ブリッジレポート
(2435) 株式会社シダー

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ブリッジレポート:(2435)シダー vol.9

(2435:JASDAQ) シダー 企業HP
山崎 嘉忠 社長
山崎 嘉忠 社長

【ブリッジレポート vol.9】2009年3月期第2四半期業績レポート
取材概要「半期ベースでも黒字転換に成功した。経営効率の改善はもちろんだが、先行投資負担を吸収して利益を出せる事業規模に拡大してきた事がその要因だ・・・」続きは本文をご覧ください。
2008年12月22日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社シダー
社長
山崎 嘉忠
所在地
北九州市小倉北区大畠 1-7-19
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年3月 5,921 56 42 16
2007年3月 4,519 -403 -406 -247
2006年3月 4,251 309 297 166
2005年3月 3,649 352 288 164
2004年3月 3,125 122 97 41
2003年3月 2,352 111 104 30
2002年3月 1,594 17 21 11
2001年3月 281 -20 -21 -14
株式情報(12/5現在データ)
株価 時価総額 発行済株式数 単元株数 決算データ年月 1株配当
180円 5,738,000株 1,032百万円 1.9% 100株
配当利回り PER 1株利益 PBR 1株株主資本 ROE
0.00円 0.0% 7.98円 22.6倍 155.00円 1.2倍
※株価は12/5終値。
 
シダーの2009年3月期第2四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
デイサービス及び有料老人ホームを中心とした介護サービスを北海道地区、千葉地区、大阪地区、中国地区、四国地区、福岡地区等で展開している。有料老人ホームでは施設数で業界(全国有料老人ホーム開設事業者)12位、総居室数で13位のポジションにある(日刊シニアビジネスマーケット08年11月号より)。
事業は、同社の施設の来場者にサービスを提供するデイサービス事業、施設の入居者を対象にサービスを提供する施設事業、及び利用者の自宅を訪問して日常生活訓練や機能訓練等を行うリハビリサービスや日常生活のお手伝いを行うホームヘルパーサービス等の介護サービスを提供する在宅サービス事業に分かれる。09/3期第2四半期の売上構成比は、それぞれ42.6%、47.3%、10.1%。
 
 
2009年3月期第2四半期決算
 
 
前期比21.4%の増収となり、半期ベースで黒字転換した。
サービスの向上等で新規利用者の獲得が進みデイサービス事業の施設稼働率が上昇した他、施設サービス事業も前期までに開設した有料老人ホームへの入居が順調に進んだ。利益面では、順調な売上の拡大で売上総利益が同2.4倍に拡大する一方、オペレーションの効率化が進み施設サービス事業の人件費や販管費が当初の予想程には増加しなかった。上期の新規開設は有料老人ホーム2施設(いずれも08年6月)。
 
 
①デイサービス事業  売上高:1,455百万円(前年同期比6.1%増)
前年同期に比べ登録利用者数が増加した。しかも、予防給付の利用者数よりも介護給付の利用者数の増加の方が多かったため利用単価が上昇、売上総利益率が前年同期の16.2%から18.8%に2.6%改善した。
 
 
②施設サービス事業  売上高:1,619百万円(前年同期比50.6%増)
前期までにオープンした有料老人ホームの入居が順調に進み、08年9月末現在の居室稼働率は約95.1%。08年6月に新規開設した2施設(ラ・ナシカあらこがわ、ラ・ナシカおとがな)の初期費用が発生したものの、既存施設の居室稼働率の上昇で吸収、売上総利益が黒字転換した。
 
 
③在宅サービス事業  売上高:345百万円(前年同期比6.5%減)
06年4月の介護保険改定以後、利用者が減少傾向にあるため、適正な人員配置を行い、一人当たりの訪問件数増加に注力したものの、訪問ヘルパー部門の減収をカバーできなかった。
 
 
(2)売上高構成比の推移
 
 
06/3期はデイサービス事業と在宅サービス事業が全体の96%を占めていたが、第2四半期末現在では、デイサービス事業、施設サービス事業、在宅サービス事業の3本柱となり、よりバランスのとれた経営体質となった。
 
