ブリッジレポート
(8097) 三愛石油株式会社

東証1部

ブリッジレポート:(8097)三愛石油 vol.1

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(8097:東証1部) 三愛石油 企業HP
金田 凖 社長
金田 凖 社長

【ブリッジレポート vol.1】事業概要レポート
取材概要「10/3期は需要の低迷で厳しい決算が避けされないが、資源エネルギー庁の石油統計速報によると、2月の燃料油の国内販売は前年同月比7.9%増の・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年4月20日掲載
企業基本情報
企業名
三愛石油株式会社
社長
金田 凖
所在地
東京都品川区東大井5-22-5 オブリ・ユニビル
決算期
3月 末日
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年3月 981,734 9,353 9,714 4,618
2008年3月 861,914 7,537 7,456 3,298
2007年3月 791,583 7,044 7,354 3,281
2006年3月 726,445 5,713 5,799 4,032
2005年3月 360,046 5,892 6,385 3,814
2004年3月 266,352 3,576 4,088 1,780
2003年3月 261,719 3,051 3,146 692
株式情報(4/9現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
386円 75,155,221株 29,010百万円 9.0% 1,000株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
11.00円 2.8% 6.65円 58.0倍 683.77円 0.6倍
※株価は4/9終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
東証1部に株式を上場する三愛石油について、ブリッジレポートにてご紹介致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
石油販売大手。主力の石油関連事業では、グループで約1,400のサービスステーション(以下、SS)に石油製品を供給しており、販売数量を安定的に伸ばしている。また、独自に開発した航空機への給油システム「ハイドラントシステム」により羽田空港の航空燃料供給を支えている他、LPガス(LPG)や天然ガスの販売も手掛けている。傘下に、キグナス石油(株)や國際油化(株)等の有力子会社を有し、子会社37社(うち連結子会社35社)及び関連会社4社(うち持分法適用会社1社)と共にグループを形成している。
社名の“三愛”は、リコー三愛グループ(09年11月現在、63社・団体が加盟)各社の創業精神として受け継がれている「人を愛し、国を愛し、勤めを愛す」の「三愛精神」を基とする。
 
<沿革>
1952年6月、東京国際空港内(以下、羽田空港)での給油事業を目的に(株)リコーの創業者でもある市村清氏により設立され、同年10月に羽田空港での構内営業許可を取得し給油事業を開始した。55年12月には貯蔵タンクから地下パイプラインを通して航空機に直接燃料を圧送するハイドラント式給油システムを開発し羽田空港に導入、以後、同空港での給油インフラを独占的に提供している。60年9月にガス分野へ展開しLPガス充填業務を開始した他、69年7月には自社研究所を開設し泡消火剤や防カビ剤など化学品分野へ参入し、現在に至る事業基盤を整えた。また、2002年10月には佐賀市ガス局の民営化に伴い、合弁会社佐賀ガス(株)を設立して同局のガス事業を譲受。その後、福岡県久留米市から佐賀県佐賀市に至る全長約30kmの天然ガスパイプラインが完成し、06年1月には全供給区域内について天然ガスへの熱量変更が完了した。
グループ強化の面では、創業50周年の節目となった02年6月9日に「Obbli(オブリ)」をコーポレートブランドとして導入。04年12月には石油元売会社であるキグナス石油(株)の全株式を東燃ゼネラル石油(株)及びニチモウ(株)より取得した他、08年7月には國際油化(株)の全株式を三井物産(株)より取得し販売網を拡充した。また、資本政策では、61年10月の東証2部上場を経て、68年8月に東証1部に指定替えとなった。
 
<事業内容>
事業は、石油製品の販売や化学品の製造・販売等の石油関連事業、LPGや天然ガスの販売を中心としたガス関連事業、及び航空燃料の給油業務や建設業等の航空関連事業他の3セグメントに分かれ、売上構成比は、それぞれ93%、6%、1%(09/3期)。
 
石油関連事業
SS向けの石油販売や法人向けの産業エネルギー販売と共に、溶剤、工業薬品、防腐・防カビ剤、自動車用ケミカル商品、金属表面処理剤等、様々な化学品の開発・製造・販売も手掛けている。
 
