ブリッジレポート
(6914) オプテックスグループ株式会社

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ブリッジレポート:(6914)オプテックス vol.27

(6914:東証1部) オプテックス 企業HP
小林 徹 社長
小林 徹 社長

【ブリッジレポート vol.27】2008年12月期業績レポート
取材概要「急激な円高の影響を受けているものの、円高によって海外子会社のコストが圧縮される面もあり、利益面での影響は少ないようだ。08/12期は大幅な減益と・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年3月3日掲載
企業基本情報
企業名
オプテックス株式会社
社長
小林 徹
所在地
滋賀県大津市雄琴 5-8-12
決算期
12月
業種
電気機器(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年12月 20,916 2,661 2,489 1,004
2007年12月 22,167 3,854 4,075 2,377
2006年12月 20,294 3,728 3,921 2,282
2005年12月 19,012 2,655 2,776 1,584
2004年12月 17,138 2,159 2,321 1,297
2003年12月 15,173 2,203 2,215 1,354
2002年12月 13,047 1,595 1,546 951
2001年12月 11,507 1,173 1,305 544
2000年12月 11,240 1,081 1,213 620
1999年12月 11,201 1,133 957 861
株式情報(2/19現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
857円 16,561,448株 14,188百万円 6.0% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
40.00円 4.7% 60.40円 14.2倍 1,020.22円 0.8倍
※株価は2/19終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
オプテックスの2008年12月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
赤外線を応用した防犯・自動ドア等のセンサ大手。世界でもトップクラスのシェアを有する屋外用センサ等の防犯用製品、自動ドアセンサ、環境関連製品等の製造・販売を行なっており、子会社を通して産業機器用センサの分野にも展開している。 1979年に設立され、その翌年には、世界初の遠赤外線利用の自動ドア用センサを開発する等、創業以来、信頼性の高いセンサシステムを提供してきた。98年にはデジタル監視カメラシステム「Wonder Track」を発売し、画像関連分野に参入した。2004年には、客数情報システム、来場者計数装置、駐車台数管理システム及び警戒管理、防犯システム等を手掛ける技研トラステムを子会社化。更に05年には、交通関連事業にも参入した。
 
<事業内容>
事業は、防犯事業、自動ドア事業、産業機器事業、環境関連事業、交通関連事業、生産受託(EMS)事業・その他に分かれる。
 
防犯関連事業
主な製品は、屋内外で使われる各種センサ、ワイヤレスセキュリティシステム、画像記録システム等。屋外用センサでは、世界でもトップクラスのシェアを有し、近年では、デジタル画像技術・通信技術等を活かした製品開発にも取り込んでいる。
 
自動ドア関連事業
主な製品は、無目付け用センサ、シートシャッター用センサ、ワイヤレスタッチセンサ等。世界で初めて自動ドア用センサを開発した同社だが、近年では、画像センシング技術の活用により、ドアの自動開閉だけでなく、入退室者の管理や来店者数カウントなど人の動きを分析できる製品も供給している。
 
産業機器関連事業
連結子会社 オプテックス・エフエー(株)の事業領域。人体用センサだけでなく、物体検知用各種センサにも注力しており、CCDカメラ・液晶モニタ・操作部が一体となった世界初のカラービジョンセンサ「CVSシリーズ」は現場ニーズに即して開発した製品で独自性が高い。
 
交通関連事業
危険な瞬間を記録する「ドライブトレーナー」が主な製品。画像技術及びセンシング技術を応用し、2005年にこの分野に参入した。「ドライブトレーナー」は、交通事故時の映像を録画するだけでなく、日常的に運転履歴を蓄積できる。
 
2008年12月期決算
 
 
前期比5.6%の減収、同38.9%の経常減益。
急激な円高の進行や景気後退による需要減、更にはソフト開発の遅れによる新製品の投入遅延等で売上が減少。利益面では、減収により売上総利益が減少する中、子会社や研究開発費の増加による販管費の増加が響き、営業利益が同30.9%減少した。為替差損の計上等で営業外損益が悪化した他、投資有価証券評価損(334百万円)や英国子会社ののれん一括償却(216百万円)等で特別損失632百万円を計上したため、当期純利益は同57.8%減少した。
尚、期末配当は、予定通り1株当たり20円(中間配当を含めて通期で40円)を実施する予定。
 
 
 
 
防犯関連事業  売上高:9,757百万円(前期比12.4%減)
サブプライムローン問題に端を発した欧米での建築需要の低迷や急激な円高が響き、海外売上が減少。国内も大口顧客の絞込みを進めた影響で警備会社向けの画像製品機器や侵入検知器の販売が減少した。
 
自動ドア関連事業  売上高:5,298百万円(前期比2.4%増)
国内は前期比1.5%増。改正建築基準法の影響が沈静化したものの、下期以降、景気悪化による建築需要の低迷により自動ドアの設置台数が前年を下回ったため、自動ドア用センサの売上が減少した。ただ、子会社 技研トラステム(株)が手掛ける客数情報システムの売上が大口案件の寄与等で伸びた。一方、海外はOPTEX TECHNOLOGIES B.V.の連結効果で同3.9%増。販売拠点の強化やサポート体制の拡充を図ったものの、国内同様、自動ドア設置台数の減少が響き、M&A効果を除くと減収。
 
産業機器関連事業  売上高:4,215百万円(前期比1.5%増)
国内は前期比3.9%の増収。軌道に乗りつつある画像関係のセンシングが物流・自動車業界向けを中心に堅調に推移。特に、第4四半期は同7.5%の増収となった。一方、海外は第4四半期後半から設備投資抑制の影響が出始めた。
 
