ブリッジレポート
(2317) 株式会社システナ

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ブリッジレポート:(2317)システムプロ vol.7

(2317:東証1部) システムプロ 企業HP
逸見 愛親 会長
逸見 愛親 会長

【ブリッジレポート vol.7】2010年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「今期は合併・再スタートに向けた移行期となるため、利益の確保よりも先行投資が優先される。新会社として再スタートを切る11/3期も当初は体制・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年3月23日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社システムプロ
会長(代表者)
逸見 愛親
所在地
横浜市西区みなとみらい 2-2-1
決算期
10月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年10月 8,161 1,261 1,258 1,180
2008年10月 9,603 1,816 2,153 1,275
2007年10月 7,930 1,595 1,555 849
2006年10月 5,917 961 967 602
2005年10月 4,180 717 691 561
2004年10月 3,093 677 643 391
2003年10月 2,461 516 511 280
2002年10月 1,940 398 380 196
2001年10月 1,524 180 175 93
株式情報(3/12現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
42,550円 223,266株 9,500百万円 20.8% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
1,000.00円 2.4% 1,504.54円 28.3倍 27,147.12円 1.6倍
※株価は3/12終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
システムプロの2010年3月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
データ通信系のファームウェア(組み込みソフト)」開発に強みを持ち、情報システム構築等のシステムインテグレーション事業を育成中。組み込みソフトとは、携帯電話やデジタル家電等に搭載されるマイクロコンピュータ(マイコン)を作動させるためのソフトで、マイコンと共に機器に組み込まれるソフトである。組み込みソフトの開発・評価を手掛ける連結子会社(株)ProVisionの他、基幹系システムに強みを持つカテナ(株)、外注先としての機能を担う北洋情報システム(株)の持分法適用会社2社でグループを形成している。
 
<事業内容>
事業は、移動体高速データ通信システム事業と情報システムサービス事業に分かれ、売上構成比は、前者が69.8%、後者が30.2%(09/10期)。
 
移動体高速データ通信システム事業
移動体通信キャリア、端末メーカー、端末メーカーにライセンスしているソフトウェア製品開発販売会社(サードパーティー)を顧客としており、携帯電話端末の仕様策定、新機能の設計・開発及び評価を行っている。この場合の機能とは、機能を実現させるための組み込みソフトの事で、メール機能やブラウザ機能で豊富な実績を有する他、マルチメディアプレーヤー機能、デジタルテレビ機能、GPS機能等にも強みを有する。
 
情報システムサービス事業
ネットショッピングや人材派遣等、インターネットを使ったビジネス(ポータルサイト等)を展開している企業向けのオープン系システム(大規模データベース連動型Webサイト開発等)を得意としているが、基幹系に強みを持つカテナ(株)との協業により、情報システム全般のソリューションを提供できるSIer(システムインテグレーター)機能を強化中である。
 
<カテナとの合併>
同社が持分法適用会社カテナ(株)を吸収合併し、2010年4月1日にシスプロカテナ(株)が誕生する。新会社は、システムプロの情報システムサービス事業とカテナの金融を中心とするシステム開発事業を連携させると共に、システムプロの移動体高速データ通信システム事業との融合を図り、ユビキタス時代のエアー・シンクライアント・サービスの実現を目指す。エアー・シンクライアントとは、スマートフォン等の携帯情報端末(ユビキタス端末)と移動体通信網を経由したクラウドシステムによりリアルタイムの相互データ通信を実現するシステムで、既存事業間で相乗効果が期待できる。尚、カテナは2010年3月29日をもって上場廃止となり、4月1日に解散する。合併にかかる株式の割り当て比率は、カテナ株式1株対して、システムプロ株式0.0048株。
 
 
2010年3月期第1四半期決算
 
 
前年同期比4.6%の減収、同9.7%の経常減益
移動体高速データ通信システム事業が堅調に推移したものの、情報システムサービス事業の落ち込みをカバーできず売上が減少。利益面では、人員増強等の先行投資が負担となり売上総利益率が低下する中、教育投資等で販管費がわずかに増加したため、営業利益は同44.9%減少した。ただ、持分法投資損益の改善(△146百万円→23百万円)や貸倒戻入益の増加等で四半期純利益は同52.4%増加した。
尚、前年同期に持分法投資損益が146百万円の損失となったのは、持分法適用関連会社であるカテナ(株)が有価証券評価損を計上したため。
 
 
移動体高速データ通信システム事業
売上高は前年同期比2.5%増の1,519百万円。携帯電話販売は低迷が続いているものの、割賦販売方式が導入されてから3年目を迎えて買い替えサイクルに入ってきたため最悪期は脱しつつある。また、Googleが移動体通信端末向けに開発したOSであるAndroidを搭載した携帯電話端末の開発・発売が活発化する等、携帯電話のユビキタス端末への進化も進んでいる。一方、昨年までの厳しい事業環境の影響で撤退する同業他社が相次ぎ、同社は残存者利益を享受できる状況にある。
前09/10期の第1四半期から第2四半期にかけては受注が堅調だった事から、第1四半期の受注高の減少は想定の範囲内。このため、生産性の向上を目的とした教育投資や熟練技術者の採用など先行投資を継続。営業面では、顧客支援を目的とした戦略的なコストダウン提案に取り組んだ。
 
情報システムサービス事業
売上高は前年同期比19.0%減の591百万円。情報システム投資は、前年の年央以降、回復傾向にあるものの、依然としてその水準は低い。このため、需要が堅調なネットショッピングやポータルサイト等、エンドユーザ向けコンテンツ開発を強化したもののカバーできなかった。
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
第1四半期末の総資産は前期末比317百万円減の8,184百万円。税金の支払で現預金や未払法人税等が減少する一方、売上債権と有利子負債が増加した。CFの面では、期末に向けて回収が進んだ売上債権が増加に転じた事や法人税等の支払いで営業CFは558百万円のマイナス。設備投資等で投資CFも小幅マイナスとなり、必要資金を長期借入金で賄った。
 
 
 
2010年3月期業績予想
 
 
カテナとの合併に伴い決算月を10月から3月に変更、5ヶ月決算となる10/3期は減収・減益予想
同社が持分法適用会社カテナ(株)を吸収合併し、2010年4月1日にシスプロカテナ(株)が誕生する。これに伴い決算月を10月(末日)から3月(同)に変更したため、今期は5ヶ月決算となる。
前09/10期の第1四半期から第2四半期にかけては受注が堅調だった事から、今期は減収・減益を見込んでいる。配当は、1株当たり1,000円の期末配当を予定している。
 
 
取材を終えて
今期は合併・再スタートに向けた移行期となるため、利益の確保よりも先行投資が優先される。新会社として再スタートを切る11/3期も当初は体制の整備等で先行投資が続くものと思われ、その成果が業績に現れてくるのは12/3期以降となろう。この頃には、LTE(Long Term Evolution)など次世代通信規格関連の開発が本格化しているものと思われ、残存者利益をフルに享受できる移動体高速データ通信システム事業の見通しは明るい。また、情報システムサービス事業では、カテナ(株)との合併効果の早期顕在化がポイントとなり、その成否が同社の中期的な成長をも左右すると思われるだけに注目される。