管理体制の下で高品質かつ安全な製品を製造している。開発部門と連携して品質向上や効率化のための改良にも取組んでいる。 今後の更なるトップライン拡大の基盤作りのために、2017年8月に17億円の投資により江刺工場に延床面積7,300㎡の新棟を建設した。この増設により、大幅な能力増強を行う。 4.販売ルート&販売方法 前述のように国内では全国8つの支社が顧客である病院に対し、総合提案力を武器に直接販売を行っている。 また、海外には日本電子など国内OEM先を通じて、シーメンスなど海外顧客やディーラーへ供給している。 このOEM供給によるスケール拡大を基本戦略としており、OEM供給先の多様化に注力している。 海外顧客やディーラーに同社が直接販売する直接海外売上高およびその比率は2018年12月期で約13億円、12.2%だが、国内OEM先を通じて海外に販売している売上高(同社推定値)を加えた実質海外売上高比率は2015年12月期23.4%、2016年12月期24.7%、2017年12月期27.5%、2,018年12月期28.2%と上昇傾向にある。 特に18年12月期は中国向け売上高が前年の351百万円から倍以上の780百万円に急伸。今後の中国市場開拓に伴い、中期的には実質海外売上高比率5割超を目指している。 【1-5 特長と強み】 ◎総合提案力 同社が取り扱う検査対象は電解質検査とグルコール検査が中心で、大型分析装置を製造販売している訳ではない。 ただ、顧客である病院は臨床検査室に様々な検査装置を設置する必要がある。 こうしたニーズに対し同社の検体検査自動化システム(LAS)は、自動搬送ベルトラインに同社装置のみならず、他社装置も組み入れてセッティングすることができる。 自社製品、他社製品を組み合わせて自由に接続・搬送できるシステムおよび技術力を持っているのは同社を含め数少なく、国内シェアは約3割となっている。 また、同社では装置を納入するのみでなく、検査室の広さや形状を踏まえた上で、最も効率的に検査作業が進められるようなレイアウトについても3DCAD等を用いて営業員が提案を行っている。 このように、検査室に必要な製品を揃え、レイアウトも含めて導入から運営までの最適なソリューションをワンストップで提供できる総合提案力は顧客である病院から高く評価されている。 ◎特定分野での高い技術力 同社が手掛ける主要検査対象は「電解質検査」と「グルコース検査」の2つだが、特に電解質分析装置における高い技術力は、医用を含めた各種計測機器大手の日本電子や世界的大企業シーメンスがOEM供給を受けていることからも明らかである。市場環境の項で触れたように、日本の医用検体検査機器は世界的に高い競争力を有しており、同社もその一翼を担っている。 2018年12月期のROEは8%を下回ったが、これは製造設備移転費用および業務委託契約解約損等を特別損失として計上したことが主な要因。19年12月期の売上高当期純利益率は6.4%と予想している。
 
