ブリッジレポート
(2687) 株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア

スタンダード

ブリッジレポート:(2687)シー・ヴイ・エス・ベイエリア vol.52

(2687:東証1部) シー・ヴイ・エス・ベイエリア 企業HP
泉澤 豊 会長
泉澤 豊 会長

【ブリッジレポート vol.52】2019年2月期第1四半期業績レポート
取材概要「今期より主力事業はホテル事業及びマンションフロント事業及びクリーニング事業となる。1Qでは特にホテル事業とマンションフロント事業が・・・」続きは本文をご覧ください。
2018年8月1日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア
会長
泉澤 豊
所在地
千葉県千葉市美浜区中瀬1-7-1 CVSベイエリアビル
決算期
2月
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2018年2月 29,394 13 90 -279
2017年2月 29,452 -33 213 94
2016年2月 29,193 151 145 198
2015年2月 28,726 230 278 225
2014年2月 30,193 50 167 -878
2013年2月 27,190 -426 -354 -880
2012年2月 26,882 338 342 -369
2011年2月 28,635 601 650 233
2010年2月 26,322 416 610 235
2009年2月 25,271 571 334 -78
2008年2月 24,277 623 446 216
2007年2月 23,347 699 610 310
2006年2月 22,332 1,018 1,055 600
2005年2月 20,956 1,081 1,101 578
2004年2月 17,236 946 1,048 499
2003年2月 14,024 880 878 390
株式情報(7/17現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
770円 4,936,270株 3,801百万円 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
30.00円 3.9% 927.83円 0.8倍 377.74円 2.0倍
※株価は7/17終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE・BPSは2018年2月期実績。数値は四捨五入。
 
シー・ヴイ・エス・ベイエリアの2019年2月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
(1)沿革
1981年2月設立。「日常生活の便利さを提供できる会社になりたい」を企業理念とし、直営店主体のコンビニ事業をスタート。その後、クリーニング事業及びマンションのフロント(業務)受託事業、ビジネスホテルの運営などに事業を拡大。2015年7月には東京都中央区にユニット型ホテル(ユニット型スマートホテル)の1号店となる「東京銀座BAY HOTEL」を開業し、ユニット型ホテル事業を立ち上げた。
2018年3月、会社分割によりコンビニエンス・ストア事業の一部を、企業フランチャイズ契約を締結していた株式会社ローソンおよびローソンが新設する子会社へ譲渡した。マンションフロントサービス事業の事業領域拡大、ユニット型スマートホテルを中心としたホテル事業の更なる強化のほかM&Aなどにより、常にチャレンジを続ける企業文化の下、「選択と集中」により成長企業への回帰を目指す。
2000年12月、大阪証券取引所ナスダック・ジャパン(現:JASDAQ)市場に株式上場。2006年2月には東京証券取引所市場第一部へ昇格している。
 
(2)成長企業への回帰を目指し事業の選択と集中を実施
2017年11月22日、同社と株式会社ローソンは、両社の取締役会において、CVSベイエリアのコンビニエンス・ストア事業の一部(直営店91店舗及び加盟店5店舗の合計96店舗。以下、対象事業とする。)をローソン社及び、ローソン社が直営店舗の運営を承継する目的で新設する株式会社ローソンアーバンワークスに承継させる2つの吸収分割を行うことを決議した。
 
【吸収分割の概要】
CVSベイエリアは、対象事業に関して有する資産・債務その他の権利義務を、ローソン及びローソンアーバンワークスに承継した。効力発生日は18年3月1日。なお、同社のコンビニエンス・ストア店舗数は、18年2月末時点で104店舗であった。
分割の対価として、ローソン社より現金約44億37百万円、ローソンアーバンワークスより現金約3億33百万円の合計47億70百万円がCVSベイエリアに対して交付され、店舗内装資産、商品在庫高や引当金などの増減を差し引いて約35億円が19/2期1Qに特別利益として計上された。
この分割によりCVSベイエリアの従業員約230名のうち約160名程度がローソンアーバンワークスに承継されたほか、CVSベイエリアとフランチャイズ契約を締結している加盟店は、分割の効力発生日においてCVSベイエリアをサブ・フランチャイズ本部とする契約から、ローソンとのフランチャイズ契約に変更となっている。
 
