ブリッジレポート
(1433:東証マザーズ) ベステラ 企業HP
吉野 佳秀 社長
吉野 佳秀 社長

【ブリッジレポート vol.4】2017年1月期第3四半期業績レポート
取材概要「第3四半期に、第2四半期までに計上していた収益の取崩しを行ったが、保守主義原則に則り実施した会計処理である。同社の施工に不具合が・・・」続きは本文をご覧ください。
2017年1月10日掲載
企業基本情報
企業名
ベステラ株式会社
社長
吉野 佳秀
所在地
東京都墨田区江東橋4−24−3
事業内容
製鉄・電力・ガス・石油等のプラント解体工事マネジメント専業(工事の上流に特化)。発電プラント関連等で多数の特許工法を持ち、顧客は鉄鋼・電力等、大手優良企業。
決算期
1月末日
業種
建設業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2016年1月 3,846 447 464 292
2015年1月 3,060 384 388 219
2014年1月 2,056 176 178 110
株式情報(12/16現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
4,100円 2,768,400株 11,350百万円 18.4% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
40.00円 - 113.86円 36.0倍 735.14円 5.6倍
※株価は12/16終値。
 
ベステラの2017年1月期第3四半期決算と通期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
プラント解体のスペシャリストとして、製鉄、電力、ガス、石油等、プラント(金属構造物)の解体工事をマネジメントしている。“プラント解体の工法・技術”をコア・コンピタンスとし、国際特許も含めた14件の特許工法を有する(申請中5件)。エンジニアリング(提案・設計・施工計画)とマネジメント(監督・施工管理)に経営資源を集中しており、実際の解体工事は協力会社に外注するため、工事用重機や工事部隊を保有せず(資産保有リスクを回避)、材料等の仕入・生産取引も発生しない(在庫リスクを回避)。
社名の「べステラ(BESTERRA)」は英語の「Best(goodの最上級)」とラテン語の「Terra(地球)」を合わせたもので「素晴らしい地球を造っていこう」と言う思いが込められている。
16/1期はプラント解体事業が売上高全体の98.3%を占め、人材サービスが残る1.7%。2015年1月に事業を開始した3D計測は先行投資段階にあり、事業単独での売上の計上はなかった。
 
【企業理念・行動規範】
「柔軟な発想と創造性、それを活かした技術力により地球環境に貢献します」と言う企業理念の下、下記の行動規範を掲げている。
 
行動規範
プロとしての責任を果たします。
我々は常に新しい技術を生み出し、「安全を何よりも優先」し、「より早く、より安く、より安全に」を合言葉に
さらに安心を加えて、お客様に提供します。
 
【沿革】
1947年3月、愛知県名古屋市において、現代表取締役社長 吉野佳秀氏の実父 春吉氏が吉野商店を創業。1964年9月に吉野佳秀氏が事業を引き継ぎ、1974年2月に株式会社に改組すると共に商号をベステラ(株)に変更した。その後、東京に拠点を移し、建設工事(解体工事は建設工事と同様の規制下に置かれている)の元請けとなるために必要な「一般建設業」や「特定建設業」の許可を取得。「安全」、「早い」、「低コスト」を念頭に工法の開発にも取り組み、「大型球形貯槽の切断解体方法(リンゴ皮むき工法)」(20004年7月)や「ボイラの解体方法」(2007年9月)等の特許も取得した。2013年1月に人材サービスを、2015年1月に3D計測サービスを、それぞれ開始。2015年9月に東京証券取引所マザーズ市場に上場した。

尚、建設工事の完成を請け負う事を営業するためには、建設業法第3条に基づき建設業の許可を受ける必要がある(「軽微な建設工事」のみを請け負って営業する場合には必ずしも必要ない)。建設業の許可は、下請契約の規模等により「一般建設業」と「特定建設業」に分かれ、下請け企業への発注金額の合計が40百万円未満であれば「一般建設業」の許可で対応できるが、下請け企業への発注の合計金額が40百万円以上になると「特定建設業」の許可が必要となる(同社は、土木工事業、とび・土工工事業、建築工事業、鋼構造物工事業、塗装工事業、管工事業で「特定建設業」の許可を取得している)。
 
