ブリッジレポート
(8860) フジ住宅株式会社

プライム

ブリッジレポート:(8860)フジ住宅 vol.3

(8860)フジ住宅 今井 光郎社長
2005年2月1日(火)
フジ住宅の05年3月期第3四半期決算をレポートします。

今井 光郎社長
2005年3月期第3四半期決算概要
<連結>
(単位:百万円)
 
第3四半期累計
前年同期比
売上高
25,587
115.7%
営業利益
1,166
164.9%
経常利益
907
151.8%
当期純利益
525
196.4%

厳しい雇用・所得環境を反映して住宅購入マインドは冷え込んだ状態が続いており、当業界は住宅金融公庫の新型ローンや民間金融機関の金利優遇などの低金利の追い風を生かしきれていません。
こうした中、同社グループは、大阪北部方面への販売エリア拡大を梃子に戸建住宅の受注を伸ばしており、第3四半期(4-12月)までの累計受注契約高は31,952百万円と前年同期比30.6%増加しました。引渡しが順調に進んだことに加え、不動産ファンド向けに3棟の賃貸マンションを開発・販売するなど新規事業も業績に寄与しました。


2005年3月期  予想

<連結>
(単位:百万円)
 
予想
前期比
売上高
43,700
127.1%
営業利益
2,930
144.1%
経常利益
2,700
142.8%
当期純利益
1,600
233.9%

通期でも高い売上・利益の伸びが期待できます。ただ、通期計画に対する第3四半期までの進捗率は、売上高で58.6%、経常利益で33.6%にとどまります。このため、進捗率の低さを懸念される投資家がいるかもしれませんが、同社に限らずマンション・住宅等の引渡し(この時点で売上を計上する)は、3月末に集中する傾向があることから、他の業種ほど進捗率に神経質になる必要はありません。
実際、同社の場合、売上高の大半を占める分譲住宅事業及び土地有効活用事業において、第4四半期(1-3月)の売上高予想18,112百万円に対応する物件の受注(契約)は確保済みで、建築工事の進捗も順調に推移している模様です。また、中古住宅販売事業及び賃貸及び管理事業においても、通期予想の達成に問題はないようですから、今のところ通期業績の下振れを懸念する必要はなさそうです。


中期経営計画と来期の展望
中期経営計画では、来06/3期の経営目標として連結売上高424億円、経常利益30億円を掲げていましたが、売上高の目標については今期前倒しで達成される見込みです。
また、同社は地価の上昇を見越して戸建て用地の先行仕入を進めてきたため、12月末の契約残高も34,727百万円と潤沢。契約残高から第4四半期(1-3月)の売上高予想18,112百万円を差引くと、残りは16,615百万円となり、今中間期の連結売上高16,022百万円を上回る契約残高を確保している計算になります。このため、来期分の用地確保も順調に進んでいると考えることができます。
また、棚卸資産の伸びも契約残高の伸びを考えれば妥当なもので、不良在庫の心配もないようです。

当期累計契約高と第3四半期末契約残高 (単位:百万円)
  累計契約高 前年同期比 契約残高 全年同期比
  分譲住宅事業
19,532
112.2%
23,609
142.0%
  中古住宅事業等
(土地販売含む)
6,062
179.8%
899
120.7%
  定期借地権付分譲住宅
63
12.7%
105
25.9%
  不動産投資ファンド向け賃貸マンション
2,517
-
-
-
不動産販売事業
28,176
132.5%
24,613
138.4%
土地有効活用事業
3,775
118.4%
10,114
107.4%
累計契約高合計
31,952
130.6%
34,727
127.7%
第3四半期末棚卸資産残高
28,164
125.2%
第3四半期までの累計売上高
25,587
115.7%


取材を終えて
不動産販売に追い風となるはずの低金利を生かせないデベロッパーもある中で、自由設計方式の戸建分譲住宅という商品性と地の利を生かした営業展開で着実に実績を積み上げています。
中期的には、営業エリアの拡大余地が大きいことに加え、不動産投資ファンド向け賃貸マンションの販売ビジネスに期待がかかります。低金利下にあっても比較的高いパフォーマンスを示していることから、不動産投資信託(REIT)や不動産ファンドなど不動産金融商品の販売が好調です。このため、都心部等では仕入れ競争の激化により不動産価格が上昇傾向にあるものの、ファンドの組成業者は物件の手当てを急いでおり、需給は依然としてタイトな状態が続いています。一方、同社が地盤とする南大阪エリアは東京などに比べて地価が安いため、比較的高い投資利回りが期待できます。また、同社が中古物件の取り扱いノウハウや入居者募集など利用者側との接点を有することも強みとなるでしょう。こうした地の利や強みを生かしてファンドの需要を取り込むことでファンド向けの販売を拡大させ、成長を加速させる考えです。