ブリッジレポート
(8275) 株式会社フォーバル

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ブリッジレポート:(8275)フォーバル vol.15

(8275:JASDAQ) フォーバル 企業HP
大久保 秀夫 社長
大久保 秀夫 社長
企業基本情報
企業名
株式会社フォーバル
社長
大久保 秀夫
所在地
東京都渋谷区神宮前 5-52-2 JBPオーバルビル
決算期
3月
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2006年3月 27,500 3 14 1,063
2005年3月 40,089 1,962 1,962 1,174
2004年3月 32,981 1,446 1,360 660
2003年3月 37,402 1,522 1,334 443
2002年3月 44,411 -860 -1,027 -4,756
2001年3月 52,045 1,026 699 86
2000年3月 54,668 1,278 1,281 1,122

株式情報(9/6現在データ)
株価 時価総額 発行済株式数 単元株数 決算年月 1株配当
650円 9,013百万円 13,866,311株 100株 2007年3月 20.00円
配当利回り PER(連) 1株利益 PBR(連) 1株株主資本(連) ROE(連)
3.08% 8.68倍 74.87円 0.94倍 687.97円 11.74%
フォーバルの2007年3月期第1四半期業績について、会社概要と共にブリッジレポートにてご報告いたします。

会社概要
 
都心部の中小規模事業者を対象に情報通信機器の販売、通信サービス及びネットワーク関連サービス等を提供しています。電話機販売からスタートした同社は、ナローバンド、ブロードバンド、そしてセキュリティと、時代のニーズに即した分野で様々なサービスを開発し、「新しいあたりまえ」を創造してきました。
ユビキタス社会の実現、ブロードバンドの普及、セキュリティ需要の増大、そしてビジネスの場でのモバイルの更なる普及等、今後、中小規模事業者を取り巻く環境の大きな変化が予想される中、総合セキュリティコンサルティング会社としての機能を備え、中小規模事業者に「安心と安全」を提供して行く考えです。
 
社名のFORVAL(フォーバル)は、「For Social Value」を語源とし「社会価値創出企業を目指す」という経営理念を表しています。
 
また、FORVALのは、シンボルマーク「ダイナミックオーバル」です。グループ各社それぞれが、また社員一人ひとりが束縛されずにのびのびと躍動していながら、ひとつのビジョンに向かって上昇している姿を示しています。
 
<沿革>
1980年9月、新日本工販として設立され、電気通信機器やコンピュータ等の販売、及び設置工事、保守管理のサービスの提供を開始しました。
 
87年9月、後に同社が100億円企業の仲間入りをするきっかっけとなるNCCサービスを開始しました。
このサービスは、日本テレコム、DDI、日本高速通信などの新電電が誕生した際、複数の電話回線の中から最も安い回線を自動的に選択する「NCC・BOX」を開発、これを電話利用者に無料で配布し新電電サイドよりロイヤリティ収入を得るというものでした。「NCC・BOX」は約40万回線に普及、同社の業績拡大はもとより、新電電の利用拡大や電話回線の低価格化に大きく貢献しました。その後、「NCC・BOX」はチップ化され、電話機、ファクシミリなどに内蔵され、加速度的にその普及が進みました。
 
88年11月、株式を店頭(現ジャスダック)登録。
 
90年4月、スーパーディスプレイホン(SDP・液晶画面付き多機能電話機)をメーカーと共同開発、販売を開始。
電話機のような外見ながら、実はコンピュータの頭脳を持っているSDP。当初は証券会社や銀行のホームトレーディング、ホームバンキング用の端末として注目を集めました。その後、極めて操作が簡単なコンピュータであるという特性を活かし、この端末を使った企業向け通販システム、受発注システム、地域共同VANシステム、ホームショッピングシステム向け等に提案されました。
 
 
91年10月、現社名であるフォーバルに商号変更。
 
95年4月、「第三電電構想」を実現するため、(株)フォーバル テレコムを設立し国際電話サービス事業に進出。
「第三電電構想」とは、同社がNTT、KDD等の第一電電グループ、日本テレコム、DDI、日本高速通信、移動体通信等の第二電電グループそれぞれの回線リセラー(再販業者)として、利用企業にベストのキャリアのサービスを組み合わせて提供しようと言うものでした。この一環として、複数の国内回線、国際回線、移動体通信各社の中から利用企業にベストの通信サービスを選択し提供する「fitコール」をスタート。利用企業は、「fitコール」と契約するだけで、国内、国際、携帯を問わず、もっとも安い電話回線を自動的に利用できるため通信費の大幅な削減が可能となりました。また、請求書も1つにまとめることができるため、事務処理も簡素化。「fitコール」は、ワンストップショッピング・ワンビリングサービス(請求業務の一元化)を日本ではじめて実現しました。
 
