ブリッジレポート
(6914) オプテックスグループ株式会社

プライム

ブリッジレポート:(6914)オプテックス vol.4

(6914)オプテックス  小林 徹社長
4月19日(金)

2月に東証アローズで開かれたオプテックスの2001年12月期決算説明会に出席。
その後、大津の本社で小林社長、IR担当の若林さんにお話を伺いました。


1.2001年12月期決算概要

売上高
11,507
( 11,240 + 2.4%)
営業利益
1,173
(  1,081 + 8.6%)
経常利益
1,305
(  1,213 + 7.6%)
当期純利益
544
(    620 -12.2%)


産業用機器製品が国内外の不況による民間設備投資の減少を受け落ち込んだものの、海外での自動ドア製品および国内における防犯製品の営業効果で画像関連製品が好調であったことにより、増収・増益とはなりましたが、利益面では円安効果もあったため、小林社長としては中身に満足していないということでした。(1ドル=100円前提)


小林 徹社長


純利益に関しては、特別損失として時価会計による評価基準の変更で有価証券評価損、役員退職慰労金などにより減益となりました。

分野別売上構成

セキュリティ用
52%
自動ドア用
22%
産業用
25%
環境監視用
1%

今期見通し

売上高
13,700
(+19.1%)
営業利益
1,270
(+ 8.3%)
経常利益
1,290
(ー 1.1%)
当期純利益
770
(+41.5%)

売上に関しては、昨年末に買収した英国SEL社の寄与と、前期約5億円だった画像関連機器が12億円と倍増すると予想しています。
利益面では前期のような為替益を見込んでおらず、かなり堅めの数字だということです。

 

2.足元の状況

今期に入ってからの足元の状況などをお聞きしました。

現状は、売上、利益ともに順調に推移しています。
セキュリティは引き続きフォローの風で好調、自動ドアは底打ち、産業用機器は売上は若干下回るものの利益は堅調のようです。
海外と国内で見ると、為替を考慮すれば海外は堅調、国内に底入れ機運が見えるとのことです。
セキュリティに関しては以下のような状況です。

  • ドアホンのOEM供給は4月から供給が開始されました。サンプルの引き合いは来ていますが、本格的な反応はまだのようです。
  • 同社はセキュリティに対する考え方として、侵入を通知するだけでなく、「侵入させないように威嚇・防御する」というコンセプトを持って製品の開発を行っています。
  • 大手清掃用具レンタル会社とのアライアンスは今までの情報収集を基にコンセプトを修正して立ち上げていきます。また、その他金庫会社、警備会社などとの提携の話も進んでいるそうです。
  • 昨年買収した英国SEL社は計画を大きく上回って好調です。米国への販路拡大を今後狙っていきます。小林社長によれば「大化けする可能性」があるそうです。

 

3.経営理念:小林流「四方良し」

小林社長のお話の中によく出てくるのが「三方良し」という言葉です。
これは同社発祥の地滋賀県・近江商人の商売の仕方をあらわしたもので、三方とは「自分」、「相手」、「世間」を指します。

通常商売においては自分の利益だけを考えれば、相手であるお客さんに高い値段で売ればよく、利益相反となりやすいのですが、そうではなく「世間の役に立つものを自分もお客様も利益となる値段や条件で商売を行うことが結果的には繁盛につながる」という意味です。
小林社長はこの「相手」にお客さんだけでなく、競争相手も含めて考えます。
小林社長は「豊かさとは選択の多様性」であり、お客様に選択の多様性=豊かさをもたらす競争相手の存在を認めたうえで、単なる価格競争のような無意味な競争、つぶしあいを避けるためには、独自の分野にチャレンジをし、その分野で強み・競争力をつけることが、結果として商売繁盛、世の中の豊かさにつながると考えています。
小林流「四方良し」とでもいえるでしょう。

 

取材を終えて

同社では「セキュリティ」関連製品を次の成長分野と捉え、様々なことに挑戦し、種を撒いてきました。

その中で画像監視装置が育ってきたり、従来型の事件が起こってから人が駆けつける機械警備ではなく、侵入を未然に防ぐ「プロテクション」を一般家庭に普及させるための事業展開を行ったりと、小林社長の言葉によれば「たくさんの芽が出てきた」のが現状です。
そこで今度は「どの分野にどう注力していくか」をもっと突き詰め、クリアにしたいと考えています。
セキュリティ市場は全体で1兆円と言われていますが、その中の有望かつ同社が競争力を発揮できる3,000-4,000億円市場に絞り込んで、深耕し一定のシェアを獲得するということです。
この戦略策定、フレームワーク作りを現在進めているわけですが、昨年から進めてきた組織改革などの中で、スタッフも充実し、意識の統一も進んできたようです。5月には中国工場に全世界のオプテックスグループ幹部を集めて、インターナショナルミーティングを開催します。
こうしたイベントを経て中間決算の出る8月ごろにはフレームワークを見せられるのではないかとのこと。
是非フォローアップレポートでお伝えしたいと思います。