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(9616) 株式会社共立メンテナンス

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ブリッジレポート:(9616)共立メンテナンス vol.12

(9616:東証1部) 共立メンテナンス 企業HP
石塚 晴久 会長
石塚 晴久 会長
佐藤 充孝 社長
佐藤 充孝 社長
【ブリッジレポート】共立メンテナンス vol.12
(取材概要)
「中間決算はわずかに営業減益となりましたが、通期では増収・増益が見込まれます。不動産事業は新しい物件の稼動時期と決算月の関係で・・・」 続きは本文をご覧ください。
企業基本情報
企業名
株式会社共立メンテナンス
会長
石塚 晴久
社長
佐藤 充孝
所在地
東京都千代田区外神田 2-18-8
決算期
3月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2006年3月 63,084 4,611 4,823 2,010
2005年3月 58,014 4,407 4,411 2,343
2004年3月 54,080 4,004 4,059 2,137
2003年3月 50,108 4,148 3,884 2,039
2002年3月 50,064 3,908 3,580 1,821
2001年3月 37,884 2,827 2,643 1,146
2000年3月 36,787 2,368 2,281 906
株式情報(12/12現在データ)
株価 時価総額 発行済株式数 単元株数
2,700円 40,799百万円 15,110,702株 100株
共立メンテナンスの2007年3月期中間決算について、会社概要と共にブリッジレポートにてご報告致します。
 
会社概要
 
社員食堂の受託給食業務で培った給食サービスのノウハウを活かして、1980年に学生寮の運営管理に進出。社員寮の運営と併せて全国展開を進め、今日の経営基盤を築きました。2006年9月末時点の同社学生寮の利用実績学校数は1,700校。また、社員寮の利用企業社数は955社を数えます。
 
会社設立から30年近くを経た今、「お世話する心」を持った「現代版下宿屋」(食事付きの寮の運営)を事業の中核に、ワンルームマンションタイプ(ブランド名「ドミール」)の寮事業、長期滞在型ビジネスホテル(同「ドーミーイン」)事業、リゾートホテル事業、更にはレストラン運営等のフーズ事業と事業領域も拡大しています。ただ、全ての事業に共通しているのは、“ライフステージにおける様々な場面での「食」と「住」さらに「癒し」のサービスを通じて、広く社会の発展に寄与する”と言う経営方針です。
不動産の開発から管理・保守にいたるまでの一貫体制をグループで整えていることも強みで、特に寮やホテル等の分野では不動産デベロッパーとしての実績も豊富です。
 
現在、更なる成長に向けて次の3項目の戦略を掲げ、企業体質の強化とサービスの向上に取り組んでいます。
1.「中核事業である寮事業の一層の拡大展開と収益力再強化」
2.「寮事業の周辺事業の拡大」
3.「次世代の収益の柱となるホテル事業の基盤強化と拡大」
 
特にホテル事業は、団塊世代の定年とその後の余暇活動の増加を見据えて、第2の成長の柱として期待のかかる事業です。創業者である石塚会長が代表権のある会長に就任してホテル事業に専念する等、早期に成長軌道に乗せるべく取組みを強化しています。
 
2007年3月期中間決算
 
<連結>
 
増収ながら、営業減益となりました。
リゾートホテル事業において大型ホテルのオープンが集中したため、開業準備費用等の先行投資が負担となりました。
 
<売上高・営業利益の増減要因分析>
 
<セグメント別動向>
1.寮事業
 
(1)中間決算
大学・短大・専門学校との提携契約数の伸びが続いています。学生寮の利用実績は、学校数で1,700校(前年同期比1.6%増)。社員寮事業は、企業収益回復を受け若年雇用者数増加の傾向から、入居者数が前年同期比6%増加、売上高伸長率・伸長額とも学生寮事業を上回りました。ドミール(ワンルームマンションタイプ寮)も、食事付き寮からの住み替え需要や寮利用者からの紹介などの相乗効果で、入居者数、売上高とも2桁の伸び率が継続。寮事業全体では、9月末現在、事業所数367棟、定員数26,988名、入居者数24,988名、稼働率は89.6%となりました。
 
(2)今後の見通し
新たな事業拠点として熊本に進出、地方中核都市ヘの展開により商圏の拡大を図ります。一方、主要拠点では、開発体制の強化に努めると共に、学生寮、社員寮双方のニーズに即した展開を図ります。ドミールについては、大都市圏での開発供給を加速させていきます。
 
定員数・契約率の推移(期初値)
 
 
契約者数の推移(期初値)
 
 
(3)学生寮事業の事業環境
 
(1)18歳人口は1992年をピーク(205万人)に減少に転じたものの、2008年(124万人)以降は、横ばいの見通しです。
(2)一方、家庭における一人あたりの教育費は増加傾向にあります。
(3)現在、1人暮らしの学生数は、推定で約160万人。同社学生寮の利用学生数は約15,000名で、全体の1%弱に過ぎません。未だ、潜在需要は膨大です。
 