 
【分割の目的・背景】
① 厳しさを増すコンビニエンス・ストアの事業環境
CVSベイエリアは、創業以来35年に亘り、コンビニエンス・ストアの店舗運営事業を展開し、2017年11月時点で107店舗まで店舗を拡大させてきた。
しかし、首都圏における大手コンビニチェーンの店舗数が毎年大幅に増加していることで新たな出店余地が狭まってきていることに加え、同社の主力出店地域である東京都心部においては、売上が見込める好立地は各社の出店意欲が高く、結果として店舗賃料水準が大幅に上昇していることなどから、収益性重視の観点から出店を見送らざるを得ないなど、新規出店による継続的な事業規模の拡大を図ることが難しくなっている。
加えて、近年のコンビニ業界の再編を受け、同社の出店エリアである東京都・千葉県内においては直近2年間で約500店弱の店舗が大手ブランドの店舗へと転換され、さらに今後1年間でもほぼ同数の店舗数が転換される見通しであり、大手チェーンによる寡占化がより進行することで、100店舗程度の規模であるゆえ可能な独自商品の調達やサービスの提供など、同社ならではの強みを活かせる幅が狭まる可能性があることなどが要因となり、コンビニエンス・ストア事業の方向性を検討することとした。
 
② 成長のための資金調達が必要なホテル事業
一方、2015年夏より積極的に拡大しているホテル事業は、着実に稼働率や売上高は上昇しているが、開業時計画と比較し収益化に時間を要しているほか、各施設への設備投資額が大きいため負債額も増加。今後のホテル施設の開業や不動産投資を進めるために資金調達方法を検討していた。
 
③ 選択と集中を実行。ホテル事業の強化、新規事業の創出に注力
こうした現状を踏まえ、各種検討を行った結果、ローソンが有する経営資源や出店交渉力に、同社が創業以来培ってきた店舗運営力を組み合わせることで、より付加価値の高いサービス提供が可能となり、対象事業の更なる発展が期待できると判断した。
加えて、今後も市場の拡大が見込まれるホテル事業の強化や、新規事業の創出などへの取り組みに経営資源を集約するとともに、バランスシートの改善を図ることが、中長期的に経営を安定させ、株主価値の最大化に資するものと判断し、ホテル施設に併設する店舗や今後閉店を見込む店舗などの一部店舗を除き、対象事業において同社が有する資産・債務その他の権利義務を吸収分割によりローソン及びローソンアーバンワークスに対し承継することとした。
 
(3)19/2期以後の主な事業内容
コンビニエンス・ストア事業を除いた2018年2月期の売上構成比はトップがマンションフロントサービス事業、2位がホテル事業、3位がクリーニング事業となる。
19/2期以降、主力事業はマンションフロントサービス事業となるが、コンビニエンス・ストア事業も一部継続するほか、ホテル事業の拡大、早期収益化に向けた各種施策の実行による既存ユニット型ホテル施設の早期収益化を図るとともに、新たな施設の開業のほか不動産投資事業やM&Aなどの新事業の創出などにより、数年内に分割対象事業の収益を補完することを目指す。
 
 
①マンションフロントサービス事業
2019年2月以降の主力事業。連結子会社(株)アスクほか地域運営会社3社が提供。
 
【事業内容】
マンション共有施設の案内や宅急便、クリーニングの取り次ぎ等、マンションのフロント業務を手掛けるマンションフロント(コンシェルジュ)サービス、レジデンスサポート(メンテナンスサポート、ハウスクリーニング事業者紹介等)、ミニショップやカフェの運営、更にはカーシェアリング等を手掛けている。
業界トップのマンションフロントサービスでは、首都圏を中心に870件(2018年2月末時点)の施設を受託。マンション内居住者同士のコミュニティ構築支援を目的とした、イベント開催やお祭り開催支援などのサービスも提供し、入居者の満足度向上を目指している。
また、(株)FA24との間で「クリーニング取次ぎ」や「ハウスクリーニング」サービスにおける相乗効果の創出を目指している。
 
