ブリッジレポート
(6914) オプテックスグループ株式会社

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ブリッジレポート:(6914)オプテックス vol.30

(6914:東証1部) オプテックス 企業HP
小林 徹 社長
小林 徹 社長

【ブリッジレポート vol.30】2009年12月期第3四半期業績レポート
取材概要「建築市況低迷の影響などによる需要減退の影響をまともに受けている。各国政府の需要喚起策などにより、産業界では自動車や電機など一部の業種・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年11月17日掲載
企業基本情報
企業名
オプテックス株式会社
社長
小林 徹
所在地
滋賀県大津市雄琴 5-8-12
決算期
12月
業種
電気機器(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年12月 20,916 2,661 2,489 1,004
2007年12月 22,167 3,854 4,075 2,377
2006年12月 20,294 3,728 3,921 2,282
2005年12月 19,012 2,655 2,776 1,584
2004年12月 17,138 2,159 2,321 1,297
2003年12月 15,173 2,203 2,215 1,354
2002年12月 13,047 1,595 1,546 951
2001年12月 11,507 1,173 1,305 544
2000年12月 11,240 1,081 1,213 620
1999年12月 11,201 1,133 957 861
株式情報(11/6現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
943円 16,552,373株 15,609百万円 6.0% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
30円 3.2% 25.37円 37.2倍 1,013.11円 0.9倍
※株価は11/6終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
オプテックスの2009年12月期第3四半期業績について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
赤外線を応用した防犯・自動ドア等のセンサ大手。世界でもトップクラスのシェアを有する屋外用センサ等の防犯用製品、自動ドアセンサ、環境関連製品等の製造・販売を行なっており、子会社を通して産業機器用センサの分野にも展開している。1979年に設立され、その翌年には、世界初の遠赤外線利用の自動ドア用センサを開発する等、創業以来、信頼性の高いセンサシステムを提供してきた。98年にはデジタル監視カメラシステム「Wonder Track」を発売し、画像関連分野に参入した。2004年には、客数情報システム、来場者計数装置、駐車台数管理システム及び警戒管理、防犯システム等を手掛ける技研トラステムを子会社化。更に05年には、交通関連事業にも参入した。
 
<事業内容>
事業は、防犯事業、自動ドア事業、産業機器事業、環境関連事業、交通関連事業、生産受託(EMS)事業・その他に分かれる。
 
防犯関連事業
主な製品は、屋内外で使われる各種センサ、ワイヤレスセキュリティシステム、画像記録システム等。屋外用センサでは、世界でもトップクラスのシェアを有し、近年では、デジタル画像技術・通信技術等を活かした製品開発にも取り込んでいる。
 
自動ドア関連事業
主な製品は、無目付け用センサ、シートシャッター用センサ、ワイヤレスタッチセンサ等。世界で初めて遠赤外線式自動ドア用センサを開発した同社だが、近年では、画像センシング技術の活用により、ドアの自動開閉だけでなく、入退室者の管理や来店者数カウントなど人の動きを分析できる製品も供給している。
 
産業機器関連事業
連結子会社オプテックス・エフエー(株)の事業領域。人体用センサだけでなく、物体検知用各種センサにも注力しており、CCDカメラ・液晶モニタ・操作部が一体となった世界初のカラービジョンセンサ「CVSシリーズ」は現場ニーズに即して開発した製品で独自性が高い。
 
EMS・交通関連事業等
アジア向けEMSを展開。交通関連事業は危険な瞬間を記録する「ドライブトレーナー」が主な製品。日常的に運転履歴に加え、交通事故時の映像を録画することも可能。
 
2009年12月期第3四半期業績
 
<連結業績>
 
当第3四半期連結累計期間の同社グループは、「全社一丸となって『Quick』かつ『Flexible』に」を経営方針に掲げ、新製品の早期立ち上げ、新たな販路構築と代理店育成システムの整備、新規事業構築への機動的な投資配分などを実行した。

しかし、需要の減少と円高による影響から、当第3四半期連結累計期間の売上高は110億75百万円(前年同期比31.6%減)となった。

利益面は、外部への設計委託費用をはじめとした固定費の削減に取り組んだが、急激な需要減退の影響が大きく、営業利益は3億54百万円(前年同期比84.1%減)、経常利益は3億82百万円(同82.6%減)となった。また、四半期純利益は、投資有価証券の時価下落などによる特別損失を計上したものの、海外子会社配当金益金不算入制度の導入による繰延税金負債の取り崩しにより2億33百万円(同80.0%減)となった。
 
<事業の種類別セグメントの状況>
防犯関連は、売上高52億40百万円(前年同期比30.7%減)となった。国内は警備会社・電設資材・家電業界向けなどの受注が減少したことにより、前年同期を下回った。海外は代理店の在庫調整一巡などによる市場環境の底打ち感は見られるものの、欧米をはじめとした建築市況低迷の影響は大きく、大幅な減収となった。

自動ドア関連は、売上高27億48百万円(前年同期比33.4%減)となった。国内は建築市況低迷の影響により自動ドア用センサの需要が減少したことに加え、小売業界の投資意欲減退の影響により客数情報システムの売上高が前年同期を大きく下回った。海外は欧米の自動ドア業界の景況が国内以上に落ち込み、その煽りを受け前年同期を下回った。

産業機器関連は、売上高22億81百万円(前年同期比27.3%減)となった。国内は三品(食品、医薬品、化粧品)業界向けを中心に画像機器は堅調に推移したが、景気後退の影響で自動車、電機、半導体向けが低迷し、前年同期を下回った。海外はヨーロッパ企業の設備投資抑制の影響を強く受け、前年同期を大幅に下回る結果となった。

