ブリッジレポート
(9616) 株式会社共立メンテナンス

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ブリッジレポート:(9616)共立メンテナンス vol.21

(9616:東証1部) 共立メンテナンス 企業HP
石塚 晴久 会長
石塚 晴久 会長
佐藤 充孝 社長
佐藤 充孝 社長
【ブリッジレポート vol.21】2010年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「上期予想に対する進捗率は売上高が45.8%(前年同期は48.9%)、経常利益が35.8%(同52.5%)と、いずれも前年同期を下回っているが、利益・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年9月1日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社共立メンテナンス
会長
石塚 晴久
社長
佐藤 充孝
所在地
東京都千代田区外神田 2-18-8
決算期
3月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年3月 82,303 5,349 4,510 2,133
2008年3月 75,606 4,492 4,167 2,740
2007年3月 66,287 3,745 3,787 2,413
2006年3月 63,084 4,611 4,823 2,010
2005年3月 58,014 4,407 4,411 2,343
2004年3月 54,080 4,004 4,059 2,137
2003年3月 50,108 4,148 3,884 2,039
2002年3月 50,064 3,908 3,580 1,821
2001年3月 37,884 2,827 2,643 1,146
2000年3月 36,787 2,368 2,281 906
株式情報(6/12現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,545円 14,366,067株 22,196百万円 7.6% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
38.00円 2.5% 164.97円 9.4倍 2,017.84円 0.8倍
※株価は8/18終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
共立メンテナンスの2010年3月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
"ライフステージにおける様々な場面での「食」と「住」さらに「癒し」のサービスを通じて、広く社会の発展に寄与する"と言う経営方針の下、「現代版下宿屋」(食事付きの寮の運営)を中心にした寮事業、ホテル事業、総合ビルマネジメント事業、外食やレストラン運営受託のフーズ事業等を展開。知名度と実績で他社を凌駕する主力の寮事業を安定収益源とし、ホテル事業の育成により成長を加速している。

事業の種類別セグメントと売上構成(09/3期)は次の通りである。
 
 
2010年3月期第1四半期決算
 
 
前年同期比4.7%の減収、同33.1%の経常減益となった。
主力の寮事業では学生寮の入寮時に契約金売上が計上されるが、当然の事ながらその計上は入寮生の多い第1四半期に集中する傾向があった。しかし、今春は3月からの入寮希望者が多く、前期の第4四半期に契約金売上が計上されたため、この第1四半期は寮事業の売上が伸び悩んだ。加えて、不動産市況の悪化や寮・ホテル等の開発に注力した事でデベロップメント事業の売上が大幅に減少、連結売上高は20,000百万円と同4.7%減少した。
利益面では、利益に直決する契約金売上が減少した事等で売上総利益率が悪化する一方、ホテルの新規オープンに伴う開業準備費用の発生等で販管費が増加したため営業利益は同22.4%減少。金融費用の増加に加え、投資有価証券評価損236百万円等を特別損失に計上したため当期純利益は同49.3%減少した。
 
 
寮事業
売上高は同0.7%減の10,689百万円、営業利益は同12.8%減の1,986百万円。寮事業全体での6月末現在の稼働契約数は前年同期比188名減の27,672名。学生寮事業は提携大学の拡大効果もあり施設の稼働は堅調だが、既に説明し通り従来4月に入寮する新寮生の一部が先行して3月に入寮したため、前年同期に比べ契約金等の売上が減少した。尚、3月先行入寮の傾向は増加傾向にあるため、契約金等の売上時期の第4四半期シフトが当面続く見込み。一方、社員寮事業については、昨今の企業収益の悪化により、期初の研修ニーズ等によるマンスリー契約等が減少した。
 