②ホテル事業
今後の成長性や事業規模の観点から同社が最も注力していくのがホテル事業である。
 
【事業概要】
ホテル事業は、ビジネスユース及びレジャーユースを対象とし千葉県市川市及び18年6月より浦安市で運営を行っている「ビジネスホテル事業」(18/2期の事業収入構成比約32%)と、低価格ながらもより快適な空間を提供することで新たな需要を取り込むことを目指す「スマートホテル事業」(同約68%)によって構成されている。
 
<ビジネスホテル事業>
(概要)
JR京葉線市川塩浜駅前の自社所有地で、コンビニ併設の108室規模(シングル54室、ダブル12室、ツイン41室、バリアフリー1室)のビジネスホテル「CVS・BAY HOEL」を運営している。
JR京葉線 市川塩浜駅は東京駅から8駅22分、東京ディズニーリゾートのある舞浜駅まで2駅6分、幕張メッセがある海浜幕張駅まで14分の好立地。価格競争力も強く、平日はビジネス客、週末はレジャー客と安定した集客を誇る。
 
 
近隣テーマパークの入園者や、都心部でのインバウンド顧客の需要増加を背景に近年は稼働率が高まっており、15年12月17日に隣接する借地においてシングル11室、ツイン38室、ファミリー2室、ユニット区画20室(女性専用)、3階建ての新館を開業した。本館よりもやや広いゆとりのある客室空間を提供し、やや高めの宿泊料金で本館と差別化を図っている。
女性専用ユニット区画は安心清潔が好評で、18年2月期の稼働率は全体の73.9%に対し、77.6%と高稼働となっている。
 
 
*「市川塩浜第1期土地区画整理事業」現況
同事業は約116,000m2(うち約43,500m2が民有地)を対象とし、17年6月より土木(整地・道路)工事に着手済みで、現在は道路工事を実施中。同社は、地権者の減歩(換地処分が行われた際に、処分後の土地面積が従前よりも減ること)などにより捻出された保留地(約11,000m2)を17年1月、全額借入により約18億円で取得した。取得決議時と比較し建設コストの上昇や新浦安地区での競合ホテルの開業計画を勘案し、今後の自社活用地を除き、特定目的会社へ従前所有地、保留地の一部を売却した。
同社が従前より保有する土地は、換地によりホテル用地の一部に充当されている。
これらにより19/2期に特別利益26億65百万円を計上している。
 
<BAY HOTEL浦安駅前オープン>
6月9日に千葉県浦安市の東京メトロ東西線「浦安駅」徒歩1分の好立地に長期滞在にも快適なアパートタイプホテル「BAY HOTEL浦安駅前」をオープンした。
お風呂とトイレが別々、キッチン付で複数名での長期滞在可能なアパートタイプホテル。出張などのビジネス客から学生の就職活動、家族やグループ旅行に適している。
同社のホテル事業としては新たな取り組みとなり、注目される。
 
 
<スマートホテル事業>
(背景)
都心部を中心に増加を続ける「宿泊需要」は量だけでなく、質にも大きな変化が生じている。
国内では成田空港へのLCC各社の就航と成田への格安バス(高速バス)の拡充、海外からはアジア各国の成長による観光需要の増加とLCC各社の日本路線の新規開設。
これらを背景に国内では都心部の宿泊料金上昇に伴い低価格な宿泊施設への需要が増加。また、海外からの訪日経験者が増えるに従い、気軽な旅行者が増加し、低価格化した交通費と合わせた旅行費用の低予算化が進んでいる。
一方、従来の都心での宿泊事情は、観光客、ビジネス客、女性客がシティホテルやビジネスホテルを利用するのに対して、価格の安いカプセルホテルは仕事や飲酒で終電に乗り遅れた客が利用するもので、「自宅の睡眠替わり」、「安いが汚い」といった芳しくないイメージが定着していた。
こうした中、宿泊需要を獲得するためには若者や女性、外国人観光客など新たな顧客層を獲得するためのイノベーションが不可欠と考えた同社が、より快適で安心な空間を低価格で提供することでこれらの需要を取り込むためにスタートさせたのが「スマートホテル」である。
 
