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ブリッジレポート:(2462)ジェイコム vol.10

(2462:東証1部) ジェイコム 企業HP
岡本 泰彦 社長
岡本 泰彦 社長

【ブリッジレポート vol.10】2009年5月期第1四半期業績レポート
取材概要「景況感の悪化により、企業の人件費抑制の傾向が強まってきており、同社の事業環境は厳しい状況になりつつあるが、反面、増収傾向は続いており・・・」続きは本文をご覧ください。
2008年10月14日掲載
企業基本情報
企業名
ジェイコム株式会社
社長
岡本 泰彦
所在地
大阪市中央区西心斎橋 2-1-3
決算期
5月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年5月 12,404 885 907 489
2007年5月 9,605 812 786 444
2006年5月 6,657 594 552 274
2005年5月 4,684 284 281 152
2004年5月 3,271 142 141 56
2003年5月 2,222 90 88 45
2002年5月 1,616 77 76 40
2001年5月 1,369 73 70 34
株式情報(10/2現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
134,800円 46,961株 6,330百万円 13.0% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
4,000円 3.0% 13,010.79円 10.4倍 77,413.07円 1.7倍
※株価は10/2終値。発行済株式数は直近第1四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
ジェイコムの2009年5月期第1四半期業績について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
大阪市に本社を置き、販売支援等の総合人材サービス事業と携帯電話キャリアショップ運営のマルチメディアサービス事業を展開している。主力の総合人材サービス事業は、携帯電話業界に特化した差別化戦略が奏功。業界動向や顧客ニーズを的確に捉えたサービスと情報の提供が、顧客企業から高い評価を受けている。2008年10月現在で、大阪本社、東京、東海、中国、東北、九州、北海道の6支社、栃木、茨城、群馬、静岡、岡山、新潟、四国、北陸(08年9月開設)、千葉(同9月開設)のサテライトオフィス9ヶ所、及び携帯電話ショップ2ヶ所(08年9月にソフトバンク伊丹西野を閉店)を展開している。

中長期の経営戦略として、携帯電話業界向け営業支援サービスでの圧倒的なシェアの確立、新規事業の育成による第二の収益の柱の構築、若年層のステップアップを支援する体制の確立、コンプライアンスの徹底を掲げている。具体的には、携帯電話業界向け営業支援サービスでの圧倒的なシェアの確立に向けて、首都圏での営業強化、全国拠点網の拡大を図っている。また、新規事業については、就職支援サービスを本格化させると共に、携帯電話以外の業界へサービスの裾野を拡大。若年層の支援体制については、社員として企業から選ばれる人材を育成するべく、教育研修の更なる充実を図っている。
平成23年(2011年)5月期を目標として、増収率30%を維持した上で、営業利益率8%を再度達成する事。

会社設立は1993年9月。旅行等の企画会社としてスタートしたが、98年10月に現在のコア事業である人材ビジネスに参入、99年5月に一般労働者派遣事業の許可を取得。2005年12月の東証マザーズ上場を経て、07年2月に東証一部に市場を変更した。
同社では、08年5月期以降を第2の創業期と位置付けており、既に説明した中長期の経営戦略を進めている。この一環として、同年6月には、新規事業として就職支援サービスを開始。同年11月には体育会学生向けに特化した就職支援サービスを展開するインダスを連結子会社化した。
 
<事業内容>
事業は総合人材サービスと携帯電話ショップを運営するマルチメディアサービスに分かれ、2008年5月期は前者の売上高が全体の94.6%を占めた。マルチメディアサービスでは、各通信キャリアと丸紅テレコムとの三者間契約により、関西地区でドコモショップ1店舗、ソフトバンクショップ1店舗を運営している。
 
総合人材サービス
主力の総合人材サービス事業は、更に営業支援サービス、就職支援サービス、及び人材派遣サービスに分かれる。
 
営業支援サービス
ジェイコムスタッフと呼ばれる同社のスタッフが、携帯電話ショップや量販店等販売店での接客、商品説明、販売活動、販売員に対するアドバイスや営業情報の収集・報告といった店舗巡回業務等のサービスを提供。また、販売業務自体を請負うアウトソーシングサービスも提供している。
 
就職支援サービス
携帯電話販売の枠に捉われず職業紹介や紹介予定派遣を行なっている他、連結子会社インダスが体育会大学生に特化した新卒向け就職支援を行っている。
 
人材派遣サービス
営業支援サービス以外のオフィスやコールセンターへのスタッフ派遣が中心で、同社が雇用し、教育・研修を行ったスタッフを派遣する。

総合人材サービスの特徴は、派遣社員等やアルバイトを受け入れる企業側のメリットだけを追求するのではなく、働く側のキャリアアップにも配慮したシステムが構築されている事。具体的には、派遣社員もしくはアルバイトとして採用した社会経験の浅い学生やフリーター等の若年層を、教育及びOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)により勤続年数に応じてステップアップさせ、最終的には希望する職業へ正社員として就職できるよう支援するシステムが構築されている(下図参照)。
 
