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ブリッジレポート:(2462)ジェイコム vol.6

(2462:東証1部) ジェイコム 企業HP
岡本 泰彦 社長
岡本 泰彦 社長

【ブリッジレポート】ジェイコム vol.6
(取材概要)2007年10月16日掲載
「第1四半期業績は、前年同期比で46%増収となるなど、引き続き好調な推移を見せており、通期においても32.2%増収を予定しているなど、特に首都圏でのシェア・・」続きは本文をご覧ください。
企業基本情報
企業名
ジェイコム株式会社
社長
岡本 泰彦
所在地
大阪市中央区西心斎橋 2-1-3
決算期
5月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2007年5月 9,605 812 786 444
2006年5月 6,657 594 552 274
2005年5月 4,684 284 281 152
2004年5月 3,271 142 141 56
2003年5月 2,222 90 88 45
2002年5月 1,616 77 76 40
2001年5月 1,369 73 70 34
株式情報(10/10現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
256,000円 48,532株 12,424百万円 15.7% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
3,000円 1.2% 12,177.53円 21.0倍 80,127.07円 3.2倍
※株価は10/10終値
 
ジェイコムの2008年5月期第1四半期業績について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
会社概要
 
大阪市に本社を置き、販売支援等の総合人材サービス事業と携帯電話キャリアショップ運営のマルチメディアサービス事業を展開しています。
主力の総合人材サービス事業は、携帯電話業界に特化した差別化戦略が奏功。業界動向や顧客ニーズを的確に捉えたサービスと情報の提供が、顧客企業から高い評価を得ています。
大阪本社、東京、東海、中国、東北、九州、北海道の6支社、静岡、栃木、群馬のサテライトオフィス3拠点を展開しています。
 
<沿革>
1993年9月にパッケージ旅行の企画事業を目的に設立され、96年11月に現社名のジェイコム(株)に社名を変更しました。98年8月に携帯電話端末の販売を本格的に開始、同年10月に丸紅テレコムと販売業務に関する委託契約を締結し総合人材サービス事業を開始。2005年12月の東証マザーズ上場を経て、2007年2月23日に東証第一部に指定替えとなりました。
 
<事業内容>
事業は総合人材サービスとマルチメディアサービスに分かれます。2008年5月期第1四半期決算では前者の売上高が全体の93.1%を占めました。
 
1.総合人材サービス
総合人材サービス事業は、更に営業支援サービスと人材派遣サービスに分かれます。
 
(1)営業支援サービス
ジェイコムスタッフと呼ばれる同社のスタッフが、携帯電話ショップや量販店等販売店での接客、商品説明、販売活動、販売員に対するアドバイスや営業情報の収集・報告といった店舗巡回業務等のサービスを提供します。また、販売業務自体を請負うアウトソーシングサービスも提供しています。
 
(2)人材派遣サービス
営業支援サービス以外のオフィスやコールセンターへのスタッフ派遣が中心で、同社が雇用し、教育・研修を行ったスタッフを派遣します。
 
2.マルチメディアサービス事業
携帯電話端末の販売及び加入契約取次代理店事業を行っています。各通信キャリアと丸紅テレコムとの三者間契約により、関西地区でドコモショップ1店舗、ソフトバンクショップ2店舗を運営しています。
 

同社は、営業支援サービス業界のリーディング・カンパニーを目指し、収益の拡大・高品質のサービス提供を行うと共に、健全な財務体質を維持し、株主価値の向上に努めています。
 
2008年5月期第1四半期業績
 
 
<ポイント>
1.売上高・利益共に大幅増
売上高、利益とも、ほぼ計画どおりに推移しました。特に、東京支社においては、計画を上回るペースで推移し、前年同期比で2倍以上に売上高を拡大しました。また、携帯業界向けの営業支援サービスが更に拡大し、前年同期からの売上高増加額 892百万円のうち、携帯業界向けが 868百万円。市場拡大に加え、通信キャリアとの取引増加等、引き続き好調に推移しました。
 
2.新規事業が順調にスタート
2007年6月に新規事業の推進を目的として新設したMF事業部が好調なスタートを切り、当第1四半期売上高 38百万円と、当初の計画値を上回る実績を出しました。この要因は、以下のとおりです。 (1)金融業界をはじめ、携帯電話業界以外のサービス提供範囲の拡大
(2)営業職や専門職など従来主力としてきた販売職以外の職種の拡大
(3)若者のキャリアアップのための職業紹介等による就職支援の拡大
 
