ブリッジレポート
(6914) オプテックスグループ株式会社

プライム

ブリッジレポート:(6914)オプテックス vol.14

(6914)オプテックス  小林 徹社長
2005年3月18日(金)

オプテックスをフォローアップ取材しました。
滋賀県大津の本社で小林社長にお話を伺いました。

 


小林 徹社長
2004年12月期決算概要
<連結>
(単位:100万円)
 
実績
対前期比
売上高
17,138
+13.0%
営業利益
2,159
- 2.0%
経常利益
2,321
+ 4.8%
当期純利益
1,297
- 4.2%

増収とはなりましたが、前回のレポートで報告したとおり以下の要因で、売上高、利益とも期初予想に達しませんでした。

売上高
「防犯用製品を中心に米英の海外子会社における売上不振」
米国市場は世界最大の市場ですが、反面競争は激しく、モニタリングセキュリティ(防犯機器による機械的な監視警備)は成熟しており、またM&Aによる市場の寡占化が進んでいるため同社のような独立資本のメーカー参入が難しいという現状です。

「国内警備会社向けの一部製品立上げの遅れ」
同社は従来の機械警備の問題点を解決する新しい発想で、防犯用センサや一般家庭用画像監視システムなどを開発し高い評価を受け、警備会社への納入を近年急速に伸ばしています。
警備会社に対しては5年前の5倍以上で、今年も約40%の増加となっています。
このように、警備会社における内部シェアは急上昇していますが、一方で新製品採用時の警備会社の評価基準に基づく試験も複雑になってきており、一部新製品においては評価に長い期間を要したものがありました。ただ、この製品に関しては既に納入が始まっており、来期取り返すことは可能な状況です。

「自己警備の需要喚起のために取り組んだ新規販路開拓の遅れ」
これも以前のレポートで触れましたが、同社ではプロテクション・セキュリティ(一般家庭向けの自己完結型防犯)について「プロテクション・セキュリティNo.1」を目指すという高い目標を掲げて、センサ起動により光や音で不審者を威嚇し、画像で記録する製品ラインアップの拡充に注力するとともに、ホームセキュリティの需要増加に伴い、一般家庭をターゲットとして、大手・中堅の住宅メーカー、リフォーム会社、住宅建材メーカーなど新販路の開拓に挑戦してきました。
ただ、急激な社会不安の増大に対してエンドユーザーの意識が短期間で高まるには至っておらず、まだ現実との乖離があり、想定どおりには開拓が進みませんでした。

経常利益
売上高の減少、新社屋建設に伴う諸経費の負担増

当期利益
経常利益の減少、過年度税額修正に伴う税負担の増加


2005年12月期決算見通し

<連結> 
(単位:100万円)
 
予想
対前期比
売上高
19,500
+13.8%
経常利益
2,870
+23.7%
当期純利益
1380
+ 6.4%

「売上高 継続的20%成長」を目指していますが、前期の実績を踏まえて今期は+14%の増収を見込んでいます。
各事業のポイントは以下のとおりです。

*防犯事業
防犯事業売上高
2003年
2004年
2005年(予)
9,546百万円
10,111百万円
11,400百万円

モニタリングセキュリティ(国内)
侵入の早期認知・対処の必要性が向上しており、新しいシステムやコンセプトの提供で成長を図ります。
・ 画像技術を活用し積極的に新製品投入
・ 屋外用赤外線センサを活用した屋外侵入検知システムの積極販売

モニタリングセキュリティ(国内)売上高
2003年
2004年
2005年(予)
1,924百万円
2,506百万円
3,300百万円

モニタリングセキュリティ(海外)
国内事例の海外への応用展開により、新たな付加価値作りへ挑戦します。センサのみでなく国内で実績のある画像関係に注力します。
・ 米国:販社の防犯製品販売への特化。警備会社への直接アプローチ。
・ 英国:警備会社に対する直接販売へ
・ ポーランド:販売子会社設立による新興市場開拓。

モニタリングセキュリティ(海外)売上高
2003年
2004年
2005年(予)
6,647百万円
6,661百万円
7,050百万円

プロテクションセキュリティ
屋外センサの世界シェアNo.1企業として、エクステリア セキュリティ(屋外警戒)を推奨していきます。ハウスメーカー向けには標準装備まで至っていないのであきらめずに今後も普及促進に努めます。
エクステリアメーカー、ハウスメーカー向け専用機種の開発。(2005年より投入)
センサライトカメラ、センサライトなどにLED照明を搭載するなど、要素技術の活用により新規性のある製品を開発

プロテクションセキュリティ売上高
2003年
2004年
2005年(予)
974百万円
944百万円
1,050百万円

*自動ドア

自動ドア売上高
2003年
2004年
2005年(予)
2,621百万円
3,405百万円
3,900百万円

海外市場への本格参入により、自動ドアセンサでも世界No.1企業を目指します。
・ 北米で、自動ドアに特化した販社設立
・ 共連れ防止センサを世界で初めて販売、開発
・ 海外向け製品ラインアップの強化
・ 技研トラステムとのシナジー効果

*産業機器
産業機器売上高
2003年
2004年
2005年(予)
2,849百万円
3,195百万円
3,650百万円

得意分野に特化する事により、市場特化型産業機械用センサのトップブランドを目指します。
・国内市場で好調な「オールインワン画像センサ」高機能化および海外市場への投入

*環境監視 環境監視売上高
2003年
2004年
2005年(予)
68百万円
109百万円
150百万円

売上規模は小さいながらも、新たな展開として透視度以外の環境関連分野のセンサを市場に投入するなど、明るさも見え始めています。
・ 試薬メーカーと共同で簡易水質分析センサの開発
・ 濁度チェッカーを新発売


