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(5162:JASDAQ) 朝日ラバー 企業HP
渡邉 陽一郎 社長
渡邉 陽一郎 社長

【ブリッジレポート vol.31】2015年3月期業績レポート
取材概要「同社の16/3期の会社計画は、上期大幅な減益見通しとなっている。これは、前期の第4四半期に始まった得意先の品質総点検による新車発売の後ろ倒し・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年6月9日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社朝日ラバー
社長
渡邉 陽一郎
所在地
埼玉県さいたま市大宮区土手町2-7-2
事業内容
自動車メーター表示等電球用彩色ゴムで市場独占。家電用高精密・医療・スポーツ用ゴムに展開。
決算期
3月 末日
業種
ゴム製品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年3月 6,059 114 122 328
2014年3月 5,677 286 296 160
2013年3月 4,789 135 139 76
2012年3月 5,010 243 211 72
2011年3月 4,806 161 117 21
2010年3月 4,667 125 91 41
2009年3月 4,904 46 14 -80
2008年3月 6,284 414 325 211
2007年3月 5,314 399 375 176
2006年3月 4,578 366 353 209
2005年3月 4,057 251 251 147
2004年3月 3,449 233 211 112
2003年3月 3,154 172 159 75
2002年3月 2,907 98 85 10
2001年3月 3,582 315 336 189
株式情報(5/29現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,070円 4,547,608株 4,865百万円 9.6% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
13.00円 1.2% 41.78円 25.6倍 794.03円 1.35倍
※株価は5/29終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期実績。
 
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
小型電球やLEDに被せる事で様々な発色を可能にする被覆用ゴム製品を主力とする。自動車の内装用照明を中心に、携帯用通信機器、電子・電気機器、産業機器、スポーツ用等、幅広い分野で利用されている。シリコーン(ゴム状の合成樹脂)材料の配合技術と調色技術に強みを有し(色と光のコントロール技術)、シリコーンゴムに蛍光体を配合したLED用ゴムキャップは、LEDの光を波長変換して色調や輝度を調節できるため、10,000色以上の光を出す事やLEDの課題である光のばらつきを均一化する事が可能。また、医療・衛生用ゴム製品や硬質ゴムと軟質ゴムの複合製品等も配合技術を活かしてそれぞれの用途にあったゴム質を実現している。

グループは、同社の他、ゴム・プラスチック等の研究開発を行う(株)朝日FR研究所、米国の販売会社ARI INTERNATIONAL CORP.、及び工業用ゴム製品の販売を手掛ける朝日橡膠(香港)有限公司、10年7月に設立した工業用ゴム製品の製造・販売を手掛ける東莞朝日精密橡膠制品有限公司、及び12年1月に設立した工業用ゴム製品の開発・設計・販売を手掛ける朝日科技(上海)有限公司の連結子会社5社からなる。
 
 
 
【事業内容と主要製品】
事業は、自動車のスピードメーターや内装照明の光源向けの「ASA COLOR LED」や各種センサ向けのレンズ製品「ASA COLOR LENS」、或いは弱電製品に使われる応用製品、更にはスポーツ用ゴム製品(反発弾性、高摩擦抵抗等を追及した高品質の卓球ラケット用ラバー)等の工業用ゴム事業、点滴輸液バッグ用ゴム栓や真空採血管用ゴム栓、プレフィルドシリンジ(薬液充填済み注射器)向けガスケット等、使い捨てのディスポーザブル用ゴム製品の医療・衛生用ゴム事業に分かれ、15/3期の売上構成比は、それぞれ80.8%、19.2%。
今後は、RFIDタグ向けゴム製品、マイクロ流体デバイスなどの新製品の販売拡大が期待される。
 
・ASA COLOR LED
ASA COLOR LEDとは、LEDの光と色のばらつきを解消する商品。青色LEDに蛍光体を配合したシリコーン製キャップを被せることで、自動車内装照明用に10,000色以上の均質な光を提供。
ASA COLOR LED
 