※事業の種類別セグメントの状況は、電子機器関連事業の売上高及び営業利益の金額が全セグメントの売上高の合計額及び営業利益の合計額に占める割合がいずれも90%超であるため、記載を省略している。
 
<所在地別セグメントの状況>
(日本)
防犯関連は、国内の警備会社・電設資材・家電業界向けなどの受注の減少や、海外向け輸出も代理店の在庫調整及び需要減少の影響を大きく受けた。
自動ドア関連は、自動ドア設置台数減少の影響を受けたことに加え、客数情報システムも受注が大きく減少した。
産業機器関連は、国内向け画像機器の売上高は前年同期を上回ったが、ヨーロッパ向け輸出が大幅減となった。
この結果、売上高は72億19百万円、営業利益3億43百万円となった。

(北米)
防犯関連、自動ドア関連ともに、建築市況下落の影響を強く受け、減収となった。
この結果、売上高は11億62百万円、営業利益3百万円となった。

(ヨーロッパ)
防犯関連は、建築市況低迷の影響による需要の急減速により大幅な減収となった。
自動ドア関連は、シェアの増加はみられるものの、自動ドア業界の景況悪化が著しく前年同期を下回った。
この結果、売上高は16億88百万円、営業損失76百万円となった。

(アジア)
生産受託関連は、世界同時不況の影響もあり受託製品数量の大幅な落ち込みにより減収となった。
防犯関連は、韓国ウォン安の影響を大きく受け、前年同期を下回った。
この結果、売上高は10億4百万円、営業利益96百万円となった。

※当連結会計年度より四半期会計基準等を適用したことにより、前年同期比較に関する情報は参考情報として記載している。
 
<財政状態>
 
(資産)
当第3四半期間末における資産合計は206億44百万円となり、前年度末と比べ7億46百万円減少した。これは主に設備投資の抑制により有形固定資産が2億58百万円減少するとともに、資金運用に伴う増減により投資有価証券等の投資その他の資産が3億65百万円減少したことによるもの。

(負債)
当第3四半期間末における負債合計は27億61百万円となり、前年度末と比べ5億56百万円減少した。これは買掛金の減少や法人税の支払等により流動負債が4億93百万円減少するとともに、税法改正に伴う繰延税金負債の取崩し等により固定負債が62百万円減少したことによるもの。

(純資産)
当第3四半期間末における純資産合計は178億83百万円となり、前年度末と比べ1億90百万円減少した。これは主に為替換算調整勘定等の評価・換算差額等が2億27百万円増加したものの、配当金の支払等により利益剰余金が3億45百万円減少したことによるもの。
自己資本比率は81.2%となり、前年度末と比べ2.2ポイント上昇した。
 
<キャッシュ・フロー>
 
当第3四半期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前年度末と比較して6億84百万円増加し63億67百万円となった。
当第3四半期間における各キャッシュ・フローの状況と主な要因は次の通り。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は17億25百万円となった。これは主に法人税等の支払額(2億90百万円)及び仕入債務の減少(2億76百万円)による資金の減少があったものの、売上債権の減少(10億19百万円)及びたな卸資産の減少(4億86百万円)により資金が増加したもの。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は5億23百万円となった。これは主に資金運用に伴う有価証券及び投資有価証券の取得及び売却(差引支出 3億3百万円)及び有形固定資産の取得による支出(1億29百万円)によるもの。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は6億33百万円となった。これは主に配当金の支払額(5億52百万円)によるもの。

なお、円安進行により外貨建の預金等に為替評価益が発生していることから、現金及び現金同等物に係る換算差額は1億15百万円となった。
 
2009年12月期業績予想
 
<連結業績>
7月17日に公表した業績予想を修正した。
 
 
当期の経済情勢は、市況に底打ち感が見られるものの、設備投資関連などでは回復にまだ時間を要することが想定され、依然として厳しい事業運営が続くものと予想される。
このような状況において、同社グループは、機動的に成長分野へ経営資源を集中しつつ、さらなるコスト削減や品質改善を行い、収益力の向上など企業体質の強化に向け、一丸となって邁進する。

しかし、主力とする防犯関連における欧米の市場鈍化の影響は大きく、売上高の回復に時間を要していることから、通期連結業績予想を見直した。
通期平均為替レートを対米ドル94円、対ユーロ130円にて算定している。
 
トピックス
 
<『eco people』を育てる環境イベント開催>
同社は10月24日(土)にびわこ地球市民の森(滋賀県守山市)で植樹祭を開催した。従業員とその家族、総勢71名で1000本の木の苗を植樹した。植樹祭は今回2回目。
同社は、「待ったなしの地球環境問題。まずは、CO2を身近に感じて。そして行動へ。次世代を担う子供たちは要。できることからやってみよう。人として・・・。」を活動のスローガンに掲げ、
・四半期ごとにeco新聞を発行
・従業員の各家庭で環境家計簿をつけて、CO2の排出量の推移をチェック
・環境教育活動を実施
など、植樹祭以外にもさまざまな活動を推進している。
 
取材を終えて
建築市況低迷の影響などによる需要減退の影響をまともに受けている。各国政府の需要喚起策などにより、産業界では自動車や電機など一部の業種では需要が底打ちの動きとなっているが、同社への恩恵はまだ見られないようだ。来期は新製品効果がフルに表われ、再来期はRVR事業や照明制御事業の寄与が始まるなど、将来の見通しは明るいものの、今期の業績も投資家にとっては重要。前期も第3四半期の決算発表時に通期業績予想を下方修正し、結局、その予想も下回って着地した。今期は下方修正後の予想達成に向け、第4四半期の健闘に期待したい。