ブリッジレポート
(8860) フジ住宅株式会社

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ブリッジレポート:(8860)フジ住宅 vol.15

(8860:大証1部,東証1部) フジ住宅 企業HP
今井 光郎 社長
今井 光郎 社長

【ブリッジレポート vol.15】2009年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「住宅ローン問題に端を発した世界的な金融市場の混乱や米国景気の減速、更には原油高や原材料高等、国内外でマクロ、ミクロ両面から厳しい経済環・・・」続きは本文をご覧ください。
2008年8月12日掲載
企業基本情報
企業名
フジ住宅株式会社
社長
今井 光郎
所在地
大阪府岸和田市土生町1丁目4番23号
決算期
3月
業種
不動産業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年3月 48,793 2,723 2,413 2,097
2007年3月 52,221 4,233 4,090 911
2006年3月 41,333 3,229 3,196 1,312
2005年3月 43,954 3,208 2,799 1,661
2004年3月 34,387 2,034 1,891 684
2003年3月 32,905 1,198 1,028 545
2002年3月 33,419 899 692 297
2001年3月 31,433 2,928 2,681 1,503
2000年3月 34,268 1,596 1,117 -2,237
株式情報(8/6現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
329円 34,919,280株 11,488百万円 14,9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
17円 5.2% 37.03円 8.9倍 411.65円 0.8倍
※株価は8/6終値。発行済株式数は直近期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
フジ住宅の2009年3月期第1四半期業績について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
地盤である大阪府下を中心に戸建分譲等、住宅・不動産事業を展開。主力の戸建分譲は、分譲ながら間取りや設備仕様等、建築基準法の範囲内で最大限に顧客の要望を取り入れる「自由設計方式」と50~200戸規模で街並みの統一性を重視した開発を行う「街づくり」に特徴がある。この他、金融機関とタイアップした土地有効活用事業、賃貸・管理事業、不動産ファンドや個人投資家向けの賃貸マンション販売事業、及び戸建分譲のノウハウを活かした中古住宅の改装販売等の事業を手掛けている。各事業の内容は次の通り。

(1)分譲住宅事業(戸建・マンション)
用地仕入・許認可の取得から、宅地造成、設計、建築、販売までの一貫体制を構築しており、「自由設計方式」と「街づくり」が特徴。地価上昇に伴う事業リスクの高まりから5年前にマンション用地の仕入を停止。現在、地価上昇の影響が少ない郊外の戸建分譲に注力すると共に、営業エリアを大阪府下全域と兵庫県南部へ拡大中。

(2)土地有効活用事業(建築請負)
遊休地の有効活用を目的とした賃貸マンション・アパート等の建築提案を行なっている。単なる建築請負ではなく、市場調査・企画・設計・建築・竣工引渡後の運営管理までを一貫してサポート。金融機関や既契約者からの紹介案件が多い。
 フジパレス・ブランドの木造アパートが中心で、結果として建築資材価格高騰の影響は軽微。

(3)賃貸及び管理事業
100%子会社フジ・アメニティサービス(株)が手掛けている。安定収益源となるばかりでなく、土地有効活用事業や不動産投資ファンド等向け賃貸マンションの販売等との相乗効果も高い事業。

(4)不動産ファンド等向け賃貸マンション販売事業
不動産ファンドや個人富裕層を対象とした事業。不動産ファンド向けは、新築物件を一定期間保有し稼動実績を付けた後に販売するが、地価上昇によるリスクの高まりから、05年秋以降、土地の仕入を行っていない。当面は、資金運用手段として個人富裕層からの需要が強く、物件立地を都市部に限定しない個人投資向けに絞り、資材価格高騰の影響が少ない木造アパート中心に事業展開。

(5)中古住宅の販売及び仲介事業
「快造くん」のブランド名で展開している中古住宅の再生・販売が中心。地域密着営業により交差点単位での地域情報を収入し分析する。物件の鑑定力、仕入・販売価格の査定の速度と正確性、更にはリフォームのマニュアル化による独自のノウハウ等が強み。
 
2009年3月期第1四半期業績
 
 
前年同期比9.8%の減収、167百万円の営業損失(前年同期は47百万円の営業利益)。
受注契約高は同0.2%増の10,363百万円となり、期初計画を18.4%上回った。もともと、同社の業績は下期偏重だが(同社に限らず、引渡しが1-3月に集中する不動産業界全般の傾向である)、今期は前期以上に下期のウェートが大きい。また、09/3期は当初から厳しい事業環境を想定して望んだため、営業損益以下の各段で予想を上回る着地となった。
 
 
不動産販売事業
戸建住宅は、受注総戸数が196戸(前年同期193戸)となり、受注契約高は6,835百万円と前年同期比6.5%増加した。一方、引渡戸数の減少で、売上高は同18.9%減の3,520百万円。
中古住宅は、堺市方面への事業拡大効果もあり、受注契約高が1,988百万円と同27.9%増加、売上高も2,070百万円と前年同期比34.7%増加した。08年6月には、大阪市内に販売拠点「フジホームバンク大阪店」を開設した。
不動産投資ファンド等向け賃貸マンションは、資金運用手段として個人富裕層からの需要が強く受注契約高が476百万円(5棟)と同29.1%増加。引渡しが、土地の先行引渡し2件のみにとどまったため、売上高は117百万円と同87.1%減少した。
この結果、不動産販売事業は、受注契約高が同10.4%増の9,374百万円、売上高が同17.0%減の5,738百万円、営業損失91百万円となった。

土地有効活用事業
総額1,690百万円(18件)を受注したものの、融資不可案件の解約等により、受注契約高は989百万円と同46.6%減少した。ただ、引渡し件数が6件と同3件増加した事で、売上高が451百万円と同109.1%増加、営業利益47百万円を計上した。

賃貸及び管理事業
土地有効活用事業にリンクした賃貸物件及び管理物件の取扱いが増加した事等で、売上高は1,582百万円と同5.6%増加、営業利益は85百万円を計上した。

その他事業
中古住宅の仲介手数料やローン事務手数料等を計上。売上高53百万円(同9.3%増)、営業損失2百万円となった。
 
受注契約残高の推移
 
受注契約高の通期計画に対する進捗率は29.7%と順調。第1四半期末の受注契約残高は27,414百万円となり、前四半期末(08/3期末)比4,174百万円増加。この内、22,717百万円が09/3期に売上予定である。
 
2009年3月期業績予想
 
 
通期業績予想に変更は無い。
攻めの経営を進めるよりも守りに徹する時期であるとの判断から、適正な価格での仕入に徹すると共に、今後の業績拡大に向けた人財の採用と育成など先行投資を優先する方針。
尚、1株当たりの年間配当は年17円(中間配当8円)を予定している。
 
 
取材を終えて
住宅ローン問題に端を発した世界的な金融市場の混乱や米国景気の減速、更には原油高や原材料高等、国内外でマクロ、ミクロ両面から厳しい経済環境が続いているが、同社においては受注契約が順調に推移している事が確認できた。受注契約残高も積み上がっており、足下、通期の業績予想達成に向けて特段の不安はない。第1四半期の損失が、期初の想定ほどには膨らまなかった事からコスト管理も進んでいるものと思われる。