・医療用ゴム製品
点滴輸液バッグ用ゴム栓、真空採血管ゴム栓、薬液混注ゴム栓、プレフィルドシリンジ(薬液充填済み注射器)向けガスケットなど、医療現場で用いられるディスポーザブル商品に使用される。安全性の高い材料を開発し、独自のコーティング技術で“漏れない”と“滑る”を両立し、注射速度の微妙な調節が可能。
プレフィルドシリンンジ向けガスケットのイメージ
 
 
安全性の高い材料を開発し、独自のコーティング技術で“漏れない”と“滑る”を両立し、注射速度の微妙な調節が可能。
 
・マイクロ流体デバイス
今後、分子接着・接合技術を応用したマイクロ流体デバイスの販売拡大を目指す。分子接着は、ゴムと樹脂を接着させる技術で独自の積層流路を形成し、複雑な分析に対応可能。
マイクロ流体チップのサンプル
 
・RFIDタグ用ゴム製品
溶剤を使わずに接着させる“分子接着・接合技術”を応用し、ICチップやアンテナ部をゴム素材で覆い、折り曲げに強く、耐水性、耐熱性に優れた、柔らかい小型のICタグを提供。
RFIDタグ用ゴム製品イメージ
 
 
 
中期経営計画
 
新中期経営計画を策定するにあたり、独自の新製品開発による成長を描くため、中期3ヶ年の2回分である2020年を見据えたビジョン「AR-2020VISION」を制定。
AR-2020VISION
・技術革新を基盤に、新しい価値を創造し続ける企業になる。
・現在の仕事に慢心せず、常に変革を求め、経営環境の変化に応じ継続的に磨きをかける。
・人財こそが、事業運営の要とし、人材の育成を行う。
このビジョンの実現に向けて、最初のステージである15/3期〜17/3期の中期経営計画(V-1計画)を作成。
中期経営方針として、①既存事業の質・量の持続的成長、②新市場・新分野への事業展開、③2020年に向けた事業基盤の強化と整備と定め、最終年度である17/3期に数値目標である、売上高80億円、営業利益8億円の達成を目指す。
 
 
(1)今後の事業戦略
自動車分野
主力ASA COLOR LEDは、16/3期第1四半期まで受注の調整がされるものの、下期以降は受注の増加による売上の増加を見込む。また、新タイプによる材料費削減で利益率を改善させる。加えて、接点ラバー、Oリングは、スイッチ用ラバー、スイッチ用防水カバーなどの売上拡大を目指す。17/3期の売上高目標は37億円であるが、既に40億円への引き上げを検討中。
 
 
医療分野
プレフィルドシリンジ(薬液充填済み注射器)用ガスケットなどの拡大を図る。前期までに設備投資を行った分野であり、V-1計画では新製品の開発期間と位置付け、今後の成長に向けた要素技術の深堀を進める他、ライフサイエンス分野とのシナジー効果を生み出す。17/3期の売上高目標は13億円。
 
 
ライフサイエンス分野
卓球ラケット用ラバーは、顧客の要求に着実に応えていく。マイクロ流体デバイスは同社の柱と位置付け拡大を目指す。16/3期のマイクロ流体デバイスの売上高は1億40百万円を予定(うちNEC向けのポータブル型DNA解析装置向け製品は1億円の売上を計画)。今後も分子接着・接合技術を活かした新製品の開発に努める。17/3期の売上高目標は16.5億円。
 
 
その他分野
主力RFIDタグ用ゴム製品は、顧客の在庫調整と新タイプの生産準備で16/3期の上期は受注の調整局面に入るものの、16/3期の下期以降に回復に転じる見込み。コア技術の深堀りと新しい製品、新しい分野に挑戦する。
 
 
 