【事業の特徴】
プラントの解体工事は、製鉄・電力・ガス・石油等のプラントを有する大手企業が施主であり、多くの場合、施主系列の設備工事会社あるいは大手ゼネコンが工事を元請けし、同社が一次下請け、二次下請けとなっている。16/1期は、JFEグループのJFEプラントエンジ(株)、新日鉄住金グループの日鉄住金テックスエンジ(株)、戸田建設(株)、東京電力グループの(株)東京エネシスの上位4社向けの売上が全体の55.9%を占めた。
 
 
工事の進行に伴って発生するスクラップ等の有価物は、同社が引き取ってスクラップ業者に売却する。このため、同社は受注に際して有価物の価値を、材質、量、価格(鉄、ステンレス、銅等の材質毎の相場)等から総合的に見積り、それを反映した金額で交渉し、請負金額を決めている。会計上、有価物の売却額は解体工事に伴う収益の一部と位置付けられており、完成工事高に含めて計上している(16/1期は5億70百万円、売上高の15.1%)。尚、発注者(施主)が独自でスクラップ等の処分(売却)を行う事もある。
 
※ 完成工事高実績(季節的変動について)
同社の売上高(完成工事高)は顧客(施主)の設備投資計画に応じた季節性があり、第1四半期(2月〜4月)及び第4四半期(11月〜1月) に計上される割合が高くなる傾向がある(工事進行基準の採用は、請負金額50百万円超、工事期間3ヶ月超、かつスクラップ等売却予想金額が工事請負金額の10%以下の工事)。
 
【強み −優良な顧客基盤、豊富な工事実績に基づく効率的解体マネジメント、特許工法等の知的財産−】
強みは、優良な顧客基盤、豊富な工事実績に基づく効率的解体マネジメント、及び特許工法等の知的財産。
製鉄、電力、ガス、石油等の大手企業のエンジニアリング子会社を中心とした優良な顧客基盤は与信の不安がない一方で、中長期にわたり継続して受注が見込める豊富な案件を有する。また、約40年間の実績に裏打ちされたプラント解体のトータルマネジメントは、これら優良企業から高く評価されており、参入障壁となっている。更に、環境対策工事等で蓄積してきた様々な技術やノウハウも強みであり、発生材の再資源化に関する豊富な知識と共に、顕在的・潜在的な知的財産となっている(特許取得済14件、同申請中5件)。
 
 
 
中期経営計画(17/1期〜19/1期)
 
今期スタートした中期経営計画は、「成長戦略の推進」、「制度・仕組みの革新」、及び「新しい社会価値の創出」を基本戦略とし、最終の19/1期に、売上高70億円、営業利益6億50百万円、ROE17%以上の達成を目指している。また、「成長投資」の継続的な実施と共に、「事業基盤強化のための内部留保」にも努めつつ、最終利益の40%を株主へ利益還元(配当)していく考え。
成長投資については、設備投資(ロボット、3D計測機器)、技術開発投資(工法開発、ロボット開発)、システム投資(3Dシステム、BIM・CIM)、及び戦略的事業投資(M&A等)を合理的な資金配分の下で実施していくとしている。
 
