ブリッジレポート
(8275) 株式会社フォーバル

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ブリッジレポート:(8275)フォーバル vol.50

(8275:東証1部) フォーバル 企業HP
大久保 秀夫 会長
大久保 秀夫 会長
中島 將典 社長
中島 將典 社長
【ブリッジレポート vol.50】2015年3月期業績レポート
取材概要「同社のよろず経営相談件数の増加が加速している。15/3期のよろず経営相談件数は7,070件と前期の2,070件から前期比241.5%と大幅に拡大した。相談・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年6月23日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社フォーバル
会長
大久保 秀夫
社長
中島 將典
所在地
東京都渋谷区神宮前 5-52-2 青山オーバルビル
決算期
3月
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年3月 45,075 1,921 1,817 1,241
2014年3月 39,443 1,481 1,486 1,110
2013年3月 35,193 1,180 1,232 791
2012年3月 34,695 843 846 587
2011年3月 32,287 681 665 464
2010年3月 32,206 523 478 449
2009年3月 34,358 112 17 -1,879
2008年3月 34,323 -933 -1,264 -532
2007年3月 26,216 -1,878 -2,012 -1,390
2006年3月 27,500 3 14 1,063
2005年3月 40,089 1,962 1,962 1,174
2004年3月 32,981 1,446 1,360 660
2003年3月 37,402 1,522 1,334 443
2002年3月 44,411 -860 -1,027 -4,756
2001年3月 52,045 1,026 699 86
株式情報(6/11現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,729円 12,994,442株 22,467百万円 18.6% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
27.50円 1.6% 96.19円 18.0倍 539.66円 3.2倍
※株価は6/11終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは前期末実績。
 
フォーバルの2015年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
中小・中堅企業を対象に「情報通信分野」・「海外分野」・「環境分野」・「人材・教育分野」の4分野に特化した次世代経営コンサルティングカンパニーを目指している。また、ITを活用し経営を高度化・効率化する手段として、オフィス向けの光ファイバー対応IP電話サービスやFMCサービス(固定通信と移動体通信を融合したサービス)、ならびにそれらとネットワークセキュリティを融合したIP統合ソリューションなどの通信・インターネット関連サービスを提供するほか、OA・ネットワーク機器の販売・工事、携帯端末の取次ぎ、Web構築、太陽光システムやオール電化製品の販売・工事などのサービスを提供している。社名のFORVAL(フォーバル)は、「For Social Value」を語源とし、「社会価値創出企業を目指す」という経営理念が込められている。

事業は、(株)フォーバルを中心に、中小法人向けOA・ネットワーク機器の販売、サービスの取次、コンサルティングサービス等を手掛けるフォーバルビジネスグループ、(株)フォーバルテレコムを中心に、VoIP・モバイル等の通信サービス、インターネット関連サービス、普通印刷、及び保険サービス等を手掛けるフォーバルテレコムビジネスグループ、(株)リンクアップを中心にモバイルショップにおいて携帯端末の取次等を手掛けるモバイルショップビジネスグループ、14/3期に新たに子会社化した(株)アップルツリーがオール電化・エコ住宅設備の卸・工事請負業を営む総合環境コンサルティングビジネスグループの4セグメントに分かれる。 加えて、報告セグメントに含まれないその他の事業セグメントとして人材・教育コンサルティングがある。

近年のハード販売における付加価値の低下を踏まえ、現在、差別化が可能で付加価値も高いコンサルティングサービスへのシフトを進めており、08年4月にサービスを開始したITコンサルティングサービス「アイコン」がその中核となっている。また、コンサルティングサービスの一環として、中小企業の情報化の支援やASEAN展開の支援にも取り組んでおり、前者ではIP統合ソリューションを展開。後者では、10年5月にFORVAL(CAMBODIA)CO.,LTD.(カンボジア・プノンペン)を設立し、以後、11年7月のPT FORVAL INDONESIA(インドネシア・ジャカルタ)及び同年8月のFORVAL VIETNAM CO., LTD.(ベトナム・ホーチミン)の設立、更には12年3月のミャンマー駐在員事務所(ミャンマー・ヤンゴン)を開設後、翌13年2月に現地法人化(FORVAL MYANMAR CO., LTD.を設立)するなど、ASEANにおいてネットワークの拡充を進めている。
また、平成26年1月24日に東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)から市場第二部へ市場変更となった後、平成26年10月2日に市場第一部に上場した。
 
