ブリッジレポート
(2714) プラマテルズ株式会社

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ブリッジレポート:(2714)プラマテルズ vol.22

(2714:JASDAQ) プラマテルズ 企業HP
井上 正博 社長
井上 正博 社長

【ブリッジレポート vol.22】2016年3月期業績レポート
取材概要「プラスチック原料ビジネスはアジアを中心として海外市場の継続的な成長が見込まれ、同社の重要顧客企業は生産拠点をアジア全体に拡大している・・・」続きは本文をご覧ください。
2016年7月12日掲載
企業基本情報
企業名
プラマテルズ株式会社
社長
井上 正博
所在地
東京都品川区北品川4-7-35 御殿山トラストタワー
決算期
3月 末日
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2016年3月 57,795 883 845 537
2015年3月 57,037 798 780 490
2014年3月 59,568 833 803 279
2013年3月 55,610 817 783 420
2012年3月 57,790 883 840 531
2011年3月 55,762 899 842 500
2010年3月 47,145 663 621 388
2009年3月 52,550 893 809 489
2008年3月 56,861 1,089 943 704
2007年3月 52,022 1,219 1,115 652
2006年3月 50,673 1,054 1,005 569
2005年3月 46,804 790 746 403
2004年3月 43,720 659 566 309
2003年3月 42,614 685 642 240
株式情報(5/2現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
424円 8,548,310株 3,624百万円 6.2% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
16.00円 3.8% 63.17円 6.7倍 1,033.03円 0.4倍
※株価は5/2終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
プラマテルズの2016年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
合成樹脂(プラスチック)の専門商社。原料メーカーから仕入れた樹脂原料やコンパウンド(樹脂原料に添加剤を加え機能を強化した成形材料)をセットメーカーや成形メーカー及び樹脂の二次加工メーカーに販売している。最終用途は、電子・電機・OA事務機器、医療機器、玩具、住宅建材、自動車等。連結子会社11社、持分法適用関連会社1社(コンパウンド工場への出資)等と共にグループを形成し、子会社が合成樹脂製品の製造・販売も手掛ける。また、総合商社の双日(株)グループにおいて合成樹脂部門を担う双日プラネット(株)が株式の46.6%を保有している。尚、同社は化学品卸業界に属し、プラスチック専門商社として唯一の上場企業である。
 
【経営理念】
合成樹脂の専門商社として、次の4項目を経営理念として掲げている。
 
①合成樹脂市場におけるメーカーとユーザーのベストマッチングを推進する役割を果たす
②顧客の立場に立った発想で合成樹脂の戦略的パートナーとしての機能を発揮する
③商いは人なりの精神を重視し、組織の人々との協調を重視する
④よき企業市民として、地球環境と地域社会に配慮しつつ、適正な利潤を出し、以って社会貢献を果たす
 
そして、これら企業理念実現のため、会社の経営方針として以下の項目を掲げている。
 
・中長期的な企業価値の最大化を目指す経営
・ステークホルダーから信頼される経営
・環境問題に積極的に取り組む経営
・常にQCD(QUALITY,COST,DELIVERY)の改善を図り、CS(顧客満足)を高める努力を継続する経営
 
 
【国内外に広がるネットワーク】
国内営業拠点 東京本社、大阪支社、名古屋支店、静岡支店、九州支店(大分)、弘前営業所、長崎出張所
国内子会社
 
 
【プラスチックと同社事業の特性】
石油精製の過程で得られるナフサ(粗製ガソリン)を高温熱分解すると、「エチレン・プロピレン(気体)」、「ベンゼン(液体)」等、プラスチックのもとになる粗原料がつくられる。これらは水素と炭素が結びついた分子であり、この分子をつなぎ合わせて「ポリエチレンやポリプロピレン」等のプラスチック原料がつくられる。これらのプラスチック原料に、耐熱性を向上したり、壊れにくくしたり、着色するための添加剤を加え、加工しやすいように3~5mm程度の粒子状にしたものを「ペレット」と言う。
同社は500社の仕入先と1,300社(国内800社、海外500社)の顧客を有し、原料メーカーから仕入れて、OA機器、家電、医療機器、自動車部品メーカー等の顧客に販売している。
 
