ブリッジレポート
(2435) 株式会社シダー

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ブリッジレポート:(2435)シダー vol.13

(2435:JASDAQ) シダー 企業HP
山崎 嘉忠 社長
山崎 嘉忠 社長

【ブリッジレポート vol.13】2010年3月期上期業績レポート
取材概要「介護施設の総量規制をにらみ、前倒しで進めてきた出店が一巡する中、各施設が地域に根付いてきた。言い換えると、先行投資負担の軽減と施設稼働率の・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年1月19日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社シダー
社長
山崎 嘉忠
所在地
北九州市小倉北区大畠 1-7-19
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年3月 7,075 149 100 46
2008年3月 5,921 56 42 16
2007年3月 4,519 -403 -406 -247
2006年3月 4,251 309 297 166
2005年3月 3,649 352 288 164
2004年3月 3,125 122 97 41
2003年3月 2,352 111 104 30
2002年3月 1,594 17 21 11
2001年3月 281 -20 -21 -14
株式情報(12/10現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
339円 5,738,000株 1,945百万円 5.2% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
10.00円 2.9% 31.37円 10.8倍 181.51円 1.9倍
※株価は12/10終値。
 
シダーの2010年3月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
デイサービス及び有料老人ホームを中心とした介護サービスを、御社のある福岡県を中心に、北海道、首都圏、関西圏、中国・四国地区、山口県で展開している。有料老人ホームでは施設数で業界12位、総居室数で16位のポジションにある(月刊シニアビジネスマーケット09年11月号「全国有料老人ホーム全施設数・定員数ランキング」より)。
事業は、同社の施設の来場者にサービスを提供するデイサービス事業、有料老人ホーム等の施設の入居者を対象にサービスを提供する施設事業、及び利用者の自宅を訪問して日常生活訓練や機能訓練等を行うリハビリサービスや日常生活のお手伝いを行うホームヘルパーサービス等の介護サービスを提供する在宅サービス事業に分かれる。09/3期の売上構成比は、それぞれ41.3%、49.1%、9.6%。
 
<施設状況(09年10月末現在)>
 
 
2010年3月期上期決算
 
 
利用者(入居者)の新規獲得が進み、稼働率が改善
売上高は前年同期比18.9%増の4,068百万円。主力の施設サービス事業において既存施設がほぼ満室となる等、各サービスで利用者(入居者)の新規獲得が進み稼働率が改善した。
営業利益は同308.4%増の257百万円。稼働率の上昇に加え、人員配置や業務手順の見直し等による施設運営の効率化及び経費削減により施設サービス事業の売上総利益が9百万円から169百万円に増加した他、デイサービス事業の売上総利益も同20.4%増加。在宅サービス事業での介護報酬の改定効果もあり、積極的な人材確保に伴うコストの増加を吸収して、営業利益以下の各段階で大幅な増益となった。
 
 
デイサービス事業
売上高は前年同期比8.3%増の1,576百万円。新規利用者数の獲得が進んだ事に加え、サービス品質の向上に努めた成果もあり、月間利用件数が増加し施設稼働率が改善した。

稼働率   09年3月末: 74.5% ⇒ 09年10月末: 75.1%
      (目標値:年度最終稼働率 80.0%)
利用登録者 09年3月末:4,028人 ⇒ 09年10月末:4,113人
      (目標数値:年度最終利用登録者数4,355人)
 
施設サービス事業
売上高は前年同期比31.3%増の2,126百万円。有料老人ホームの利用者獲得が進み、新規施設以外がほぼ満室となった。この結果、9月末の施設稼働率が約93.7%に上昇、売上・総利益共に大幅に増加した。尚、5月に有料老人ホーム「ラ・ナシカ こうふ」1施設を開設した。

入居数  09年3月末:1,013室/1,162室 ⇒ 09年10月末:1,124室/1,191室
入居率  09年3月末:     87.0% ⇒ 09年10月末:     94.3%
 