2015年3月期決算
 
 
前年比6.7%の増収、同58.7%の経常減益
売上高は、前期比6.7%増の60億59百万円。売上面では、得意先の品質総点検による新車販売後ろ倒しの影響などでASA COLOR LEDが微減となった他、顧客の在庫調整の影響で卓球用ラケット用ラバーも売上が減少したものの、RFIDタグ用ゴム製品、スイッチや防水カバーなどの販売が好調に推移したことから工業用ゴム事業で同8.4%増加した。医療・衛生用ゴム事業は、プレフィルドシリンジ用ガスケットや採血用・薬液混注ゴム栓の販売が堅調に推移したものの前期の水準が高いこともあり同0.2%増加と微増にとどまった。
営業利益は、前期比59.9%減の1億14百万円。期中に逝去した取締役2名分の役員退職慰労引当金繰入額等で2億1百万円を販管費で計上したことや売上高の製品構成に変動があったことが影響した。セグメント利益は、同7.3%の増加。工業用ゴム事業のセグメント利益は、ASA COLOR LEDや卓球用ラケット用ラバーの売上が減少した影響で同1.3%の減益となったものの、医療・衛生用ゴム事業のセグメント利益は採算性の高いプレフィルドシリンジ用ガスケットや採血用・薬液混注ゴム栓の販売増加などにより同53.6%増加した。売上総利益率は、25.9%と前期比0.7ポイント低下。また、前述の役員退職慰労引当金繰入額等の計上により、売上高対販管費率が同2.4ポイント上昇した。一方、受取保険金3億12百万円を特別利益に計上したことにより当期純利益は同104.4%増加した。
また、当期純利益が当初の見込みを上回ったことから、1株当たりの配当は4月13日に期初予想の年間8円から年間13円(上期実績3円、期末10円)の予定に変更された。
 
 
 
 
 
ASA COLOR LEDは、国内自動車メーカーの販売・生産計画の調整により、15/3期の第3四半期以降の受注が調整局面となった。同社は、こうした調整が16/3期の第1四半期まで続くとみている。卓球ラケット用ラバーも、顧客の大幅な在庫調整により受注が減少、16/3期上期も調整が継続すると同社では予想している。ディスポーザブル用ゴム製品は、プレフィルドシリンジ向けガスケットや採血用・液薬混注用ゴム栓の好調な販売が継続している。RFIDタグ用ゴム製品は、海外市場向けに販売が大幅に拡大したものの15年に入り顧客の在庫調整と新機種対応により受注が調整局面となっている。
 
 
売上高は、RFIDタグ用ゴム製品の販売増加などが寄与した。期中に逝去した取締役2名分の役員退職慰労引当金繰入額を販管費に計上したため営業利益と経常利益が減益となった。一方、受取保険金を特別利益に計上したことから当期純利益は大幅な増益となった。
 
 
ARI International Corpは、大半が自動車向けゴム製品の販売であるが、採用車種の終息、新規受注の後ろ倒しなどで売上が減少し赤字となった。香港の貿易拠点である朝日橡膠(香港)有限公司は、RFIDタグ用ゴム製品の好調な販売が寄与し増収となったものの、商流変更の影響で当期純利益は減益となった。一方、東莞朝日精密橡膠制品有限公司は、自動車向け製品とRFIDタグ用ゴム製品の受注増で増収増益となった。朝日科技(上海)有限公司は、販売のスタートが遅れ赤字となったものの、昨年11月以降は受注・販売が徐々に立ち上がっている。
 
 
15年3月末の総資産は14年3月末比7億27百万円増の91億84百万円。資産面では売上債権が、負債・純資産面では役員退職慰労引当金と利益剰余金が主な増加要因。
 
 
CFの面から見ると、前期と比較で、税金等調整前当期純利益や役員退職慰労引当金の増加などにより営業CFの黒字が拡大したものの、有形固定資産の取得による支出の増加などにより投資CFの赤字が拡大しフリーCFが赤字となった。一方、長期借入金の増加により、財務CFが黒字となった。
15/3期の設備投資は4億44百万円(14/3期5億75百万円)、減価償却費は4億22百万円(同3億83百万円)。
 
