ブリッジレポート
(6914) オプテックスグループ株式会社

プライム

ブリッジレポート:(6914)オプテックス vol.9

(6914)オプテックス/小林 徹社長
2003年8月20日(水)

 

オプテックスの中間決算説明会に出席しました。
小林社長、桜井執行役員が決算概要、今後の取り組みなどを説明されました。

 


小林 徹社長

 

2003年12月期中間期決算概要

<連結>
実績
対前年同期比
売上高
7,407百万円
+18.5%
営業利益
1,042百万円
+34.7%
経常利益
1,116百万円
+58.7%
中間純利益
686百万円
+76.2%

大幅な増収・増益となりました。
主力の防犯用製品が国内外で好調に推移しました。
海外:韓国およびヨーロッパ向けの防犯用センサが好調でした。
国内:大手警備保障会社向けの画像関連製品が好調でした。また、ホームセキュリティ向け防犯カメラシステムが大きく伸びました。
自動ドア用製品は、国内は低調でしたが海外は新製品の販促効果から堅調でした。
産業機器用製品は、国内では業種と応用分野を絞り込んだ特化型センサのシェアが高まっています。海外ではヨーロッパを中心に復調の兆しが見られます。

上期のトピックスとしては以下のような点があります。

  • 6月2日に東証1部に昇格しました。
  • これを記念して中間配当で記念配当10円を実施しました。
  • 6月26日に新本社建設工事に着工しました。研究・開発部門と本社部門が統合されることで、より効率的でスピードディーな行動が可能になります。来年3月竣工の予定です。
  • 韓国、フランスに子会社を設立しました。グローバル・ネットワークが拡大しました。


現状と今後の取り組み
小林社長が同社の現在の概要と今後の取り組みを説明されました。

小林社長が31歳で独立し24年で東証1部上場まで至った現在、社内には東証1部上場企業としての誇りと、その社会的責任を感じる社員の意識に明らかな変化が見られるということです。

同社の特色
  • 創造性重視企業:他がやらないことを手がけています。これは「多様性が豊かさをもたらす」、「三方良し(自分、相手、社会の三方にとって良い商売でなければならないという近 江商人の言葉)」という小林社長の持論に基づいています。
  • 赤外線技術をコアにセキュリティや自動ドアといった専門分野へ特化。
  • グローバル経営:輸出比率高く、全世界に拠点を持ち世界的な情報の一元化を進めています。
  • 高信頼性ブランド:気候風土や文化の異なる世界各国で高い信頼性を獲得しています。セキュリティ文化には世界標準は存在せず、犯罪形態、リスク・マネジメントの仕方の違いから、同じ物を作ればどこでも売れるという性質のものではありません。そうした状況下、ハイレベルのノウハウの蓄積が信頼性獲得につながっています。
<事業部門別動向>
  セキュリティ関連分野
  様々な製品を開発していますが、直近で一番伸びているのが「セキュリティTVドアホンシステム」です。従来は、大手警備会社経由で既に建築された家屋に設置するパターンでしたが、これからはそれと並行し、新築マーケットにも進出していく考えです。
  この背景には、現行の機械警備システムが、「誤報が多い」、「競争激化の中でサービスの質が低下している」といった問題から限界がきているという状況があります。
  この限界に対し今後は、高信頼性センサや画像監視による誤報の低減と、アウトドアプロテクション(侵入を阻止する)と自己警備による「事前警備」がセキュリティニーズとして大きくなると考えています。
  こうしたセキュリティニーズの変化に対応し、対一般戸建住宅・集合住宅向けには、自己警備ニーズの高まりから「プロテクション・セキュリティ・システム」を、対官庁・公共施設には、機械警備における新たなニーズとして「モニタリング・セキュリティ・システム」というソリューションを提供。自己完結型の防犯機器と映像による遠隔監視システムの融合により、「早期認知、威嚇・撃退による犯罪防止、映像による犯罪の証拠確認」を進めていきます。

「プロテクション・セキュリティ・システム」
 

自動照明機器、センサ起動型録音再生装置「安心ボイス」、セキュリティTVドアホンシステムなどにより早期認知、威嚇、撃退により犯罪を未然に防ぎます。
従来の、家電量販店、電気工事店、電材卸店のルートに加え、新たに通販、通信機器メーカー、エクステリアメーカーなどを通じて販売拡大を目指します。 国内売上高推移予想(単位:100万円)