ホテル事業
売上高は前年同期比7.7%増の6,012百万円、営業損失543百万円(前年同期は429百万円の損失)。前期にオープンした6事業所と、当期にオープンした4事業所の寄与で売上が増加。また、事業所毎のコスト管理の徹底により各事業所の損益も改善傾向にあるが、ドーミーイン事業(ビジネスホテル事業)3事業所及びリゾート事業(リゾートホテル事業)1事業所のオープンに伴う開業準備費用等が利益を圧迫した。
尚、例年の事ではあるが、ホテル(リゾートホテル)事業の第1四半期は、本格的なリゾートシーズン(7-9月)を前にした季節要因により、収益が低めに推移する傾向がある。
 
総合ビルマネジメント事業
売上高は前年同期比2.5%減の2,724百万円、営業利益は同27.0%減の75百万円。原価管理を徹底しコスト削減に取り組んでいるものの、特にオフィス系業務で顕著な値引き要請や仕様変更等による収益悪化をカバーできなかった。尚、当事業の売上高の33.0%は内部売上高である。
 
フーズ事業
引き続き変動原価管理を強化・徹底し、収益構造の見直しに取り組んだものの、個人消費の低迷等で売上高が1,129百万円と前年同期比4.8%減少、営業損失3百万円となった。尚、当事業の売上高の54.3%は内部売上高である。
 
デベロップメント事業
原材料価格の低下等があったものの、景気悪化による販売の低迷や不動産価格の下落など厳しい事業環境が続いた事に加え、寮・ホテル等の開発へ注力した事もあり、売上高が595百万円と前年同期比75.8%減少した。ただ、コスト管理の徹底により営業利益100百万円を計上した(前年同期は39百万円の損失)。尚、当事業の売上高の58.8%は内部売上高である。
 
その他事業
売上高は前年同期比6.4%減の1,223百万円、営業利益は同19.2%減の83百万円となった。
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
財政状態に大きな変化は無く、第1四半期末の総資産は前期末比106百万円減の125,687百万円。第2四半期以降の仕込みでたな卸資産(販売用不動産+未成工事支出金)が増加し、現預金が減少した。また、CFの面から見ると、たな卸資産の増加で営業CFのマイナス幅が拡大する一方、有形固定資産の取得が減少した事で投資CFのマイナス幅が縮小。新規借り入れの減少で財務CFの黒字幅も減少した。
 
 
 
2010年3月期業績予想
 
第1四半期は減収・減益となったものの、ほぼ当初の計画通りの推移。このため、業績予想に変更は無い。通期予想は、連結売上高89,210百万円(前期比8.4%増)、営業利益5,890百万円(前期比10.1%増)、経常利益4,690百万円(前期比4.0%増)、当期純利益2,370百万円(前期比11.1%増)。

主力の寮事業は、4年制大学との提携拡大を背景に学生寮事業の堅調な推移が見込まれ、期末総定員は414棟、31,217室(前期比1,051室増)を計画。また、ホテル事業は、第2四半期以降、ビジネスホテル3事業所のオープンを計画(通期でビジネスホテル6事業所、リゾートホテル1事業所をオープン)。既存ホテルと共にサービスの充実を図り事業所毎の収益管理を徹底する。

利益面では、金融費用等の増加で経常利益が同4.0%の増加にとどまるものの、特別損益の改善により当期純利益は同11.1%増加する見込み。
配当は、1株当たり第2四半期末19円、期末19円の年38円を予定している。
 
 
 
取材を終えて
上期予想に対する進捗率は売上高が45.8%(前年同期は48.9%)、経常利益が35.8%(同52.5%)と、いずれも前年同期を下回っているが、利益貢献が大きいと思われる契約金売上の計上が第1四半期から第4四半期にシフトしている事を考えれば、ある程度の説明がつくのではないか。
これまで同社は活発な先行投資により事業規模を拡大させてきた。しかし、今春に示された中期展望では、販売価格の適正化と徹底的なコストパフォーマンスの追及による既存事業の収益力強化、財務健全性の強化、及び確実な資金調達パイプの確保の3点を今後の取り組みとして挙げている。今後は、単に事業規模の拡大を目指すのではなく、足下をしっかりと固め、財務バランスにも目配りしてリスクを限定しながら利益を伸ばしていこうという考えだ。これら施策の進捗に期待したい。