 
数値目標の達成に向けた施策
基本戦略として、成長戦略を推進、制度・仕組みの革新、及び新しい社会価値の創造を挙げている。
 
 
成長戦略の推進
(1)工法の充実では、特許工法の実用化に向け提案営業を強化する。現在、14件の特許工法を有するが(この他、申請中5件)、「リンゴ皮むき工法」(特許名:大型貯槽の切断解体方法)以外の工法の実用化はこれから。先ず認知度を高める必要がある。
また、ロボット工法による安全性、効率性の向上にも取り組んでいく。順調に工事実績を積み上げている溶断ロボット「りんご☆スター」については、新アタッチメント開発で用途拡大に取り組んでおり、この他、自律作動ロボット(点群3D Map利用ロボット)の開発は、ロボットの脚(キャタピラ)、目を大学との共同研究で進めていく。
環境関連工法では、屋外屋内を問わず対応が可能な、無火気工法・準無火気工法をアピールしていく。PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、現在、有害物質として全廃されているが、熱安定性や化学的安定性(電気絶縁特性)に優れるため、長年、トランス(変圧器)やコンデンサ(蓄電器)に使われてきた。プラントの解体工事ではトランスやコンデンサを処理するケースが多いが、PCBを高温で処理するとガス化するため吸引する恐れがあり、解体・撤去に際して火器(ガス溶断等)が使えない。同社はセーバーソー(往復運動する鋸刃により切断する)等による無火気工法・準無火気工法を得意としており、モーター焼きつき対策や刃を再生利用する等の工夫で業界常識を超える厚みを切る事が可能だ。
 
(2)事業領域3本柱の確立では、人材サービス、3D計測 BIM、CIMといったプラント解体周辺分野のサービスを拡大する事でプラント解体トータルマネジメント(戦略的アセットマネジメント)を強化する。

(3)パーフェクト3D、3D解体(注)では、プラント設備の効率的な管理に3Dデータによるクラウドシステムが必要となると推測される事から、紙面データの最新3Dデータ化、3Dデータ化による可視化・共有化し、自社開発のクラウドシステムを利用したIoT×解体による新しい価値の創造に取り組んでいく。
 
 
2017年1月期第3四半期決算
 
 
通期業績予想の達成に向け順調な進捗ながら、会計処理上の一時的な要因で営業減益
進行基準を採用している大型工事の仕様が変更となり、第3四半期(8-10月)に、一時的な収益の取崩し(1億07百万円)を行ったため営業減益となった。追加工事の契約締結が第3四半期末までに間に合わなかったため、従前から進めていた工事の中で追加発生した費用として処理された(⇒ 期初から計上した収益を一時的に一部取崩すという会計処理)、と言い換える事ができるだろう。追加工事の受注契約が締結されれば、従前からの工事と分離され、取崩した利益が再計上される。期末までには追加工事の受注契約が締結される見込みである。
 
営業利益の増減要因
営業利益は前年同期比36.0%減の1億70百万円。増収要因49百万円と原価削減要因13百万円がある一方、上記の工事仕様変更に伴う一時的な収益の取り崩し1億07百万円が発生した事に加え、人材採用、広告宣伝、3D計測事業の設備等の先行投資を計画通りに実施したため販管費が56百万円増加した。
 
 
 
受注工事高は前年同期比49.0%減の19億74百万円。前年同期比で大幅な減少だが、前年同期の受注工事高は長期大型工事(22億20百万円)に押し上げられており、これを除いた16億54百万円との比較では19.4%増。完成工事高が25億98百万円と同9.1%増加した結果、第3四半期末の受注残高は27億38百万円と前年同期末比12.7%減少した。受注工事高と同様に長期大型工事の影響による減少であり、高水準の受注残高である。
 
 
既に説明した通り、追加の受注金額を現在協議中であるため、期初から計上した収益を一時的に一部取崩すという会計処理を行った。このため、第3四半期の3か月間に限れば、営業損失となった。
 
 
同社の完成工事高は、顧客(施主)の設備投資計画に応じた季節性があり、第4四半期(11-1月)及び第1四半期(2-4月)に計上される割合が高くなる傾向がある。17/1期は、大型の進行基準工事があるため、例年に比べて平準化されるが、第4四半期に計上される割合は、例年よりも高くなる見通し。
 
 
第3四半期末の総資産は前期末と比べて19百万円増の32億43百万円。大型工事の進行で現預金が減少する一方、売上債権が増加した。配当金の支払いも現預金の減少要因であり、純資産の減少要因にもなった。一方、大型工事の進行に伴う運転資金の増加に対応して借入金3億円の借り入れを行った。第3四半期末の自己資本比率は62.8%(前期末63.6%)。
 
