ブリッジレポート
(7590) 株式会社タカショー

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ブリッジレポート:(7590)タカショー vol.29

(7590:JASDAQ) タカショー 企業HP
高岡 伸夫 社長
高岡 伸夫 社長

【ブリッジレポート vol.29】2015年1月期上期業績レポート
取材概要「上期は減収減益、会社予想未達となった。しかし、プロユース向けが伸びていることや海外事業の貢献度が大きくなっていることは注目できる・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年10月7日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社タカショー
社長
高岡 伸夫
所在地
和歌山県海南市南赤坂20-1
決算期
1月
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年1月 18,069 1,006 973 508
2013年1月 16,751 881 956 422
2012年1月 14,969 708 690 315
2011年1月 13,019 687 657 339
2010年1月 12,756 580 584 296
2009年1月 13,118 440 393 246
2008年1月 13,437 597 474 289
2007年1月 12,420 424 414 183
2006年1月 11,112 528 541 305
2005年1月 10,895 528 498 270
2004年1月 10,153 466 346 213
2003年1月 10,057 360 257 162
2002年1月 9,457 -17 -83 -89
2001年1月 9,045 523 467 177
2000年1月 8,535 580 575 258
株式情報(9/5現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
498円 12,278,452株 6,114百万円 4.6% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
17.00円 3.4% 55.29円 9.0倍 576.49円 0.8倍
※株価は9/5終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
タカショーの2015年1月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
「やすらぎのある空間づくり」を基本コンセプトに、人工・天然の竹木製フェンスやガーデンファニチャー、緑化資材等の庭園資材を製造・販売。LED(発光ダイオード)ライト等の照明機器、池・滝・噴水等のウォーターガーデンや坪庭等も手掛けている。
製造は国内及び中国、販売は国内のみならず、欧州、アジア、オセアニアへも展開。商品の企画から製造、販売までを一貫して手掛けるグループ力を強みとし、日本においても確立した市場となりつつある「ガーデニング市場」のリーディングカンパニーとして期待されている。 グループは、連結子会社18社、関連会社3社。
 
【販売ルート】
営業部門は、販売ルート別に設計・施工が必要なハウスメーカーや工務店向け「プロユース」、ホームセンターへの卸売を中心にした一般消費者向け「ホームユース」、「e-コマース・通信販売」、「輸出」に分かれる。個別ベースの売上構成比は、それぞれ54.0%、37.9%、2.5%、5.6%(14/1期実績)。
「プロユース」では、プロユーザー向けのカタログ「PROEX(プロエクス)」を業界最大の約25万冊印刷し、造園業者、設計士、エクステリア施工店、商業施設等にダイレクトメールで配布している。カタログには商品を使った庭園イメージの写真が掲載されており、この写真を見ながら実際に施工する場所と庭園の簡単な図面を書いてファックスもしくはWebで発注すると、CAD(コンピュータによる設計支援システム)、CG(コンピュータ映像)を駆使した完成予想図と共に見積書を当日中に返送し、正式な注文があれば商品を短納期する仕組み作りが確立している。
 
 
 
事業戦略
 
基本コンセプトは「やすらぎのある空間づくり」。庭での暮らし方を提案するライフスタイルメーカーとして業容を拡大させていく考え。長期的な数値目標として、25/1期に売上高600億円、営業利益50億円を掲げており、この目標達成に向け、企画からサービスまで一貫して手掛ける垂直ビジネス、中国での製造とワールドワイドでの販売を展開するグローバルビジネス、ハウスメーカーとの取組みや非住宅市場向け建材・外装等のトータル化ビジネス、LEDのイルミネーション、ソーラーライト、ローボルトライト等の近代化ビジネスの4つの取り組みを進めている。
 
【グローバルビジネス】
文化性のあるものを海外から日本に取り入れる一方、中国の九江工場で製造した、木製品、ソーラーライト、ワイヤー製品等を、世界に輸出している。このうち、ガーデニング市場が4兆円規模と言われている英国(日本は6,000億円程度)向けは日本から輸出しており、米国においては、通販会社のガーデナーズと提携しており、中国で製造した商材がすでに同社のカタログに掲載されている。この他、ドイツ、オーストラリア、韓国に展開している。ワールドワイドに展開するためには、英国のような大きなマーケットに販社を置く必要があると言う。
 
 
【トータル化ビジネス】
エクステリア(新築外構)、ガーデン(庭での暮らしの提案)、コントラクト(非住宅市場向け建材、外装)に力を入れている。「ガーデンとは、囲われた楽園。囲うものが無ければガーデンは成り立たない」という独自の発想の下、この囲うものをエクステリアと捉え、タカショーらしい独自性を重視した製品開発を進めている。
 
