ブリッジレポート
(6890:JASDAQ) フェローテックホールディングス 企業HP
山村 章 社長
山村 章 社長

【ブリッジレポート vol.53】2017年3月期業績レポート
取材概要「データセンターの記憶装置やスマートフォン向けに半導体の需要が増加している。産業機器等あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の広がりや・・・」続きは本文をご覧ください。
2017年6月20日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社フェローテックホールディングス
社長
山村 章
所在地
東京都中央区日本橋 2-3-4 日本橋プラザビル
事業内容
半導体・FPD製造装置部品、太陽電池関連製品等の製造・販売及び各種技術サービス
決算期
3月
業種
電気機器(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年3月 73,847 5,678 5,675 3,256
2016年3月 69,463 4,024 3,822 2,162
2015年3月 59,078 1,671 2,030 -2,132
2014年3月 44,745 798 1,262 1,391
2013年3月 38,424 -3,608 -3,465 -6,532
2012年3月 60,088 4,124 3,287 1,715
2011年3月 57,880 6,931 6,290 4,483
2010年3月 31,541 703 524 156
2009年3月 36,653 2,790 2,097 743
2008年3月 36,625 3,057 2,414 1,903
2007年3月 32,517 2,288 2,081 1,703
2006年3月 23,946 1,210 1,040 708
2005年3月 21,105 1,762 1,456 633
2004年3月 15,000 615 -177 -645
2003年3月 12,845 111 -626 -899
株式情報(6/5現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,587円 30,842,206株 48,947百万円 8.4% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
20.00円 1.3% 129.69円 12.2倍 1,271.76円 1.2倍
※株価は06/05終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
フェローテックホールディングスの2017年3月期決算と2018年3月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
消耗品を含めた半導体・FPD製造装置部品、冷熱素子「サーモモジュール」を核とする電子デバイス、太陽電池関連製品等の製造・販売、及び関連する各種技術サービスを手掛けている。傘下に子会社等41社を擁する(連結子会社32社、持分法適用非連結子会社1社、持分法適用関連会社5社、持分法非適用関連会社1社、非連結子会社2社)。
1980年、NASAのスペースプログラムから生まれた磁性流体を応用した真空技術製品や冷熱素子として用途が広がっているサーモモジュール等、独自技術を核にした企業として誕生。創業から30年余りにわたって培われてきた多様な技術は、エレクトロニクス、自動車、次世代エネルギー等、様々な産業分野で応用されている。また、トランスナショナルカンパニーとして、日本、欧米、中国、アジアに展開し、マーケティング、開発、製造、販売、そしてマネジメントと、それぞれの国・地域の強みを活かした経営も同社の特徴。2017年4月、持株会社体制へ移行した。
 
【経営理念と行動規範】
 経営理念
  顧客に満足を
  地球にやさしさを
  社会に夢と活力を
 
行動規範
私たちは、グローバルな視点のもと、常に国際社会と調和を図り、地域社会その他私たちに関係する世界の人々の生活に貢献できる製品とサービスを提供する企業として、各国の法令を遵守することはもちろん、確固とした企業倫理と社会的良識を持って、誠実に行動します。

フェローテックグループは、新エネルギー産業およびエレクトロニクス産業を中心に高品質な製品やサービスを提案し、コスト競争力のある製品やサービスを提供することにより、お客様から信頼されて、満足を頂くことを掲げます。

フェローテックグループは、地球環境に配慮した活動を積極的に推進することを経営上の重要課題の一つとしており、最新の環境規制要求への適応を順次進めます。また、新エネルギー産業で活用できる素材・製品などを開発し、地球環境問題の解決に貢献することを掲げます。

フェローテックグループは、コア技術を活用したものづくりを通して社会に貢献し、顧客、株主、社員、取引先、地球社会などステークホルダーの方々が成長する楽しみを持てる企業であり続けます。また、企業活動に当たり法令遵守、社会秩序、国際ルールなど社会的良識をもって行動することを掲げます。
 