 
相対的に単価が高く高付加価値商材であるエンジニアリング系やスチレン系の樹脂原料の取扱が60%超
売上高の82.6%がプラスチック原料で(この他、製品15.3%、関連機器・シート2.1%。16/3期実績ベース)、相対的に単価が高く高付加価値商材であるエンジニアリング系(44.1%)やスチレン系(18.8%)の樹脂原料が中心。エンジニアリング系樹脂原料とはポリアミド樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート等で、用途はOA・事務機器、光学機器(カメラ等)、精密部品(ギア等の機構部品)等。一方、スチレン系樹脂原料とは、ポリスチレンやABS樹脂等で、エアコン、冷蔵庫等の白物家電、パソコン・同周辺機器、FAX、及び玩具等で使われている(この他、家電・医療機器向け等のオレフィン系樹脂9.9%、建材向け等の塩化ビニール系材料5.0%、その他樹脂2.7%、PET樹脂2.1%)。

販売先業界別の構成比(連結ベース売上高)は、日本メーカーが圧倒的な強みを持つ事務機器・OA・光学機器向けが45.9%、スチレン系・オレフィン系が中心の家電(白物家電)・電子(PC・周辺機器)向けが12.9%、塩化ビニール系材料が中心の建材7.1%、オレフィン系のポリプロピレン等の医療機器向け8.1%、ホビー3.9%、自動車3.9%、パッケージング2.6%、衛材1.9%、その他13.7%。
 
重点仕入先と仕入商品及び用途
旭化成グループ    スチレン系樹脂原料  : 冷蔵庫、エアコン等
東洋インキグループ  コンパウンド     : OA・事務機器
帝人グループ     エンジニア系樹脂原料 : カメラ・プリンター外装

この他、双日グループ、JNCグループ、三井化学グループ、出光興産グループ等からの仕入も多い。
 
【コアコンピタンス】
高付加価値商材の拡販の原動力となっているのが、(1)合成樹脂原料に関する高い専門性、(2)商社としてのネットワークを駆使した、メーカーを巻き込んでの提案力、及び(3)顧客との質の高いコミュニケーションが可能とする少量多品種即納体制、の3点。いずれも合成樹脂専門商社に不可欠な要素であり、最もQCDに厳しい日本の優良企業との継続的取引の中で同社が磨き上げてきたコアコンピタンスである。高い専門性を背景にメーカーと一体となって提案営業を進める事でビジネスを広げ、少量多品種の即納対応及び顧客密着型の営業展開で顧客満足度を高めている。
 
 
【成長戦略】
国内は、顧客密着型の営業を徹底する事で顧客と共に成長を図る。一方、海外は、アジア全体に生産拠点を拡大する顧客の動向に合わせて、同社も海外拠点整備の重点エリアを中国からアジアに広げ、顧客ニーズに応えていく(アジアの拠点整備は14/3期で一巡しており、現在は拠点強化に軸足が移っている)。
 
海外
中国、インド、東南アジアを中心とした世界的な人口の増加と生活水準の向上による消費の増加を背景に消費財・耐久消費財の素材であるプラスチックの需要増が続いており、市場は拡大傾向にある。同社は、海外拠点整備の重点エリアを中国のみならず広くアジアに展開し、変化する顧客ニーズを確実に捉える体制を構築し、更なる成長を目指すべく、各拠点の強化に努めている。
 
国内
同社は強みである顧客密着型の営業を徹底する事で国内でのシェアアップを図ると共に、海外拠点を有機的に活用する事で海外進出日系企業との取り組み拡大にもつなげていく考え。
尚、同社の顧客は、精密機器、医療機器、家電・電子等の勝ち組企業が多く、いずれの顧客も国内外での生産バランスに配慮した経営を行っている。このため、国内でも取引の拡大余地を残している。
 