 
2017年1月期業績予想
 
 
業績予想に変更はなく、前期比22.2%の増収、同8.4%の営業増益
当期末までには追加工事の契約が完了する予定であり、第3四半期に取崩した利益を第4四半期に再計上できる見込み。一方、受注金額が未確定のため、追加工事分の収益については織り込んでいない。このため、通期業績予想に変更はなかった。
売上の増加と原価率の改善で人員増強や3D計測事業関連の先行投資負担等を吸収して営業利益が4億85百万円と同8.4%増加する見込み。補助金収入を見込んでいないため経常利益が同5.1%の増加にとどまるものの、当期純利益は3億13百万円と同7.0%増加する見込み。

期末配当は30円を予定しており、上期末配当と合わせて年40円となる。2016年2月の1:2の株式分割を考慮すると、実質的には記念配10円を落として5円の増配である。
 
(2)株主優待の新設
同社株式への投資魅力を高め、より多くの投資家に中長期で保有してもらうべく、株主優待制度を新設した。具体的には、毎年1月31日現在の株主名簿に記録された、1単元(100株)以上保有の株主様を対象に2,000円分のQUOカードを贈呈する。
 
 
トピックス
 
(1)解体工事業の取得
近年の解体工事に求められる品質要求の高まりを受け、建設業の許可業種が見直され、「解体工事業」が追加された。これに伴い、同社も、2016年10月25日に東京都より「解体工事業」の許可を受けた。解体工事のトレンドは安全品質重視。同社は、今回の「解体工事業」の許可取得がプラント解体工事会社としての更なる信頼の獲得につながる、と考えている。
 
同社が許可を受けている業種
建築工事業、鋼構造物工事業、土木工事業、とび・土工工事業、塗装工事業、管工事業、解体工事業
 
(2)立会外分売の実施
2016年10月21日、株式の流動性向上、株主数増加、更には株式分布状況の改善を目的に立会外分売を実施した。同社は、社会的な認知度や信用力を更に高め、企業価値向上を図る事を目的に、東京証券取引所市場第一部への市場変更を目指している。
 
 
今後の注目点
第3四半期に、第2四半期までに計上していた収益の取崩しを行ったが、保守主義原則に則り実施した会計処理である。同社の施工に不具合があった訳でも、これまでの会計処理に問題があった訳でもなく、完成基準工事であれば取り崩しの必要はなかった。受注金額が未確定のため追加工事分の収益については織り込んでいないが、業績予想に織り込んでいなかった追加工事が発生したのだから、期末までに追加工事が完了すれば第4四半期は取り崩し分の再計上と共に追加工事分の収益が計上されるはずである。このため、通期の売上・利益に上振れ期待が出てきた。遠からず実現するであろう、東証1部指定替えと共に期待したい。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書      更新日:2016年04月25日
基本的な考え方
当社では、健全な経営の推進と社会的信頼に十分に応えるべく、コーポレート・ガバナンスを最も重要な経営課題として位置付け、経営の健全性・透明性および公平性を高めることに重点を置き、法令遵守を社内に徹底させることは当然のこととし、役員全員が常に「法令違反は即経営責任に直結する」との危機感を持ち経営に臨んでおります。具体的には、経営の意思決定、職務執行および監督ならびに内部統制等について、適切な体制を整備・構築することにより、法令・規程・社内ルールに則った業務執行を組織全体に周知徹底しております。
また、株主重視の経営に徹するべく、「適正な株価形成」・「株価の持続的上昇」のための経営改革を実現し、経営のチェック機能を強化することでグローバルに通用するコーポレート・ガバナンスを確立することも重要であると考えております。その結果が、社会からの信頼の獲得に繋がることとなり、自ずと企業価値も高まり、株主の皆様にも満足して頂けるものと考えております。
 
<実施しない主な原則とその理由>
当社は、コーポレートガバナンス・コードの各基本原則を実施しております。
 
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
このレポートは当社が信頼できると判断した情報源(当該発行会社が作成した会社説明資料等)の情報に基づき作成したものですが、その正確性について当社が保証するものではなく、また当資料の一部また全部を利用することにより生じたいかなる損失・損害についても当社は責任を負いません。
本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあります。また本資料の内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。
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