【事業セグメント】
事業は、半導体・FPD・LED等の製造装置に使われる真空シール、石英製品、セラミックス製品等の装置関連事業、サーモモジュールが中心の電子デバイス事業、及びシリコン結晶やPVウェーハ、結晶製造装置に使われる坩堝等の太陽電池関連事業に分かれ、17/3期の売上構成比は、それぞれ43.7%(16/3期45.2%)、17.1%(同19.2%)、25.4%(同26.6%)、及びソーブレード、装置部品洗浄、工作機械等の報告セグメントに含まれないその他13.8%(同9.0%)。
 
 
装置関連事業
半導体、FPD、LED、太陽電池等の製造装置部品である真空シール、デバイスの製造工程に使われる消耗品である石英製品、セラミックス製品、CVD-SiC製品、この他、シリコンウェーハ加工や製造装置洗浄(中国でシェア50%)等も手掛け、エンジニアリング・サービスをトータルに提供している。

主力製品で世界シェアNo.1の真空シールは、製造装置内部へのガスやチリ等の侵入を防ぎつつ回転運動を装置内部に伝える機能部品で、上記の製造装置に不可欠。真空シールの内部には創業からのコア技術である磁性流体(磁石に反応する液体)シールが使われている。ただ、いずれの分野も設備投資の波が大きいため、比較的需要が安定した搬送用機器や精密ロボット等、一般産業分野での営業を強化しており、真空シールを組み込んだ真空チャンバーやゲートバルブ等(共に真空関連の装置で使われる)の受託製造にも力を入れている。

一方、石英製品、セラミックス製品、及びCVD-SiC製品は共に半導体の製造工程に欠かせない消耗品。石英製品は半導体製造の際の高温作業に耐え、半導体を活性ガスとの化学変化から守る高純度のシリカガラス製品。太陽電池の製造プロセスで使われる石英製品である石英坩堝(太陽電池関連事業に区分)でも高いシェアを有し、この技術を活かして半導体向け高純度坩堝を育成中である。材料や加工技術を核とするセラミックス製品は国内外の半導体製造装置メーカーを主な顧客とし、半導体検査治具用マシナブルセラッミックスと半導体製造装置等の部品として使われるファインセラミックスが二本柱。

CVD-SiC(※)製品は「CVD法(Chemical Vapor Deposition法:化学気相蒸着法)」(シリコンと炭素を含むガスから作る)で製造されたSiC製品の事。現在、半導体製造装置の構造部品として供給しているが、航空・宇宙(タービン、ミラー)、自動車(パワー半導体)、エネルギー(原子力関連)、IT(半導体製造装置用部品)等への展開に向け研究開発を進めている。

この他、6インチのディスクリート半導体向けが中心の小口径ウェーハ加工(インゴットのスライス)も月産30万枚規模に達しており、小口径ウェーハの加工分野で一定の存在感を有する。
 
電子デバイス事業
事業の核となっているのは対象物を瞬時に高い精度で温めたり、冷やしたりできる冷熱素子「サーモモジュール」である。サーモモジュールは自動車用温調シートを中心に、遺伝子検査装置、光通信、家電製品等、利用範囲は広い。高性能材料を使用した新製品の開発や自動化ラインの導入によるコスト削減と品質向上により新規の需要開拓や更なる用途拡大に取り組んでいる。この他、釣り具のリール(リール内部の防水用途)や4Kテレビのスピーカー向け等で新たな用途開発が進んでいる磁性流体の収益も含まれている。
 
太陽電池関連事業
2005年に太陽電池関連事業に参入し、シリコン結晶製造装置、石英坩堝等の消耗品、及び太陽電池用シリコン製品等の製造販売を手掛けてきた。現在は市場ニーズを踏まえて、太陽電池用シリコン製品(シリコンインゴットとウエーハ)の受託生産や、インゴットの製造時に使用される単結晶シリコン用坩堝や多結晶シリコン用角層坩堝(共に石英の加工技術がベースになっている)の製造・販売が中心。消耗品である坩堝については、多様なラインナップを揃えると共にカスタマイズにも対応し、高い市場シェアを有する。
 