 
ハウスメーカーとの取組みでは、「エバーアートウッド」等が高い評価を受けており、大手メーカーのエクステリア&ガーデンカタログに掲載される商品が増えている。「5th ROOM」(庭は、リビング、ダイニング、キッチン、ベッドルームに続く5番目の部屋であり、家と庭の持つ良い部分を重ね合わせた空間である)や「スマートリビングガーデン」(後述)と言ったコンセプトも共感を呼んでいる。

コントラクト(非住宅市場向け建材、外装)分野では、景観建材事業を展開している。「エバーアートウッド」や「エバーバンブー」等の提案を強化していく考え(「エバーアートウッド」は国土交通省から不燃材料として認定されており、外装だけではなく、内装にも対応可能)。
 
 
この他、庭のプロフェショッナル集団を目指す「リフォームガーデンクラブ」を通じて問屋や施工店とのコミュニケーションを図る。更には、「エクステリア&ガーデンライティングマイスター制度」や「ウォーターガーデンマイスター制度」と言った制度を10年2月に設立、業界の活性化に向けた取り組みも盛況だ。全国49会場で実施した「エクステリア&ガーデンライティングマイスター研修会」には約1,426社(3,200名)が、全国14会場で実施した「ウォーターガーデンマイスター研修会」には540社(1,027名)が、それぞれ参加した。
 
【近代化ビジネス】
「スマートリビングガーデン」の一環として、LEDのイルミネーション、ソーラーライト、ローボルトライト等、自然エネルギーの利用や省エネタイプの商品開発や販売を通してガーデンから出来る省エネ・節電をテーマに庭からのエコを提案している。「スマートリビングガーデン」とは、スマートハウスの発想と庭から始まるエネルギーマネジメントシステムGEMSを融合させ、家と庭で「省エネ」、「創エネ」、「畜エネ」の実現する庭であり、こうした庭づくりを目指す同社の提案活動の事。
 
 
【ライフサポートビジネス】
12年4月に日本初の本格的なガーデンセンター「GARDENER'S JAPAN(ガーデナーズジャパン)」を本社隣接地にオープンした。「GARDENER'S JAPAN」は施設の半分が緑に包まれ、オープンガーデンのような長時間滞在したくなる楽しい空間造りに特徴がある。通販サイト「青山ガーデン(http://www.aoyama-g.co.jp/)」や同社発行のガーデニング専門誌「BISES」との連動を強化していく考え。
 
Gardeners Japan:和歌山県海南市南赤坂3-3 TEL:073-482-3333 FAX:073-482-3332
 
 
 
 
2015年1月期上期決算
 
 
前年同期比1.6%の減収、同43.5%の経常減益
売上高は前年同期比1.6%減の99億24百万円。プロユース部門の売上高は前年同期比8.5%増の45億47百万円。昨年より本格的に参入し、積極的に投資してきた、エクステリア市場向けの商品の販売が順調に推移した。なかでもアルミ製人工木「エバーアートウッド」を用いた「アートポート」シリーズの販売が好調に推移した。また、これらを構成する部材である「エバーアートウッド」がガーデンエクステリアで使用されるほか、一部のアイテムにおいて変色や剥がれに対する5年保証制度により建材としても使用されることから販売が好調に推移した。非住宅分野向けに立ち上げた景観建材事業部の販売も微増ではあるが伸びている、さらに、夜の庭を演出する「光」について、同社認定制度である「エクステリア&ガーデンライティングマイスター制度」の認定者(約3,200名)の拡大を図り、ローボルト(12ボルト)LEDライトならびに100ボルトLEDライト等の新アイテムを市場に投入した。その結果、照明機器の販売が堅調に推移した。
ホームユース部門の売上高は前年同期比5.9%減の32億4百万円。家庭菜園等の新商品が売上を伸ばしたものの、消費税率引上げ後の市場低迷や気候において例年よりも春の立ち上がりが遅れたことにより、ガーデン用品の売上が伸び悩んだ。また、梅雨入りが早まり、梅雨の期間が長引くなどの異常気象により日除け商品の売上が大きく伸び悩んだ。
海外展開においては、中国子会社の工場において品質基準の強化や在庫管理機能とデリバリー体制の構築を図り、販売子会社の売上が順調に増加し、増収となった。海外販売は11億73百万円で前年同期比7.3%増、海外売上比率は前年同期10.8%から11.8%に1ポイント増加した。
 
