ブリッジレポート
(8931) 和田興産株式会社

スタンダード

ブリッジレポート:(8931)和田興産 vol.4

(8931:JASDAQ) 和田興産 企業HP
和田 憲昌 会長
和田 憲昌 会長
小阪 堅三 社長
小阪 堅三 社長
【ブリッジレポート vol.4】2009年2月期第3四半期業績レポート
取材概要「2008年秋以降、米国発の金融危機をきっかけとして、不動産業界にとどまらず、産業界は未曾有の不況に突入した。同社は8月に通期業績予想を下方修正し・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年2月3日掲載
企業基本情報
企業名
和田興産株式会社
会長
和田 憲昌
社長
小阪 堅三
所在地
〒650-0023 神戸市中央区栄町通4-2-13
決算期
2月 末日
業種
不動産業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年2月 29,564 4,020 3,063 1,613
2007年2月 30,629 3,318 2,736 1,357
2006年2月 25,256 2,769 2,366 1,292
2005年2月 22,965 2,594 2,203 1,162
2004年2月 23,723 2,226 1,689 912
2003年2月 22,080 2,100 1,499 652
2002年2月 22,630 2,296 1,846 917
2001年2月 22,926 3,399 2,941 1,315
株式情報(1/15現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
303円 10,000,000株 3,030百万円 12.4% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
25円 8.3% 97.00円 3.1倍 1,416.12円 0.2倍
※株価は1/15終値。発行済株式数は直近中間期末の発行済株式数。
 
和田興産の2009年2月期第3四半期業績について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
兵庫県神戸市を地盤に、明石市、芦屋市、西宮市、尼崎市等で、マンション分譲を中心に、不動産賃貸、土地有効活用等のソリューション、及び戸建分譲等を手掛ける。マンション分譲は、「ワコーレ」ブランドで50戸前後の中規模マンションが中心。神戸市内では、7年連続で「供給戸数」第1位、10年連続で「供給棟数」第1位の実績を誇り、2008年8月末現在の累積供給実績は289棟、10,619戸。戸建分譲は、これまで試験的に行ってきたが、今09/2期から本格的に展開している。
また、安定収益源として積極展開中の不動産賃貸では、住居系を中心に、店舗、事務所、駐車場(月極・時間駐車)等を展開している。事業セグメントはマンション分譲を中心とする不動産販売事業と賃貸その他事業に分かれ、2009年2月期中間期は、不動産販売事業が売上高の93.6%を、売上総利益の 83.4%を占めた。
 
 
 
<沿革>
1899年1月、神戸市にて不動産賃貸業を創業。1966年12月に和田興産(有)として法人化され、79年9月に和田興産(株)に改組。分譲マンションの一棟売りで実績をつくり、91年3月、自社ブランド「ワコーレ」ブランドによる分譲マンション事業を本格化。95年1月の阪神淡路大震災を受けて、96年6月には震災復興のための優良建築物等整備事業にも従事した。04年9月に、株式をJASDAQ市場に上場した。
 
2009年2月期第3四半期業績
 
<非連結業績>
 
不動産業界は、米国のサブプライムローン問題を発端にした国際金融市場の信用収縮により、不動産市場への資金流入が停滞しており、金融機関の融資の縮小が不動産の流動化に影響を及ぼす中、業界全体の市況は減速しており、先行き不透明な状況にある。

また分譲マンション市場においては、建築基準法等の法令の厳格化がマンションの供給時期に影響を及ぼすほか、地価や建築コストの上昇が販売価格を押し上げたことに加え、経済環境の悪化に伴う個人消費の低迷等、それらを要因として第一次取得者層の購買意欲が減退しており、依然として軟調傾向で推移している。

このような事業環境の中、同社は分譲マンションを中心に事業展開を図るとともに、賃貸その他事業の拡大に注力し、当期事業計画を推進してきた。

なお、不動産業界の市況等の悪化により当中間期末及び当四半期末に保有しているたな卸資産について、時価(正味売却可能額)の下落が見込まれることにより、「棚卸資産の評価に関する会計基準」の早期適用を行い、たな卸資産評価損失として売上原価に18百万円、特別損失に1,042百万円(前期末保有分)を計上した。
その結果、当四半期会計期間の業績は、売上高26,518百万円(前年同期比74.5%増)、経常利益2,217百万円(同109.1%増)、四半期純利益672百万円(同12.7%増)となった。
 