 
IT領域における教育と資格の奨励を通じて従業員のスキルを高め、ハードの卸売りからアイコンサービスによるコンサル業態へ事業転換させた効果が確認できる。
 
 
成長戦略
 
同社は、グループの新しい中期ビジョンとして『次世代経営コンサルティング』の確立を掲げた。既存の事業領域である情報通信の知識・技術を駆使した経営コンサルと強みである独自の海外進出ノウハウを活用した経営コンサルに加え、昨年M&Aを行った株式会社アップルツリーの活用により、重要度が高まっている環境問題にいかに配慮し、事業を展開、環境に貢献していくかの経営コンサルが可能となる。加えて、情報通信分野、海外分野、環境分野において顧客企業の社員教育がワンストップで実施できる体制が整備された。また、同様に昨年M&Aを行った株式会社アイテックがグループに加わったことで、顧客企業の人材・教育分野でのサービスのラインナップも強化された。これら4分野において、同社に相談すれば問題を全てワンストップで解決してもらえると顧客企業に実感してもらえることが『次世代経営コンサルティング』の目的と同社では考えている。
 
 
 
(1)アイコンサービスの拡大
よろず経営相談件数の推移
15/3期のよろず経営相談件数は7,070件(前期は2,070件)と増加が加速している。アイコンサービスの増加は、よろず経営相談の増加につながり、更には、本格的な経営コンサルの増加へつながり、差別化、顧客囲い込み、高付加価値化などにつながる可能性が高い。よろず経営相談件数の増加は、経営コンサルタントとしての同社の評価が確立されてきた証と言えよう。
 
 
BRMC経由のアイコンサービス導入件数の推移
また、同社では、アイコン事業の更なる拡大・強化のためBRMC(Business Restructuring&Management Consulting)というアイコンのOEMによるネットワーク作りに注力している。同社の差別化された新しいビジネスモデルのノウハウの提供を通じて、パートナー数とアイコンユーザー数の拡大を目指す。15/3期末時点のBRMC経由のアイコン導入件数は、前期比88.0%の大幅な増加とアイコンサービス導入件数全体の伸びの原動力となっている。また、同社では、17/3期のBRMC経由のアイコン導入件数は6,400件(15/3期実績は3,102件)まで拡大すると予想している。
 
 
アイコンサービスの売上高推移
「アイコンサービス」開始以降、利用する顧客数やアイコン関連の売上高は順調に拡大しているものの、今後もよろず経営相談やBRMCの積極的な展開などにより高収益事業であるアイコンサービスの売上拡大を目指す方針。同社では、17/3期のアイコンサービスの売上高が33億円(15/3期実績は30億66百万円)まで拡大すると予想している。
 
 
(2)海外進出支援事業の拡大
同社の大久保会長は、十分な教育の機会が無いカンボジアにおいて、自らが設立し理事長を務める公益財団法人CIESF(シーセフ)を通して、教育インフラの構築から人材教育に至る広範な支援活動に取り組んできた。
ASEAN進出支援事業は、このCIESFの活動を通じて培った経験や人脈が活きている。「同社グループ及び顧客である中堅・中小企業の事業の成長を考える上で、アジア地域の成長を取り込む事が重要」と言う考えの下、既に、カンボジア(10年5月)、インドネシア(11年7月)、及びベトナム(11年8月)に現地法人を設立しており、12年3月にはミャンマーに駐在員事務所を開設した。
更に、現地での支援体制の更なる充実・強化を図るために13年2月に現地法人の認可を取得し準備を進めてきたミャンマーでは、14年4月より事業活動が本格化した。15年4月1日現在で、海外8拠点(現地法人及び海外関連会社)の現地従業員数は363名まで拡大した(1年で約100名の増加)。
 
 
同社のASEAN進出支援事業である「グローバルアイコンサービス」は、海外進出前と進出後の様々な問題や障害を、ワンストップでサポートするビジネスモデルである。現在はカンボジアとベトナム、インドネシア、ミャンマーの4ヶ国で展開。情報提供から始まり、FS支援、現地法人の設立代行、人材採用・人材教育支援、バックオフィス整備支援、ネットワーク環境支援、現地パートナー開拓支援等をトータルサポートすることで、同社が最も得意とする情報通信技術を活用した日本と変わらない快適なオフィス空間を提供するビジネスヘつなげていく。日本と現地の両国で、トータルサポートを実施。
また、同社は、国内の行政機関、地域金融機関や海外の行政機関、各国工業団地などとのアライアンスを積極的に拡大することで、「グローバルアイコンサービス」の潜在顧客を発掘・育成している。
 