00年11月、通信事業を行なう子会社のフォーバルテレコムが東証マザーズへ上場。翌01年12月には、ネットワークセキュリティ関連の商品販売とサービス提供を行なうフォーバルクリエイティブが、大証ナスダック・ジャパン(現ヘラクレス)市場へ上場。
 
03年10月、IP電話&ブロードバンドサービス 「FTフォン」サービスを開始しました。
 
<事業内容>
事業セグメントは、電話機、複写機、パソコンの販売を主とする機器関連事業と、通信サービス、情報ネットワークサービス等のネットワーク関連事業に分かれます。2006年3月期の構成比はそれぞれがほぼ50%でした。
 
 
<強み>
同社グループの強みとして次の3点を挙げることができ、対象マーケットにおいて強い競争力を持っています。
・中小規模事業者社長の特性・問題を把握 : 25年間の実績・ノウハウ、約15万社の顧客基盤
・商品企画力・開発力 : 「新しいあたりまえ」を創造し続ける力
・ワンストップ、ワンビリングサービス : 中小規模事業者にとって高い利便性を提供
 
<中小規模事業者社長の特性・問題を把握>
同社が毎年行なっている小規模事業者のIT化の実態調査をまとめた「フォーバル小規模事業者白書」は、多くのメディアでも取り上げられています。
 
<商品企画力・開発力>
同社の沿革で説明したように、1980年に設立され電話機販売からスタートした同社は、その後、ナローバンド、ブロードバンド、そしてセキュリティと、時代のニーズに即した分野で様々なサービスを開発し、「新しいあたりまえ」を創造してきました。
 
<ワンストップ、ワンビリングサービス>
ワンストップ、ワンビリングサービスは、中小規模事業者に高い利便性を提供しています。
 
2007年3月期第1四半期業績
 
<連結>
 
売上高の減少が響き、営業損失となりました。
「FTフォン」サービスや注力したセキュリティ関連が順調に推移した反面、機器関連の電話機の不振及び大手通信キャリアが展開する通信サービスの取次手数料収入が減少しました。
利益面では、固定費の圧縮に務めた結果、販管費が26億32百万円と前年同期比10%弱減少しましたが、減収に伴う売上総利益の減少をカバーすることができませんでした。
 
<セグメント別動向>
 
機器関連事業     売上高26億86 百万円
リース訪問販売の問題が継続するなど電話機は厳しい環境が続きました。一方、複写機等はデジタルカラー複合機などの販売が堅調に推移しました。
 
ネットワーク関連事業     売上高35億17 百万円
通信サービス等では、「FTフォン」サービスが順調に推移しましたが、大手キャリアが展開する通信サービスの取次手数料収入が減少しました。また、セキュリティ関連では、統合型セキュリティアプライアンス商品が中小規模事業者向けを中心に順調に推移し、またサポート事業も堅調に推移しました。その他に関しては、前下半期より開始したWeb制作等が寄与し、前年同期比155.9%の増加となりました。
 
2007年3月期業績予想
 
<連結>
通期の予想に変更はありません。
 
トピックス
 
・顧客基盤拡大を狙ったワイズノットとの業務提携
・日本初の店舗における集客成功報酬型情報配信サービスの開発・提供
 
<顧客基盤拡大を狙ったワイズノットとの業務提携>
6月12日、ソリューションサービスとマーケットの共有による顧客基盤拡大を目的に、オープンソースでビジネスをプロデュースする(株)ワイズノット(東京都渋谷区)と業務提携しました。
両者の主要顧客が中小規模事業者と一致することから、事業の共有及びマーケットを共有することにより、お互いが持つ顧客のシェアを向上させ、顧客基盤の拡大を図ることを目的としています。
尚、両者は、2006 年5 月1 日にビジネスソリューションサービスを提供する合弁会社「(株)プロセス・マネジメント」(フォーバル49%)を設立しています。
 
