ブリッジレポート
(6914) オプテックスグループ株式会社

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ブリッジレポート:(6914)オプテックス vol.29

(6914:東証1部) オプテックス 企業HP
小林 徹 社長
小林 徹 社長

【ブリッジレポート vol.29】2009年12月期第2四半期業績レポート
取材概要「産業機器関連の苦戦が暫く続きそうだが、新製品効果で防犯関連及び自動ドア関連が上期を底に回復に向かう見込みだ。一時に比べると、現状の為替・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年8月18日掲載
企業基本情報
企業名
オプテックス株式会社
社長
小林 徹
所在地
滋賀県大津市雄琴 5-8-12
決算期
12月
業種
電気機器(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年12月 20,916 2,661 2,489 1,004
2007年12月 22,167 3,854 4,075 2,377
2006年12月 20,294 3,728 3,921 2,282
2005年12月 19,012 2,655 2,776 1,584
2004年12月 17,138 2,159 2,321 1,297
2003年12月 15,173 2,203 2,215 1,354
2002年12月 13,047 1,595 1,546 951
2001年12月 11,507 1,173 1,305 544
2000年12月 11,240 1,081 1,213 620
1999年12月 11,201 1,133 957 861
株式情報(8/8現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
936円 16,552,403株 15,493百万円 6.0% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
30.00円 3.2% 30.21円 31.0倍 1,031.63円 0.9倍
※株価は8/8終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
オプテックスの2009年12月期第2四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
赤外線を応用した防犯・自動ドア等のセンサ大手。世界でもトップクラスのシェアを有する屋外用センサ等の防犯用製品、自動ドアセンサ、環境関連製品等の製造・販売を行なっており、子会社を通して産業機器用センサの分野にも展開している。1979年に設立され、その翌年には、世界初の遠赤外線利用の自動ドア用センサを開発する等、創業以来、信頼性の高いセンサシステムを提供してきた。98年にはデジタル監視カメラシステム「Wonder Track」を発売し、画像関連分野に参入した。2004年には、客数情報システム、来場者計数装置、駐車台数管理システム及び警戒管理、防犯システム等を手掛ける技研トラステムを子会社化。更に05年には、交通関連事業にも参入した。
 
<事業内容>
事業は、防犯事業、自動ドア事業、産業機器事業、環境関連事業、交通関連事業、生産受託(EMS)事業・その他に分かれる。
 
防犯関連事業
主な製品は、屋内外で使われる各種センサ、ワイヤレスセキュリティシステム、画像記録システム等。屋外用センサでは、世界でもトップクラスのシェアを有し、近年では、デジタル画像技術・通信技術等を活かした製品開発にも取り込んでいる。
 
自動ドア関連事業
主な製品は、無目付け用センサ、シートシャッター用センサ、ワイヤレスタッチセンサ等。世界で初めて自動ドア用センサを開発した同社だが、近年では、画像センシング技術の活用により、ドアの自動開閉だけでなく、入退室者の管理や来店者数カウントなど人の動きを分析できる製品も供給している。
 
産業機器関連事業
連結子会社 オプテックス・エフエー(株)の事業領域。人体用センサだけでなく、物体検知用各種センサにも注力しており、CCDカメラ・液晶モニタ・操作部が一体となった世界初のカラービジョンセンサ「CVSシリーズ」は現場ニーズに即して開発した製品で独自性が高い。
 
EMS・交通関連事業等
アジア向けEMSを展開。交通関連事業は危険な瞬間を記録する「ドライブトレーナー」が主な製品。日常的に運転履歴に加え、交通事故時の映像を録画することも可能。
 
2009年12月期第2四半期決算
 
 
前年同期比30.9%の減収、同89.0%の経常減益となった。
世界同時不況による需要減と代理店の在庫調整、更には円高の影響もあり、防犯関連、自動ドア関連、産業機器関連の主要3事業で売上が大きく落ち込んだ。グループあげての経費削減に加え、研究開発費の抑制や円高による子会社経費の目減り等もあり販管費が減少したものの、減収の影響をカバーできず営業利益が同93.1%減少。投資有価証券評価損など特別損失128百万円を計上したものの、海外子会社配当金益金不算入制度の導入に伴う繰延税金負債の取り崩しにより、55百万円の四半期純利益を確保した。
 
 
①防犯関連   売上高3,456百万円(前年同期比31.5%減)
国内においては官需向けが比較的底堅く推移したものの、警備会社向けが大きく落ち込んだ。海外においては欧米の建築市況低迷に伴う需要の減少や代理店の在庫調整の影響を受けたが、第2四半期に下げ止り、足下回復基調にある。
 
②自動ドア関連 売上高1,789百万円(前年同期比33.0%減)
国内においては小売業界の新規出店の減少により客数情報システムが落ち込んだ他、建築市況低迷で自動ドア用センサの需要も減少した。海外では欧州でシェアアップが図れたものの、国内以上に自動ドア業界の景況が悪化した。ただ、前期に発売したスライドドア用センサをけん引役に7月以降回復基調にある。
 
③産業機器関連 売上高1,499百万円(前年同期比25.7%減)
国内においては三品(食品、医薬品、化粧品)業界向けに画像センサ(カメラを使った画像解析に用いる)が好調に推移したものの、景気後退の影響で自動車、電機、半導体向けが低迷した。海外においてはヨーロッパ企業の設備投資抑制の影響を強く受け、主要販売先である独SICK AG社向けの売上が大きく落ち込んだ。
 
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー
売上債権の回収が進むと共にたな卸資産も減少したため、資金効率が改善。減収・減益ながら営業CFが増加した。
 