ガス関連事業
LPG、天然ガス、及び関連する機器の販売を行っている。LPG販売では直販子会社による家庭への供給と工業用の高圧ガス販売を手掛けており、天然ガス販売では佐賀県佐賀市で天然ガスを供給すると共に、電気と熱を生むコージェネレーションシステム等、省エネに必要な仕組み作りも提案している。
 
航空燃料事業他
羽田空港において、油槽船の接岸を含めた埠頭の管理や空港内の貯蔵タンク等の管理と、地下パイプライン(全長約40km)を通して航空機に直接燃料を圧送するハイドラント式給油システムの運営・管理を独占的に行っている(実際の航空機への給油作業でも同空港の55~60%のシェアを有する)。また、神戸空港、佐賀空港、茨城空港他でも子会社で同様のサービスを提供しており、中部国際空港へは運営社員を派遣している。売上構成比は全体の1%程度にとどまるが、営業利益ベースでは20%前後を占める収益性の高い事業である。この他、子会社三愛プラント工業(株)の金属表面処理や建設工事等の収益も当セグメントに含まれている。
 
 
<石油の流通>
石油産業は原油の開発から石油製品の小売りに至るバリューチェーンを形成しているが、原油の開発から生産までの上流部門と、原油や石油製品の輸入、原油の精製、及び石油製品の輸送・販売の下流部門に大きく分ける事ができる。国内でのビジネスは下流部門が中心となり、その担い手は、原油の精製会社、「元売(注)」と呼ばれる一次卸業者(輸入も手掛ける)、同社が含まれる「石油販売会社(特約店・販売店)」と呼ばれる二次卸業者、及び小売業者(SS等)である。
「元売」は、JXホールディングス、エクソンモービル、昭和シェル石油、出光興産、コスモ石油等の10社(新日本石油と新日鉱ホールディングスの合併により10年4月以降は9社)で、一次卸と電力会社や製紙会社等への大口直売を中心。一方、与信管理や債権管理に加え、きめ細かな経営サポート等が要求される小売業者への販売は「元売」では対応が難しいため、「石油販売会社」に依存している。一般に、SSでは「元売」のロゴ看板が掲示され、「石油販売会社」の名称はあまり表に出ていないため、SSで同社の社名を見にする機会は少ないが、上記のように「石油販売会社」は石油製品の流通上、極めて重要な役割を担っている。
(参考文献:新日本石油(株)「石油便覧」)

(注)
太平洋戦争後の石油の輸入・販売は、石油配給公団等による配給制度を経て民間に開放されたが、その際、備蓄と品質維持の観点から「輸入基地を運営し、かつ配給能力を有するもの」が「元売業者」として政府に登録され、現在でも、経済産業省の石油政策の対象として、「元売10社(新日本石油と新日鉱ホールディングスの合併により10年4月以降は9社)」が特定されているものの、「元売」そのものについての公的な定義・規定はない。加えて、1996年3月末に特石法(正式名称「特定石油製品輸入暫定措置法」1986年施行)が廃止となり、現在では、石油の備蓄能力、品質調整能力等、一定の条件を満たしていれば、石油元売、精製会社以外の事業者も石油製品の輸入が可能となっている。このため、現在では「元売」が特別な会社と言うわけではない。
 
<業界動向と強み>
石油産業は、石油製品の需要減少、電力業界のオール電化攻勢、更には同業者間の販売競争等、厳しい経営環境が続いており、SS数も趨勢的に減少が続いている。こうした中、同社は販売指導や経営指導等のきめ細かいコンサルティング・セールスにより系列のSS数を維持すると共に、積極的なM&Aによりグループ全体では系列SS数を拡大させている。また、収益性の高い航空燃料事業が安定収益源となっている他、佐賀市で展開している天然ガス事業も、今後、償却の進展と共に徐々に利益貢献してくる。
 