2002年
2003年
2004年
2005年
760
1,000
1,700
2,500
「モニタリング・セキュリティ・システム」
 

犯罪抑止、証拠確認手段として、監視用途のCCTVシステムが大型ビルや店舗、公共施設などの普及していますが、同社では独自のセンシング技術とデジタル技術を組み合わせたデジタル監視カメラシステムを提案しており、大手警備会社向けを中心に成長しています。 屋外用センサは一昨年買収した英国SEL社製の高信頼性センサなどで世界シェア30%を占めています。

売上高推移予想
(単位:100万円)
2002年
2003年
2004年
2005年
国内売上高
1,284
2,000
2,500
3,100
海外売上高
5,868
6,810
7,800
9,000
国内では、上記のように警備会社を通じて画像関連が伸びています。 海外では、欧州、アジアが伸びている一方、北米がやや伸び悩んでいます。

自動ドア関連分野
国内は成熟市場であり、高い伸びは見込みにくいものの、海外は成長の余地が大きいと考えています。特に中国向け輸出が大きく伸びると見ています。
また、将来的には自動ドアの設置される「入り口」をキーワードに、警備用、防災用、シャッターなど様々な周辺分野への応用を拡大させていきたいと考えており、リサーチを行っています。

産業機器関連分野
同社の光電センサ部門を分離・独立させ、新会社「オプテックス・エフエー」を2002年1月に設立しました。
光電センサは化粧品、食品・飲料品、薬品業界の包装機械分野で高い評価を得ています。 2003年9月には世界初のカメラ、コントローラー、モニター、照明を一体化した「画像判別センサ:CVS1」の発売を開始しました。
従来のものよりも安価、簡単に設置・操作が可能で、なおかつ高精度で画像を判別できるカラービジョンセンサであり、ユーザーの設備コストダウンや品質管理強化に貢献できると考えています。

 

2003年12月期通期および今後の見通し

2003年12月期 2004年12月期 2005年12月期
売上高
15,500
20,000
25,000
経常利益
2,000
2,500
3,960

国内外におけるセキュリティニーズは引き続き堅調と見込まれています。今期の経常利益も従来の16億円から20億円に修正しています。
損益分岐点を70%以下とすることを目標としており、前中間期74.4%に対して、今中間期は70.8%まで低下しました。ただ、下期は将来への布石として開発を進めることもあり、80%台に上ると見込んでいます。

同社では、中期的な目標として各部門20%の成長を掲げています。
小林社長はこれを着実に達成するには、成長シナリオをよりクリアーにする必要があると考えており、そのために今後も仮説を立てそれを実証していく作業を繰り返していくことが必要とおっしゃっています。
10月中には来年以降の戦略と体制を固め、次期の3ヵ年計画を策定する方針です。

海外部門では、マーケティング力の強化に取り組みます。
今期は、韓国、フランスに100%子会社(販社)を設立しました。韓国は順調に立ち上がっており、フランスもそろそろ手離れできる状況のようです。
また、東欧、スペインといった地域に進出することも検討しているということです。
国内では、新築住宅におけるセキュリティシステム標準採用の動きが進んでいます。今後は、大手、中堅のメーカーに対して積極的に採用を働きかけていく考えです。

 

取材を終えて

今年6月の東証一部上場を契機に、社内では一部上場企業としての責任感とともに、より一層高い目標にチャレンジする機運が強まっているようです。
小林社長に、「東証一部上場を果たした後の、次の目標は何ですか?」と尋ねたところ、次のようなお答えをいただきました。

  1. 1979年設立の同社は来年が創立25周年になります。今後3年以内にCOO(最高執行責任者)を育成し、1999年に始まった「第二創業期」を完成させ、30周年時には第二世代の経営陣による新たなオプテックスとして、次のステージへ進みます。
  2. 結果重視よりもプロセス重視の下、同社の特徴・強みである「ニッチ No.1」を追求し、新分野を開拓。中期的には売上高50-100億円を目指します。ただ、そのためには現在とは違った新たなビジネスビジョンが必要であり、その確立が第二世代経営陣の責務となります。

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