リクシルの株価が下落している理由は何?
高配当だけど、LIXIL株は買い?
このようなお悩みを解決します。
🔰いろはに結論
- 海外での利上げや不動産市況の悪化によって、リクシルの株価が下落
- 配当利回り5.1%の高配当銘柄として注目
- 欧米での利下げによる業績回復に期待が高まる
リクシルは、住宅設備に関する製品やサービスを提供する企業です。
LIXIL株は高配当銘柄として有名ですが、近年の株価は下落しており、やばいとも言われています。
そのため、購入を悩んでいる方も多いでしょう。
そこで今回は、リクシルの株価が下落している理由や、リクシル株は買いかを、事業環境を踏まえて分かりやすく解説していきます。
リクシルの株価が下落した理由は?3つの観点から解説
💡このパートの要約
リクシルの株価が下落した理由は主に以下の3つ!
- 海外での利上げによる住宅ローン金利上昇によって、住宅需要が減少
- 円安により原材料費用が高騰したことで、利益を圧迫
- 世界の不動産市況が悪化し、業績に悪影響
まずは、リクシルの株価推移を見ていきましょう。
2021年10月以降、長期の下落が続いていることが分かります。
何が原因だったのかな?
ここからは、リクシルの株価が下落した理由を3つご紹介します。
海外での利上げによる住宅ローン金利の上昇
リクシルの株価が下落した理由は、世界的な利上げによって住宅ローン金利が上昇し、住宅需要が減少したためです。
以下の欧州・米国における政策金利の推移をご覧ください。
2022年以降、各国の政策金利の利上げが続き、高値で推移していることが分かります。
これはコロナ禍明けに伴い、経済の回復に向かってインフレが加速したことが主な理由です。
この金利上昇に伴って住宅ローン金利も上昇し、住宅需要が減少することになります。
リクシルは住宅設備を提供するから、そもそも住宅需要が減ると厳しいよね…
不動産市況の悪化
世界中で不動産市況が悪化していることも、リクシルの株価が下落している理由の1つです。
各地域の不動産市況をまとめると以下の通り。
- 日本
日本では新築着工数が伸び悩んでおり、特に持家の着工数は2022年以降毎期減少しています。
- 欧州
欧州においても、過去数十年間で最悪の不動産市況に陥っています。
これは2022年7月以降の利上げによる住宅ローン金利の上昇と、不動産価格の下落が重なったためです。
以下の住宅価格の推移をご覧ください。
2021年以降、大きく下落していることが分かります。
- 中国
中国では、不動産バブルが崩壊し、不動産価格が暴落している状況です。
2024年1-7月の新築住宅の販売額は5兆3,300億元で、前年同期比24.3%の下落となりました。
このように世界的に不動産市況が悪化しており、海外事業での減益が株価の下落につながっています。
円安による原材料費用の高騰
円安が進行することで、住宅設備に必要な原材料費が高騰し、このコストがリクシルの利益を圧迫しています。
特に住宅設備に使われるアルミや銅の多くは輸入されており、円安が進行すると価格は高騰することに。
アルミや銅の価格推移は以下のグラフの通りです。
2022年3月まで高騰が続き、その後落ち着いています。
しかし、2024年に入ってから円安が加速したことにより、再び高騰していることが分かります。
海外展開しているから円安の恩恵もあるけど、それ以上に原材料費の高騰は悪影響だね…
円安について詳しくはコチラ!
リクシルの基本情報
💡このパートの要約
- リクシルは住宅設備を提供するメーカー
- 23年3月期以降利益が伸び悩み、24年3月期は赤字を計上。
しかし、25年3月期には黒字回復の予想 - 配当利回りが5.1%と、高配当銘柄
ここでは、リクシルの基本情報について以下の3項目を詳しく見ていきます。
事業内容
LIXILは住宅に関する設備を幅広く提供するメーカーです。
主に以下2つの事業を展開しています。
ウォーターテクノロジー事業
ウォーターテクノロジー事業では、水まわりに関する製品を製造・販売しています。
例えば、浴室やシャワートイレ・システムキッチンなどです。
ハウジングテクノロジー事業
ハウジングテクノロジー事業では、窓やドア、インテリアなどの建材製品を開発・提供しています。
近年では、IoTを活用したスマートホームの開発にも力を入れ、次世代の住まいの開発にも着手している点も特徴です。
どちらの事業も、住宅に関する設備を提供しているんだね!