 
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
 
16/3期は、原油相場の下落で主要取扱商品である合成樹脂原料の価格が軟調に推移する等、厳しい事業環境ではあったが、アジア・その他地域をけん引役とする売上増と円安効果で前期を上回るROEを確保できた。
厚生年金基金脱退損失2億66百万円など特別損失2億97百万円の計上でROEが低下した14/3期を除くと、6%台のROEが続いている。要因は570~590億円で推移する売上の伸び悩みと思われる。アジア・その他地域をけん引役とするブレークスルーで早期の売上600億円越えを目指したいところだが、17/3期は為替の影響等が懸念され保守的な業績予想となった。
 
 
 
◎コーポレート・ガバナンス報告書
同社はコーポレートガバナンス・コード適用以降のコーポレート・ガバナンス報告書を2015年12月17日に提出している。
 
Ⅰコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方及び資本構成、企業属性その他の基本情報
1.基本的な考え方
当社グループでは、事業活動を通じて利益を上げ、中長期的に株主価値を増大させるという株主の期待に応えることが、企業経営の基本使命であると考えています。また、株主を含むすべてのステークホルダーに対する責任を果たし、社会規範に沿った事業活動を行うとともに、社会に貢献するという考えに立ち、コーポレート・ガバナンスの向上を目指しております。
当社では、コーポレート・ガバナンスの要件の一つである「透明性と説明責任」の確保のために、6名の取締役の内3名は社外取締役とするとともに、その独立性を確保しております。
監査役会は常勤監査役1名、非常勤監査役2名の合計3名で構成され、3名全員が社外監査役であります。これにより経営に対する透明性を確保し、監視・監査機能を果たすとともに、社外監査役は、独立性を確保しております。また、社外監査役3名のうち2名は株式会社東京証券取引所に対し、独立役員として届け出ております。このほか社長直属の内部監査チームを設け、業務が適切に運営されているか内部監査を実施するとともにグループ会社の監査も実施しております。
コンプライアンスの徹底とリスクマネージメントはコーポレート・ガバナンスの強化の重要な要素と捉え、当社グループの全役職員が法令の遵守と規範に基づき行動することを徹底しております。そのために「行動規範」、「コンプライアンスマニュアル」を制定しグループ全体で徹底を図っております。

5.その他コーポレート・ガバナンスに重要な影響を与えうる特別な事情
当社グループでは、事業活動を通じて利益を上げ、中長期的に株主価値を増大させるという株主の期待に応えることが、企業経営の基本使命であると考えています。また、株主を含むすべてのステークホルダーに対する責任を果たし、社会規範に沿った事業活動を行うとともに、社会に貢献するという考えに立ち、コーポレート・ガバナンスの向上を目指しております。
当社では、コーポレート・ガバナンスの要件の一つである「透明性と説明責任」の確保のために、6名の取締役の内3名は社外取締役とするとともに、その独立性を確保しております。
監査役会は常勤監査役1名、非常勤監査役2名の合計3名で構成され、3名全員が社外監査役であります。これにより経営に対する透明性を確保し、監視・監査機能を果たすとともに、社外監査役は、独立性を確保しております。また、社外監査役3名のうち2名は株式会社東京証券取引所に対し、独立役員として届け出ております。このほか社長直属の内部監査チームを設け、業務が適切に運営されているか内部監査を実施するとともにグループ会社の監査も実施しております。
コンプライアンスの徹底とリスクマネージメントはコーポレート・ガバナンスの強化の重要な要素と捉え、当社グループの全役職員が法令の遵守と規範に基づき行動することを徹底しております。そのために「行動規範」、「コンプライアンスマニュアル」を制定しグループ全体で徹底を図っております。
 