 
 
同社は1980年9月に設立され、磁性流体・応用製品(CPシール・真空シール)の製造・販売を開始した。ハードディスクドライブのシールとして使われたCPシールや真空装置のシールとして使われる真空シールをけん引役に事業基盤を固めた。
1990年以降は、海外展開を積極化し、91年に米国マサチューセッツ州に法人を設立、その後、92年中国杭州、95年中国上海、97年シンガポール、と相次いで海外現地法人を設立。この間、中国でサーモモジュール・モジュールの製造・販売を開始(92年)した他、半導体関連事業向け石英製品の製造・販売を開始(98年)。99年には元親会社の米フェローフルイディクス社を買収して北米・欧州へ展開した。
2000年以降は、02年に部品加工から組立までの一貫した生産技術を活かしてシリコンウェーハ加工や工作機械等の受託事業を開始(上海工場)。05年には太陽電池関連事業を開始し、インゴット、結晶製造装置、坩堝の製造・販売を本格化。更に08年にはセラミックス製品の製造・開発も開始する等で、新たな収益基盤を確立した。
そして、今、中国、アジア、北米、ロシアを含む欧州、と世界4極での事業体制の整備も進み、売上高1,000億円企業を目指す第4の成長期を迎えている。
 
 
2017年3月期決算
 
 
前期比6.3%の増収、同41.1%の営業増益
売上高は前期比6.3%増の738億47百万円。増収の主な要因は、2016年7月に連結子会社化した業務用クリーニング関連機器製造・販売の(株)アサヒ製作所の寄与(その他にセグメント)。報告セグメントでは、円高の影響で電子デバイス事業の売上が同5.3%減少したものの、真空シール、石製製品、CVD-SiC製品の好調で装置関連事業が同2.7%増加した他、太陽電池用シリコンやシリコン結晶製造装置を中心に太陽電池関連事業も同1.4%増加した。

営業利益は同41.1%増の56億78百万円。売上構成の良化や原価低減等による原価率の改善で売上総利益が同13.8%増加する中、業務効率化による経費抑制や円高によるドル建て費用の減額効果等で販管費が同5.6%の増加にとどまった。

持分法投資利益の増加(1億42百万円→2億38百万円)等で経常利益は56億75百万円と同48.5%増加。太陽電池関連事業の資産を中心に固定資産処分損 (3億43百万円)や減損損失(2億29百万円)を計上した他、災害損失(1億58百万円)の計上もあり、特別損失が増加(4億99百万円→7億31百万円)したものの、税負担率の低下(37.7%→36.9%)で最終利益は32億56百万円と同50.6%増加した。

設備投資は前期(34億40百万円)比112.8%増の73億22百万円。減価償却費は前期(43億03百万円)比16.5%減の35億93百万円。為替レート(期中平均)は、1USドル=109.44円(16/3期:121.03円)、1人民元16.41円(同:19.19円)。
 
 
 
 
半導体市場の微細化及び3D-NAND投資や韓国・中国勢の大型液晶投資及び有機EL投資が追い風となり、真空シールが同13.9%増加した。石英製品は、国内大手OEM2社と米国大手OEM2社の需要が強く、特に米国大手向けOEMは増産体制を整えたが、需要を賄いきれない状況が続いた。セラミックス製品は円高の影響を受けて小幅な伸びにとどまったが、マシナブルセラミックス“ホトベール”は、国内で自動車向けロジック用検査治具が好調に推移する中、半導体メモリー用検査治具も下期は増加に転じた。一方、海外は、メモリー用検査治具が好調だった。ファインセラミックスも、半導体の微細化や3D-NAND化により国内外で需要が増加した。半導体市場向けが中心のCVD-SiC製品は、半導体の投資及び生産増を受けて、北米、中国、日本を中心に増加。成膜装置の熱源に使われるEBガン及び金属膜の蒸着に使われるLED蒸着装置は、化合物半導体向けや通信チップ向けで、ほぼ計画線での着地となった。ウェーハ加工は6インチ以下で一時価格競争が激化したものの、下期は一転して品不足となり値上げを実施した。また、18/3期の稼働に向け、8インチ工場の建設を進めた。
 