2009年3月期業績予想
 
 
前期比20.2%の増収、同109.3%の経常増益予想。
下期は新たに3施設がオープンするため前年同期比で増収・減益見込みだが、通期では利益が倍増。既存施設の稼働率向上やオペレーションの効率化等により施設サービス事業の収益性が改善する他、デイサービス事業も全施設が黒字化する見込み。
 
 
09/3期は、デイサービス事業の強化と施設サービス事業の拡大を目標に掲げており、在宅サービスは引き続き利益体質の定着に取り組んでいる。
 
①デイサービス事業
稼働率期末目標   08/3期末: 66.9% → 09/3期末:75.0%(+8.1%)
登録者数期末目標  08/3期末:3,749人 → 09/3期末:4,080人(約300人増)

第2四半期末現在、稼働率は72.1%(目標達成まで残り2.9%)、登録者数は3,936人(同144人)である。
 
 
小規模施設で稼働率の低い施設があり、これらの稼働率引上げがポイントとなる。このため、稼働率が高い鎌ヶ谷(88.8%)や和白(89.0%)等を参考に運営モデル作りを進めると共に、積極的なリハビリテーションの推奨や利用者の健康チェックのための「体組成計Physion Physion XP」の導入により他社との差別化を図っている。また、認知症患者の利用が増えている事から、余裕のある施設では「認知症デイサービス実施する」等で利用者増を図っている。

07年 :徳力デイサービスに認知症デイサービスを開設
08年 :東京江戸川区小松川に認知症デイサービスを開設
 
②施設サービス事業
部屋数期末目標 08/3期末    932室 → 09/3期末   1,162室(239室増)
売上高期末目標 08/3期末 2,449百万円 → 09/3期末 3,644百万円(約1,200百万円増)

第2四半期末現在、稼働率は72.1%(目標達成まで残り2.9%)、登録者数は3,936人(同187人)である。

施設の総量規制に対応するため、前倒しで施設整備を進めてきたが、今期に5施設がオープンする事で施設整備が一巡する。今後は、総量規制の影響を受けない29床以下の施設の開設が中心となり、この他、既存施設の買収や他社が計画を中止した案件の引継ぎ等にも対応していく。また、既存施設の入居率の向上と教育・研修を充実させる事で、スタッフのスキルとモチベーションの向上にも取り組む。
 
 
※ 参考資料(説明会資料より)
政府・与党が10月30日に発表した「追加経済対策」には、来年度からの介護報酬を3.0%引き上げる方針が盛り込まれた。(以下は2008年10 月31日(金)読売新聞より抜粋)
政府・与党は30日、深刻な介護分野の人手不足を解消するため、来年度から介護報酬を3.0%引き上げることを決めた。プラス改正は2000年度の制度発足後初めて。これにより賃金を月2万円上げ、全国120万人の介護職の人数を約10万人増員させることを目指すとしている。(中略)
介護報酬は、03、06年度と連続して下げられたため、介護事業者の収入が増えず、給与が抑えられ、人手不足が深刻化していた。
 
取材を終えて
半期ベースでも黒字転換に成功した。経営効率の改善はもちろんだが、先行投資負担を吸収して利益を出せる事業規模に拡大してきた事がその要因だ。先行投資負担の重い施設事業だが、ある一定の事業規模になると、新規の投資を続けながら利益を出す事が可能になる。もちろん今後も顧客満足度向上のための努力は欠かせないが、経営が安定成長軌道に乗ったと考えて良いのではないか。しかも、参考資料で示されたとおり、介護分野の人手不足を解消するために国も動き出した。
今下期は新施設の立ち上げ負担で減益となるが、通期では利益が倍増する見込みで、来期は売上高82億円、経常利益4億円が目標。目標達成に向けて順調に推移しており、復配も見えてきた。企業業績の先行き不透明感が強まる中、来期も明るい展望が持てる数少ない企業の1社である。