Ⅱ経営上の意思決定、執行及び監督に係る経営管理組織その他のコーポレート・ガバナンス体制の状況
2.業務執行、監査・監督、指名、報酬決定等の機能に係る事項(現状のコーポレート・ガバナンス体制の概要)
当社は毎月1回定例の取締役会ならびに必要に応じて臨時の取締役会を開催しており、経営及び業務執行に関する報告・質疑・決定を行っており、監査役・社外取締役も意見を述べることができる体制にしております。国内連結子会社についても、原則毎月1回の取締役会を開催し、当社からの非常勤取締役及び非常勤監査役も出席し、企業集団における業務の適正を確保する体制を整えています。海外子会社8社に対しては1年1回海外子会社の各責任者を本社に参集させ、本社の経営方針などを充分理解させると同時に、業績の向上を図るとともに経営計画の進捗状況の確認に努めております。また、海外子会社にも原則年1回程度は、当社の監査役、会計監査人あるいは内部監査チームを派遣し業務の適正化を図っております。
当社の取締役等の報酬については、報酬査定委員会(社外監査役をメンバーに入れる)を設置して透明性を図っております。
当社は有限責任 あずさ監査法人と監査契約を締結し、会社法及び金融商品取引法に基づく会計監査及び内部統制監査を受けております。平成27年3月期において会計監査業務及び内部統制監査業務を執行した公認会計士は根本 剛光、山田 大介の両氏で、その他公認会計士2名、その他7名が監査業務に係る補助者であります。継続関与年数は全員7年以内であります。
現状の体制を採用している理由
当社は監査役設置会社であり、監査役会を設置しており、独立性の高い独立役員でもある社外監査役を含めた監査役による監視体制が経営監視機能として有効であると判断し、現状の監査役設置会社の体制を採用しております。

3.現状のコーポレート・ガバナンス体制を選択している理由
当社は、取締役会及び監査役会設置会社であります。
取締役6名(うち社外取締役3名)で構成されており、重要な経営判断については取締役会において議論・審議決定しております。また、経営理念達成に向けての戦略の周知徹底、業務執行の進捗状況の確認及び報告や審議検討を行い、経営の適法性・効率性の確保に努めております。
監査役は3名(うち社外監査役3名)で構成されており、適法性の監査のみならず、社外監査役の立場から経営全般について客観的な見地から助言・提言を行っております。また、経営陣から独立した立場で、取締役会及び重要な会議に出席することにより、経営の監視強化を図っております。
なお、当社は独立役員として社外監査役2名を指定しております。
 
Ⅳ内部統制システム等に関する事項
1.内部統制システムに関する基本的な考え方及びその整備状況
当社グループでは、企業としての社会的責任・信頼に対応するため、企業倫理・法令遵守を経営の基本とし、グループの役職員全員を対象とした行動規範を制定しております。代表取締役社長を委員長とする内部統制委員会及びコンプライアンス委員会を設置し、全社的に行動基準を徹底し社会的責任を明確に意識した健全な事業活動の推進に取り組んでおります。また、業務の有効性と効率的な事業運営を担保するため、意思決定及び業務運営にかかわる各種社内規程などを定め、職務権限と責任の所在及び指揮命令系統を明確化し、内部統制・リスク管理が明確に機能するよう体制を整備しております。また、社長直属の内部監査チーム(チーム員4名)を設け、業務が適切に運営されているか内部監査を実施しております。この監査報告は、社長に直接報告され、社長より取締役会に報告しております。

2.反社会的勢力排除に向けた基本的な考え方及びその整備状況
反社会的勢力排除に向けた基本的考え方
・当社は、市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力に対して、毅然とした態度を貫き、取引の防止に努めることを基本方針とする。
反社会的勢力排除に向けた整備状況
・社内規則の整備状況
反社会的勢力との対応については「コンプライアンスマニュアル」に明示の指針及び具体的指針にしたがうものとする。
・対応統括部署及び不当要求防止責任者の設置状況
管理部を反社会的勢力対応の統括部署として、事案により関係する部署が窓口となり対応するものとする。
・外部の専門機関との連携状況
定期的な警察署への訪問・連絡等を行い、緊急時における警察への通報、弁護士等への相談を必要に応じて実施するなど、
外部の専門機関と連携を図ることで反社会的勢力対応を行う。
 