<外部環境および施策面>
売上高・各利益とも大幅な増収増益を達成しましたが、同社を取り巻く環境としては、引き続き消費者の購買意欲は旺盛であり、各社の販売促進活動も高水準で安定しており、東日本地区を中心に、引き続き携帯電話業界向け営業支援サービスのシェア拡大へ取組に注力したことが増収増益の要因として挙げられます。また、スタッフの確保については、効率的かつ積極的な求人活動により、新規登録者は前年同期比で28.3%増となるなど、順調な推移を見せました。
 
<売上原価率・販管費率>
・営業原価率は、前年同期比で1.2%上昇の79.7%となりました。売上高比率の高い総合人材サービス事業において、昨年のMNP(携帯電話番号ポータビリティ)開始直前に、スタッフの給与見直しがあったことが前年同期比較で増加した要因ですが、前期の第2四半期以降の原価率は平均79.0%で推移しており、今後、原価率は前年同期で比べると多少悪化するものの、80%程度で推移する見通しです。
 
・販管費率は、前年同期比で0.7%改善の12.9%となりました。販管費そのものについては、前年同期比で39.1%増加しておりますが、それを上回る増収により、販管費率が改善したものです。人件費等については、47名増員し、今期の増員計画を前倒しでほぼ達成していることから、第2四半期以降の効率性のアップが期待されます。また、スタッフの採用教育費についても、前年同期比で29.5%増加しましたが、それに対するスタッフ登録者も28.3%増加し、採用コストはほぼ変わらずといえます。このことから増収効果により売上高に占める採用教育費の負担も減少し、効率化を図ることができました。地代家賃においては、東京支社の移転を予定しており、下期に増加する見込みです。
 
<総合人材サービスの動向>
1.サービス別売上高
販売支援サービスを中心とした営業支援サービスが引き続き売上拡大に寄与しました。
 
 
・販売支援サービス
MNP等による携帯電話販売スタッフの市場拡大、東京支社を中心としたシェアアップが主な要因となり、前年同期比で671百万円増(+43.7%)と好調に推移しました。
 
・アウトソーシングサービス
新キャリア(イーモバイル社)からキャンペーンや販売支援をアウトソーシングで受注したことが主な要因となり、前年同期比で178百万円増(+91.3%)と好調に推移しました。
 
・その他人材サービス
当期より注力しているMF事業部による受注増が主な要因となり、前年同期比で23百万円増(+84.1%)と順調な滑り出しを見せました。
 
2.稼動スタッフ数・四半期売上高の推移
2008年5月期第1四半期の期末稼動スタッフは、3ヶ月前の2007年5月期末と比べて337名増加しました。
 
 
3.業界別売上高
営業体制強化により携帯電話業界向け売上高が大幅に増加。今期から本格稼動しているMF事業部も順調な立ち上がり。
 
 
・携帯電話業界
携帯電話業界向けは、高水準を継続。昨秋より開始したMNPによる携帯電話販売台数増、新キャリアであるイー・モバイルとの取引開始、シェアの低かった東京や東北での大幅な取引拡大、昨年7月に開設した九州、今年5月に開設した北海道の順調な立ち上がり等により、売上高が増加しました。
 
・情報通信業界
主要取引先との取引縮小によるものです。
 
・金融業界・その他
クレジットカード向けについては、カード会社の上限金利問題等もあり大幅減少。その一方で、MF事業部よる銀行、証券会社向けが順調な立ち上がりを見せました。
 
4.月次売上高の推移
当初の計画通りの高水準で推移しており、通期においても前年同期比で135.6%の成長を予定しております。
 
 
5.顧客別の状況
携帯キャリア向け売上構成比が32.9%から41.5%と上昇しました。前期に引き続き、流通が変わる可能性を考えて、キャリアとのパイプをより太くする事に注力しました。
 
 
6.地域別売上高
東日本地区が連続で倍増となる等、各地域で順調に売上が拡大しました。
 
 
・西日本地区
大阪本社は、市場拡大も一段落し、キャンペーンの受注が予想を下回っており、また、前期に注力したクレジットカードも縮小傾向にあることから、前年からの伸び率は低下しております。一方で、中国地区、九州地区については、業績予想以上のペースで進捗しております。
 
・東海地区
引き続き人材不足感があるものの、受注は好調。今年2月の静岡サテライト開設の効果もあり、静岡県での案件も増加中とのことです。
 
・東日本地区
東京支社は、当第1四半期も順調で計画を上回るペースで推移しており、前年比2倍を大きく超えた売上高となっております。東北支社も業績予想以上のペースで進捗しており、新規出店の北海道支社も立ち上げは順調とのことです。
 