 
2018年12月期決算概要
小幅ながらも増収増益を確保 売上高は前年同期比0.6%増の104億30百万円。センサー(消耗品)、他社製品が減少したが臨床検査機器システムが好調に推移し増益を確保した。中国向け売上が倍増となった。 営業利益は同0.1%増の7億74百万円。臨床検査情報システムの新製品販売開始に伴う初期導入対応費用が増加し粗利益は減少した一方、同新製品に関する開発業務委託費中心に販管費が同1.5%減少した。 当期純利益は同23.6%減の5億18百万円。湘南工場から江刺工場の新棟への設備移転費用及びセンサーの製造工程自動化装置の製造業務委託中止による業務委託契約解約損等を特別損失として計上した。 対計画比では利益は未達だったものの、売上はほぼ計画通りだった。 成長のために同社が重視している海外売上比率は直接、実質でそれぞれ12.2%、28.2%とそれぞれ伸長した。 ◎臨床検査機器システム 前期比13.2%増収。 検体検査装置は、電解質OEM先の販売が堅調であった一方、直接販売は顧客数が伸び悩み減収。 臨床検査情報システムは、追加のシステム接続やカスタマイズの販売が減少したものの、更新案件の確実な獲得に加え、新規案件が増加した結果、増収。 検体検査自動化システムは、国内の新規案件増加に加え、中国Runda社へのOEM販売が堅調に推移し増収。 ◎臨床検査試薬 前期比0.2%減収。 国内・海外のOEM販売は微増。直接販売は機器稼働台数の減少等により減収。 ◎消耗品 前期比12.3%減収。 既存OEM先におけるセンサーの海外規制対応に伴う、新製品への切替えを見込んだ前期需要増の反動及び期中からの価格改定による買い控え等の影響により減収。 ◎その他 前期比26.2%減収。 自社製品の販売に注力した結果、臨床検査情報システム及び検体検査自動化システムの案件に付随する他社製品の販売が減少した。 売上債権の増加等で流動資産は前期末比5億20百万円増加。減価償却が進み固定資産は同2億39百万円減少の43億39百万円。資産合計は同2億81百万円増加の126億11百万円となった。 製品引当保証金の増加などで負債合計は同8億87百万円増加の64億32百万円となった。 利益剰余金の増加などで純資産は同3億94百万円の増加。 この結果自己資本比率は前期末の55.0%から1.9%上昇し、56.9%となった。 営業CFはほぼ変わらず。江刺工場の増設が完了したことから、有形固定資産の取得による支出は減少し、投資CFのマイナス幅は縮小。フリーCFはプラスとなった。長期借入れによる収入がなくなり財務CFはマイナスに転じた。キャッシュポジションは低下した。 (4)トピックス ◎糖尿病検査のパイオニアであるアークレイ株式会社と業務提携 18年9月、糖尿病検査のパイオニアであるアークレイ株式会社(京都市)と臨床検査事業の分野における業務提携契約を締結した。 (アークレイ社概要) 1963年設立。臨床検査用の機器・試薬および検査データ管理システムの研究開発・製造・販売、機能性食品素材の研究開発・販売など手掛けている。 糖尿病検査のパイオニアとして1981年に世界初のHPLC法を用いたHbA1c専用測定装置を開発し、現在も多くの医療機関で使用されている。HbA1c専用測定装置の他グルコースの検査システム、血糖自己測定器など多くの製品を有し、糖尿病検査の分野において国内外でも有数のリーディングカンパニー。また、国内のクリニック向け検査分野でも国内有数の販売網を有している。 (業務提携契約締結の背景) 臨床検査事業の分野において両社の強みを生かし、互いに補完し、顧客要求の多様化・高度化に対応することを目的として合意に至った。 (業務提携の内容) 両社の経営層による協議機関を設置し幅広い分野で議論を行っている。 2019年は、グルコース検査の分野での協業をすすめる。糖尿病の腫瘍検査項目にはグルコース(血糖値)とHbA1c(グリコヘモグロビン)があるが、エイアンドティーはグルコースに、アークレイ社はHbA1cに強みを持っているため、エイアンドティーはグルコース分析装置「GA09II」をアークレイ社に供給し、販売は2月より始まっている。 「GA09II」と「HbA1c分析装置」を接続したミニ搬送を開発し両社で販売することも検討している。 また、臨床検査情報システムの連携については具体的テーマの検討を行うほか、幅広い分野の製品供給や海外販売を検討していく。
 
 
2019年12月期業績予想
増収増益 売上高は前期比7.4%増の112億円の予想。臨床検査機器システムの大型案件が増加。自社製品販売も増加する。臨床検査情報システムの新製品における対応工数の収束、他社製品減少などにより粗利も同7.3%増加。 営業利益は同30.4%増の10億10百万円の予想。持続的成長のための人材採用増、検体検査自動化システムの新製品開発費などで販管費も同2.4%増加するが粗利増で吸収する。 配当予想は前期と同じく24円/株。予想配当性向は20.9%。 検体検査装置は、国内外のOEM販売は順調に増加。業務提携したアークレイ社へのグルコース分析装置の新規販売による増加を見込んでいる。 臨床検査情報システムは、3つのサブシステム新製品の初期導入対応に目処がたつ。新規・更新の需要は旺盛。エンジニアの人材採用等も見込んでいる。 検体検査自動化システムは、中国Runda社との関係構築を継続し、堅調な販売を見込む。国内の大型案件も増加する見通し。 OEM販売先の海外規制対応によるセンサーの在庫調整基調は継続する。新規OEM先との商流確立に向けた準備を進め安定成長を目指す。 引き続き他社製品販売を減らし、自社製品の販売に注力する。
 
 
中期経営計画(2018年12月期~2020年12月期)の進捗状況
*18年12月期 臨床検査機器システムが増加したが、センサーのOEM販売が海外規制対応および価格改定による買い控えの影響で低調に推移した。センサーの減収および新製品の初期対応費用が計画以上となったため、経常利益は目標に届かなかったものの、海外売上高比率は検体検査自動化システムの中国OEM販売が堅調で初めて10%を超え、1年前倒しで計画を達成した。 *19年12月期 人員採用を増やし、臨床検査機器システムの販売をさらに拡大させる。当初の計画目標を維持し、新製品対応工数の収束、江刺新棟の本格生産等、持続的な成長のための活動に取り組む。 *20年12月期 中期経営計画1、 2年目の取り組みをステップに過去最高の売上と利益計画を維持する。次の中期経営計画策定を予定している。
 