 
太陽電池用シリコンやシリコン結晶製造装置が増加したものの、単結晶ルツボや多結晶用角槽の低迷で石英坩堝が落ち込んだ。単結晶坩堝については半導体向けへのシフトを進めており、量産及び開発の両面で進展。多結晶用角槽についてはラインの減損処理を実施した。太陽電池用シリコンと太陽電池用セルは、上期に中国での電力固定価格買取制度の終了前の駆け込み需要があったものの、下期は需要の減少と価格の低下で落ち込んだ。
 
 
民生(家電)、半導体関連、バイオ・医療機器、一般産業用途、更には中国を中心に移動通信用途も堅調に推移したものの、米国や中国での自動車販売も好調だったが、主力の自動車温調シート向けが対ドルでの円高の影響を受けた。サーモモジュールを使ったパワー半導体用基板も、日本や新顧客向けの出荷が始まった欧州で増加。増産投資が進行中である。
 
 
期末総資産は前期末に比べて133億31百万円増の921億円。借方では、長期借入金の積み増しで現預金が増加した他、8インチウェーハ用設備(71億42百万円)で有形固定資産(建設仮勘定:22億89百万円→94億31百万円)が増加。無形固定資産に、(株)アサヒ製作所の連結子会社化に伴うのれん3億31百万円を計上した(のれん償却費:1億97百万円)。
貸方では、主に(株)アサヒ製作所の連結子会社化の影響で仕入債務が増加した他、長期借入金を中心有利子負債が増加。その他固定負債も34億55百万円増加した。一方、純資産は、配当金の支払いや為替換算調整勘定の減少(△24億56百万円)で前期末並みにとどまった。期末為替レートは、1USドル=116.49円、1人民元=16.76円(前期末:120.61円、18.36円)。自己資本比率42.6%(前期末:49.1%)。
 
 
中国子会社の設備投資で投資がかさんだものの、82億18百万円(税前利益と減価償却の合計で87億07百万円)の営業CFで賄い、11億47百万円のフリーCFを確保した。有形固定資産取得支出(73億22百万円)の主な内容は、上海子会社26億37百万円、杭州子会社14億70百万円、銀川子会社19億79百万円。
 
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
 
 
2018年3月期業績予想
 
 
前期比12.4%の増収、同26.8%の営業増益予想
売上高は前期比12.4%増の830億円。引き続き構造改革に取り組む太陽電池関連事業の売上が同20.1%減少するものの、各製品に対する旺盛な需要に増産投資で応える装置関連事業の売上が同27.9%増と伸びる他、北米での自動車販売の減速を織り込んだ電子デバイス事業の売上も同6.5%増加する。

営業利益は同26.8%増の72億円。増産設備が順次立ち上がるため原価率が上昇するものの、既存設備の量産効果や自動化率の向上等で売上総利益が同10.0%増加。販管費の増加を吸収して、営業利益率が8.7%と1ポイント改善する見込み。支払利息5億50百万円(17/3期:5億27百万円)を織り込む一方、為替差益(同:2億13百万円)の剥落を想定しているため経常利益は同12.8%の増加にとどまるものの、税負担率が37%前後に低下するため最終利益は40億円と同22.8%増加する見込み。

為替レート(期中平均)の前提は、1USドル=110円(17/3期:109.44円)、16.00円(同:16.41円)。対ドルの為替感応度は、年間1円の変動で売上高9億70百万円程度、営業利益60百万円程度。設備投資は、前期の設備未払金を考慮したCFベースで前期比36.5%増の100億円(同:73億22百万円)を計画。8インチウェーハ関連を中心に装置関連事業が全体の65%を占める。減価償却費は同11.3%増の40億円(同:35億93百万円)を織り込んだ。
 
 
 
