ブリッジレポート
(8860) フジ住宅株式会社

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ブリッジレポート:(8860)フジ住宅 vol.17

(8860:大証1部,東証1部) フジ住宅 企業HP
今井 光郎 社長
今井 光郎 社長

【ブリッジレポート vol.17】2009年3月期第3四半期業績レポート
取材概要「減収・減益のため「順調」という表現は適切でないかもしれないが、マネジメントに狂いは無い。第4四半期についても、第3四半期までの累計で前年・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年2月10日掲載
企業基本情報
企業名
フジ住宅株式会社
社長
今井 光郎
所在地
大阪府岸和田市土生町1丁目4番23号
決算期
3月
業種
不動産業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年3月 48,793 2,723 2,413 2,097
2007年3月 52,221 4,233 4,090 911
2006年3月 41,333 3,229 3,196 1,312
2005年3月 43,954 3,208 2,799 1,661
2004年3月 34,387 2,034 1,891 684
2003年3月 32,905 1,198 1,028 545
2002年3月 33,419 899 692 297
2001年3月 31,433 2,928 2,681 1,503
2000年3月 34,268 1,596 1,117 -2,237
株式情報(2/1現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
295円 31,999,119株 9,440百万円 14.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
17.0円 6.0% 40.41円 7.0倍 428.60円 0.7倍
※株価は2/1終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
フジ住宅の2009年3月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
地盤である大阪府下を中心に戸建分譲等、住宅・不動産事業を展開。主力の戸建分譲は、分譲ながら間取りや設備仕様等、建築基準法の範囲内で最大限に顧客の要望を取り入れる「自由設計方式」と50~200戸規模で街並みの統一性を重視した開発を行う「街づくり」に特徴がある。この他、金融機関とタイアップした土地有効活用事業、賃貸・管理事業、不動産ファンドや個人投資家向けの賃貸マンション販売事業、及び戸建分譲のノウハウを活かした中古住宅の改装販売等も手掛けている。各事業の内容は次の通り。
 
(1)分譲住宅事業(戸建・マンション)
用地仕入・許認可の取得から、宅地造成、設計、建築、販売までの一貫体制を構築しており、「自由設計方式」と「街づくり」が特徴。地価上昇に伴う事業リスクの高まりから6年前にマンション用地の仕入を停止。現在、地価上昇の影響が少ない郊外の戸建分譲に注力すると共に、営業エリアを大阪府下全域と兵庫県南部へ拡大中。
 
(2)土地有効活用事業(建築請負)
遊休地の有効活用を目的とした賃貸マンション・アパート等の建築提案を行なっている。市場調査・企画・設計・建築・竣工引渡後の運営管理までを一貫してサポート。金融機関や既契約者からの紹介案件が多い。
 
(3)賃貸及び管理事業
100%子会社フジ・アメニティサービス(株)が手掛けている。安定収益源となるばかりでなく、土地有効活用事業や不動産投資ファンド及び個人投資家向け賃貸マンションの販売等との相乗効果も高い事業。
 
(4)不動産ファンド等向け賃貸マンション販売事業
不動産ファンドや個人投資家を対象とした事業。不動産ファンド向けは、地価上昇によるリスクの高まりから、05年秋以降、土地の仕入を行っていない。現在は、資金運用手段として根強い需要があり、立地も都市部に限定されない個人投資向けに絞り、資材価格高騰の影響が少ない木造アパート中心に事業展開している(以下、個人投資家向け1棟売賃貸マンション事業として表記する)。
 
(5)中古住宅の販売及び仲介事業
「快造くん」のブランド名で展開している中古住宅の再生・販売が中心。地域密着営業により交差点単位での地域情報を収入し分析する。物件の鑑定力、仕入・販売価格の査定の速度と正確性、更にはリフォームのマニュアル化による独自のノウハウ等が強み。
 
2009年3月期第3四半期決算
 
 
前年同期比2.9%の減収、同15.9%の経常減益。
減収・減益ではあるが、当初から厳しい事業環境を想定して今期に臨んだため、期初予想を上回って推移している。不動産市況の悪化からリスクが高まっている分譲住宅についてはブレーキを踏みながらの慎重な舵取りだが、地域密着型の多角経営が機能しており、中古住宅「快造くん」が好調な他、小規模建売住宅、土地有効活用、及び賃貸管理が堅調に推移している。
尚、前年同期は、固定資産(土地)の販売に係る税効果会計の適用により、法人税等調整額の戻し入れが発生し四半期純利益が925百万円増加した。
 
※ 08/3期の個人投資家向け1棟売賃貸マンションには、不動産投資ファンド向け(1棟1件)が
  含まれる。
※ 09/3期の個人投資家向け1棟売賃貸マンションには、上記の他、フロア単位で販売契約した
  物件が含まれる。
 
※ 08/3期の個人投資家向け1棟売賃貸マンションの期中契約高には、不動産投資ファンド向け
  (3棟3件)が含まれる。
※ 09/3期の個人投資家向け1棟売賃貸マンションの期中契約高には、上記の他、フロア単位で
  販売契約した物件が含まれる。
 
受注契約高は期初計画(26,067百万円)を2,359百万円上回って推移しており、通期計画(34,849百万円)に対する進捗率は81.6%に達している。
 
 
事業期間の短い中古住宅や小規模新築建売住宅の販売好調を受けて販売用不動産が増加した。ただ、期末に向けて仕込みの時期ではあるものの、棚卸資産全体では減少。また、50億円超の現預金残高を維持した上で、有利子負債も減少した。
 
 
事業期間の長い分譲住宅を抑制する一方、事業期間の短い中古住宅や小規模新築建売住宅を強化しているため、キャッシュ・フローも好転している。
 
2009年3月期業績予想
 
 
業績予想に変更は無く、前期比8.6%の減収、同7.6%の経常減益予想。

3Q累計の売上高(31,960百万円)と受注契約残高のうちの4Q売上計画分(10,184百万)の合計額は42,144百万円となり、通期予想売上高の94.5%に達する。これに、賃貸・管理事業の売上(3Q累計で4,828百万円の売上を計上)と販売好調な中古住宅・小規模建売一戸建住宅の1月、2月の受注契約分の売上が上乗せされるため、売上高が下振れする可能性は低い。
期末配当金は1株当たり9円を予定しており、既に実施した中間配当金8円と合わせて年17円となる。
 
 
4Q(1-3月)の3ヶ月では、前年同期比20.4%の減収、同9.3%の経常増益予想。経常利益が増加するのは、営業外損益が改善するためで、営業利益は同10.1%減少する見込み。
 
取材を終えて
減収・減益のため「順調」という表現は適切でないかもしれないが、マネジメントに狂いは無い。第4四半期についても、第3四半期までの累計で前年同期比2.9%の減少にとどまる売上高で同20%を超える減少、同9.3%減少した営業利益で同10.1%の減少を見込んでおり、過大な期待を抱いているわけではない。このため、通期の業績について不安は無く、むしろ、同社の業績予想は利益面で保守的な傾向があるため、売上高が予想通りであれば、利益は上振れる可能性が高い。