業績
続いてリクシルの業績を見ていきましょう。
2020年3月期 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期(予想) | |
---|---|---|---|---|---|---|
売上収益 | 1,694,439 | 1,378,255 | 1,428,578 | 1,495,987 | 1,483,224 | 1,570,000 |
事業利益 | 58,576 | 57,288 | 64,875 | 25,745 | 23,162 | 35,000 |
営業利益 | 39,121 | 35,842 | 69,471 | 24,903 | 16,351 | 25,000 |
当期利益 | 31,932 | 16,368 | 50,540 | 16,888 | -9,455 | 8,000 |
同社決算短信よりいろはにマネー作成。
20年3月期以降、不安定な当期利益が続き、24年3月期の当期利益は-9,455百万円と赤字になっていることが分かります。
これは、海外事業における構造改革費用の増加や金利上昇による金融費用の増加、収益性の一時悪化などによるもの。
この欧米における構造改革の効果が表れ、25年3月期には海外事業が大きく増益する計画となっています。
これにより当期利益も黒字転換する見込みです。
配当政策・株主還元
リクシルは配当利回りが5.12%であり、かなり高いです。(9月25日時点)
過去の配当利回りと配当性向をまとめると、以下の表の通り。
年度 | 1株当たり配当金 | 配当利回り | 配当性向 |
---|---|---|---|
2021年3月期 | 75円 | 2.44% | 65.8% |
2022年3月期 | 85円 | 3.71% | 50.8% |
2023年3月期 | 90円 | 4.13% | 162% |
2024年3月期 | 90円 | 4.79% | ー |
2025年3月期(予想) | 90円 | ー | 323% |
※配当利回りは、各会計年度期末日の終値より算出。
※24年3月期は赤字決算のため、配当性向の表記なし。
増配に加え、株価の下落が進んだことで配当利回りは年々大きく上昇しています。
リクシルに株主優待はあるのかな?
リクシルは2019年をもって株主優待を廃止しており、現在は株主優待制度は実施していません。
同業他社を比較!リクシルの強みと弱みは?
💡このパートの要約
- リクシルの強みは、配当利回り5.12%と高配当であること
- 財務体質の弱い点は大きな弱み
リクシルの強みや弱みは何でしょうか。
ここでは同業他社である「TOTO(5332)」、「タカラスタンダード(7981)」と比較した特徴を見ていきましょう。
まずは、以下に各社の主要財務データと参考指標をまとめます。
LIXIL | TOTO | タカラスタンダード | |
---|---|---|---|
売上高 | 1兆4,832億円 | 7,022億円 | 2,347億円 |
当期純利益 | -94億円 | 371億円 | 95億円 |
自己資本比率 | 34.1% | 63.6% | 69.7% |
ROE(自己資本当期純利益率) | 0.0% | 7.8% | 5.2% |
PER(株価収益率) | 63.1倍 | 23.2倍 | 11.4倍 |
PBR(株価純資産倍率) | 0.78倍 | 1.70倍 | 0.59倍 |
EPS(1株当たり純利益) | -48.43円 | 219.14円 | 137.3円 |
配当利回り | 5.12% | 1.95% | 3.47% |
配当性向 | 162.0% | 45.6% | 39.3% |
リクシルの強みと弱みとして、以下の2つが挙げられます。
それぞれ見ていきましょう。
配当利回りが5.12%と高い
リクシルの強みは間違いなく、配当が高いことです。
各社の配当利回りを見てみましょう。
リクシル | TOTO | タカラスタンダード | |
---|---|---|---|
配当利回り | 5.12% | 1.95% | 3.47% |
配当性向 | 162.0% | 45.6% | 39.3% |
リクシルは24年3月期は最終益が赤字であったのに、高い配当を出しています。
また、25年3月期も業績が完全に回復をしていないのに減配をしない予定のため、配当性向が323%となる見込みです。
これは稼いだ額以上の配当金を出しており、過去の利益を切り崩して配当を出していることを意味します。
リクシルの配当性向は高すぎるけど、大丈夫なのかな?
確かに、23年3月期以降の配当性向は高すぎる値となっています。
しかし同社は、24年4月に配当性向を30%以上とする目標を撤廃することを発表。
これにより、長期で安定した配当を出しつつも、設備投資などの成長投資を優先させることを目標としています。
無理に配当を出さないのは、安心だね!