特徴的な海外進出支援事業の例 - ベトナムのレンタル工場
同社は現在、従来の海外進出支援コンサルから一歩踏み込んだ支援事業の一環としてベトナムのレンタル工場の運営に携わっている。これは、ベトナム南部のニョンチャックIII工業団地内に日系中小企業専用のレンタル工場を建設したものである。18haの敷地内に126区画が作られ、日系中小企業の一大集積地となることが期待されている。また、現在独立行政法人国際協力機構(JICA)において民間投融資が審査中である。審査が通れば、JICAとともに、今後日系進出企業にとっていかなる支援とサービスが必要であるかの継続的なモニタリング調査が実施されることとなる。将来的に他の国や地域に進出する際の強力なノウハウを手に入れることができると期待が膨らむ。
また、埼玉県では同社と現地国営企業との共同出資会社へ出資する予定であり、今後埼玉県の中小企業の積極的なベトナムへの進出が見込まれる他、アライアンス先である国内29金融機関と4大手税理士法人等より紹介された顧客の進出も増加する予定。ベトナムレンタル工場への関心は高く、アライアンス先だけで126区画中既に97区画の予約枠が設けられている模様。
 
 
海外事業の売上高推移
積極的な海外拠点の拡充により、海外事業の売上高も順調に拡大している。同社では、17/3期の海外事業の売上高が10億50百万円(15/3期実績は4億35百万円)まで拡大すると予想している。一方、先行投資負担が重く、海外主要子会社4社の利益寄与は当面小さい模様。
 
 
 
2015年3月期決算
 
 
前年同期比14.3%の増収、同22.3%の経常増益
売上高は前期比14.3%増の450億75百万円。アイコンサービスが順調に拡大したものの、ビジネスフォンが減少したフォーバルビジネスグループで同1.2%減少した。また、通信サービスが減少した一方で、保険関連の子会社が拡大したフォーバルテレコムビジネスグループで同3.1%増加した他、携帯端末等の販売が堅調に推移したモバイルショップビジネスグループも同0.7%増加した。また、オール電化・エコ住宅設備の卸・工事請負業を営む株式会社アップルツリーが通年で寄与したことにより総合環境コンサルティングビジネスグループが415.3%増加したほか、IT教育サービス事業を営む株式会社アイテックが通年で寄与したその他事業グループでも同73.0%増加した。

利益面は、収益性の高いアイコンサービスが堅調に推移し、その相乗効果でサーバー等のコンピュータ、ドキュメント機器、セキュリティー機器も増加したフォーバルビジネスグループで前期比25.2%の増益となった他、回線系からネット系へと売上構成比が変化したことで利益率が高まったフォーバルテレコムビジネスグループも同28.7%増加した。また、前期後半に契約数が増加した効果によりリベートやストック収益が増加したモバイルショップビジネスグループも同38.4%増加した。加えて、新たに連結した子会社の通年にわたる寄与で、総合環境コンサルティングビジネスグループ及びその他事業グループのセグメント利益も増加した。アイコン等が順調に拡大したものの、新たに子会社化した企業の影響などにより売上総利益率は、前期比0.3ポイント低下し27.9%となった。一方、事業拡大に伴う人件費や求人費の増加等があったものの、その他の経費の抑制に努めたことにより、販管費の伸び率が同10.7%増に抑制され、売上高対営業利益率は4.3%と同0.5ポイント改善した。その他、持分法による投資損失2億43百万円の計上などがあったものの経常利益は同22.3%の増益、固定資産除却損1億63百万円の計上などがあったものの当期純利益は同11.8%の増益となった。
 
 
アイコンサービスは、事業所数、売上高とも順調に増加。特に、15/3期のBRMCの件数は前期比88.0%増加とパートナー戦略強化の成果が鮮明となっている。
 
15/3月期の総資産は前期末比15億47百万円増の193億52百万円。資産は、前払費用が主な増加要因。負債純資産は、未払金や未払消費税に加え、当期純利益の計上による利益剰余金が主な増加要因。15/3月末の自己資本比率は36.2%と前期末から0.7ポイント上昇。また、15/3月末の有利子負債も3億12百万円と前期末から1億80百万円減少した。同社は着実に財務体質の強化を進めている。
 
