ブリッジレポート
(9616) 株式会社共立メンテナンス

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ブリッジレポート:(9616)共立メンテナンス vol.14

(9616:東証1部) 共立メンテナンス 企業HP
石塚 晴久 会長
石塚 晴久 会長
佐藤 充孝 社長
佐藤 充孝 社長
【ブリッジレポート】共立メンテナンス vol.14
(取材概要)2008年1月8日掲載
「寮事業に次ぐ柱として、ホテル事業の育成に取り組んできましたが、ここ数年は新事業所や施設のオープンが利益圧迫要因となる事が多々ありました。・・」続きは本文をご欄ください。
企業基本情報
企業名
株式会社共立メンテナンス
会長
石塚 晴久
社長
佐藤 充孝
所在地
東京都千代田区外神田 2-18-8
決算期
3月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2007年3月 66,287 3,745 3,787 2,413
2006年3月 63,084 4,611 4,823 2,010
2005年3月 58,014 4,407 4,411 2,343
2004年3月 54,080 4,004 4,059 2,137
2003年3月 50,108 4,148 3,884 2,039
2002年3月 50,064 3,908 3,580 1,821
2001年3月 37,884 2,827 2,643 1,146
2000年3月 36,787 2,368 2,281 906
株式情報(12/18現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
2,110円 14,895,711株 31,430百万円 8.2% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
36円 1.7% 187.38円 11.3倍 1,877.35円 1.1倍
※株価は12/18終値。発行済株式数は直近中間期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
共立メンテナンスの2008年3月期中間決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
会社概要
 
社員食堂の受託給食業務で培った給食サービスのノウハウを活かして、1980年に学生寮の運営管理に進出。社員寮の運営と併せて全国展開を進め、今日の経営基盤を築きました。2007年9月末時点の同社学生寮の利用実績学校数は1,684校、契約者数は15,771名。また、社員寮の利用実績企業数は972社を数えます。
 
会社設立から30年近くを経た今、「お世話する心」を持った「現代版下宿屋」(食事付きの寮の運営)を事業の中核に、ワンルームマンションタイプ(ブランド名「ドミール」)の寮事業、長期滞在型ビジネスホテル(同「ドーミーイン」)事業、リゾートホテル事業、更にはレストラン運営等のフーズ事業と事業領域も拡大しています。ただ、全ての事業に共通しているのは、“ライフステージにおける様々な場面での「食」と「住」さらに「癒し」のサービスを通じて、広く社会の発展に寄与する”と言う経営方針です。
 
不動産の開発から管理・保守にいたるまでの一貫体制をグループで整えていることも強みで、特に寮やホテル等の分野では不動産デベロッパーとしての実績も豊富です。
 
 
現在、更なる成長に向けて次の3項目の戦略を掲げ、企業体質の強化とサービスの向上に取り組んでいます。
1.「中核事業である寮事業の一層の拡大展開と収益力再強化」
2.「寮事業の周辺事業の拡大」
3.「次世代の収益の柱となるホテル事業の基盤強化と拡大」
 
特にホテル事業は、団塊世代の定年とその後の余暇活動の増加を見据えて、第2の成長の柱として期待のかかる事業です。創業者である石塚会長が代表権のある会長に就任してホテル事業に専念する等、早期に成長軌道に乗せるべく取組みを強化しています。
 
2008年3月期中間決算
 
<連結>
 
 
ホテル事業が伸長、先行投資負担を吸収して、増収・増益となりました。受取配当金の減少で経常利益が減少したものの、完成工事補償引当金戻入益や補助金収入を特別利益に計上した事で、最終利益は前年同期比3.1%増加しました。尚、設備投資は前年同期比22.8%(1,921百万円)減の6,517百万円、減価償却費は同44.1%(415百万円)増の1,355百万でした。
 
<営業利益の増減要因>
 
 
主力の寮事業が堅調に推移。積極的に拡大策を進めているホテル事業は大幅な増収となり黒字転換しました。
 
1.寮事業
 
 
4月の寮事業期初稼働率が96.3%と高い水準を維持してスタート。新規の供給は、特にニーズの高い首都圏を中心に全国で18 棟。既存施設も含めた全体で385棟、28,488 室の規模に拡大しました。学生寮は、大学・短大・専門学校との提携が拡大しており、利用実績は、学校数で1,684校(前期比0.9%減)、契約者数で15,771名(同3.7%増)と堅調に推移。社員寮事業は、企業収益の回復を受けた若年層雇用者数増加や研修施設としてのニーズが拡大し、利用実績企業数(972社、同1.8%増)、契約者数(6,264名、同13.2%増)共に大幅に増加しました。また、ワンルームマンションタイプ寮のドミールも、学生寮入居者の卒業後の住み替え需要や、寮利用者からの紹介等もあり、入居者数は3,543名と同2.8%増加しました。
 