(4)有力大学を中心に提携学校増加が加速しています
 
2.ホテル事業
 
(1)中間決算
ビジネスホテル3棟、リゾートホテル3棟の合計6棟をオープンしました。前期開業のビジネスホテル5棟の寄与等でドーミーイン((ビジネスホテル)事業売上高が前年間期比31.2%増、ホテル事業全体の売上高も同19.5%増加しました。
一方、収益面では今期開業の大型ホテル3棟(菊屋・水の音・きらの里)の開業準備費用が負担となる中、開業時期集中に伴う販促効果の遅れなどの影響から初期稼働が低調なスタートとなり、経費が先行する形となりました。
 
(2)今後の見通し
上期開業ホテルの稼働率も月を追うごとに上昇傾向にあり、下期オープンの、リゾートホテル「強羅雪月花」、ドーミーイン金沢も好スタートを切りました。既存ホテルが高い稼働率を維持しており、上期の遅れを取り戻せる見込みです。
 
 
(3)ホテル事業営業利益の増減要因
(1)プラス要因>BR> ビジネスホテルの高稼働
(2)マイナス要因
大型リゾートホテル3棟の開業準備費用
新規ホテルオープン集中による固定費増加
 
3.総合ビルマネジメント事業
 
(1)中間決算
提案型営業による新規顧客の開拓に加え、既存取引先の需要掘り起こしやビル管理周辺業務の拡充を図るべくリフォーム事業やプロパティマネジメント事業の拡充等事業基盤の強化に取り組みました。
当事業は、オフィスビルマネジメント事業とレジデンス(住居)ビルマネジメント事業に分かれており、当中間期は、一部賃貸代行業務の解約等で前者の売上高が31億65百万円と前年同期比27.8%減少する一方、後者の売上高が25億45百万円と同15.8%増加しました。
 
(2)今後の見通し
更なる技術力・商品力の向上に努め、より質の高いビルサービスが提供できる体制づくりを進めます。全国展開を進めているホテル事業を、建物施設菅理の面からサポートするべく全国に拠点網を構築中です。また、M&Aを含めた商圏拡大を積権的に推進します。
 
4.フーズ事業
 
(1)中間決算
不採算店舗・事業所の整理撤退を進める一方、新規ホテルレストランヘの出店を進める等、収益構造の見直しに取り組んでいます。
 
(2)今後の見通し
グループのホテル展開に対応し、グループ施設のレストラン運営効率を高めると共に、運営ノウハウの確立されたゴルフ場レストランの営業体制を強化し外部取引先の開拓にも務めます。
 
5.デベロップメント事業
 
(1)中間決算
当事業は自社の事業所(寮やホテル)開発に伴う"仕入れ"に該当する事業です。首都圏中心に寮・ワンルームマンションタイプ寮「ドミール」及び、今期新規立ち上げ棟数が過去最高となったホテルの開発を手掛けた事で事業規模が拡大しました。
 
(2)今後の見通し
寮は、毎期1,500室以上の開発を目標としています。ホテルは、来期以降もビジネス、リゾート双方で10棟前後の全国展開を継続していく予定です。
 
6.その他事業
 
ウェルネスライフ事業((高齢者向け賃貸住宅の菅理運営事業)、不動産賃賃借の仲介斡旋・管理事業、単身生活者支援及び保険代理事業、総合人材サービス事業、融資事業、総合広告代理店事業、その他の付帯事業が、当セグメントに含まれています。
今期は、ほぼ予定通りの推移を示しており、前期に比べ損益改善を見込んでいます。
 
<貸借対照表>
 
寮・ホテル事業への積極的な投資により現預金が減少する一方、有形固定資産が増加。資産の増加を、主に社債及び長期借入金でファイナンスしたため、有利子負債が増加しました。
 
<有利子負債(ネット)及びD/Eレシオの推移>
 
2007年3月期業績予想
 
<連結>
 
増収・増益の予想です。
中間決算において先行投資が重荷となったホテル事業の損益改善が見込まれます。
 
取材を終えて
中間決算はわずかに営業減益となりましたが、通期では増収・増益が見込まれます。不動産事業は新しい物件の稼動時期と決算月の関係でどうしても収益が振れてしまいます。特に同社の場合、既存の物件数に比べて新規の物件数が多いため、特にその傾向が強くなっています。
一方、主力の寮事業は順調です。事業の特性や既に事業規模が大きいため、急激な伸びは期待できませんが、事業環境に恵まれている事が何よりです。少子高齢化に対する危機感が大学側のサービス向上意識を高め、学生寮の拡充につながっています。また、社員寮についても、企業業績の回復に加え、寮に対する意識の変化が追い風となりつつあります。寮生活で醸成される仲間意識や連帯感が、結果として企業に対する帰属意識やロイヤリティを高める、といった声も聞かれるようになってきました。
寮事業を安定収益源に、ホテル事業で成長を目指す同社の今後の展開に注目したいと思います。