 
CFの面では、税金等調整前当期純利益や持分法による投資損失の増加などで営業CFのプラス幅が拡大したことに加え、有形固定資産の売却による収入の計上などにより投資CFがプラスに転じたことによりフリーCFのプラス幅も拡大した。一方、金銭の信託の増加や自己株式取得による支出の拡大などにより、財務CFのマイナス幅が拡大した。
 
 
2016年3月期業績予想
 
 
前期比4.3%の増収、同15.5%の経常増益予想
16/3期の会社計画は、売上高が前期比4.3%増の470億円、経常利益が同15.5%増の21億円。売上高は6期連続の増収、経常利益と営業利益は8期連続の増益を目指す。同社では、国内景気の緩やかな回復が続く中、当社グループの事業領域である情報通信・総合環境・企業内教育などの分野においても積極的な投資活動が継続するものと想定している。こうした状況下、同社は企業経営を支援する次世代経営コンサルタント集団として、IP統合商品の更なる普及促進、ビッグデータ活用による新サービスの創出、スマートフォンに代表される情報通信の利活用促進、太陽光発電などの総合環境コンサルティング・IT技術者向けを中心とした教育サービスの提案、東南アジア諸国への進出支援などに積極的に取り組む方針。
売上面は、アイコンサービスなどの経営コンサルティング分野が拡大するフォーバルビジネスグループの増加に加え、保険関連の子会社やネット系サービスが拡大するフォーバルテレコムビジネスグループの増加に加え、(株)アップルツリーの事業強化による総合環境コンサルティングビジネスグループの増加を見込んでいる。
利益面は、主としてフォーバルビジネスグループ、フォーバルテレコムビジネスグループの増収効果と売上構成比の変化による収益性の改善を見込んでいる。営業利益は21億円と同9.3%の増益。売上高営業利益率は4.5%で、前期比0.2ポイント高まる計画。
また、経常利益は同15.5%増益と持分法による投資損失の減少により営業利益に比べ増益率が高まる一方、当期純利益は税金費用が増加するため同0.7%増益と各利益指標と比較し増益率が低下する計画。
1株当たりの配当は、前期と同額の年間27.5円を予定。
 
 
今後の注目点
同社のよろず経営相談件数の増加が加速している。15/3期のよろず経営相談件数は7,070件と前期の2,070件から前期比241.5%と大幅に拡大した。相談内容としては、顧客紹介・売り込みに関連するものが最も多く、以下IT・HPの活用に関連するもの、内部統制・個人情報対策に関連するもの、人材募集・採用に関連するものが続いている。経営相談件数の大幅な増加は、同社へ相談すればワンストップで全て解決してくれるという利便性の高さが背景にあると思われる。経営コンサルタントとしての同社の評価が中小企業の間で急速に高まっているものと推測される。こうしたよろず経営相談の大幅な増加は、今後の本格的な経営コンサルの増加へつながるだけでなく、差別化、顧客囲い込み、高付加価値化などにつながる可能性が高く、同社の成長力も今後高まってくるはずとの期待感が膨らむ。
こうした環境下、同社によるとよろず経営相談の内容で、今期マイナンバー制度に関連するものが全体の1番目か2番目の多さまで急増しているとのことである。2016年1月のマイナンバー制度の導入に伴い、今後民間企業においても様々な準備が必要となる。要求されるものとしてマイナンバーを適正に扱うための社内規程づくり、マイナンバーに対応したシステム開発や改修(人事、給料、会計システム等への対応)、特定個人情報の安全管理措置の検討(組織体制、担当者の監督、区域管理、漏えい防止、アクセス制御など)、社内研修・教育の実施など多岐にわたる。その他、特定個人情報の適正な取扱いや安全な保管を行うための体制整備も課せられるなど、今後中小企業の負担が大幅に高まることが予想される。
中小企業の多様な悩みをワンストップで解決することで事業を拡大してきた同社にとって、マイナンバー制度に関連する相談件数の急増は、今後の既存顧客との取引深耕や新規顧客の獲得というビジネスチャンスを秘めている。中小企業のマイナンバー制度の導入を、いかに同社の業績拡大につなげるのか大いに注目される。