 
<収益特性>
石油やガスの価格は資源価格や外国為替相場の影響を受けるものの、同社の場合、仕入価格の変動は販売価格に反映されるため、利益面での影響はほとんど無い。言い換えると、仕入価格が上下すると、販売価格も上下するため、売上高は変動するものの、基本的に粗利益(売上総利益)には影響しない(仕入価格と販売価格にタイムラグが生ずる事があるが、近年ではタイムラグも極めて少なくなっている)。
では、売上総利益を変動させる要因は何かと言うと、販売数量とスプレッド(仕入価格と販売価格の差)である。販売数量は景気や企業業績の影響を受け、また、スプレッドについても、販売価格の決定にはその時々の供給先(SS等)の競合状況や収益状況、更には地域特性等も考慮されるため、想定したスプレッドを確保できないケースがある。10/3期は08年秋のリーマン・ショック以降の急激な景気悪化による需要減少の影響を受けたものの、下のグラフが示すとおり、エネルギー源の多様化が進む中でも同社は安定成長を続けてきた。今後、国内経済の正常化と共に、安定成長軌道に回帰するものと思われる。
 
 
 
業績
 
 
需要低迷と販売価格の下落で減収・減益
売上高は前年同期比22.3%減の607,045百万円。需要の低迷と販売価格の低下により3セグメント全ての売上が減少した。利益面では、仕入価格の低下や原材料費の減少で売上総利益率が改善したものの、売上の落ち込みをカバーできず売上総利益が減少。一方、國際油化(株)の連結に伴い(前期は第2四半期から連結)販管費が増加したため、営業利益は3,768百万円と同46.9%減少した。有価証券売却益の計上(前年同期は335百万円を計上)が無くなり営業外損益が悪化した他、固定資産除却損(779百万円)や投資有価証券評価損(1,533百万円)など特別損失2,708百万円を計上したため、四半期純利益は42百万円にとどまった。
 
 
全体としては減収・減益となったが、ガス関連事業の営業利益が大幅に増加した他、減益となった石油関連事業及び航空関連事業も営業利益率が改善した。
 
財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
第3四半期末の総資産は前期末比2,563百万円増の200,063百万円。借方では、設備投資や社債の償還で現預金が減少する一方、羽田空港の再拡張に対応した設備投資等で有形固定資産が増加した他、年末年始要因もあり売上債権やたな卸資産が増加した。貸方では、社債の償還で有利子負債が減少する一方、仕入債務が増加した。CFの面から見てみると、利益の減少で営業CFが減少する中、羽田空港内の設備増強投資で投資CFのマイナス幅が拡大したため、フリーCFは1,965百万円のマイナス。社債の償還や配当の支払で財務CFもマイナスとなった。
 
 
 
前期比16.5%の減収、同43.4%の経常減益予想
第3四半期決算発表と同時に通期業績予想を下方修正した。石油製品の需要低迷が長期化しており第4四半期も苦戦が続く見込み。売上が落ち込む中、固定費が負担となり同46.5%の営業減益見込み。有価証券評価損など特別損失を計上するため、当期純利益は500百万円にとどまる見込み。
配当は期初の予定通り1株当たり5.5円の期末配当を実施する考えで、上期末配当と合わせて11円となる。
 
 
取材を終えて
10/3期は需要の低迷で厳しい決算が避けされないが、資源エネルギー庁の石油統計速報によると、2月の燃料油の国内販売は前年同月比7.9%増の1,729万klとなり、2ヶ月連続で前年同月の実績を上回った。旅客需要の落ち込みでジェット燃料の苦戦が続いているものの、燃料油全体では回復基調にあり、同社の来期(11/3期)は増収・増益に転じる可能性が高い。
また、ジェット燃料は苦戦が続いているものの、同社の航空関連事業においては、本年10月に予定されている羽田空港の再拡張(4本目の滑走路の稼動)により、羽田発着便の拡大に伴う給油等の需要増が期待できる(再拡張で発着能力は年間28.5万回から40.7万回へと1.4倍に増加する)。このため、同社では新たに最大5,000klタンカー用の桟橋2バースを整備した他(従来は650klタンカー用3バース)、ジェット燃料用の9,800klの貯蔵タンク2基の新設も完了している模様(従来は8,000キロリットル5基、9,800キロリットル1基)。航空関連事業は収益性が高いだけに期待が高まる。