ブリッジレポート
(9445) 株式会社フォーバルテレコム

東証2部

ブリッジレポート:(9445)フォーバルテレコム vol.13

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(9445:東証マザーズ) フォーバルテレコム 企業HP
谷井 剛 社長
谷井 剛 社長

【ブリッジレポート vol.13】2008年3月期決算業績レポート
取材概要「旧音声系サービスから収益性の高い新通信サービスへ、顧客の移行を進めてきたが、ほぼ一巡した感がある。このため、今後はいかに利用を増やし、・・・」続きは本文をご覧ください。
2008年7月8日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社フォーバルテレコム
社長
谷井 剛
所在地
東京都千代田区神田小川町 3-9-2
決算期
3月
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年3月 13,466 337 344 192
2007年3月 12,461 845 840 975
2006年3月 11,024 859 868 841
2005年3月 7,740 470 452 726
2004年3月 6,114 214 205 205
2003年3月 7,746 93 40 69
2002年3月 11,879 -1,732 -1,779 -4,939
2001年3月 18,224 284 134 45
2000年3月 20,503 53 -50 88
株式情報(7/3現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
22,330円 166,800株 3,725百万円 8.8% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
1,500円 6.7% 2,398.08円 9.3倍 12,744.33円 1.8倍
※株価は7/3終値
 
フォーバルテレコムの2008年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
電話機やOA機器の販売を手掛けるフォーバル(8275)グループで通信事業を展開。光ファイバー対応IP電話「FTフォン」の販売を中心に、インターネットサービス、セキュリティサービス、モバイルサービス等の各種アドオン・サービスの強化に取り組んでいる。電気通信事業者から回線を仕入れてエンドユーザーに再販する回線リセーラー(再販業者)であり、ターゲットは中小企業。もっとも、単に回線を再販するだけでなく、一般番号ポータビリティー(従来と同じ電話番号での使用が可能)や携帯電話への発番通知等、独自のサービスを付加している。また、同社のサービスを利用すれば、国内電話、国際電話、インターネット等の請求が一本化される(ワンビリングサービス)ため、ユーザー企業は事務処理を簡素化する事ができる。
 
<沿革>
95年4月、フォーバルグループの通信事業を担う戦略子会社「フォーバル・インターナショナル・テレコミュニケーションズ(株)」として設立され、国際電話サービスfit(フィット)コールを開始した。96年に市外電話サービスを、97年に市内電話サービスを、それぞれ開始。98年8月の現社名への商号変更を経て、「fit接続サービス」や「fitホスティングサービス」といったインターネット関連ビジネスを本格化。通信事業の拡大を受けて、2000年11月に東証マザーズに株式を上場した。02年2月、ソフトバンクグループのソフトバンクBB(株)と合弁会社を設立し、中小法人向けVoIP(インターネット上で音声データを送受信する技術)及びADSLサービスを開始。03年には、光ファイバー対応IP電話「FTフォン」サービスを開始した。
 
<事業内容>
事業は、「FTフォン」等の法人向けVoIPサービスを提供する新通信サービス事業、法人向け国際電話・市内外電話等のサービスを提供する旧音声系サービス事業、連結子会社(株)トライ・エックス及び同社の子会社(株)新英、タクトシステム(株)が手掛ける印刷や特注文具(ファイル・バインダー等)の製造・販売のドキュメント事業、及び連結子会社(株)FISソリューションズが手掛ける保険関連のコンサルティング等の経営支援サービスやオフィスセキュリティマーク取得コンサルティング等のセキュリティサービスを中心としたその他事業に分かれる。
 
2008年3月期決算
 
 
前期比8.1%の増収、同60.1%の営業減益。
光ファイバー対応IP電話「FTフォン」等の新通信サービス事業が伸びた他、M&A効果でドキュメント事業の売上も増加した。ただ、「FTフォン」等の販売代理店に支払う一時金手数料が負担となり、売上総利益が1,975百万円と同9.8%減少(売上総利益率は14.7%と2.9ポイント低下)。一方、M&Aに伴う人件費(235百万円増)やのれん償却(29百万円増)の増加等で販管費が同21.9%増加、大幅営業減益となった。受取利息の増加等で営業外損益が改善したものの、投資有価証券評価損134百万円等を特別損失に計上したため当期純利益は同80.3%減少した。
 
