ブリッジレポート
(8275) 株式会社フォーバル

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ブリッジレポート:(8275)フォーバル vol.28

(8275:JASDAQ) フォーバル 企業HP
大久保 秀夫 社長
大久保 秀夫 社長

【ブリッジレポート vol.28】2010年3月期上期業績レポート
取材概要「厳しい事業環境が続いているものの、経費削減が進み利益体質が定着してきた。また、機器の価格下落が続く中で、売上総利益率を維持できている事も同・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年12月22日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社フォーバル
会長兼社長
大久保 秀夫
所在地
東京都渋谷区神宮前 5-52-2 青山オーバルビル
決算期
3月
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年3月 34,358 112 17 -1,879
2008年3月 34,323 -933 -1,264 -532
2007年3月 26,216 -1,878 -2,012 -1,390
2006年3月 27,500 3 14 1,063
2005年3月 40,089 1,962 1,962 1,174
2004年3月 32,981 1,446 1,360 660
2003年3月 37,402 1,522 1,334 443
2002年3月 44,411 -860 -1,027 -4,756
2001年3月 52,045 1,026 699 86
2000年3月 54,668 1,278 1,281 1,122
株式情報(12/4現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
199円 13,764,292株 2,739百万円 - 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
12.50円 6.3% 7.27円 27.4倍 272.26円 0.7倍
※株価は12/4終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
フォーバルの2010年3月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
都心部の中堅・中小法人を対象に、電話機や複写機等のオフィス向け情報通信機器の開発・販売・設置・保守サービスの他、携帯電話端末の販売、光ファイバーを利用したIP 電話サービス(商品名FTフォン)、更にはセキュリティサービス等、様々なサービスを「ワンストップ」で提供している。社名のFORVAL(フォーバル)は、「For Social Value」を語源とし、「社会価値創出企業をめざす」という経営理念が込められている。
 
<事業セグメント>
事業セグメントは、電話機、複写機、パソコン等の販売を主とする機器関連事業と、FTフォン等の通信サービスや携帯電話の販売を中心とした通信ネットワークやセキュリティ関連等のネットワーク関連事業に分かれ、09/3期の売上構成比は、前者が28.5%、後者が71.5%。
 
<「総合ブロードバンドソリューションカンパニー集団」を目指して>
1980年に設立され電話機販売からスタートした同社だが、その後、ナローバンド、ブロードバンド、そしてモバイルと、時代のニーズに即した分野で様々なサービスを開発してきた。そして、今、フォーバルグループとして、中小・中堅企業に対するNo.1の「総合ブロードバンドソリューションカンパニー集団」を目指し、情報通信分野を核とした総合経営コンサルティングサービス「アイコン」を育成中である。
 
総合経営コンサルティングサービス「アイコン」
 
2010年3月期上期決算
 
 
経費削減が進み前年同期比8.8%の減収ながら、同46.3%の経常増益
売上高は前期比8.8%減の16,050百万円。IT投資の落ち込み等による需要の減少や価格の下落、更には子会社の苦戦等で機器関連事業、ネットワーク事業共に売上が減少した。
営業利益は同17.9%増の167百万円。減収により売上総利益が減少したものの、事務所や店舗の統廃合による地代家賃の削減、業務の効率化による残業の抑制、更には子会社の整理等による人件費の削減等で販管費の削減が進んだ。営業外損益の改善は、投資事業組合運用損や不正流用損失が無くなった事による。
 
販管費の減少要因(4,461百万円→4,074百万円)
一般管理費  1,378百万円→1,150百万円(△228百万円:事務所・店舗の
                    統廃合、出張の抑制等)
人件費    2,908百万円→2,766百万円(△141百万円:子会社の整理、
                    残業の抑制等)
販売費     175百万円→ 157百万円(△ 17百万円:広告宣伝費等の削減)
 
 
機器関連事業
機器関連事業の売上高は前年同期比11.2%減の4,574百万円。このうち電話機の売上高は同8.6%減の1,874百万円。代理店への卸販売が好調で数量ベースでは前年同期を上回ったものの、単価の下落等の影響をカバーできなかった。ただ、第2四半期(7-9月)は第1四半期(4-6月)比15.8%の増収。パソコンの売上高は同16.9%減の561百万円。前期好調だったサーバーの販売が一服した事等が要因だが、四半期ベースでは第1四半期比11.5%の増収。複写機等の売上高は同11.1%減の2,105百万円。8月に価格競争力の高い新商品を投入しリプレースを含め需要喚起に努めたものの、厳しい事業環境下にあって苦戦した。ただ、電話機やパソコンと同様、四半期ベースでは11.3%増収。
 