 
2009年12月期業績予想
 
7月17日に下方修正された通期の業績予想は、連結売上高が前期比22.6%減の16,200百万円、営業利益が同68.4%減の840百万円、経常利益が同59.8%減の1,000百万円、当期純利益が同50.2%減の500百万円。配当は1株当たり年30円(第2四半期末15円、期末15円)を予定している。

下期も産業機器関連の調整が続く見込みだが、防犯関連、自動ドア関連が回復基調にある。上期に発売した新製品の売上が約8億円程度期待できる他、景気対策の一環として各国で実施されている財政出動が追い風となり、非住宅向け(ハイエンドのセキュリティ)製品の需要増も期待できる。また、自動ドア関連では、前期に発売したスライドドア用センサをけん引役に、7月以降、欧州が回復基調にある。
一方、販管費は前年同期比13%の減少を見込んでいる。
下期の為替レートの前提は、米ドル95円、英ポンド145円、ユーロ125円。
 
 
今後の注力分野
 
同社は、今後の注力分野として、遠隔画像監視システムの販売を行うRVR事業や省エネに寄与する照明制御事業を挙げており、来期から再来期にかけての収益化を目指して研究開発を進めている。
 
(1)RVR事業
RVR(Remote Video Response)とはCCTV(監視カメラ)、センサ、及び遠隔監視による警備サービスで、07年に子会社化した英国ファーサイト社が手掛けている(CCTV、センサ、及び人的警備によるLVRも提供)。
ファーサイト社(FARSIGHT SECURITY SERVICES, LTD.)は96年に設立された遠隔監視による警備会社で、オプテックスの侵入者検知センサのユーザでもある。オプテックスはファーサイト社を子会社化し、共同でセンサ誤動作(草木等の揺れ、小動物、敷地外エリア検知)、カメラとセンサのエリア不一致(センサエリアが見えない、設置し難い)、暗がりにおけるカメラ操作(位置特定が困難)等のRVRにおけるセンサやシステムの課題解決に取り組んできた。
この成果として08年秋から09年春にかけて発売されたのが高機能センサ「REDWALL(3シリーズ、15機種)」で、広視野角・高ズームを特徴とするPTZカメラ(パンチル・ズーム・カメラ、後述)との組み合わせにより、高品質な遠隔監視システムを低コストで構築できるとして高い評価を受けている。
 
 
①PTZカメラとセンサで警備活動を支援
従来の固定カメラは常に同じ場所を監視するため多くのカメラが必要となるが(必要なモニタ数も増える)、その一方でデットスポットも多く監視効率が悪かった。しかし、PTZカメラは1台で広範囲の監視が可能なため、監視カメラの台数を削減できデッドスポットもでき難い。
監視においては、侵入者の位置特定が最も重要であり、しかも、犯罪の多くは夜間の暗がりの中で行われる事が多いため、暗闇で如何に的確に侵入者を捉えるかがポイントになる。赤外線センサはこうした暗闇の中でも的確に人の動きを捉える事ができ、PTZカメラと組み合わせる事でガードマンの警備活動の大きな補助となる。
尚、英国では、「REDWALL」発売以前からオプテックスの赤外線センサがRVR/PTZカメラ起動用として高い評価を得ており、オプテックスは70%の市場シェアを有する。
 
②市場予想
IMSリサーチによると、PTZカメラの市場(台数ベース)は5年で約2倍に拡大する見込みで、このうちの約80%が屋外監視用に用いられる見込み。
 
 
③今後の展開
採用場所としては、空港、港湾、政府・軍施設、プラント、原発施設、国境、銀行、大規模工場、浄水場、大型ビル、データセンター等を想定しており、ネットワークPTZカメラに強い監視カメラメーカーや同社とは異なる技術・販路を持つハイセキュリティセンサメーカーとのアライアンスを計画している。09年5月に発売した「REDWALL」の最新機種は、大変高い評価を得ており、今後に期待できる。
また、将来的にはPTZカメラ用のセンサの共通企画の策定や、カメラ・センサの設置に関する認定制度の実施など、積極的な取組みを進めている。
 
 
(2)照明制御事業
経済産業省の資料によると、事業所のエネルギー消費の約1/4(21.3%)が照明によるもの。このため、消費電力の少ないLEDと起動用のセンサを組み合わせて、必要な時に必要なだけ、必要量を点灯させる(センサによる調光)事で省エネを図ろうと言うもの。
工場、倉庫、駐車場、ガソリンスタンド、体育館等での利用を想定しており、照明メーカーとのタイアップにより事業を進めていく考え。
 
取材を終えて
産業機器関連の苦戦が暫く続きそうだが、新製品効果で防犯関連及び自動ドア関連が上期を底に回復に向かう見込みだ。一時に比べると、現状の為替水準はかなりの円高ではあるが、小林社長によると、心地良い水準であるとの事。中国での生産が全体の50%を占め、これをドル建てで仕入れている事や海外子会社の経費が外貨建てである事等から、円高・ドル安の影響はかなりの部分吸収できる。ポンドやユーロは、ドルのようにはいかないが、現状では大きな影響は無く、リーマンショック以前のポンド高、ユーロ高の時に甘え過ぎていたとの事。
今後の業績イメージとしては、来期は新製品効果がフルに現れ、再来期はRVR事業や照明制御事業の寄与が始まると言ったところだろうか。特に、赤外線センサが捉えた侵入者を高ズームの全方位カメラが追尾して犯罪の未然防止につなげる遠隔監視システムは近未来の世界を思わせるようなシステムで興味深い。