真空シールは前期比14.0%の増収を見込んでいる。半導体市場ではデータセンターに利用される3D-NANDの不足で国内及び韓国メーカーの投資が始まり、FPD市場も韓国・中国メーカーの有機EL投資が増加する。また、中国国内での受注で受託加工も前期実績を上回る見込み。石製製品は同38.9%増と大きく伸びる見込み。足元、大手OEM供給先からは生産キャパを超える受注が続いており、増産体制(稼動設備の増設)の整備を進める。業界全体でもピークアウト感はないため、装置メーカー、デバイスメーカー共に高い稼働率が続くとみている。セラミックス製品は同28.5%の増収を見込んでいる。マシナブルセラミックス“ホトベール”は、自動車向けの好調や半導体の3D化で国内が、微細化に伴う新タイプの検査治具の増加で海外が、それぞれ増加。ファインセラミックスも、半導体投資や生産の増加を受けて国内外での増加が見込まれる。CVD-SiC製品は、事業子会社の決算期変更で前期が9カ月決算だった事もあり、同73.2%増と大きく伸びる。韓国に設立した子会社がCVD-SiC製品の製造を開始する他、非半導体分野の育成に取り組む。ウェーハ加工は同14.2%の増収を見込む。値上げ効果が表れてくる他、下期には8インチ工場が本格稼働する。
 
 
石英坩堝は、太陽電池向け単結晶坩堝の減少が続くものの、中口径以上をターゲットにした半導体向けが増加する。太陽電池向け単結晶坩堝については、自社消費向けに製造を続けるが段階的に縮小していく考え。また、太陽電池用シリコンと太陽電池用セルは計画生産に徹し、安定収益の確保に努める。太陽電池用セルについては、変換効率の向上に寄与するPERC(Passivated Emitter and Rear Contact)技術の導入等で収益性の改善にも取り組む。尚、PERC技術とは高効率化の新技術で、同じ表面積から得られる発電収量を向上させる事ができる。
 
 
半導体関連や中国での通信規格の変更が追い風になっている通信機器向けの好調が続く他、欧州での新規顧客開拓でパワー半導体用基板も増加する見込み。いっぽう、主力の自動車温調シート向けは、中国での自動車販売が引き続き好調だが、米国の自動車販売に減速感がある事を踏まえて横ばいを想定している。
 
 
売上高1,000億円に向けた取り組み     賀 賢漢 代表取締役副社長 兼 執行役員事業統括担当
 
5月25日に開催された17/3期決算説明会の最後に、賀 賢漢 代表取締役副社長 兼 執行役員事業統括担当が、売上高1,000億円の達成に向けた取り組みと進捗状況について説明された。以下、説明の概要である。
 
【2〜3数年内に半導体関連の売上高を倍増】
当社は、1998年に半導体製造装置向け石英製品事業に参入し、2001年には当時の半導体ウェーハ大手東芝セラミックスから技術を導入してウェーハ加工(4、5、6インチ)を開始した。ウェーハ加工では最盛期に月産35万枚を手掛け、中国でNo.1メーカーとなった。その後、装置洗浄、真空チャンバー、CVD-SiC等を手掛け、半導体関連のビジネスを拡大させてきた。
 
年末に月産15万枚体制を目指す8インチウェーハ事業
現在、中国では半導体産業の育成が国策(「Made in China計画」)として進められており、政策の進展と共に材料需要の増加が期待できる。このため、8インチウェーハ事業を育成してく。インゴッドの引き上げから、外周研磨、切断、レベル、鏡面仕上げ、そして最終検査までの一連の工程を自社で手掛ける。既にサンプル出荷を始めているが、引き合いが多く、供給が追い付かない状態だ。インゴッドの製造は政府の補助金を受ける事ができ、電力コストを極めて低く抑える事ができる銀川工場で行う。8インチウェーハの生産は、2017年末(子会社は12月決算)までに月産15万枚体制を確立したい。当初は同10万枚を想定していたが、プロセスや生産効率の改善が進み、生産目標を引き上げた。
現在、中国のウェーハ自給率は5%に過ぎない。世界の半導体メーカーが中国展開を加速しているが、材料(ウェーハ)面での対応は進んでいない。ウェーハメーカー大手3社は、これまでの価格下落分を取り戻すべく増産投資を控えている。これに対して、当社は積極的に増産投資を進めていく。12インチの世界需要は580万枚、8インチは550万枚と言われており、当社は市況と同社の生産効率を確認した上で、30万枚体制への引き上げも検討していく。現在の能力はフル生産の場合45万枚が見込まれるが、それでも世界需要の10%にも満たない。
 