(概要)
「スマートホテル」は、賃借した既存建物をコンバージョンして運営するユニット型ホテル。第1号物件として15年7月に「東京銀座BAY HOTEL」を開業。18年5月末現在、東京都心を中心に6施設の運営を行っている。
「日本らしさ」をコンセプトに内装やユニフォームを統一。また、「共有スペース」や「パブリックスペース」などをゆとりある配置とすることで出張や観光需要にとどまらず女性客や外国人観光客獲得を目指している。
 
 
(収益確保のための施策)
黒字の定着化、利益拡大に向け、下記のような取り組みを実施している。
昨年まで外国人旅行者向けPR活動が不足していたことから、海外OTA(※)との提携拡大、HPの多言語化対応、「外国人向けの観光サイト」を通じた施策など、様々なプロモーション、マーケティング施策を展開している。
また、「女性専用カプセルホテル」、「アニメ・ゲームコンテンツとのコラボ部屋」など話題性を充実させることで、TVや雑誌などの取材を通じた露出拡大を図っているほか、新たに株主優待制度の導入しマネー誌への掲載を通じた宣伝も積極的に展開している。
※OTA(Online Travel Agent):インターネットを通じた旅行商材の販売を専業とする旅行会社
 
 
株主数の増加に加え、優待券利用者による「広告宣伝効果」や「再宿泊需要の増加」にも期待している。

なお、春休み、年度末、花見、GWシーズン期間中は、インバウンド客を含め宿泊需要が旺盛で、稼働率が高い期間が続くことなどを考慮して、優待利用可能期間から除外しているとのこと。
 
 
2019年2月期第1四半期決算
 
 
前年同期比62.1%の減収、65百万円の経常損失
営業総収入は前年同期比62.1%減の28億22百万円。コンビニエンス・ストア事業の再編による店舗数の大幅な減少を受け、全店売上高が減少したことによるもの。ホテル事業及びマンンションフロントサービス事業、クリーニング事業はいずれも増収。営業損失は31百万円(前年同期は52百万円の利益)。コンビニ事業が減益だが、ホテル事業やマンションフロントサービス事業は大幅な増益。一般管理費において、コンビニ事業の移転利益及び固定資産売却利益に掛かる外形標準課税の付加価値割部分の増加を受け租税公課を前年同期と比較して多額となる95百万円(前年同期は28百万円)計上している。また、所有する投資不動産に係る修繕工事の一部において、前期から今期に完工時期がずれ込んでいた工事が完工したことで、不動産管理費用が前年同期と比較して増加。このため、経常損失65百万円(前年同期は49百万円の利益)となった。一方、株式会社ローソン及び株式会社ローソンアーバンワークスに対し、コンビニエンス・ストア事業の一部を吸収分割方式により承継したことに対する移転利益35億4百万円、保有していた市川塩浜地区の土地の売却に伴う固定資産売却益26億65百万円を特別利益として計上した。これらにより、親会社株主に帰属する四半期純利益は34 億92百万円(前年同期は11百万円)となった。
 
 
ホテル事業
事業収入4億8百万円(前年同期比7.2%増)、セグメント利益49百万円(同133.0%増)。
ホテル業界では、訪日外国人観光客数が過去最高を更新し続けるなど、国内の宿泊需要は継続して拡大している。しかし、東京都心部を中心に新規ホテルの相次ぐ開業により、需要の伸長を上回って供給客室数が増加した。これを受けてホテルの稼働率や客室単価が伸び悩みを見せているほか、民泊ビジネスの動向にも注視していく必要がある。こうした中、JR京葉線の市川塩浜駅前で手掛けているビジネスホテル「CVS・BAY HOTEL本館」、「CVS・BAY HOTEL新館」は、舞浜駅まで2駅6分の好立地であることや、舞浜地区のホテルと比較しリーズナブルな価格で宿泊を提供していることで支持を得て、友人同士や家族連れの顧客を中心に多くの利用がある。
ユニット型ホテル事業では、都心において手頃かつ快適な宿泊サービスを提供することで、ビジネスの顧客だけでなく、旅行やイベントの際の利用もある。また、全てのホテルに女性専用フロアを設置することで、安心・安全に宿泊したい女性顧客からも好評を得ている。リピーター顧客が増加していることに加え、海外の予約サイトを通じた販路拡大を行うなど、訪日外国人観光客の取り込みを強化したことで、花見シーズンを中心に海外からの顧客が増加した。また、様々なゲームコンテンツとコラボした宿泊プランを継続的に企画するなど、売上高、稼働率の伸長が続いているとともに、収益の改善も着実に進んでいる。
なお、18年6月に千葉県浦安市に、ファミリー層や長期滞在の顧客など、新たな宿泊者層の取り込みを目指し、住宅用途の新築物件をコンバージョンし、キッチンを完備した宿泊施設「BAY HOTEL浦安駅前」を開業したことによる不動産仲介手数料などの開業準備経費の一部を1Qに計上している。
 