<セグメント別動向>
 
新通信サービス事業は、旧音声系サービスからの移行がほぼ一巡した事に加え、想定したほどには利用も伸びなかった。一方、販売代理店への一時金手数料の支払及び新規販売代理店の開拓に伴う販売促進費の発生で営業費用が大幅に増加した。
新通信サービス事業への顧客の移行に伴い、旧音声系サービス事業は減収・減益。
今期より新設されたドキュメント事業は、06年7月に連結子会社(株)トライ・エックスが子会社化した(株)新英が通期で寄与した。
その他事業では、07年4月にグローバル・ワン(株)及びケイ・ワイズファクトリー(株)を子会社化した事で、情報通信機器販売、経営支援コンサルティング及び保険サービス等の売上が増加したものの、事業拡大に向けた営業費用の増加を吸収できなかった。尚、グローバル・ワン(株)とケイ・ワイズファクトリー(株)は07年10月に合併、(株)FISソリューションズとして新たなスタートを切った。
 
<売上総利益の減少要因>
 
「FTフォン」等の新通信サービス事業の収益は、契約獲得時の一時的な手数料収入(一時収益)と毎月の通話料金をベースにしたストック収益に分かれるが、競合する「光電話サービス」等に対抗するため、今期より一時収益を販売代理店に支払う一時金手数料(顧客獲得時の成功報酬)に充当している。一時収益、ストック収益共に売上高として計上されるものの、一時収益は代理店へ支払われ、原価計上されるため、同社に売上総利益として残るのはストック収益のみとなる。このため、売上総利益が減少し、売上総利益率が低下した。
上の表から個別の売上総利益率悪化が連結の売上総利益率悪化要因である事がわかり、また、個別の利益率悪化は、一時収益の利益率悪化が要因である事がわかる。また、同社ではストック収益の伸びが4.6%にとどまった事を課題として挙げている。今後、一時収益の利益貢献が期待できない以上、サービスの拡充等によりストック収益を伸ばす必要がある。
 
2009年3月期業績予想
 
 
前期比7.7%の増収、同33.3%の営業増益予想。
引続き新規顧客開拓のために代理店向け販売サポートに注力するものの、一時金手数料の支払開始から1年が経過し影響が一巡。顧客・サービスの拡充によりストック収益の増加が見込まれる他、ドキュメント事業における川上統合効果(後述)も期待できる。
 
<09/3期の取組み>
既存商品の伸び悩みが明らかな事から、新たな法人向けサービスの開発を強化する。情報サービス領域、ドキュメント領域、セキュリティ領域、財務コンサルティング領域における取組みは次のとおりである。
 
通信サービス領域
中小法人向けの割安電話サービス「fitコール」及び「FTフォン」を中心とした新通信サービス事業の拡充に取り組む。具体的には、固定通信、移動体通信、アプリケーションをIP電話網でつなぎ、1パッケージにした「リテール型IPセントレックス商品」を開発し、固定電話とモバイルのシームレスな環境を提供、利用単価の引き上げを図る。
 
ドキュメント領域
本年4月に、子会社(株)トライ・エックスが、印刷の上流工程に強みを持つタクトシステム(株)の全株式を取得した。これにより、ドキュメント・ソリューションの上流工程から最終工程までを一貫して提供可能な体制が整った。グループ各社が、各々の顧客群を共有する事でシナジーを追及する。
尚、タクトシステムは、大手印刷会社や出版社を中心に年間100社以上に各種広告宣伝物のプランニング・デザイン及びDTP編集・製作・スキャニング・出力といったサービスを提供している。一方、トライ・エックスは、小ロット&短納期ニーズに対応したドキュメント・サービス(出力・製本サービス~プリント業務の一括アウトソーシング受託までの下流工程)を主にメーカー、教育機関、大手印刷会社等へ提供すると共に、小ロット対応を活かして、フォーバルテレコムの通信サービスの主要顧客群である中小法人向けのドキュメント・サービスの立ち上げに取り組んでいる。
 
セキュリティ領域
プライバシーマークやオフィスセキュリティマークの取得支援に加え、情報セキュリティ教育支援、セキュリティポリシー策定支援、ファイリングコンサルティング等、コンサルティングのラインナップを拡充し、利用しやすい廉価な価格で提供する事で客単価の引き上げにつなげる。
 
財務コンサルティング領域
(株)FISソリューションズが手掛ける保険を中心とした財務コンサルティングについては、営業活動を強化する。
 
取材を終えて
旧音声系サービスから収益性の高い新通信サービスへ、顧客の移行を進めてきたが、ほぼ一巡した感がある。このため、今後はいかに利用を増やし、ランニングの収入(ストック収入)を増やすかが課題となる。その施策の一つが、固定電話とモバイルのシームレスな環境を提供する「リテール型IPセントレックス商品」である。また、通信サービスに限らず、ドキュメント、セキュリティ、財務コンサルティング等、様々な角度からのアプローチにより既存顧客の深耕を図る考え。方向性は正しいと思うが、いずれの取り組みも緒に付いたばかり、今後の進捗に注目したい。