(1)学生寮・社員寮・ドミールの契約率及び契約者数の推移(期初値)
 
 
(2)大学との提携の状況
 
 
学生寮は、有力大学を中心に、短大、専門学校との提携が拡大しています。
 
 
主な契約先は、大手金融機関、総合商社、大手流通会社等。従来の単身赴任用に加え、好景気に支えられた新卒用の需要が旺盛で、一社当りの契約数も増加しています。「コミュニケーションが生まれる場」及び「社員の絆を深める場」としての「場」としての認知度の高まりが、福利厚生アウトソーシングニーズの背景にあります。
 
2.ホテル事業
 
 
ビジネスホテルが好調に推移する中、リゾートホテルの損益が改善。ホテル事業全体で黒字転換しました。
 
(1)ビジネスホテル
 
 
上期に6棟を開業し、既存事業所と合わせた全27事業所が高い稼働率(年間平均稼働率82.0%)で推移、売上高・利益共に増加しました。
 
(2)リゾートホテル
 
 
「一棟毎収益構造改善計画」に着手したリゾートホテルは、この中間期は大型ホテル2棟(ラビスタ大雪山、匠の宿 深山桜庵)をオープン。前期オープンした5棟(菊屋、水の音、きらの里、雪月花、銀花)合計の損益が黒字化した他、ザ・ビーチタワー沖縄の利益貢献も拡大。オープンした大型ホテル2棟の立上げ費用を吸収して損益が黒字化しました。
 
雪月花(月次)収益構造の推移
 
 
稼働率の向上、オペレーションの効率化、更には消耗品等のコスト削減も進み、営業損益が黒字化しました。
 
3.総合ビルマネジメント事業
 
 
レジデンスが前年同期比5.2%の増収となったものの、オフィスビルが大口契約先の移転や一部不採算案件の解消等で減収となった事が響きました。
 
4.フーズ事業
 
 
新規ホテルレストランへの出店が進み売上高が増加、変動原価管理の徹底により損益も改善しました。当事業は、現在、収益構造の抜本的な改善を推進中です。
 
5.デベロップメント事業の概況
 
 
当事業は、同社の事業所開発に伴う"仕入れ"に該当する事業です。この中間期は、一部ホテルの竣工引渡しが前倒しになったため、大幅な増収となりました。損益面では、前期計上した沖縄ホテルの大口仲介手数料の反動減、分譲マンションの販促費用の増加、更には開発営業強化のための営業所新設等により減益となりました。
 
6.その他事業
 
 
その他事業には、ウェルネスライフ事業(高齢者向け住宅の管理運営事業)、ライフサービス事業(通販・レンタル販売等)、不動産賃貸借の仲介斡旋・管理事業、単身生活者支援及び保険代理事業、総合人材サービス事業、融資事業、総合広告代理店事業、その他の付帯事業が含まれています。
この中間期は、(株)日本プレースメントセンター(JPC)の人材派遣業が伸長、業績に貢献しました。
 
<貸借対照表>
 
 
ホテル事業の積極展開及び有価証券の取得等に伴い、現預金が減少する一方、有形固定資産及び投資その他の資産が増加。これらの投資に伴う資金を借入金等の有利子負債及び純資産で賄いました。
 
 
2008年3月期業績
 
<連結>
 
 
通期の業績予想に変更はありません。
契約者数の増加を背景に主力の寮事業が堅調に推移する見込みです。利益面では、ホテル事業の損益改善等により営業利益の高い伸びが見込まれます。
尚、設備投資は前年同期比39.0%(6,216百万円)減の9,710百万円、減価償却費は同16.1%(338百万円)増の2,439百万を予定しています。
 
取材を終えて
寮事業に次ぐ柱として、ホテル事業の育成に取り組んできましたが、ここ数年は新事業所や施設のオープンが利益圧迫要因となる事が多々ありました。ただ、事業規模の拡大と施設毎のオペレーションの効率化により、徐々に新規の立ち上げ費用を吸収できる体制が整ってきました。
「寮事業を安定収益源に、ビジネスホテル、リゾートホテルを育成し、その後、ウェルネス事業へと展開」と言うのが同社のビジョン。学生の時は学生寮に入寮、就職したら社員寮へ引越、働き盛りになったらビジネスホテルの常連客、加齢と共にリゾートホテルの利用が増え、その後、更にはウェルネス事業へ。「人の一生涯にわたってサービスを提供する下宿屋ビジネス」というコンセプトの下、事業展開を進めています。