マンションフロントサービス事業
事業収入14億89百万円(前年同期比1.2%増)、セグメント利益81百万円(同99.2%増)。
マンション業界では、都心部のタワーマンションの販売が好調に推移し、市場を牽引している。一方、建材費や人件費の上昇を受けた建設コストが高止まりを続けていることで、郊外における新築マンションの供給戸数は減少傾向が見られるなど二極化が進行している。加えて、都心部においても再開発事業などにより、今後も一定の供給は続くものの、建設に適した用地はホテルなどの他業種の取得意欲も強く、新規販売戸数の大幅な増加を見込むことが難しくなってきている。こうした中、同社ではマンションコンシェルジュによる「ホテルライクなマンションライフ」の実現を目指し、高品質、かつ、差別化されたサービスによるブランド価値向上に取り組んでいる。住居者向けイベントの提案及び開催支援のほか、カタログ商品やハウスクリーニングの予約活動も進めている。また、人材派遣サービスでは、認知度の向上や都内を中心とする人手不足の顕在化を受けて、派遣先企業数、売上高が伸長している。
1Q末現在の総受注件数は1,019件。前期より収益性を重視した運営体制構築のため、不採算物件の解約を順次進めており、フロントサービス受託件数は減少したものの、人材派遣先企業数が伸長した。なお、今1Qより、従来までのフロントサービス受託件数に加え、マンション住居者向けポータルサイト「OICOS」及びカーシェアリングサービス「カテラ」単独での導入物件数、人材派遣先企業数を加えた総受注件数に記載内容を変更している。利益面では不採算物件の解約による収益改善及び業務効率化によるコスト削減に努めたことにより大幅な増益となった。
 
クリーニング事業
事業収入3億88百万円(前年同期比6.6%増)、セグメント利益21百万円(同2.4%増)。
クリーニング業界では、1世帯あたりのクリーニング支出額は年々減少しているほか、需要の減少だけでなく、洗濯や配送コストの上昇が続いている。これらにより、クリーニング所・取次店の閉鎖が進むなど、近年のクリーニング業界を取り巻く環境は厳しさを増している。こうした中、同社ではマンションフロントやコンビニエンス・ストア店舗での便利、かつ、高品質のクリーニングサービスを提供しており、保管付きクリーニングが需要の高まりを受け好調に推移した。法人向けクリーニングにおいても、ホテルや社員寮、公共施設などの案件獲得を進めており、取引先件数の増加によるベースアップが寄与して増収となった。また、自社工場と商品管理センターによる、制服のクリーニングからメンテナンス、在庫管理までを一元管理するメリットを活かしたトータルサービスの拡大を進めている。加えて、ハウスクリーニングサービスでは、グループ会社がフロントサービスを提供しているマンションや社員寮などを中心に、お掃除代行サービスの引き合いも多い。利益面では自社工場のクリーニング工程の一部に自動化設備を導入するなど、業務効率化を進めている。
 