 
2016年3月期決算
 
 
前期比1.3%の増収、同8.3%の経常増益
売上高は前期比1.3%増の577億95百万円。原油相場の下落で汎用品中心に合成樹脂原料価格が軟調に推移したが、付加価値の高いエンジニアリング系樹脂が堅調に推移した他、数量効果で、PET樹脂、塩化ビニール系材料、その他の樹脂の売上が増加。販売を強化した製品や合成樹脂関連機械・シートの売上も増加した。地域別では、国内売上高が374億65百万円と同1.6%減少したものの、フィリピン、バンコク、インド、台湾等、2011年から2013年にかけて開設した拠点の寄与が本格化し始めたアジア・その他(約42%増)を中心に海外売上高が203億29百万円と同7.3%増加した。

利益面では、高付加価値商品が堅調に推移する中、円安効果もあり、売上総利益率が6.0%と0.3ポイント改善。海外売上の増加による運賃の増加や円安による円ベースでの経費増等による販管費の増加を吸収して営業利益が8億83百万円と同10.6%増加した。為替差損益(14百万円→△7百万円)等で営業外損益が悪化したものの、税効果会計の影響で最終利益は5億37百万円と同9.6%増加した。適用為替レートは、1USドル=121円11銭。2015年2月にマレーシアに現地法人を設立した。

期末配当は1株当たり8円を予定(1円増配した上期末配当と合わせて年16円)。
 
 
 
 
 
 
 
第4四半期(1-3月)の売上減少による売上債権・仕入債務の減少等で期末総資産は237億06百万円と前期末に比べて10億79百万円減少した。財務体質は、流動性・長期安定性の両面から良好で、流動比率156.9%(同147.3%)、固定比率31.3%(同33.6%)、自己資本比率37.2%(同34.4%)。投下資本利益率は前期の4.3%から5.1%に改善した。
 
 
海外事業の拡大や税金費用の増加による運転資金の増加で営業CFは減少したが、63百万円の黒字を確保した。定期預金の払い戻しの増加等で前期はマイナスだった投資CFも黒字となり、1億38百万円のフリーCFを確保した。
 
 
2017年3月期業績予想
 
 
前期比2.1%の増収、同0.5%の経常増益
ほぼ前期並みの利益にとどまる見込み。「中国を主とする新興国経済の減速や日銀によるマイナス金利導入の影響等による先行きの不透明感や主要取扱商品である合成樹脂原料価格に影響する原油相場の低迷等で厳しい経営環境が続く」として保守的な予想となった。為替レートの前提は、1USドル=110円(前期の実績は1USドル=121円11銭)。

配当は1株当たり上期末8円、期末8円の年16円を予定。
 
 
今後の注目点
プラスチック原料ビジネスはアジアを中心として海外市場の継続的な成長が見込まれ、同社の重要顧客企業は生産拠点をアジア全体に拡大している。このため、同社は海外拠点の重点エリアを中国だけでなく、アジアへも積極的に展開し、変化する顧客ニーズを捉えていく考え。実際、2011年から2013年にかけて開設した拠点の寄与が本格化し始めており、16/3期は、フィリピン、バンコク、インド、台湾等、アジア・その他で売上を大きく伸ばす事ができた(円安の影響もあったが)。また、製品や合成樹脂関連機械・シートの販売強化が、短期間で成果をあげた事も注目点。
17/3期の業績予想は保守的なものとなったが、為替相場のボラティリティが高まっている現状を考えると、保守的な業績予想にとどめた経営判断は妥当であると考える。売上・利益の数値よりも、アジアでの事業拡大や製品等の売上増の流れを持続できるかに注目したい。