 
 
2009年12月期業績予想
 
 
前期比8.2%の減収、同27.7%の経常減益予想。
売上の面では、新製品投入効果(10~15億円)や新規事業の寄与(2~4億円)が見込まれるものの、円高による影響(-18億円)に加え、顧客情報システムの大型案件の一巡(-8億円)や取引先の生産調整による生産受託の減少(-4億円)等が響く。利益面では、減価償却費の増加(619百万円→790百万円)に加え、子会社の経費増等も見込まれ、営業利益が同36.1%減少する見込み。
尚、為替レートの前提は、1ドル=90円、1ポンド=125円、1ユーロ=115円。為替レートが前期並みで推移した場合、売上高は21,030百万円、営業利益は1,760百万円。配当は、前期と同額の1株当たり40円(中間配当20円を含む)を予定している。
 
 
 
防犯関連事業  売上高:9,370百万円(前期比4.0%減)
建築需要の低迷で国内外共に厳しい事業環境が続く見込み。このため、海外では、テロ対策需要を追い風に欧米で市場が拡大している原子力発電所や学校・教育施設向けなど非住宅向けの営業を強化する。また国内では、アプリケーションに応じた屋外センサの新製品を投入する。具体的には、ランニングコスト削減に貢献する製品、センサとカメラ一体型製品、更にはワイヤレス対応で施工コストの削減に寄与する製品等の投入を計画しており、合計で今期10億円程度の売上を見込む(ピーク時には37~38億円の寄与が見込まれる)。
 
 
自動ドア関連事業  売上高:4,220百万円(前期比20.3%減)
国内外で自動ドアの出荷台数が減少する見込みだが、未だ海外市場でのシェア拡大余地は大きい。このため、欧州において08年10月に投入したスライドドア用センサの現地規格に対応した新製品の拡販を図ると共に、米国においてマーケットの2/3を占めるスイングドア市場向けランナップを強化する(これまで同社はスライドドア用が中心だった)。また、世界的にドア周辺の安全に対する意識が高まっており、ソリューション提供による事業の拡大にも取り組む。尚、減収幅が大きいのは、大口案件の一巡で、客数情報システムの売上が大きく減少するため(1,838百万円→1,027百万円)。
 
産業機器関連事業  売上高:4,150百万円(前期比1.5%減収)
国内外共に設備投資の動向に不透明感が強いものの、大手各社と同等の製品ラインナップが整備されてきた。このため、カスタマイズ対応の強化や他社との協業による商品群及び販路の拡大により画像関連(カメラを使ったセンシング)製品の拡販を図ると共に、国内の営業基盤を強化する。ただ、主要販売先であるSICK AG社(ドイツ)向けの減少をカバーできず売上高はわずかに減少する見込み。
 
(3)新規事業の創出
①照明関連ビジネス
社会貢献にもつながる環境配慮型の照明制御システムの提供に取り組む。防犯用屋外センサで培った技術・強みを屋外照明のセンサ制御に生かすもので、必要に応じて照明をオン・オフするセンサシステムのアプリケーション開発を進めると共に施工の負担軽減につながるワイヤレス化を図る。具体的には、住宅・オフィス・工場・病院・商業施設等の外周や公園・街路・駐車場・バス停等に使われる屋外照明の制御を考えており、屋外照明の10%をセンサ連動にする事が中期的な目標。
尚、世界の制御機器を含む照明機器市場の規模は8兆5,000億円(屋外照明市場は、このうちの10~15%)で、照明制御機器の市場規模は照明機器市場規模の約10%に相当する8,400億円と言う。
 
②店舗マネジメントシステム
ハード販売にとどまらず、遠隔モニタリングによるサービス事業の拡大にも努める。具体的には、来店者カウントによる集客の分析や遠隔モニタリングによる売場観察等のサービスを提供する。尚、この3月には、店内画像と客数情報を一元管理できる店舗マネジメントシステムの試験導入が予定されている。
 
③三次元画像センシング技術
「3次元画像センシング技術」を確立し、今後5年以内に20~30億円の事業規模に拡大させたい考え。「3次元画像センシング技術」を用いると、立体形状、移動方向、位置関係、距離情報、スピード、体積・面積等の情報をリアルタイムで認識でき、主な用途としては、自動ドアや防犯分野における人体検知センサ、存在や通過人員のカウント、ロボットや自動搬送機の障害物認識、工場等の機械設備付近の安全センサ、荷物等の大きさや体積確認、デジタルサイネージやゲーム等の入力デバイス、背景処理関連(カメラの背景抜き取り)等を挙げる事ができる。
 
 
取材を終えて
急激な円高の影響を受けているものの、円高によって海外子会社のコストが圧縮される面もあり、利益面での影響は少ないようだ。08/12期は大幅な減益となったが、景気悪化等により売上が伸び悩む中で、研究開発費及び減価償却費の増加や買収した子会社の業績が芳しくなかった事等が主たる要因ではないかと思われる。つまり、売上高500億円体制の構築に向けて研究開発と設備投資を強化した矢先に、金融不安と世界的な景気悪化に見舞われたわけだ。加えて、ソフトウェア開発に手間取り、新製品の投入が遅れるなど悪い事が重なった。
09/12期も減益幅は大きいが、財務内容に優れ、キャッシュ・フローも潤沢である事から過度な不安は必要ない。目先の業績よりも、業績回復のけん引役となる新製品や新規事業の立ち上がりに注目したい。