 
三坂社長に聞く
(1)中計基本方針の進捗に関する自己評価 収益性向上に欠かせない自社製品販売の増加はほぼ計画通りの前期比約4億円増。しっかりと取り組むことができた。今期も自社製品比率の引き上げを図りたい。 中国向け販売についてはRunda社を通じた販売は好調な滑り出しだ。搬送事業が中国市場開拓のカギとなると以前から考えていたが、良いパートナーを得て順調に立ち上げることができた。 当社にとってグローバル化は成長を追求するための必須条件だが、まずは大きな成長が期待できる中国ビジネスに集中していく。 当社の成長は搬送を中心とした独自性の高い製品及びシステム開発によって実現してきた。今後も当然開発力の強化を進めるが、それと同時に安定して高品質な製品を生産できる体制作りも重要だ。そのため江刺工場に建設した新棟を活用した品質と生産効率を追求する体制整備を進めている。 湘南工場から江刺への試薬の移管は順調に進んだが、一方で歩留まりの改善についてはまだまだ途上という認識だ。 働き方改革と人材育成については、2018年4月に地域限定正社員制度を導入し働きやすい職場環境の整備を進めているほか、全社的な教育プログラムの体制作りが完了した。営業社員には原価を含めたコスト意識の徹底を、開発担当者にはこれからますます重要になる知的財産について知識を深めてもらいたい。またよりきめ細かい人事評価制度を今年から導入した。グローバル人材育成も含め、全社的な底上げが必要と考えている。 (2)中国市場における当社のアドバンテージ 臨床検査システムには大きく分けて「クローズド戦略」と「オープン戦略」とがある。 欧米メジャー企業は検査室に納入する装置、搬送システム、及び試薬を全て自社製品で構成する。これが「クローズド戦略」だ。 これに対し当社は、当社製装置のみならず、他社製装置も組み入れてセッティングすることができる検体検査自動化システム(LAS)により、病院や検査室のニーズに対し、レイアウトも含めて導入から運営までの最適なソリューションをワンストップで提供する「オープン戦略」をとっている。 ただ、供給先の全てのニーズに対応することは収益性の低下に繋がりかねない。そこで当社では検査室の広さなどに応じて組み入れる機器も既定のものとした数パターンのOEM製品を用意するパッケージ化を行っている。いわば「セミ・オープン戦略だ」 Runda MedicalにOEM供給している「CLINILOG V4」はまさにこのパッケージ販売で、病院ごとの設計変更や開発・改良の手間を軽減できることに加え、安定的な販売及び製造計画の立案が可能となり、中国における「検体検査自動化システム(LAS)」販売事業をより効率的なものとすることができる。 急成長中の中国臨床検査システム市場ではいままさに両戦略のせめぎあいが起きている。我々は中国市場で成長するには「搬送」で存在感を示すことが重要と考えてきたが、「搬送」に強みを持ち、セミオープン戦略で顧客から高い評価を得ている当社のアドバンテージを活かして、中国マーケットの開拓を積極的に進めていきたい。 中期的な目標である実質海外売上高比率50%超を実現させるためには中国ビジネスの拡大が不可欠だ。 当社の実績を評価していくつかのパートナー候補企業からも声をかけていただいており、順調な立ち上がりを見せたRunda社向けビジネスに加え、他分野でもビジネスを立ち上げていく。 医療分野で成功するには、企業のみの力だけではなくアカデミアとの連携は不可欠だ。学会活動の組織的な展開などを通じて影響力の大きなKOL(Key Opinion Leader)との関係構築を進め、安定的な事業基盤構築に取り組んでいく。
 
 
今後の注目点
変化率は小さかった18年12月決算であったが、自社製品販売の拡大、中国ビジネスの伸長と手応えは大きかったようだ。 351百万円から780百万円に倍増した中国向け売上高については半期ごとの開示を行うという事で、投資家としては同社を判断するための重要な指標をウォッチすることが可能になった。 中計最終年2020年12月期の目標達成に向けて、中国ビジネスの伸長、アークレイとのアライアンス等、売上高に関しては明るい材料が揃ってきたようであり、投資家の関心は利益にも集まろう。 自社製品販売の推移など、売上高経常利益率10%超を目指した取り組み、進捗を注目したい。
 
 
 
<参考1:中期経営計画の概要>
2018年5月に創業40周年を迎えるにあたり、2028年の創業50周年を見据え、今期をスタートとする3年間の中期経営計画を2018年2月に策定した。 「持続的な成長に向けた体制づくり」をテーマに掲げ、直近3期の売上高はほぼ横ばいで、経常利益は2015年12月期にピークを付けた後、減少傾向となっていることを踏まえ「増収増益基調への転換・経常利益のV字回復」を目指す。 <数値目標> 2020年12月期、「売上高120億円以上、売上高経常利益率10%以上、海外直接売上高比率10%以上」を挙げている。 目標達成のためには両事業とも、海外展開が不可欠と考えている。
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書 最終更新日:2018年3月30日 <基本的な考え方> 当社は、経営の意思決定及び業務執行に関して、透明性、公平性、スピードを重視することで、コーポレート・ガバナンスの有効性を確保し、公正な経営を実現することを最優先課題としております。なお、経営の監督と執行の分離、透明性の高い経営の実現及び取締役会における迅速な意思決定を図るため、監査等委員会の制度を採用しております。 <コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由> JASDAQ上場企業としてコーポレートガバナンス・コードの基本原則5項目を全て実施しております。