 
2016年3月期業績予想
 
 
前期比7.9%の増収、同145.3%の経常増益予想
16/3の会社計画は、売上高が前期比7.9%増収の65億40百万円、経常利益が同145.3%増益の3億円。
売上面では、ASA COLOR LEDとマイクロ流体デバイスの受注が増加する見込み。上期の売上は前期の第4四半期に始まった得意先の品質総点検による新車発売の後ろ倒し、在庫調整、新規製品への切替が重なる影響により、自動車関連製品、機能製品、医療製品とも伸び悩みを想定している。一方、下期の売上高は、自動車関連製品のASA COLOR LED及びマイクロ流体デバイスの開発製品の販売が増加する見込み。
利益面では、前期に発生し役員退職慰労引当金繰入額の計上という特殊要因がなくなることに加え、売上の増加による利益の増加により営業利益と経常利益が大幅に増加。売上総利益率は、0.5ポイント低下の25.4%、売上高対販管費率は、3.7ポイント低下の20.3%の会社前提。この結果、営業利益は、前期比187.8%増益の3億円30百万円となる見込み。一方、当期純利益は、前期に受取保険金の計上があった反動により減益となる計画。
なお、前期に特殊要因がなかったと仮定した業績との比較において、各種利益指標とも今期増益の会社計画となっている。
また、1株当たりの配当は、15/3期と同額の年間13円(上期末3円、期末10円)の計画。
 
 
 
ASA COLOR LEDとマイクロ流体デバイスの量産設備の導入で設備投資額が増加。
今期の設備投資計画7億20百万円の事業分野別内訳は、自動車分野2億11百万円、医療分野77百万円、ライフサイエンス3億15百万円、その他分野1億16百万円。
 
 
今後の注目点
同社の16/3期の会社計画は、上期大幅な減益見通しとなっている。これは、前期の第4四半期に始まった得意先の品質総点検による新車発売の後ろ倒し、在庫調整、新規製品への切替が重なる影響により、自動車関連製品、機能製品、医療製品とも伸び悩みを想定しているものである。昨年度の国内自動車販売台数は消費税増税などの影響により鈍化傾向となった。一方で、日銀による積極的な金融量的緩和の効果や円安による輸出企業を中心とする企業収益の回復などにより今後国内の景況感は緩やかに回復するものと期待されている。日経平均株価が15年ぶりの高値に回復しているのもその表れと言えよう。こうした景況感の改善は、各種の在庫調整の進展を早めるだけではなく、顧客企業の品質総点検の前倒しの動きになどに波及するものと期待される。同社のASA COLOR LEDをはじめとする自動車関連製品の受注が、いつの時期からどれ位の規模で回復に転じるのか注目される。
また、カジュアル衣料店「ユニクロ」においてグループ店舗で今夏をメドに全品にICタグが付けられることが明らかとなった。今後も大手アパレルにおいて同様の動きが加速するものと予想される。これは、在庫精度や在庫計画の改善、万引きや内部犯行による商品盗難などの在庫損失の防止、オムニチャネルのフルフィルメントの促進、店頭での顧客と商品のリアルタイム・インタラクションを実現、などのRFID活用によるメリットが具体的になっていることが引き金となっている。同社のRFIDタグ用ゴム製品は、15/3期の第3.四半期に海外ユーザー向けの受注を獲得し大幅に売上が増加したものの、今年に入り在庫調整と新機種対応で受注が調整局面となっている。今後の成長期待が大きいRFIDタグ用ゴム製品の在庫調整の進展度合いと新機種対応の動きにも注目していきたい。
最後に、今年3月に伊藤前社長が逝去されたことは同社にとって大変不幸なことであった。伊藤前社長の元、新中期経営計画がスタートした矢先であっただけに尚更残念なことである。3月15日より新しい代表となった渡邉新社長は1967年生まれで現在48歳。技術者で同社キャリアをスタートさせた後、営業担当取締役を経験し、香港、上海子会社の社長も務める等、幅広い知識と豊富な経験を有している。渡邉新社長の発言では、これまでの組織体制と事業の方向性が引き継がれる模様である。中期経営計画の達成に向けて、いかに同社を導いていくのか、今後の渡邉新社長の経営手腕にも注目したい。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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