<事業別動向>
 
(不動産販売事業)
不動産販売事業の売上高は、24,524百万円(前年同期比79.7%増)となった。
不動産販売事業のうち主力の分譲マンションは、優良用地の不足に加え、地価や建築コストの上昇、建築基準法の一部改正に伴う確認審査の長期化及び第一次取得者層の購買意欲の減退等、事業環境が軟調傾向で推移する中、昨年同様厳しい環境だったが、共同事業の積極的な推進、企画力の向上等、分譲マンション事業に注力した。
その結果、当四半期末において発売戸数383戸(同14.3%増)、契約戸数327戸(同7.9%減)、引渡戸数494戸(同14.9%増)、受注残戸数210戸(同65.8%減)となり、売上高は20,055百万円(同101.8%増)となった。
その他の不動産販売は、戸建て住宅11戸及び1棟卸マンション等14物件の販売により、売上高は4,468百万円(同20.4%増)となった。

(賃貸その他事業)
賃貸その他事業の売上高は、1,994百万円(前年同期比28.9%増)となった。
賃貸その他事業のうち主力の賃貸事業は、事業収益拡大と安定成長を推進する中、賃貸物件の確保に注力した。その結果、新築賃貸マンションの竣工等3棟、283戸の賃貸物件の増加により、賃貸収入は1,463百万円(同8.3%増)となった。
その他収入については、その他賃貸収入等で530百万円(同171.9%増)を計上した。
 
<財政状態>
 
当四半期末における総資産は、前期末に比べ1,213百万円減少し58,574百万円となった。
主な要因は、仕入債務等の支払いによる現金及び預金1,052百万円の減少及び分譲マンションの大型物件の引渡し等によるたな卸資産の減少5,307百万円(うち事業用固定資産への純振替額2,025百万円及び「棚卸資産の評価に関する会計基準」の早期適用に伴う損失計上による減少額1,060百万円)に対し、事業用固定資産取得等に伴う建物および土地をはじめとした有形固定資産の増加4,703百万円(うちたな卸資産からの純振替額2,025百万円)等によるもの。

負債は、前期末に比べ1,628百万円減少し44,413百万円となった。
主な要因は、支払手形等の仕入債務の減少4,748百万円、分譲マンション引渡しに伴う前受金の減少2,002百万円等に対し、事業用固定資産取得及びマンション用地取得等に伴う長期借入金の増加5,294百万円(一年以内返済予定分含む)等によるもの。

純資産は、前期末に比べ414百万円増加し14,161百万円となった。
主な要因は、四半期純利益672百万円の計上に対し、利益配当金250百万円等の減少によるもの。
 
<キャッシュ・フロー>
 
当四半期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前期末より885百万円減少し、2,200百万円となった。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、3,901百万円(前年同期比3,794百万円減)となった。
主な要因は、税引前四半期純利益1,163百万円の計上及びたな卸資産の減少3,281百万円等による資金増加に対し、仕入債務の減少4,748百万円、大型マンションの引渡しによる前受金の減少2,002百万円及び法人税等の支払額1,721百万円等による資金流出によるもの。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、3,156百万円(同269百万円減)となった。
主な要因は、有形固定資産の売却による収入176百万円の資金流入等に対し、有形固定資産の取得による支出3,332百万円等によるもの。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、6,172百万円(同3,877百万円減)となった。
主な要因は、マンション用地の購入および賃貸不動産の購入資金等として長期借入金11,815百万円の調達、社債の発行600百万円及び運転資金等の短期借入金の増加527百万円に対し、長期借入金の返済6,520百万円及び配当金249百万円を支出したことによるもの。
 
2009年2月期業績予想
 
<非連結業績>
通期の業績予想は前回の発表から修正はない。
 
 
 
取材を終えて
2008年秋以降、米国発の金融危機をきっかけとして、不動産業界にとどまらず、産業界は未曾有の不況に突入した。同社は8月に通期業績予想を下方修正したが、第3四半期までの業績は非常に健闘していると言える。経営資源の「神戸・阪神間」への集中、一次取得者向けを中心とする良質な住宅供給、豊富な物件情報賃貸事業の強化など、一貫した経営スタンスが景気の変動に対する大きな抵抗力となっている。通期の予想達成に期待したい。