 
2009年5月期第1四半期業績
 
<連結業績>
 
※インダス株式会社を07年11月1日に連結子会社化したことにより、前第2四半期より連結決算となる。当第1四半期については、期間比較を容易にするため、08/5期第1四半期は個別数値、09/5期第1四半期は連結数値を記載している。
 
 
景気後退の局面に入り、企業の人件費抑制の傾向が強まってきており、人材サービス企業の置かれる外部環境は厳しい状況へと変わりつつある。
また、同社グループの主要マーケットである携帯電話業界でも、割賦販売の定着による携帯電話端末の買替え期間の長期化に消費者の割高感が相まって、前年比で携帯電話の販売台数が大幅に減少したことにより、販売スタッフへの需要も鈍化してきている。

このような状況のもと、同社グループでは、総合人材サービス事業について、まず、営業支援サービスにおいて、引き続き採用活動や研修体制の強化に努め、得意先から選ばれる人材サービス企業となるべく注力した。また、比較的シェアの低い首都圏での営業活動を強化するとともに、四国、茨城にサテライトオフィスを開設することにより未進出地域での事業拡大を図った。

一方、就職支援サービスは、連結子会社であるインダス株式会社がその多くを占めているが、事業内容が新卒採用支援であり、当第1四半期がオフシーズンとなることから売上高は低迷した。主に受注活動、インフラ整備といった先行投資を行い、第2四半期以降の繁忙期に向け体制の整備に努めた。

また、人材派遣サービスにおいて、携帯電話業界だけでなく、金融業界をはじめとした他の業界における取引増加に注力した。

マルチメディアサービス事業は、引き続き直営3店舗における販売力強化に努めた。

以上の結果、当第1四半期の売上高は3,490百万円、営業利益は181百万円、経常利益は189百万円、四半期純利益は89百万円となった。
 
 
 
売上高は前年同期比23.3%増。携帯電話事業者上位3社の販売台数が前年同期比20.6%減(4月から6月まで)となるなど厳しい環境にも関わらず、モバイル業界向けを中心に引き続き順調に推移した。

売上原価率は80.7%と、前年同期に比べ1.0ポイント悪化した。前期からの流れを引き継ぎ、一部の契約において高付加価値の業務委託から派遣への契約変更や、スタッフ増加を図るための給与ベースを引き上げたが、その全てを派遣単価の上昇で吸収できなかった。前期より給与ベースを引下げ等の対応策をとっており、第2四半期以降に効果が現れると見ている。

販管費率は12.9%と、前年同期に比べ1.2ポイント悪化した。インダス株式会社において、学生の就活シーズンに向けて先行投資を行ったことにより、多額の販管費を計上(売上高販管費率134.0%)及びのれん償却により、連結ベースでは販管費率が1.2ポイントの悪化となった。

営業利益は前年同期比13.1%減。ジェイコムの個別比較では、22.3%の増収、経常利益では3.0%の増益。子会社インダスの赤字(△23百万円)と、のれん償却9百万円が響いた。インダスは就職セミナー等による収益計上が下期に集中するため、上期においては赤字で10月以降に収益があがるモデル。

得意先株式の投資有価証券評価損を特別損失として24百万円計上した。
 
 
(携帯電話業界)
携帯電話販売台数が前期比で減少しているが、モバイル業界向けは前期比22.0%増と引続き堅調に推移した。通信キャリア向けの取引が引き続き増加したこと、携帯電話の販売不振の影響が当社の主要取引先である大手販売代理店が少ないこと、家電量販店との取引増加、首都圏や東北・九州でのシェア拡大、サテライトでの営業エリア拡大が主な要因。
(情報通信業界)
新たに営業活動の業務受託を開始したほか、ブロードバンド加入契約の販促活動向け営業支援サービスを強化したことにより、売上高が増加した。
(金融業界、その他)
MF事業部において、金融業界向けの事務案件の取引拡大に注力。また、モバイルに限らず各種キャンペーンの受注強化を行った結果、それぞれ取引が拡大した。
 
