ブリッジレポート
(6914) オプテックスグループ株式会社

プライム

ブリッジレポート:(6914)オプテックス vol.5

(6914)オプテックス/小林 徹社長
2002年8月27日(火)

オプテックスの2002年12月期中間決算説明会に出席しました。
その後で小林社長、IR担当の若林さんにお話を伺いました。


2002年12月期中間決算概要

<連結>
売上高
6,251百万円
前年同期比
+ 9.2%
営業利益
772百万円
前年同期比
+26.4%
経常利益
703百万円
前年同期比
+ 2.6%
純利益
389百万円
前年同期比
 +37.0%

売上、利益ともにピークを更新しました。

売上ですが、セグメント別で見ると、「セキュリティ(防犯用製品)」が+38%と大幅に伸びました。以前より注力してきた画像関連製品の伸びが好調でした。自動ドア製品は海外シェアを伸ばし、前年同期比でトントン。一方、産業機器は設備投資の低迷や欧州での流通在庫の増加などにより、マイナス30%となりました。 地域別に見ると、国内は+11%、海外+8%で、欧州がトントンに対して、米国+27%、アジア+33%となっています。


小林 徹社長


利益面では昨年買収した英国SEL社が好調であったこと、中国工場による生産増、為替の円安などが寄与しました。

 

2002年12月期予想「売上、利益ともにピーク更新へ」

<連結>
売上高
13,700百万円
前年同期比
+19.0%
営業利益
1,470百万円
前年同期比
+25.2%
経常利益
1,400百万円
前年同期比
+ 7.3%
純利益
880百万円
前年同期比
+61.5%

マイナス材料としては、設備投資の低迷が予想されますが、セキュリティに対する需要は国内外共に引き続き強いと考えており、通期でも売上、利益ともに過去最高を更新する予想です。
特にセキュリティの中でも「画像関連」は、カメラ、記録装置に加え、SEL社が大きく貢献するセンサを含めて来期以降も大幅な売上増を計画しています。

<画像関連売上高>
2002年12月期
12億円
2003年12月期
17億円
2004年12月期
25億円

また為替に関しては、同社の場合売上高の20%が外貨建てであるため売上には影響ありますが、中国工場の稼動により利益面ではニュートラルになるということです。

 

中期計画と今後の展望

単位:百万円
2002年12月期
2003年12月期
2004年12月期
売上高
13,700
16,300
19,600
セキュリティ
8,230
9,700
11,400
自動ドア
2,520
2,660
3,000
産業機器
2,700
3,230
3,960
環境監視
100
180
300
EMS
 50
400
800
その他
100
130
140
経常利益
1,400
2,010
2,400

セキュリティに注力
セキュリティ事業に注力して継続的な成長を図っていきます。 ただ一口にセキュリティ事業といっても様々な切り口、分野があります。同社は以下のように考えています。

「何故セキュリティニーズが変化するのか?」
警報の通知によって警備員がやってくる現行の機械警備システムには、「誤報の多発」や「契約獲得競争激化による料金低下、人件費カットでサービス低下」など、既に限界が来ているといえます。
このため、誤報低減のための「高信頼性センサ」、「画像監視」や、従来の事後通報ではなく事前プロテクションのための「自己警備」、「アウトドアプロテクション」に対するニーズが高まると同社では考えています。

こうした流れの中、以下の3つの分野に注力していきます。

「アウトドアプロテクション」
屋外用の高信頼性センサを中心に据え、センサライト(人が近づくとライトが点灯して威嚇)、ワイヤレス侵入警戒システム(侵入をワイヤレスで通知)、セキュリティテレビドアホン(24時間来訪者、侵入者を自動録画)などで異常を検知・通報するだけでなく、犯罪を威嚇して抑止したり、不審な行為を映像で捉えて記録する機能を充実させています。 売上は2003年度 40億円、中期的に60億円を目指しています。

「イベント起動型CCTVシステム」
現在の一般的な「常時テープ記録型システム」はVTRで24時間撮り続ける必要があるため、見る方も大変です。また、テープが劣化したり、レコーダーが常時作動しているので消耗も激しいなどの問題もあります。
これに対し同社の「イベント起動型撮影・記録システム」は、ITを活用し、侵入者を検知したらライトで威嚇しカメラで撮影する「侵入抑止機能」、侵入を検知したら外部機器を起動させる「侵入検知機能」、デジタルメディアによる映像記録を行う「異変記録機能」の3つの機能で、不審者を撃退するもので、事件発生時(イベント発生時)にのみ正確に作動するもので無駄がありません。また、デジタルメディアなのでテープ劣化のおそれがなく、レコーダーの長寿命化にも寄与します。
ターゲットとして世界市場を狙っています。また、警備会社の採用も本格化すると見られ、来年に向けて期待しているということです。
売上は、2003年度 50億円。販路拡大とラインアップを強化して中期的には100億円を目指しています。

「モニタリングセンサ」
誤動作のない高信頼性センサを警備会社の機械警備システム向けに供給していくことも進めていきます。
光を遮ると感知する「屋外用アクティブセンサ」、人間の熱を感知する「屋外用パッシブセンサ」、「屋内用パッシブセンサ」などです。
2004年度には国内、海外共にシェア13%。売上合計47億円を計画しています。

この他、国内シェア50%、海外シェア15%の自動ドアセンサに関しては、アメリカ中心に拡販をはかり、海外シェアも50%を目指します。また、「ドア=エントランス」という考え方から、セキュリティ分野との融合が進む可能性もあると小林社長は考えています。

 

取材を終えて

同社の中国工場は今年5月に稼動し、最大の生産拠点となりました。
この稼動にあわせて中国にグループ各社の幹部を集めてインターナショナルミーティングを開きました。
様々な議題が論じられましたが、その中の一つが「コーポレートガバナンスの整備とグループ統治方針の説明」だったそうです。

中でも重点を置いたポイントが「人材育成」です。
事業家マインドを尊重し、ある程度の失敗も許容するなかでモチベーションを高める「人中心型の経営」のための仕組み作りを進めていく方針です。しかし一方では単に効率化のみを追求するのではなく、仲間の幸せを最大化するという点にも目を向け、一人一人が自信にあふれた人生を送れるようなグループにしていくことを目指していくというメッセージだったそうです。

高い信頼性を誇るセキュリティ事業に関し、今後は「いかに販路を広げるか?」といったポイントをフォローすると共に、「人材育成」のための動きなども取材、報告していきたいと思います。