提携の内容
ワイズノットが発行するIT業界初のフリーペーパー「NEXTWISE」に、フォーバルが提供するブロードバンドインフラの導入によって通信費の削減を実現した事例等を掲載することで、フォーバルの販売を支援します。また、フォーバルの顧客企業の商品・サービスなどを告知するスペースを設けることで、フォーバルの既存顧客に対する営業支援を加速させ、フォーバルのソリューションサービスの付加価値を高めます。
一方、フォーバルは、既存取引先顧客に対する営業支援の幅を広げるため、販促・告知媒体として、「NEXTWISE」を毎月約10,000部配布することで、コストをかけずに紙面の訴求力・媒体価値を向上させたいワイズノットのニーズに応えます。
更に、フォーバルはワイズノットの既存顧客に対してIP 電話サービス「FT フォン」をはじめとする通信コスト削減の提案を行い、ワイズノットはフォーバルの既存顧客に対して、「NEXTWISE」へ商品・サービスを掲載する広告提案やオープンソースソフトウェア(OSS)ソリューション及びエンジニア派遣等を行うことで、効率的なソリューションサービスの営業を実現します。
 
IT 業界初のフリーペーパー「NEXTWISE」について
IT・オープンソース業界の「旬」で「ためになる」ビジネストピックスを紹介する、IT 業界特化型フリーペーパーです。幅広い層のビジネスパーソンに向けて、最新のIT ビジネスモデルや最前線で働く人たちの声を、わかりやすくダイナミックに伝え、企業のトップから現場の技術者にいたるまで、幅広い人たちにスポットを当てることで、「IT 業界の今」を伝えています。
 
(株)ワイズノットについて
資本金:6 億03 百万円
Webサイト:http://www.wiseknot.co.jp/
業界初となるIT 系フリーペーパーの「NEXTWISE」の発刊や顧客のビジネス遂行に特化したオープンソースASP等の「クロスメディア事業」、オープンソース技術・ノウハウを活用したトータルソリューションの提供を行う「オープンソース事業」、及び「アウトソーシング事業」を展開しています。
 
<日本初の店舗における集客成功報酬型情報配信サービスの開発・提供>
フォーバルのグループカンパニーである(株)エーゼットは、各種業務システムの開発を行う(株)時空(宮城県仙台市)及び、IC アプリ企画・開発の(株)イノベイト(香川県高松市)と共同で、BtoBtoC を対象とした日本初の店舗における集客成功報酬型の情報配信サービス「Pittmo(ピットモ)」(特願2006-135971)を開発、サービスの提供を開始しました。
 
新サービス「Pittmo」は、店舗等に設置した専用の情報端末に情報配信サービスの仕組みを提供します。来店したお客様は、設置した専用の情報端末に「FeliCa」(※)対応の携帯電話やIC カードをかざすだけで、その店舗の商品やキャンペーン情報等の情報を得ることができます。
第一弾として、全国に約15,000 店舗存在するパチンコホールを対象に、ホールのイベント情報や新機種情報、遊技情報、業界ニュース等を配信するサービスを開始しました。機種情報、業界ニュース等に関しては、パチンコ・パチスロ情報サイト「777@nifty」を運営するニフティ株式会社、他、パチンコ・パチスロ情報企画制作会社の協力を受けて提供します。
 
※ FeliCa はソニー(株)が開発した非接触IC カードの技術方式で、ソニーの登録商標です。
 
(株)エーゼットについて
資本金:1 億2 0千万円
Webサイト:http://www.azet.co.jp
フォーバルのグループカンパニーである(株)エーゼットはインターネットサービスを活用した多彩なサービスを、顧客ニーズに応じて提供すると共に、総合ASP(Application Service Provider)企業として事業展開を進めています。
 
(株)時空について
Webサイト:http://www.jicoo.com
顧客の利益に貢献する "マーケティング・システム・インテグレーター"をキーワードに、各種のシステムを提供しています。パチンコホール業界のマーケティングシステムの企画・開発・販売においては、約3年間で全国300企業、1,300店舗以上への導入実績を誇ります。
 
(株)イノベイトついて
資本金:1,000 万円
Webサイト:http://www.enovate.ne.jp
IT ビジネスの戦略策定・企画から、最先端のインターネット技術を駆使したシステム構築・導入・運用までを一貫して提案しています。
 
取材を終えて
電話機販売においてリース訪問販売の問題が長引いていることは気にかかりますが、同社の業績はもともと下期偏重型であり、第1四半期だけで通期の業績を云々するのは時期尚早と考えます。
一方、足下から視線を上げて前方を見やれば、ユビキタス社会の実現、ブロードバンドの普及、セキュリティ需要の増大、そしてビジネスの場でのモバイルの更なる普及等、ビジネスチャンスの山といった感があります。
同社グループは、これらにビジネスチャンスを活かし、①M&A・JV・アライアンス、②事業投資(商品開発)、③人材採用、④人材育成、⑤システム、の5つの戦略を推進することで、ステップアップを図る考えです。
トピックスでご紹介した提携は、この戦略に沿ったもの。今後の事業展開に注目したいと思います。