財務体質が弱い
財務体質が弱い点は、リクシルの大きな弱みと言えます。
各社の財務状況について見てみましょう。
リクシル | TOTO | タカラスタンダード | |
---|---|---|---|
売上高 | 1兆4,832億円 | 7,022億円 | 2,347億円 |
当期純損益 | -94億円 | 371億円 | 95億円 |
自己資本比率 | 34.1% | 63.6% | 69.7% |
業績でも触れた通り、24年3月期は赤字となっています。
他の2社に比べて、売上高が圧倒的に多い中、唯一当期利益が赤字になっているのは懸念点と言えるでしょう。
またリクシルの自己資本比率は34.1%で、同業他社の約半分ほどです。
一般的に、自己資本比率は40%前後が理想的とされているため、そこまで問題はないでしょう。
しかし、25年3月期の配当性向が323%であるように、同社の配当性向が100%を超えている状況が続くと注意が必要になります。
これは高い配当金を出すことで自己資本が減少し、財務基盤がさらに弱まる可能性があるためです。
ここでも配当性向の高さが問題になってくるんだね…
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リクシル株は買いか?今後の株価や将来性を解説
💡このパートの要約
- 欧米での利下げや、不動産市況が回復することに期待が高まる
- 日銀の利上げ観測には注意が必要
- 高配当バリュー銘柄として、株価の底堅さに期待
リクシルの今後の株価はどうなっていくでしょうか。
以下の3点から、LIXIL株は買いかどうかや、将来性を分析していきます。
米国や欧州での利下げや不動産市況の回復に注目
今後の株価や将来性を考える上で、米国や欧州の利下げや、それに伴う不動産市況の回復に期待が集まります。
米国や欧州では、2024年に以下の利下げを実施しました。
- 米国
24年9月:0.5%の利下げ - 欧州
24年6月:0.25%の利下げ
24年9月:さらに0.25%の利下げ
そして、2024年内に更なる利下げが行われるとも注目されています。
この利下げによって住宅ローン金利が下がり、住宅需要が増加すると、同社の業績・株価は上がっていくと考えられるでしょう。
日銀の利上げには注意
米国や欧州では利下げが続きますが、日本では利上げが行われる点には注意が必要です。
日銀は24年3月と7月に利上げを行いましたが、今後も最低賃金や物価の上昇が安定した場合、更なる利上げが行われるとの見方が強くなっています。
日本の持家の新築着工数が伸び悩む中で、更なる利上げは住宅ローン金利にも影響し、リクシルの業績にも響く可能性があるでしょう。
リクシルは業績悪化でやばいのかな…?
リクシルはこの状況を打破するために、政府主導の住宅省エネ支援策「先進的窓リノベ事業」の補助金制度を活用しています。
この制度によって、断熱製品などの窓リフォームの売上を3倍以上に拡大、今後も引き続き活用する方針です。
原材料コストの増加の影響も、窓リフォームの売上増加でカバーしているワン!
高配当バリュー銘柄としての底堅さに期待
リクシルは20年以上減配をしていない高配当銘柄として知られていると同時に、9月25日時点のPBRは0.78倍と低いです。
このように高配当であるのに割安感が目立つ銘柄は、高配当バリュー投資の対象として注目を集めています。
東証はPBR1倍割れの企業に対して、改善要請を出しているよね!
業績面で懸念があり「やばい」とも言われていますが、25年3月期は黒字転換したこともあり、株価の底堅さは期待できるでしょう。
業績が回復すれば、LIXIL株は買いだね!
【まとめ】リクシルの株価が下落した理由
リクシルの株価が下落している理由についてよく分かったよ!
最後にこの記事の重要なポイントをまとめます。
🔰いろはにまとめ
- 海外での利上げや不動産市況の悪化によって、リクシルの株価が下落
- 配当利回り5.1%の高配当銘柄として注目
- 欧米での利下げによる業績回復に期待が高まる
リクシルは、世界的な利上げによって住宅金利ローンが上昇し、不動産市況が悪化したことや、円安による原材料費の高騰によって株価が下落していることが分かりました。
しかし利上げが進み、住宅需要が回復することや、高配当バリュー銘柄として株価が底堅いことには大きく期待ができるでしょう。
リクシルの今後の動向にも注目だね!
その他にも、日本の高配当株について分析した記事があるので、ぜひあわせてご覧ください。
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