ブリッジレポート
(4323) 日本システム技術株式会社

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ブリッジレポート:(4323)日本システム技術 vol.12

(4323:東証2部) 日本システム技術 企業HP
平林 武昭 社長
平林 武昭 社長

【ブリッジレポート vol.12】2010年3月期第3四半期業績レポート
取材概要「日経新聞の集計によると、10/3期の上場企業の経常利益はコスト削減効果等で10数%増加する見込み。ただ、最近の紙面では、「コスト削減には限・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年3月30日掲載
企業基本情報
企業名
日本システム技術株式会社
代表取締役社長
平林 武昭
所在地
〒530-0005 大阪市北区中之島2-2-7
決算期
3月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年3月 10,449 806 852 447
2008年3月 10,705 931 945 426
2007年3月 9,711 389 405 138
2006年3月 7,917 111 125 605
2005年3月 8,189 522 502 319
2004年3月 7,767 540 537 67
2003年3月 7,064 676 635 194
2002年3月 6,939 658 606 181
2001年3月 6,285 834 814 282
株式情報(3/5現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
668円 4,739,153株 3,166百万円 11.0% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
25.00円 3.7% 52.75円 12.7倍 849.04円 0.8倍
※株価は3/5終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
日本システム技術の2010年3月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
ソフトウェアの受託開発(09/3期売上構成比62%)、教育機関向け業務パッケージの開発・販売(同19%)、及び情報システム関連機器等の販売(同19%)を行っている。
 
<特徴>
(1)理念重視の経営
「情報化の創造・提供による社会貢献」をモットーとして、いかなる企業系列にも属さない完全独立の立場を堅持することにより、業種、技術分野、プラットフォーム等を問わず、常に最新の技術に挑戦しつつ、自由な立場で幅広い分野の開発業務に取り組むことを経営の基本方針としている。この基本方針に則り、顧客、株主、社員、社会がそれぞれWin-Win(双方有益)の関係を築くべく、「四方良し」の理念を掲げ、それぞれの価値を最大化し、全体としての企業価値を高めることにより、安定的成長を実現することを目標としている。また、このような成長の原動力となるのは従業員一人一人の情報システム開発に対する情熱と顧客への誠心誠意のサービス製品であり、そのためには人間力の研鑽が何よりも先行すべきである、との信念に基づいた「人づくり」経営に徹することにしている。
 
(2)広範な情報サービスの提供
メーカーや系列等一切の成約を受けず、自由な立場で広範な分野でサービスを提供する事が出来る。サービス内容は、ソフトウェア開発、システムコンサルテーション、システム管理運用、システムインテグレーションサービス、ソフトウェアパッケージの開発・販売、情報機器の販売、ネットワーク構築等。
 
<事業セグメント>
(1)ソフトウェア事業(受注ソフトウェアの個別受託開発)
 ⇒ SIerの側面
①ビジネスアプリケーション分野    (事務処理系システム)
②エンジニアリングアプリケーション分野(制御、技術系システム)
③イベントアプリケーション分野 (スポーツ・文化イベント関連システム)
④アウトソーシングサービス   (情報システムの一括運営管理)
(2)パッケージ事業(学校業務改革パッケージの販売及び関連サービス)
 ⇒ パッケージメーカーの側面
戦略的大学経営システムの開発・販売、導入支援、保守等
(3)システム販売事業(IT機器の販売及び情報通信インフラの構築)
 ⇒ 販社(BtoB)の側面
ハードウェア・ソフトウェアパッケージの販売、保守、ネットワーク構築等
 
 
2010年3月期第3四半期決算
 
 
ソフトウェア事業の苦戦が響き減収・減益
売上高は前年同期比1.3%減の6,865百万円。パッケージ事業が伸びた他、システム販売事業の売上も増加したが、金融業及び製造業向けの減少によるソフトウェア事業の落ち込みをカバーできなかった。利益面では、ソフトウェア事業での不採算案件の発生やシステム販売事業の売上構成比上昇等で売上総利益率が20.8%と2.4ポイント悪化。販管費の削減に努めたものの、営業利益は同33.4%減少した。受取賃貸料の増加や助成金収入の計上等で営業外損益が改善した他、投資有価証券売却益等77百万円を特別利益に計上したものの、税負担の増加で四半期純利益は同40.2%減少した。
 
 
ソフトウェア事業
通信業及びサービス・流通業向けが増加したものの、金融業及び製造業向けの減少が響き、売上高が4,330百万円と前年同期比6.3%減少。売上の減少に加え、不採算案件の影響で営業利益は49百万円と同85.3%減少した。
 
パッケージ事業
売上高は前年同期比11.0%増の1,257百万円、営業利益は同474.6%増の238百万円。EUC(関連システムの個別受託開発)及び導入支援等のサービスが引き続き堅調に推移した。
 
システム販売事業
大学向け機器販売を中心にした受注増で売上高が1,277百万円と同6.2%増加。ただ、前期の業績に寄与した高付加価値大型案件の反動で、前年同期は1百万円の利益を確保した営業損益が32百万円の損失となった。
 
 
前年同期比11.0%の減収、74百万円の経常損失
下期に入りソフトウェア事業において金融業関連が予想以上に落ち込んだ他、サービス・流通業関連も先送り案件等が発生。パッケージ事業もEUC(パッケージ周辺システムの個別受託開発)が伸び悩んだ。
 
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
第3四半期末の総資産は前期末比1,472百万円減の6,670百万円。第3四半期の受注・売上の減少で運転資金が減少したため現預金が増加、一部を借入金の返済に充てた。CFの面では、前年同期と比べて運転資金の減少で営業CFが増加。投資CFがマイナスとなったのは定期預金の預け入れによる。また、自社株買いによる資金の流失がなかったため、財務CFのマイナス幅は縮小した。
 
 
 
2010年3月期業績予想
 
 
前期比13.4%の減収、同47.2%の経常減益予想
ソフトウェア事業及びパッケージ事業における受注減少による売上の落ち込みを理由に通期の業績予想を下方修正した。システム販売事業は当初の予想通り期を通して堅調な推移が見込まれるものの、ソフトウェア事業は金融業関連の下期売上が当初予想比半減する他、来期への先送り案件の発生等でサービス・流通業関連も予想を下回る見込み。また、パッケージ事業も、導入支援及び保守サービスは期末に向けて安定的な推移が見込まれるものの、EUC(パッケージ周辺システムの個別受託開発)が下期の伸び悩みで予想したほどには伸びない。
ただ、配当予想には変更がなく、期初に発表した通り1株当たり25円の期末配当を実施する考え。
 
 
 
取材を終えて
日経新聞の集計によると、10/3期の上場企業の経常利益はコスト削減効果等で10数%増加する見込み。ただ、最近の紙面では、「コスト削減には限界があり、来期はいかに売上を伸ばすかが課題である」云々との論評もあった。こうした先行きの不透明感が企業のIT投資を鈍らせているものと思われる。また、パッケージ事業には鳩山内閣による事業仕分けや独立行政法人の見直し論議等が影響しているのではないだろうか。
いずれにしても、同社の業績は第3四半期に入り状況が一変してしまった感があるが、足下、来期以降の拡大が見込まれる長期大規模案件の受注活動が進行中であり、また、ソフトウェア事業については「全員営業」を基本に製販一体の編成による分野特性に適合した戦略重視型組織に再編すると共に、パッケージ事業については大規模市場である関東・関西圏のシェア拡大を主眼とする二拠点体制とする等、来期以降の受注拡大に向けた組織再編にも着手した(実施は4月1日付け)。来期以降の巻き返しに期待したい。