ブリッジレポート
(9616) 株式会社共立メンテナンス

プライム

ブリッジレポート:(9616)共立メンテナンス vol.2

(9616)共立メンテナンス 石塚晴久社長
12月10日(月)

共立メンテナンスをフォローアップで訪問しました。
中間決算の状況と中期経営計画「Compass 5 Ⅳ」について、石塚社長、IR担当の榑松室長にお話を伺いました。 地下鉄銀座線末広町のすぐ側にある、共立メンテナンスを訪問しました。



石塚 晴久社長

事業内容
事業内容を簡単におさらいします。

「学生寮、社員寮事業」
ドミトリー(学生寮、学生会館)、ドーミー(独身寮、単身赴任社用社宅)、ドミール(ワンルームマンション)の運営・管理を行います。全国274ヶ所にあります。
学生寮事業のマーケットシェアは47%(2001年3月)、社員寮事業のマーケットシェアは43%(2001年3月)とダントツ。

「寮・食堂の受託事業」
全国211ヶ所で行っています。

「リゾート事業」
軽井沢、熱海、伊東、那須など9ヵ所で、主に企業向けに賃貸式の保養所を運営しています。一般客の利用も可能です。


「長期滞在型ビジネスホテル事業」
ドーミーインの名前で、全国11ヵ所にビジネスホテルを展開。研修施設付のセミナーホテルも。

「外食事業」
居酒屋などを首都圏中心に17店舗を展開。

「シニアライフ事業」
高齢者用の食事付など高齢者向けの賃貸住宅を3ヵ所で運営しています。在宅介護なども計画しています。

学生寮、社員寮でスタートし拡大してきた同社は、ここに挙げた保養所、ビジネスホテル、外食などに数年前から進出し、事業領域の拡大を図っています。

 

2002年3月期中間期の概況(連結)
表のように大幅な増収増益となりました。

売上高
23,639百万円
前年同期比
+22.5%
経常利益
2,302百万円
前年同期比
+29.6%
純利益
1,267百万円
前年同期比
+71.0%

大幅な増益となった要因としては下記の各点があげられます。

  1. 主力の寮事業の稼働率が大幅に改善しました。
    前期は94%だった、「全国期初稼働率」は98%となりました。
    大阪では不採算の4棟218室を廃寮にしたり、首都圏では低稼働の寮を6棟一括賃貸に切り替えるなど、前期実施したスクラップ フォア ビルドによる不採算物件の解消、料金制度の見直しによるコストダウンの実現のほか、内部管理体制強化による原価の圧縮などが寄与しています。
    今までは専門学校の寮が中心でしたが、ここのところ普通大学の学生数が伸びているということです(学生寮契約の20%)。従来は、普通大学が特定企業の運営する寮を学校指定寮とすることはあまりなかったのですが、同社の実績、信用力などが認められたということでしょう。
    また、学校に限らず企業も含め、自社で寮を保有するのではない「持たざる経営」がより一段と浸透しているという側面も強いようです。
  2. ビルネット取得効果。
    今年3月にビル設備管理、賃貸代行などを手がける日産グループの企業、株式会社ビルネット(旧:日産ビルネット)を買収しました。同社は契約企業約350社のキャッシュ・リッチな優良企業ですが、取得後に外注費、人件費などコスト削減による収益構造の改善に着手し、計画以上の成果を残すことができました。
    また、テナントの入れ替えに伴う大口リフォームの増加も貢献しました。

セグメント別で見ると、ビジネスホテルも利益が出るようになってきたということです。

 

今期(2002年3月期)の見通し
上期の好調を受け、通期予測を上方修正しました。(カッコ内は修正前)

連結売上高
50,350百万円
(50,600百万円)
連結経常利益
3,540百万円
( 3,300百万円)
連結当期利益
1,800百万円
( 1,600百万円)

売上高の下方修正は狂牛病騒動の中、飲食店の出店取りやめが2件あったためです。ただこれはもともと投資が先行しており、利益には影響ありません。
下期のハイライトとしては、「広島・札幌にビジネスホテルをオープンし事業拡大」、「ホテル事業のレストラン部門を子会社・共立ケータリングサービスで一括管理し合理化を図る」、「寮事業においては好立地物件の取得により事業を強化」といった点があげられます。

 

中期経営計画「Compass 5 Ⅳ」

石塚社長は毎年、年度テーマを年初に設定します。今年のテーマは「守成」。 これは、「創業は易し、守成は難し」という故事から来ているそうです。つまり、創業22年を迎えた同社にとって創業期は終わり、第2の発展期がスタートしたというメッセージです。その難しい守成をいかにして達成し、新たな成長路線を築くかという戦略が「Compass 5 Ⅳ」(2002年3月期~2006年3月期の5カ年計画)です。

「Compass 5 Ⅳ」は、グループの事業分野を、「ライフ・ソリューション」と位置付け、食と住を中心としたノウハウとネットワークにより、人々のライフステージ上の様々なニーズ・問題を解決し、快適な生活をサポートすることであることを再確認するというところからスタートします。
そして具体的には、以下の5点をあげています。

  1. 寮事業の拡大と収益力の強化:競争力があり、市場拡大余地も大きく、メインエンジンとして中期的な中核事業と位置付け。
  2. 寮周辺事業の積極拡大:収益モデルがほぼ確立した受託事業、賃貸マンション事業について、サブエンジンとして中期的に寮事業に次ぐ収益の柱とする。
  3. ホテル・外食事業のビジネスモデル確立と収益力強化:巨大市場において、寮事業のケアと食のノウハウを活かした特色を確立し、寮事業、周辺事業に次ぐ収益化を早期に実現。
  4. シニアライフ事業のビジネスモデルの確立(有望事業):将来の並列中核事業候補として研究開発投資を継続してビジネスモデルの確立を急ぐ。
  5. 総合ビルマネジメント事業基盤作り:住の領域で培ったノウハウと、ビルネットのノウハウの融合でプロパティマネジメントにおいて特色と技術力で確固たる事業基盤を確立。

中でも寮事業に関しては、同社のメインターゲットである専門学校生の深耕拡大とともに、大学・短大の指定寮を狙い、積極的な提携アプローチを行っていきます。
また、社員寮においては、企業の寮、社宅売却の流れと単身赴任者の増加(社員寮契約の約40%を占め、伸び率10%)の中で、アウトソーシング受託のための様々なプランを提案していきます。
他の事業分野においても、現在の課題をしっかりと認識した上で、きめ細かな対策、戦術を進めていきます。

そして、以上のような多角化を進めながら、

  • 本体は、最も競争力がありまた成長が見込める「寮事業」、「受託事業」、「シニア事業」へ寮関連事業を集約
  • 「外食事業」、「ビジネスホテル事業」、「リゾート事業」は独立採算を強化し、分社化による活性化を目指す。

というように、最終的な姿としては事業持株会社化へと進む方針です。

こうした戦略の下、最終年度である2006年3月期には、

連結売上高
750億円
連結経常利益
60億円
連結EPS
280円
連結ROE
10.5%

を目指します。

 

訪問を終えて

前回のレポートでも触れましたが、石塚社長はEPSをいかに高めるかによって株主の期待に応えていくと考えています。そしてEPSがある水準を超える自力・実力がついたと判断すれば超えた分を分割などで株主に還元していく方針です。
今期予想通りの数字となれば、「23期連続増収増益」という抜群の安定感・安心感に加え、前期まで5期連続増配、「Compass 5 Ⅳ」の中でも、IR強化を打ち出しており、株主に対する姿勢は極めて明確です。