在宅サービス事業
売上高は前年同期比5.8%増の365百万円。新規利用者の獲得が進んだ事と介護報酬の改定より売上高が増加したものの、訪問リハビリを推進するに当り人材確保を優先した為、売上原価が増加した。
 
 
 
 
2010年3月期業績予想
 
 
通期の業績予想に変更は無く、前期比14.3%の増収、同260.7%の経常増益予想
施設稼働率が予想を上回る一方、売上原価及び販管費が概ね当初の想定通り推移した事で、上期業績が期初予想を大幅に超過したが、新型インフルエンザの流行等の影響も予想されるとして、通期の業績予想を上置いた。ただ、上期の好調な業績を踏まえて、当初1株当たり5円を予定していた期末配当を同10円に上方修正した。
 
 
(2)セグメント別の施策
①デイサービス事業
10月末現在、24拠点でサービスを提供している。今後は、M&Aに柔軟に対応しつつ、既存施設を中心に事業拡大を図る考え。
この一環として、徳力デイサービスセンター(北九州地区)を拡張した。この拡張により、定員数は従来施設1棟分に相当する67名増加。デイサービス施設を1棟出店したのと同等の効果がある。
 
 
定員数の増加に伴い登録者数の増加が見込まれるため、今後は、1人当たりの利用回数を増やして利用率の引き上げにつなげていく事がポイントとなる。このため、より良い利用環境を提供するべく、施設の拡張に当たり、従業員のユニフォームや既存施設の内装を一新した。
また、11月1日付けで(株)創建より「あおきリフレッシュホーム」の経営を引き継いだ。この施設は設立時にシダーが業務コンサルティングを行っているため、シダーの業務形態に比較的早く馴染むものと思われる。同社では、この案件を今後のM&Aによる事業拡大のモデルケースと考えている。
 
 
この他、山梨県甲府市に新規出店を予定している(定員数60名、敷地面積約150坪、床面積約130坪)。賃貸物件の借用で、出店資金(初期投資額)は約3,500万円を予定。約6~8ヶ月目での短月黒字を目指しており、投資回収は約3~4年を想定している。甲府市の人口は約20万人だが、周辺地域を含めた商圏人口は約56万人、高齢化率(65歳以上の比率)は約20%
 
②施設サービス事業
10月末現在、11都道府県で、23施設1,191室を運営しており、入居率は94.3%。このうち入居者数が損益分岐ラインに達していないのは、「ひたちなか」(開設:08年3月)、「おとがな」(同:08年6月)、「こまつがわ」(同:08年11月)、「こうふ」(同:09年5月)の4施設のみ。
新規施設として、1同1都1府3県で下記7施設の開設を計画している。
 
 
③在宅サービス事業
10月末現在、全国66拠点でサービスを提供している。今回の介護報酬改定で「訪問看護計画において、理学療法士等の訪問が保健士又は看護師による訪問の回数を上回るような設定がなされることは適切ではない」という規制が緩和されたため、在宅リハビリのニーズに積極的に応える事が出来るようになった。
施設サービス事業の有料老人ホームで培った病院・ケアマネージャー・老人会等との地域ネットワークを活かし、デイサービス事業と併せて事業展開を進めていく考え。
 
取材を終えて
介護施設の総量規制をにらみ、前倒しで進めてきた出店が一巡する中、各施設が地域に根付いてきた。言い換えると、先行投資負担の軽減と施設稼働率の上昇で体質強化が進んでいる。同社のビジネスは装置産業的な側面が強いため、固定費負担が重く利益を出すまでに時間がかかるが、限界利益率が高いため、売上が損益分岐点を超えると、売上の伸び以上に利益が伸びる。成長のためには引き続き先行投資が必要だが、ある程度の先行投資負担を吸収して利益を伸ばせる事業規模に拡大してきた事に加え、行政側の眼が利用者本位の施設運営や介護職員処遇改善に向けられるようになってきた事も追い風となり、来期は一段の業績拡大が見込まれる。
上期の業績が大きく上振れする中で、通期の業績予想が据え置かれたものの、今後の経営に対する自信の程が配当予想の引き上げに現れている。