ブリッジレポート
(9445) 株式会社フォーバルテレコム

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ブリッジレポート:(9445)フォーバルテレコム vol.18

(9445:東証マザーズ) フォーバルテレコム 企業HP
谷井 剛 社長
谷井 剛 社長

【ブリッジレポート vol.18】2010年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「成長が続いた情報通信業界も情報通信関連支出の減少等で景気悪化の影響を少なからず受けている。ただ、ブロードバンド化の進展に加え・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年9月1日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社フォーバルテレコム
社長
谷井 剛
所在地
東京都千代田区神田小川町 3-9-2
決算期
3月
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年3月 15,042 391 388 133
2008年3月 13,466 337 344 192
2007年3月 12,461 845 840 975
2006年3月 11,024 859 868 841
2005年3月 7,740 470 452 726
2004年3月 6,114 214 205 205
2003年3月 7,746 93 40 69
2002年3月 11,879 -1,732 -1,779 -4,939
2001年3月 18,224 284 134 45
2000年3月 20,503 53 -50 88
株式情報(8/19現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
23,400円 166,824株 3,903百万円 6.4% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
1,500.00円 6.4% 1,138.92円 20.5倍 11,734.16円 2.0倍
※株価は8/19終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
フォーバルテレコムの2010年3月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
電話機やOA機器の販売を手掛けるフォーバル(8275)グループで通信事業を展開。電気通信事業者から回線を仕入れてエンドユーザーに再販する回線リセーラー(再販業者)であり、ターゲットは中小企業。もっとも、単に回線を再販するだけでなく、一般番号ポータビリティー(従来と同じ電話番号での使用が可能)や携帯電話への発番通知等、独自のサービスを付加している。また、同社のサービスを利用すれば、国内電話、国際電話、インターネット等の請求が一本化される(ワンビリングサービス)ため、ユーザー企業は事務処理を簡素化する事ができる。現在、光ファイバー対応IP電話「FTフォン」の販売を中心に、インターネットサービス、セキュリティサービス、モバイルサービス等の各種アドオン・サービスの強化に取り組んでいる。
 
<事業内容>
事業は、「FTフォン」で展開する法人向けVoIPサービス(高速ブロードバンド回線を利用した電話やインターネット接続サービス)を提供する新通信サービス事業、法人向け国際電話・市内外電話等のサービスを提供する旧音声系サービス事業、連結子会社(株)トライ・エックス及び同社の子会社(株)新英、タクトシステム(株)が手掛ける印刷や特注文具(ファイル・バインダー等)の製造・販売のドキュメント事業、連結子会社(株)FISソリューションズが手掛ける経営支援コンサルティング及び保険サービスの経営・保険コンサルティング事業、及び情報通信機器販売等のその他事業に分かれる。
 
<FT フォンとは>
「FT フォン」とは、光ファイバーによる超高速ブロードバンドサービスを介して、クラスA(固定電話同等品質)の最高水準による高品質音声(電話)を実現した、法人向けIP電話サービス。次のような導入メリットを享受する事ができる。
FTフォン導入のメリット
①NTTの基本料金が不要 ②電話番号の変更不要 ③国内通話料全国一律
 3分7.5円
④格安国際電話
 (米国1分2.5円)
⑤FTフォン加入者同士
 通話料無料
⑥携帯電話への発信者番号
 通知
⑦最大100MBの高速インターネット(プロバイダー契約不要)
2010年3月期第1四半期決算
 
 
前年同期比8.8%の減収、同51.5%の経常減益となった。
新規事業として育成中の経営・保険コンサルティング事業の売上が増加したものの、景気悪化を受けて同社が顧客とする中堅・中小企業各社が情報通信関連支出を削減しており主力の新通信サービスの売上が減少、ドキュメント事業の売上も落ち込んだ。利益面では、経費削減に努めたものの、減収の影響に加え、新サービス「ホワイトビジネスフォンパック」の立上げ等に伴う人件費の増加(269百万円→299百万円)等が負担となり、営業利益は同50.1%減少した。
 
 
新通信サービス事業
通話料に応じて電話会社から受け取るストック収入は前年同期比微減にとどまったものの、新規契約時に受け取る一時収益が減少。ストック収入の構成比が高まった事で利益率は若干改善したものの(個別の売上総利益率は10.7%から11.1%に改善)、売上の減少が響き営業利益が減少した。
 
旧音声系サービス事業
「新通信サービス事業」への移行を優先する施策を講じているため売上高が減少、若干の損失計上となった。

この他、景気悪化の影響を受けたドキュメント事業の収益が悪化した他、その他事業に計上される情報通信機器販売等も減少。一方、経営・保険コンサルティング事業の収益が改善した。
 
 
連結売上総利益の減少及び利益率悪化は、主に子会社の影響による。フォーバルテレコム個別では、一時収益の減少で売上高が減少したものの、利益貢献の大きいストック収益が微減にととまったため、売上総利益率は改善した。
 
(4)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
第1四半期末の総資産は前期末比398百万円減の5,916百万円。特筆すべき事は無く、長短借入金の一部返済及び配当金や法人税等の支払いで現預金が減少した。また、CFの面から見てみると、減益ながら法人税等の支払の減少で営業CFが増加。投資CFのマイナス幅拡大は貸付による支出の増加が要因。有利子負債を減少したため財務CFのマイナス幅が拡大した。
 
 
 
2010年3月期業績予想
 
業績予想に変更は無く、通期で前期比6.3%の減収、同12.4%の経常減益予想。引き続き厳しい事業環境が予想されるものの、新通信サービス事業におけるストック収益が下支えとなる事に加え、下期以降、徐々に新サービス「ホワイトビジネスフォンパック」が寄与してくる見込み。配当は、1株当たり第2四半期末700円、期末800円の年1,500円を予定している。
 
 
 
取材を終えて
成長が続いた情報通信業界も情報通信関連支出の減少等で景気悪化の影響を少なからず受けている。ただ、ブロードバンド化の進展に加え、モバイル端末からのデータ通信も大幅に増加している。また、インターネット利用に際しての個人情報保護、ウイルス、更にはセキュリティ対策等の問題も顕著になってきている。同社は、旧音声系サービスから新通信サービスへのシフトが一巡しつつある中で、こうした新たなニーズを取り込む事で今後の収益拡大につなげていく考え。下期にサービスの本格的開始が予定されている「ホワイトビジネスフォンパック」は、固定回線サービスと携帯電話サービスを融合し、オフィスの置型電話を整理する事で利便性を損なわずに通信費の削減を実現する画期的なサービスである。ブロードバンド化とモバイル化の流れに対応すると共にコスト削減にも寄与するものだけに、今後の展開が期待される。