コンビニエンス・ストア事業
事業収入5億44百万円(前年同期比89.6%減)、セグメント利益16百万円(同82.3%減)。
コンビニ業界では、大手チェーン同士の経営統合などにより、大手3チェーンによる市場の寡占化が進行していることで店舗の純増数に伸び悩みが見られる。一方、集客が見込める都市部においては積極的な出店が続いていることから、大手各チェーンの既存店客数が前年に対し弱含む状況が続いており、個店の集客力向上への取り組みが課題となっている。こうした中、事業の一部を吸収分割方式により承継し、18年3月以降直営店8店舗での運営体制へと大幅な組織再編を行い、事業規模を縮小した。運営を継続する8店舗は主に、特殊立地に属していることから、より立地特性に対応した店舗運営に取り組んでいる。本部施策に加え、店舗毎に重点カテゴリーを設定し、品揃えの拡充及び販売施策を行うとともに、大規模イベントに対応した商品施策を実施した。また、マネジメントスキルの底上げに注力した研修を定期的に開催するなど、人材育成制度の充実にも取り組んだ。なお、コンビニエンス・ストア事業の再編による店舗数の大幅な減少を受け、全店売上高が減少している。また、承継対象店舗に係る諸経費を計上していることに加え、既存店客数が前年を下回る傾向が続いていることから、セグメント売上、利益ともに減少した。
 
その他事業
事業収入49百万円(前年同期比18.7%減)、セグメント利益5百万円(同1.3%減)。
その他事業では、保有もしくはコンビニエンス・ストア事業に関連した不動産賃貸管理のほか、ヘアカットサービス店舗やネットカフェ店舗の運営など、各種サービスの提供を行っている。尚、コンビニエンス・ストア事業における吸収分割に伴い、ヘアカットサービスの一部店舗の運営形態を見直している。
 
 
1Q末の総資産は、前期末比3億52百万円減少し、132億67百万円となった。現預金が35億91百万円増加し、商品が4億20百万円、繰延税金資産(流動)が5億62百万円それぞれ減少したことなどにより流動資産が26億33百万円増加した。一方、土地が 4億34百万円、敷金及び保証金が5億96百万円、投資不動産が18億9百万円それぞれ減少したことなどにより固定資産が29億85百万円減少した。
負債合計は、前期末比37億46百万円減少し、80億9百万円となった。未払法人税等が19億69百万円増加した一方、短期借入金が35億円、 預り金が19億91百万円それぞれ減少したことなどにより流動負債が32億34百万円減少した。また、長期借入金が2億 48百万円、資産除去債務が2億32百万円それぞれ減少したことなどにより、固定負債が5億11百万円減少した。
純資産は、前期末比33億93百万円増加し、 52億58百万円となった。剰余金の配当を行ったほか、親会社株主に帰属する四半期純利益を 34億92百万円計上したことによるもの。
自己資本比率は前期末比25.9ポイント増の39.6%となった。
 
 
2019年2月期業績予想
 
 
62.6%の減収、38.9%の経常減益予想
通期予想に修正はなく19/2期は62.6%減収、38.9%経常減益を見込む。1Qに95百万円計上した租税公課については、2Q以降はコンビニエンス・ストア事業の事業規模縮小に伴い前期より減少する見通し。ホテル事業では、今後もマーケティングの強化によるセグメント収益の改善を図っていくとともに、事業規模の拡大に努める考え。マンションフロント事業では、コンシェルジュの接客レベルの向上のため、定期的に社内研修を継続して実施しており、今後も住居者の皆様の安心・快適なマンションライフの提供に取り組む。また、これまでのマンションフロントサービスで培った受付、教育のノウハウを活かした、新たな成長領域への取り組みとして、企業やシェアオフィス、公共施設の受付業務の獲得を進めており、今後も非マンション施設案件の拡大に努めていく。クリーニング事業では、個人のクリーニング需要は減少傾向が続く中、販促セールの実施など需要喚起に引き続き努める。
配当は30円(うち上期10円)を見込む。
 
 
 