 
(西日本地区)
シェアが高い関西地区において、大手携帯代理店を中心に前年同期比で順調にシェア拡大。また、九州地区においては、福岡県以外での取引が増加した。第1四半期に四国サテライトを開設したことも、業績拡大に貢献した。
(東海地区)
携帯キャリア向けを中心に、前年同期比で引き続き堅調に推移した。
(東日本地区)
東京支社が、前年同期比で依然高い成長性をキープ。特に携帯キャリア向けの増加が、業績拡大に大きく寄与した。そのほか、東北支社も順調に増加。第1四半期に茨城サテライトを開設した。
 
 
(販売支援サービス)
モバイル業界向けサービスが通信キャリア、家電量販店向けを中心に増加。また、ブロードバンドの加入促進も大幅に増加した。
(アウトソーシングサービス)
イー・モバイル社やプロバイダからの営業活動の業務受託が増加。また、業務受託によるキャンペーンの受注も強化した。
(その他(人材派遣サービス、就職支援サービス))
金融業界向けの派遣や、一般事務・コールセンター向けの人材派遣サービスが増加。就職支援サービスは、主にインダスの子会社化により増加した。
 
<貸借対照表>
 
資産は、前期末に比べて59百万円減少し、5,167百万円となった。資産減少の主な内容は、短期資金の運用を目的として取得していた有価証券の償還による減少199百万円、投資有価証券の売却による減少101百万円。

負債は、前期末に比べて70百万円減少し、1,531百万円となった。負債減少の主な内容は、税金の支払に伴う未払法人税等126百万円、未払消費税等38百万円の減少。

純資産は、前期末に比べて11百万円増加し、3,636百万円となった。純資産増加の主な内容は、四半期純利益の計上89百万円及び剰余金の配当93百万円によるもの。
 
<キャッシュ・フロー>
 
当第1四半期末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、税金等調整前四半期純利益の計上のほか、投資有価証券の売却収入といったプラス要因があったものの、一方で、税金や配当金の支払といったマイナス要因があったことにより、前期末に比べ52百万円減少し、1,480百万円となった。

当第1四半期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおり。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は16百万円となった。主な内容は、税金等調整前四半期純利益の計上165百万円、総合人材サービス事業の拡大に伴う売上債権の増加による資金の減少72百万円及び未払金の増加による資金の増加66百万円、未払消費税等の減少による資金の減少39百万円、法人税等の支払額195百万円。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は39百万円となった。この主な内容は、短期資金の運用を目的として取得していた投資有価証券の売却による収入101百万円、関係会社株式の取得による支出38百万円。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は74百万円となった。この主な内容は、配当金の支払額76百万円。
 
2009年5月期業績予想
 
業績予想は前回予想(7月1日公表)から修正はない。
 
 
携帯電話販売の外部環境は厳しいものの、首都圏および後発の地方都市のシェア拡大を図るなど、モバイル業界向けを中心に総合人材サービスが牽引し、引き続き順調に推移すると予想している。
上期では、売上高は20%増を超えるものの、子会社のインダス株式会社が就活シーズンへ準備期やのれん償却も含めて45百万円の赤字を予定。営業利益率は5.8%(前期比△1.3p)だが、前年同期比で営業増益を計画している。
通期では、売上高は20%増を超えると予想するとともに、インダス株式会社の就活シーズンによる収益貢献により、売上高・利益共20%を超える増加を計画。

新規事業領域、モバイル業界以外への取組みとして、販売業務派遣の主たる営業ドメインで携帯電話販売と同じく上位に位置するアパレル業界に注力する。
8月に大手アパレル販売会社数社から受注済み。第2四半期以降の新たな収益源として期待している。
 
新たなターゲット:アパレル業界への注力
 
携帯電話業界に特化して、成長してきた同社であるが、特徴としては以下の2点がある。
 
1. 若年層を取り込むノウハウ
2. ジェイコムスタッフとしての教育体制
 
上記の強みを活かし、携帯電話業界以外にもターゲットを広げていく考えだ。
具体的には、「アパレル業界への注力」とのこと。近年、衣料販売店(特にショッピングセンターやショッピングモール)が増加する反面、人手不足も指摘されているが、採用領域がどちらも若年層がメインであることから、同社のノウハウをそのまま活かせるとしている。
 
取材を終えて
景況感の悪化により、企業の人件費抑制の傾向が強まってきており、同社の事業環境は厳しい状況になりつつあるが、反面、増収傾向は続いており、首都圏におけるシェア拡大等、成長余力はあると思われる。ただ、第1四半期は、連結では子会社の赤字分もあり、増収減益となった。
今期は新たな取り組みとして、アパレル業界に注力する方針。8月に大手アパレル販売会社数社から受注済みで、第2四半期以降、収益貢献が期待できる。アパレル業界への取り組みは、同社の中期的な収益にも影響すると考えられ、第2四半期以降の収益寄与を注視したい。