ブリッジレポート
(6914) オプテックスグループ株式会社

プライム

ブリッジレポート:(6914)オプテックス vol.3

(6914)オプテックス  小林 徹社長
1月10日(木)

大津のオプテックスをフォローアップで訪問しました。
小林社長とIR担当の石田さんにお話を伺いました。


小林 徹社長


事業内容

<防犯用製品>
不審者の侵入を感知するシステムで、店舗用、家庭用など幅広く利用されています。今後の注力分野と考えています。
売上の50%。室内用防犯センサー、世界シェア 10%でトップ 。

<自動ドア用製品>
感知式、接触式など赤外線を用いたもので、ビル、店舗をはじめ最近では工場用自動ドアセンサーも開発されています。
売上の23%。国内シェア50%、世界シェア30%でトップ。

この他にも、センサー技術を利用したものとして、産業機器用製品では、非接触温度計(物体の遠赤外線により温度を計測。触らずにすむので、安全性に優れる。)、環境関連製品では、透視度センサーなども手がけています。

 

足元の状況

業績の方は、ほぼ計画どおりに進んでいるということです。
事業分野別で見ると、売上の約半分を占めるセキュリティ関連が昨年後半より強基調となり、国内外では国内がよく伸びたそうです。
昨年は、大阪・池田の小学生殺傷事件をはじめショッキングな事件が多発したことに加え、ピッキングの件数増加、自動車盗難、犯罪のプロ化など社会不安が増大した年でした。
こうした事象を背景に、セキュリティマーケットは着実に拡大しています。
大手警備会社の契約件数も今までは年間10,000件というペースだったのが昨年は4―5倍のペーストなっているそうです。店舗など今までは警備会社があまり入っていなかった所にも、金庫破りなどの被害多発で需要が生まれているのが要因です。
同社の製品の中では、「画像監視システム」が伸びています。
これは、デジタル技術を利用して、「待機状態から作動状態」へのタイムラグを無くして、侵入の瞬間を撮り逃すことをなくすとともに、繰り返し録画しても高画質を維持し、テープやヘッドの交換も不要として、ランニングコストを大幅に削減するものです。
国外では、アウトドア用ビームセンサーが伸びています。これは、工場や電気、ガス、水道といったライフライン監視に用いられるもので、9月11日の同時多発テロ事件以来オファーが増えているそうです。
その他の分野、自動ドア用製品、産業用機器製品などは不況による設備投資抑制の影響を避けられず今ひとつの状況だそうです。

 

英国でM&Aを実行

昨年11月に英国の子会社オプテックス(ヨーロッパ)が、屋外用センサの専門メーカーでイギリス最大手のSECURITY ENCLOSURES LIMITEDを410万ポンド(約7億円)で100%子会社としました。
監視カメラシステムの高性能化に伴い、監視カメラ起動用センサの需要が高まっておりそのセンサにSEL社のセンサが有効活用できると考えたためです。
従来の機械警備市場が年率5%程度の伸びに対し、監視カメラを使ったシステムの伸びは15%とも予想されており、特にイギリスでは超高性能監視カメラ(50-100m先まではっきりと見える)が伸びているそうです。SEL社は売上の70%がイギリス国内向けで、オプテックスとしては同社のブランド力と営業ルートを活用することと、将来的には、アメリカ市場に対し、監視カメラのシステムコンセプトを含めて拡販していくことを考えています。

 

第二創業期の取り組み

小林社長はこのため2001-2005年の中期5ヵ年計画の中で、この5年を「第二の創業期」と捉え、もう一度旺盛なチャレンジ精神を各自が自覚するための改革を実行しています。
「第二創業期」における主眼は人材の育成であり、その基礎作りとしてカンパニー制の導入を行いました。子会社とともにビジネスユニットごとの自立、経営者層の育成を図るため機能別組織から「完結型事業部制」へ移行しました。(2002年1月実施)
また、顧客に対しただ単に機械を売るのではなく、問題解決提案のソリューションビジネスを拡大させていくために必要な人材育成にも力を入れています。
こうしたソリューションは様々な外部とのアライアンス、コンソーシアムの構築が必要であり、そうした展開を進めることのできる人材、能力を開発するためにその資質のあると認めた人間には様々な職種を経験させ、キャリアパスを積ませる方針です。 
また給与制度、人事制度の改革も進めていくそうです。

 

訪問を終えて

5月に訪問した際、小林社長は社内における「適度な危機感の欠如」を感じ、改革に取り組んでいるとおっしゃっていました。
「進捗状況はどうですか?」との質問に、「現在は5合目。年内中に8合目まで登りたいと思っています。ただ永遠に山頂はありませんが」とのお答えでした。ただ、社内の雰囲気はずいぶん明るく、一人一人の意識が変わってきたことは強く感じているそうです。
同社は第二創業期中の2004年5月で設立25年を迎えますが、この時期を目指して、継続的に発展できる形を作っていきたいと考えています。
そのために、事業提携、M&A等を通じた事業拡大とともに、認知度向上、機動的な財務戦略を図り、昨年東証2部へ上場しましたが更なるステージアップも視野に入れています。
「セキュリティ」という今後確実に需要が増大することが見込まれるマーケットに軸足を置く同社の「第二創業期」の歩みを注目したいと思います。