 
利益面では為替の影響等により売上総利益率が前年同期41.5%から41.0%に0.5ポイント低下した。また、今後の売り上げ拡大を目的とした先行投資となる生産設備の導入や営業拠点強化、及び経営の多角化への対応・業務効率の改善を目的とした基幹システムの導入等により販管費率は32.9%から35.9%に3.0ポイント上昇、営業利益は前年同期比41.7%減の5億6百万円となった。尚、同社では販管費には一時的要因による増加が1億88百万円(9月1日に貸倒引当金計上に伴い決算データを修正しており、これを加味すると2億67百万円と推測される)あるとしている。また、子会社整理費用、システムサポート費用、新拠点展示費用等の一過性費用が2億31百万円(7月20日を基準として1年比較した結果)あった模様。前年同期に計上した為替差損益が6百万円の差益から57百万円の差損となったこともあり、経常利益は前年同期比43.5%減の4億89百万円、四半期純利益は同43.4%減の2億89百万円となった
 
 
 
 
15/1期上期末の総資産は前期末比27億7百万円増加し、176億21百万円となった。
流動資産は前期末比25億45百万円増加し、124億64百万円。受取手形及び売掛金が同15億60百万円増の49億37百万円となった。また、たな卸資産が販売に向けた在庫保管により同5億27百万円増の41億22百万円となった。
固定資産は前期末比1億61百万円増の51億57百万円。設備投資により機械装置及び運搬具が同10百万円増の1億59百万円となった。
流動負債は前期末比33億86百万円増加し、85億38百万円。販売に向けての商品調達が先行して行われることから支払手形及び買掛金が同14億13百万円増の37億60百万円となった。また、前年度において取引銀行3行とシンジケーション方式によるコミットメントライン契約を締結し、運転資金を長期借入金から短期借入金に移行させたこと、及び商品調達が上半期に集中することにより短期借入金が同16億7百万円増の24億22百万円となった。
固定負債は前期末比5億47百万円減少し、19億36百万円。運転資金を長期借入金から短期借入金に移行させたことにより、長期借入金が同5億43百万円減の17億80百万円となった。
純資産は前期末比1億31百万円減少し、71億47百万円。その他の包括利益累計額が減少した。
15/1期上期末の自己資本比率は前期末比8.1ポイント減少し40.2%となった。
 
 
15/1期上期末の現金及び現金同等物の残高は前期末比6億4百万円増加し、27億96百万円となった。
営業CFは3億43百万円の収入(前年同期は4億43百万円の支出)となった。売上債権が11億25百万円減少し、棚卸資産が3億73百万円増加した。投資CFは固定資産取得の減少65百万円等により、1億36百万円の支出(同2億44百万円の支出)となった。これらにより、フリーCFは2億7百万円の収入(同6億87百万円の支出)となった。財務CF前年同期比84百万円収入が増加し8億19百万円となった。短期借入金が11億69百万円増加し、長期借入金が13億円減少した。
 
 
2015年1月期業績予想
 
 
7.9%の増収、同20.1%の経常増益予想
通期予想に修正はなく売上高は前期比7.9%増の194億90百万円、経常利益は同22.7%増の11億94百万円を計画する。上期好調であったプロユース向け売上を更に強化する。また、ギフトカタログ市場の売上がスタートすることや国際事業の売上伸長により上期の未達分をカバーする見通し。利益面においては、自社工場生産比率アップによる粗利率の改善や業務フロー見直しによる生産性向上、物流費等経費削減による販管費の圧縮を利益率の改善につなげる考え。
配当は1株当たり17円の期末配当を予定している。
 
 
今後の注目点
上期は減収減益、会社予想未達となった。しかし、プロユース向けが伸びていることや海外事業の貢献度が大きくなっていることは注目できるだろう。特に海外事業はマーケットも大きく、今後の大きな可能性を秘めている。足元、先行投資負担が重い局面ではあるが、今後投資回収を進める段階に入れば利益率は自ずと改善に向かうであろう。
株式市場は、円安や政策への期待感もあり上昇基調にある。しかし同社株の戻りは鈍く、PERは10倍を下回り、PBRは1倍を割り込んでいる。配当利回りも高水準(配当性向は30%を目標とする)。バリュエーションで見直し余地があり、全体の株式市場に対する出遅れ感が生じている印象もある。上期が予想に未達となったことが背景にあると思われる。下期の会社予想達成の目処がついてくれば、低水準のバリュエーションも見直されるのではないだろうか。