 
ネットワーク関連事業
ネットワーク関連事業の売上高は前年同期比7.9%減の11,475百万円。このうち通信ネットワークは、(株)フォーバルテレコムの新通信サービス事業が伸び悩んだ事や(株)リンクアップが首都圏の携帯ショップを閉鎖した影響等で、売上高が8,489百万円と同8.1%減少した(四半期ベースでは1.8%の増収)。Web関連は、Webサポートサービスやリスティング広告等のストック型サービスが寄与した事や第2四半期以降にマーケットニーズに合わせて廉価版のホームページの取り扱いを開始した事で、売上高が519百万円と同0.8%の減少にとどまった(四半期ベースでは同4.2%の増収)。セキュリティ関連は、スパムメール対策を切り口とした中小企業向け統合型セキュリティアプライアンス商品の販売促進策を継続した事でリプレースを含めた需要の取り込みに成功。売上高は723百万円と同24.1%増加した(四半期ベースでは0.4%の増収)。印刷関連子会社や特注文具関連子会社及び人材関連子会社等のその他は、景気の悪化で売上高は1,743百万円と同17.4%減少した。
 
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
上期末総資産は前期末比1,347百万円減の13,898百万円。減少要因は、売上の減少(売上債権、仕入債務の減少)、のれん償却、投資有価証券の時価下落等。また、運転資金の減少に伴い、短期借入金を一部返済したため有利子負債も減少した。一方、フリーCFは435百万円の黒字を確保。前年同期ほど現金支出を伴わない費用が少なかったため営業CFの黒字が減少したものの、M&A関連の支出がなくなり投資CFのマイナス幅も縮小。この結果、総資産が減少したものの、ほぼ期首と同水準のキャッシュポジションションを維持した。
 
 
 
2010年3月期業績予想
 
 
前期比6.0%の減収、経常利益400百万円
景気の低迷による売上の伸び悩みに加え、予想以上に内部取引が多い事等から、売上予想を1,700百万円引き下げたものの、前期に実施した子会社のリストラ効果が予想以上に現れているため営業利益以下の各利益を据え置いた。配当は1株当たり12.5円の期末配当を予定している。
 
 
 
成長戦略
 
価格競争が激しいハード販売から、保守、サポート、更にはコンサルティング等の経営支援に軸足を移していく考えで、その第一歩となるのが、ストック型のお困りごと相談サービス「アイコン」サービスである。保守 → サポート → ビジネスへの応用 → 経営相談へと、ビジネスを進化させる事で、ハードの販売業者からビジネスパートナーへと顧客とのリレーションシップを深化させていく。実際、1事業所当たりの「アイコン」サービス売上高が上昇しており(08年9月16,410円→09年9月18,007円)、リレーションシップの深化が着実に進んでいる事を示している。今後、経営コンサルティング事業の本格化により、更なる上昇が期待できる。
 
 
 
総合経営コンサルティング事業の展開
総合経営コンサルティング事業の立ち上げに先立ち、大久保社長によるセミナーを1月から2月にかけて全国で開催し、実業での経験から蓄積された「実証済み」のノウハウを提供する新しいコンセプトの経営コンサルを訴求すると共にユーザーニーズの調査を行った(全国で約500名のユーザーが参加)。
 
 
上記の調査結果を受けて、事業を本格展開するべく、4月に発足したコンサルティングプロジェクトを、7月にコンサルティングディビジョンとして事業部に昇格させた。更に、「日本企業を元気にする」という新しいコンセプトの経営者倶楽部 “フォーバル グッとくるカンパニー倶楽部” を発足し、10月27日にKick Off Partyを開催した。
 
 
“フォーバル グッとくるカンパニー倶楽部”とは、いろいろな夢や思いを持つ経営者たちが集い実践経験豊富なスタッフと共に多様な経営課題を解決する場であり、会員は経営コンサルの潜在顧客となる。入会金31,500円で会費が月額31,500円。
 
 
「アイコン」サービスと経営コンサルティングサービスの提供により既存顧客の深耕を図ると共に、「おまかせライン」の販売やビジネスマッチング戦略の展開等により新規顧客の開拓を進め、顧客基盤の拡充を図る。その上で、顧客データの整備や顧客との接点を強化しビジネスチャンスを広げていく考え。
 
 
 
 
取材を終えて
厳しい事業環境が続いているものの、経費削減が進み利益体質が定着してきた。また、機器の価格下落が続く中で、売上総利益率を維持できている事も同社の強みだ。ただ、既存事業だけでは成長が限られるため、今後は、実業での経験から蓄積された「実証済み」のノウハウと顧客基盤を活かし、商品販売から経営支援に軸足を移すと共に収益構造を「フロー型」から「ストック型」へ転換させ、中小・中堅企業の成長に貢献する企業としてのフレームワークを構築していく考え。
来期以降、総合経営コンサルティング事業の成果も徐々に現れて来る見込みで、既存事業の底打ちと相まって、引き続き緩やかな業績回復が続くものと思われる。