早期の売上高50億円を目指すCVD-SiC事業
CVD-SiCについては、2015年に三井造船の子会社だったアドマップを譲り受けて参入した。当時から大きな需要の伸びが見込まれており、生産能力の増強に迫られていた。本年の6月より半導体前工程向け治具となるCVD-SiCの韓国工場が新たに稼働を始めた。既存工場に比べてコストが半減する見込みだ。現在サンプル出荷を行っており、第4四半期には量産に入る。当製品は日本、韓国での生産を前提に、売上高50億円を当面の目標としている。
 
中国で60%のシェアを有する装置洗浄事業
上海、天津の他、2016年12月に稼働した内江(四川省)、主に半導体顧客を前提とした2017年3月に竣工した世界最先端の大連等、4工場を展開しており、更に武漢と中国南部に工場を建設する予定だ。武漢では、中国政府主導(「Made in China50%計画」)で半導体メーカーやFPDメーカーの育成が進められている。「Made in China計画」の下で半導体工場が増えれば装置洗浄の需要も増える。更に2工場を新設して、6工場体制を確立する事で中国全土をカバーできる。当社は中国国内の半導体製造装置洗浄で60%程度のシェアを有し、微細化に対応した装置の洗浄技術を有する唯一の企業だ。複数の大手半導体製造装置メーカーと、戦略パートナーとして中国だけでなく世界展開を進めていく事で合意している。オーバーフォールに対応できる事も、当社の強みだ。

装置洗浄を通した装置メーカーとの関係強化は、真空チャンバーや真空スペアパーツのOEM供給の拡大にもつながる。石製製品やセラミックス製品の事業にプラスに働き、1月に竣工した新工場が主要メーカーの認定を9月までに取得できる見込み。同工場の稼働で生産能力が倍増する。また、上海の組立と杭州の部品製造を一体化して生産効率も高めていく。

以上、半導体関連は2〜3数年内に売上高を倍増できるだろう。
 
【パワー半導体基板(DCB)やサーモモジュールにも期待】
パワー半導体基板(DCB)やサーモモジュールにも期待している。パワー半導体基板(DCB)は、日本の主だった半導体メーカーの認定を取得しており、中国・韓国でも主要メーカーの認定を取得済み。現在、欧州企業2社の認定を受けている。パワー半導体基板は2年後に売上高50億円を目指している。
一方、サーモモジュールは主力の自動車関連でアプリケーションの拡充が進んでいる。また、モバイル向けが、4Gから温度コントロールの要求が格段に高まる5Gへの世代交代で需要の増加が期待できる。当社は中国の通信関連向けサーモモジュールで高いシェアを持っている。この他、高い世界シェアを有するPCR(血液検査)向けや家電民生品関係の増加が期待できる。サーモモジュールは現在、月産60万枚生産しているが、これを倍増させたい。半導関連でもそうだが、電子デバイス関連もM&Aに積極的に対応していく。

一方、太陽電池関連事業は構造改革に取り組んでいくが、パートナーを探して移管する事も視野に入れている。
 
 
今後の注目点
データセンターの記憶装置やスマートフォン向けに半導体の需要が増加している。産業機器等あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の広がりや自動運転車の登場等もあり、右肩上がりの需要が長期間続きそうだ。加えて、中国においてローカル企業並みの生産基盤と営業基盤を有する同社は、中国政府が進めている「Made in China計画」の恩恵をフルに享受する事ができる。このため、19/3期には目標とする連結売上高1,000億円を達成できそうだが、1,000億円は通過点に過ぎない。17/3期は設備投資が前期比2.1倍に拡大したが、ROEが5.6%から8.4%に改善し、ROICが5.4%から6.9%に改善した事にも注目したい。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書        更新日:2017年04月20日
基本的な考え方
当社は、企業価値を高め、株主、顧客、取引先、地域社会などステークホルダーに信頼され支持される企業となるべく、経営の健全性を重視し、併せて、経営環境の急激な変化にも迅速かつ的確に対応できる経営体制を確立することが重要であると考えております。