中期的ビジョン

同社では『2005年度経営方針 「信頼される企業へ」-顧客・株主からの信頼の構築と全社員の行動改革の推進-』を掲げています。
この中期的な経営ビジョンについて、小林社長にお話を伺いました。

1. これまでに投入した投資リソースをフル活用し、事業利益を伸ばす。
新販路、新販売網の開拓および販売子会社、代理店の管理強化

北米子会社は子会社の中で唯一、「自動ドア」と「セキュリティ」の双方を取り扱う形態になっていました。売上不振が続いている同地域の販売体制を強化する目的で、「自動ドア」と「セキュリティ」を分離し、自動ドア専門の販売子会社を新設すると共に、セキュリティ子会社に新しい社長を就任させました。モチベーションの向上による営業活動の活性化を図ります。
米国のセキュリティ市場は、大企業によるM&Aで市場地図が固定化していましたが、全てが上手くいっているわけではないため今後は再び再編の可能性もあり、こうしたことが契機になって事業環境が変化していく可能性もあるようです。
同社の得意とする画像関連機器を、「富裕層」や「警備会社」向けに拡販していきたいと考えています。
同社成長の要因の一つとして小林社長は「真面目に取り組む企業体質」をあげていらっしゃいました。
スピードはゆっくりながらも、真面目に取り組むことでジワジワとシェアが上昇し、結果的に世界的な高シェア企業になりました。また、ゆっくり着実に進む分、下に大きく振れることが少ない点も同社の特徴であり、北米市場においても今回の体制強化による着実なシェア向上を目指しています。

製品原価の削減
売上の拡大と共に利益も重視し、原価削減プロジェクトを進めていきます。
子会社のオプテックスFAで大手計測器メーカー出身の原価管理担当者を採用し、そのノウハウを基にした原価管理プロジェクトを全社的に導入し、仕入原価で5%の削減を目指します。
重点指向の新製品開発 上記にあげた同社の「まじめさ」が、一方では大胆さに欠ける点を社長は課題として認識しています。
大きなグランドデザインに基づいた新しい物への取組みの姿勢・意識がやや弱くなっていると感じており、大胆な発想で既存事業の見直しを進めて、製品ヒット率をもっと上げていきたいと考えています。

2. 新規事業創出および利益率向上の施策の推進
事業開発本部の新設
「新規事業」の開発を担当する事業開発本部では、発想の広がりを重視し、「モノ・機器売り」にこだわらず付加価値を上げていくことを目指します。

例えばNPO地域法人とのコラボレーションを推進していきます。
「安全・安心・快適を社会のために」というビジョンを掲げる同社の本業を通した地域貢献として、空き巣防止、通学路の安全確保などに取り組みます。
コンセプトは「コミュニティ + IT」で、通学途中の小中学生が携帯するワイヤレス機器によって、何かあれば隣近所へ通報し、生徒たちをコミュニティで守ってあげようというものです。
昨年の夏ごろから実験を始めており、販売、レンタルなどで機器を提供していきます。
大阪・池田小の事件に続き、昨年の奈良の事件などを契機に地域の安全意識もアップしており、販売ルートの問題など課題もありますが、収益に繋がる継続的な社会貢献として確立させたいと考えています。

新たなコア・コンピタンスとなりうる要素技術の開発
上にあげた加速度センサのほか、画像センシング、RF-ID、マイクロウェーブ、高輝度LEDなど、同社の蓄積してきた技術力の応用・発展によるコア技術の開発と製品化を目指します。

生産プロセス改革(カンバン方式)の推進
利益率向上の施策として、前述のようにオプテックスFAで工程改善、購買方法の改善など生産プロセスの改革を始めています。 将来的には全社ベースで導入していきます。

3. 「7:5:3構想」の実現に向けた戦略の具体化と体質強化
「7:5:3構想」とは、「2007年、経常利益50億円、売上高300億円」を実現するというものです。
既存事業と新規事業のポートフォリオによりこれを達成すべく、経営資源の最適配分を軸に「今後どうやっていくか?」の議論を進めています。
売上高300億円までは、現在のSmall Unitによる積み上げで力を蓄えながら達成し、それができれば次の目標である売上高500-1,000億円も達成可能になると、小林社長は考えています。
ただ、そのためには社員の一層の意識改革が必須であり、適切な危機感を持って新しい発想、提案を行う「下から湧き上がる活力」が望まれると仰っていました。

事業拡大のためにはM&Aも重要な選択肢と認識しています。
昨年買収した「技研トラステム」においては、創業者が引退し、生え抜きの新社長が就任し、社内に活力が生まれてきたようです。
オプテックスとのシナジーに加え、技研トラステム内部でも新しい取組みが進んでおり、今後に大いに期待しているそうです。


取材を終えて

警備会社向けシステム導入やハウスメーカーなどの新販路開拓に遅れが出たため、増収ながらも利益はほぼ横這いにとどまり、期初予想を達成できませんでした。
これを反省し、策定したのが前述の「2005年度経営方針 信頼される企業へ」です。
小林社長が考えるポイントは本文中にもありましたが、「成長のための大きな構図・構想を描くこと」であり、そのためにいかにして社員が意識・行動を変革していくことができるかということのようです。
セキュリティビジネスは今後も市場そのものの拡大は続くと見込まれますが、売上高500-1,000億円というステージまで一段の飛躍を図るためには、現在既にある製品、システムを小手先で改良するのではなく、「安全、安心、快適」をコンセプトに新しい発想でビジネスを作り出すことが不可欠ということです。
足元の業績のみでなく、これに向けた取組みを引き続きフォローしていきたいと思います。

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