ブリッジレポート
(4783) NCD株式会社

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ブリッジレポート:(4783)日本コンピュータ・ダイナミクス vol.20

(4783:JASDAQ) 日本コンピュータ・ダイナミクス 企業HP
伊藤 敬夫 社長
伊藤 敬夫 社長

【ブリッジレポート vol.20】2010年3月期第3四半期業績レポート
取材概要「第4四半期に利益計上が集中するが、コスト削減も進んでおり、期末までに納入を予定している案件の検収が順調に進み、第4四半期に前期通期並み・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年2月9日掲載
企業基本情報
企業名
日本コンピュータ・ダイナミクス株式会社
会長
下條 武男
社長
伊藤 敬夫
所在地
東京都品川区西五反田 4-32-1
決算期
3月
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年3月 12,521 415 460 212
2008年3月 9,539 553 581 315
2007年3月 9,292 261 315 186
2006年3月 8,851 409 424 199
2005年3月 7,607 321 348 228
2004年3月 7,570 340 368 160
2003年3月 6,859 322 283 74
2002年3月 6,168 293 292 152
2001年3月 5,088 247 182 46
2000年3月 4,447 307 339 149
株式情報(1/29現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
259円 8,721,602株 2,259百万円 8.1% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
13.00円 5.0% -2.29円 -113.1倍 309.70円 0.8倍
※株価は1/29終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
日本コンピュータ・ダイナミクスの2010年3月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
独立系ソフトウェア開発会社のパイオニア。コンサルティングからシステム運用までを手掛けるシステム開発事業、システムの運用管理とテクニカル・サポートを主体としたサポート&サービス事業、及び自転車駐輪場システムの開発・運用を行なうパーキングシステム事業を展開。システム開発事業やサポート&サービス事業は優良顧客との継続的な取引が特徴。また、国内トップシェアを誇るパーキングシステム事業は成長性に富み、収益性も高い。
グループは、同社及び(株)日本システムリサーチ、天津恩馳徳信息系統開発有限公司、及び(株)ゼクシスの連結子会社3社(いずれも出資比率100%)。社名の"日本コンピュータ・ダイナミクス"には、「コンピューターをダイナミックユースして社会に貢献する(Dynamic use of Computer)」と言う創業時の思いが込められている。
 
<長期継続を特徴とする顧客資産が強み>
システム開発事業やサポート&サービス事業では、長期継続を特徴とする優良な顧客資産が同社の強みの一つ。主な取引先として、東京ガス、西部ガス、富士ゼロックス、商船三井、アリコジャパン、高砂熱学工業、三井住友海上火災、角川GHD、日本水産、エスアールエル、福岡県庁等を挙げる事ができる。
 
<顧客業界と同社が手掛けるシステム>
エネルギー業界   料金調停システム、資産管理システム等
保険業界      契約管理システム、クレーム管理システム等
運輸業界      運行管理システム、倉庫管理システム等
出版業界      著作権管理システム等
全業界       財務会計システム、人事システム等
 
<IT企業としては異色のパーキングシステム事業で社会貢献>
駐輪場の設計、ラックや精算機の開発、更には運用までを一貫して手掛けている。時間貸し駐車場の自転車版とも言える事業だが、駐輪場の売上は自転車1台を1日駐輪して100円程度。このため、コンピューターを使うには安過ぎて採算が合わないと言われ、IT業界とは縁の無い世界だった。しかし、自治体等からのシステム開発に対する強い要望に加え、放置自転車問題が深刻化する中で社会貢献の意味もあり参入。先行企業としての優位性と業界No.1の実績に基づく提案力を強みとしており、現在、同社を語る上で欠く事のできない事業となっている。
 
2010年3月期第3四半期決算
 
 
前年同期比6.3%の減収、63百万円の経常損失
営業力の強化や代理店との協力体制強化でパーキングシステム事業の売上が大きく伸びたものの、既存顧客の新規開発案件の凍結や保守業務の縮小等によるIT関連事業の落ち込みが響いた。利益面では、前期から手掛けている大規模案件の更なる工数増や既存顧客からの経費削減要求を受けて売上総利益率が悪化、コスト削減に努めたものの111百万円の営業損失となった。尚、営業外損益の改善は、補助金収入(32百万円)の計上等による。
 
子会社の動向
(株)ゼクシスは、既存顧客のIT投資予算の絞込みで新規案件等の受注が進まなかったものの、継続案件の落ち込みを抑える事ができ、ほぼ想定通りの推移。また、(株)日本システムリサーチは、IT業界向け要員派遣の需要低迷で売上が減少したものの、経費の削減により利益を確保した。
 
 
システム開発事業
売上高は19.5%減の3,822百万円、売上総利益は58.1%減の332百万円。新規顧客の開拓が進まなかった事に加え、新規案件の減少や保守業務の縮小で既存顧客向けの売上も落ち込んだ。利益面では、要員の稼働率低下に加え、手戻りの発生等による工数の大幅増で前期から手掛けている大型案件の採算が想定以上に悪化した。ただ、既存顧客の投資マインドには改善の兆しが見られ、受注には至らなかったものの、投資効率の良いパッケージソリューションの引き合いが堅調に推移した。
 
サポート&サービス事業
売上高は13.1%減の1,695百万円、売上総利益は同3.3%減の269百万円。経費削減要求による価格調整を余儀なくされ、売上・利益共に減少した。また、引き合いや見学希望が多かったマネージドサービスセンター業務(顧客のシステム運用部門に代わり、同社が24時間365日障害対応でITインフラ全体をサポートする)も、受注に至らないケースが多かった。
 
パーキングシステム事業
売上高は同37.7%増の2,499百万円、売上総利益は同23.1%増の459百万円。営業力の強化に加え、利用者の利便性を追求する経営姿勢や実績が評価され、首都圏での受注が拡大。代理店との協力体制の強化が奏功し、大阪、名古屋等での代理店売上も順調に伸びた。
 
(3)財政状態
第3四半期末の総資産は前期末比151百万円増の8,245百万円。売上の減少等で売上債権が減少したものの、パーキングシステム事業の拡大でリース投資資産・リース債務が両建てで増加した他、たな卸資産も増加。今後の資金需要に備えるべく、短期借入金を中心に現預金を積み増した。
 
 
 
2010年3月期業績予想
 
 
通期の業績予想に変更は無く、前期比8.2%の減収、40百万円の経常利益予想
パーキングシステム事業において、環境意識の高まりや自社製Suica対応精算機の投入効果により既存駐輪場の回転率向上が見込まれる他、システム開発事業も不採算案件が稼動した事でオペレーションが正常化する見込み。子会社を含めた情報共有と受注強化、更にはプロジェクト管理の徹底により営業損益の均衡を目指す。1株当たり6.5円の期末配当を予定している(上期末配当と合わせて年13円)。
 
取材を終えて
第4四半期に利益計上が集中するが、コスト削減も進んでおり、期末までに納入を予定している案件の検収が順調に進み、第4四半期に前期通期並みの売上総利益率を確保できれば、利益計画の達成は十分可能と考える。売上総利益率についても、不採算案件が手離れした事を考えると、前期通期並みの売上総利益率は同社の実力から考えて特別に高い利益率ではない。パーキングシステム事業が順調に拡大している事に加え、緩やかではあるが企業の投資マインドが改善傾向にある事から、新年度入り後に執行されるIT予算の増額が見込まれる。来期の業績回復に期待したい。