当社グループは、持株会社である当社と当社の子会社等41社(連結子会社32社、持分法適用非連結子会社1社、持分法適用関連会社5社、持分法非適用関連会社1社、非連結子会社2社)により構成されております。
当社グループの主な事業内容は、半導体やFPD(フラットパネルディスプレイ)の製造装置等に使用される真空シール、石英製品、セラミックス製品、CVD-SiC製品、太陽電池向けシリコン結晶製造装置、太陽電池向けシリコン製品、坩堝・角槽、温調機器等に使用されるサーモモジュールの他、シリコン製品、磁性流体およびその応用製品などの開発、製造、販売であります。

平成29年4月1日現在の取締役9名の内、社外取締役2名を選任しており、また、経営環境の変化に迅速に対応できるよう取締役の任期は1年としております。月一回の定例取締役会開催に加え、重要案件が生じたときは、機動的にその都度、臨時取締役会を開催しております。

業務執行につきましては、平成29年4月1日現在、執行役員9名[内、男性8名、女性1名 / 内、取締役4名(内、男性4名)]をそれぞれ担当職務・部門責任者として配置し、業務執行上の役割分担を明確にしております。
当社は、監査役会設置会社であります。監査役会は、平成29年4月1日現在、監査役3名(内、常勤監査役1名)全員が社外監査役で構成され、企業統治の強化を図っております。

当社は、後藤法律事務所とは法務顧問契約に基づき、業務上必要に応じて法務に関わる助言を受けております。
また、会計監査人である新日本有限責任監査法人とは、監査契約に基づき会計監査を受けており、東京証券取引所JASDAQスタンダードに上場する企業として、開示規定に定める事象がおきた場合は、遅滞なく情報の開示に努めております。
 
<実施しない主な原則とその理由>
当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則を全て実施しております。
 
<開示している主な原則>
【原則1−4 いわゆる政策保有株式】
当社は、事業協力関係の維持・強化、取引関係の維持・強化、業界情報の収集・交換、安定的な資金調達の維持を目的として、政策保有株式を保有しております。

【原則1−7 関連当事者間の取引】
関連当事者との取引を行う場合には、取締役会での審議・決議を要することとしており、利害関係を有する取締役は当該議案に対し、決議に参加できないこととしております。関連当事者間の取引につきましては、他の資本関係のない会社と取引する場合と同様の条件による取引を基本とし、取引内容の妥当性について少数株主利益を害することのないよう対応しております。

【原則5−1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、会社の持続的成長及び企業価値の向上を目指し、株主の皆さまとの建設的な対話を促進し、当社の経営方針や経営状況を分かりやすく説明し、株主の皆さまの理解が得られるよう努めてまいります。
株主との建設的な対話に関する方針
(1)株主の皆さまとの対話の統括
IR担当である経営企画担当取締役を株主の皆さまとの対話を統括する経営陣として指定しております。
(2)株主の皆さまとの対話を補助する社内各部門の連携体制
経営企画室及び経理部が連携して、株主の皆さまとの対話を補助しています。
(3)個別面談以外の対話の手段の充実に関する取組み
決算説明会、スモールミーティング、個人投資家説明会、株主総会後に開催する事業説明会、各種印刷物をはじめとする様々な情報伝達手段を活用しております。決算説明会及び事業説明会では、代表取締役が自ら説明を行っております。
(4)対話に際してのインサイダー情報の管理
内部情報管理規程に基づき情報管理を徹底しております。
 
 
 
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投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。
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