今後の注目点
今期より主力事業はホテル事業及びマンションフロント事業及びクリーニング事業となる。1Qでは特にホテル事業とマンションフロント事業が好調なスタートとなった。租税公課の影響等もあり営業・経常損失となったが、2Q以降に取り戻せそうだ。マンションフロント事業とクリーニング事業は比較的安定している。反面、稼働率の変動の影響を大きく受けるホテル事業が全社利益変動に与える影響も大きくなりそうだ。ユニット型ホテルでは稼働率が70%程度にとどまっており、今後の改善余地を大きく残している。
事業譲渡に伴い、自己資本比率は39.6%と前期末13.7%から大幅に上昇、現預金は前期末17億61百万円から53億53百万円へ3倍増。豊富なキャッシュを背景にM&Aも視野に入れており、今後の資金の有効活用にも注目したい。
なお、PBRは18.2期実績ベースでは2.0倍だが、1Q末ベースでBPSは大幅に増加している。実体ベースでPBRは0.7倍程度となっており、財務面から株価の見直し余地が生じている。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
コーポレートガバナンス報告書
最終更新日 2018年6月8日
 
<基本的な考え方>
当社は、経営理念として制定している「明日への誓い」のなかで、全てのステークホルダーに対して“より良き明日の実現”を誓い、実践する経営に取り組んでおります。当社の手掛ける事業を通じて、従業員・株主やお客様だけでなく、地域社会へ貢献することにも取り組むよう心掛けており、そのためには、コンプライアンスの遵守を基本とした、コーポレート・ガバナンスの充実を図り、経営の諸問題に対し、真摯に向き合うことが重要であると考えております。そのため、「企業行動基準」を定め、同基準をもとに取締役および従業員が法令および定款などを厳守した行動を行うよう周知を実施しております。

また、当社は監査等委員会設置会社制度を採用しております。
これは監査等委員である取締役が、取締役会において議決権を行使することを通じ、取締役会の監督機能を強化し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指して、コーポレート・ガバナンスの強化を図ることを目的としております。

当社職務執行が適正かつ効率的に行われるよう、社外取締役および監査等委員である社外取締役(独立役員1名含む)の出席のもと、毎月定例で取締役会を開催し、法令・定款および取締役会規程に従い、各業務執行取締役本部長や業務執行役員および子会社の取締役より職務執行に関する報告を実施しているほか、重要事項の審議・決定を行うことでグループ全体の業務の適正に努めております。
また、子会社に対しても「企業行動基準」を横断的に運用しているほか、当社において「関係会社管理規程」を設け、子会社業務を所管する部門を定め適時監督を行うなど、子会社業務の適正の確保に努めております。

また、業務が適正に行われているかを確認し、必要に応じては是正を勧告する独立した機関として、監査等委員会および内部監査室を設け子会社を含めた定期的な監査業務を実施しております。

なお、各従業員に対し、日頃の業務時に振り返ることができるよう、行動指針の要点をまとめた携帯可能なガイド冊子を配布しているほか、企業倫理・コンプライアンス・リスク対応をレベルアップしていくことによりお客様満足の向上を実現させていくことで、株主の皆さまから期待されている企業価値の向上が実現できると考えております。
 
<コーポレートガバナンスコードの各原則を実施しないおもな理由>
補充原則1-2-4.議決権行使プラットフォームの利用及び招集通知の英訳
補充原則3-1-2.英語での情報の開示や提供
当社の株主における海外投資家の比率は相対的に低く、現状の議決権行使状況に大きな支障はないものと考えているため、コスト等を踏まえ、議決権電子行使プラットフォームの利用、招集通知の英訳及び英語での情報開示は実施しておりません。今後につきましては株主構成(外国人株主や機関投資家の株式保有比率など)や議決権行使状況、あるいは株主の利便性を考慮の上、検討を進めてまいります。
 
原則1-3.資本政策の基本的な方針
当社は、これまで公募増資や立会外分売を行ってきたことで、経営陣である創業者及びその関係者による持株比率の低下が進んでまいりましたが、現在も創業者及びその関係者が議決権の過半数を所持しており、上場企業として、所有と経営の分離のあり方については、今後の検討課題と認識しております。
また、新株発行による資金調達については、既存株主の利益を不当に毀損することがないよう、当社の中長期的な成長を実現し、利益の拡大が見込まれるなど、その必要性や合理性について取締役会で審議・監督してまいります。また、その内容については、株主の皆さまに対し適切に開示、説明を行うこととしております。
収益につきましては、将来の企業価値拡大のための事業投資に備えた内部保留の充実をはかりつつ、株主の皆さまへ安定的かつ継続的な利益還元を行ってまいります。