2008年5月期業績予想
 
<ポイント>
1.売上高・利益共に大幅増
引き続き携帯業界向けを中心とした総合人材サービスが牽引し、新支社・サテライトオフィスの開設、求人費の増加や新事業部設立など将来への先行投資を増収効果により吸収し、中間期・通期ともに売上高・利益は30%を超える大幅増を計画しております。
 
2.総合人材サービス事業の拡大
最大市場である首都圏への営業活動を更に強化するとともに、サテライト展開を強化し、細かな案件にも対応しつつ事業拡大を図る予定です。また、携帯電話・クレジットカードのみならず、各種業界のキャンペーン受注の強化を図る予定です。
 
3.MF事業部による新規事業の本格稼動
新規事業領域、新業界への取組みが本格化し、ジェイコムの強みを活かし、若年層のキャリアアップを図りつつ、継続的な高成長・高収益体制の確立を目指します。
 
<業績予想>
第1四半期については、計画対比や中間期の進捗率をみるとほぼ計画通り進んでおり、中間期、通期への計画達成に向けては好スタートをきっております。
 
 
*総合人材サービス事業地域別売上高予想および地域別売上構成比の推移
 
 
<首都圏の更なる強化>
最大市場であり、同社にとってシェアや取引先の拡大余地が大きい首都圏を更に強化します。首都圏シェアNo.1へ向け、次に示す施策に取り組みます。
 
 
<全国営業網の確立>
四国支社(高松)の設立を今下期に予定し、北陸支社の開設を検討中です。また、2007年9月に群馬サテライトオフィスを開設、10月に岡山サテライトオフィスの開設を予定しており、今後も積極的に、サテライトオフィスを開設し、全国営業網と全国的なシェア拡大に向けて積極的に展開していく予定です。
 
ジェイコムの強みを活かした新規事業
 
今期より稼動しはじめたMF(Moving Forward)事業部は、携帯電話業界向け営業支援サービスで得た「ノウハウ」「研修・教育力」を活かし、新業界・領域への事業展開するため設立された事業部です。同社が対象とする業界の拡大のほか、サービスの提供範囲についても拡充していくことで、今後のさらなる成長につなげていく考えです。
 
 
*MF事業部 (金融機関向け人材サービスについて)
 
携帯電話業界向け営業支援サービスで得た「ノウハウ」と「研修・教育力」を活かして、紹介予定派遣のサービスを始める。
金融商品の多様化などで人材の獲得を急ぐ、中堅証券会社や地方銀行などの需要を取り込む。
MF事業部が中心となって、地銀、信用金庫などに営業展開。
金融、証券関係の資格等を取得させ、金融関連の専門人材を育成し、派遣するスキーム。
 
トピックス
 
・自己株式の買取について
平成19年7月17日に、1,709株(発行済み株式総数の3.5%)を、取得価額566,024,218円(1株 331,202円)で取得しました。これは、100%子会社の吸収合併にともない、その反対株主からの買取請求に応じたものです。
吸収合併による資本金の増加や新株式の発行などはありませんので、純資産や業績に与える影響は軽微ですが、会社法797条第1項の定めにより、対応したものです。買い取った株式については、当面は自己株式として保有する予定です。
 
・M&Aの実施 (2007年10月1日公表)
インダス株式会社(東京都渋谷区 剣持 快明 社長)の全株式を取得し、子会社化します。
同社は新卒体育会系・スポーツ学生のための就職支援メディアである「アスリート就職ナビ」の運営、就職セミナーの開催、就職情報誌「ATHLETE」の発行をおこなうスポーツを軸として、体育会系の大学生に特化した就職支援事業をおこなう企業で、体育会系の大学生のみならず大学就職部や監督・コーチ・OBOGなど幅広いネットワークを有しているのが強みです。
同社の若年層のキャリアアップ支援という事業目標は、ジェイコムと同じであり、今後、両社の強みを活かした展開が期待されます。
 
 
取材を終えて
第1四半期業績は、前年同期比で46%増収となるなど、引き続き好調な推移を見せており、通期においても32.2%増収を予定しているなど、特に首都圏でのシェア拡大に向けた施策が奏功しているわけですが、エリア拡大による増収増益に加え、今まで同社が強みとしてきた携帯電話業界向け営業支援サービスでの「ノウハウ」と「研修・教育力」を活かした、さらなる成長への布石を着々と打ってきていると思います。売上高が増えるに従い、分母が大きくなりますので、いままでのような高成長率でなくなるのは当然ですが、それでも前年比で30%成長している同社の今後の展開に期待したいと思います。