ブリッジレポート
(6914) オプテックスグループ株式会社

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ブリッジレポート:(6914)オプテックス vol.32

(6914:東証1部) オプテックス 企業HP
小林 徹 社長
小林 徹 社長

【ブリッジレポート vol.32】2010年12月期第1四半期業績レポート
取材概要「前期の第2四半期を底にした業績回復が続いており、特に、設備投資の回復と新製品効果で第1四半期に売上が大きく伸びた産業機器関連事業の今後・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年5月25日掲載
企業基本情報
企業名
オプテックス株式会社
社長
小林 徹
所在地
滋賀県大津市雄琴 5-8-12
決算期
12月
業種
電気機器(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年12月 15,124 620 735 332
2008年12月 20,916 2,661 2,489 1,004
2007年12月 22,167 3,854 4,075 2,377
2006年12月 20,294 3,728 3,921 2,282
2005年12月 19,012 2,655 2,776 1,584
2004年12月 17,138 2,159 2,321 1,297
2003年12月 15,173 2,203 2,215 1,354
2002年12月 13,047 1,595 1,546 951
2001年12月 11,507 1,173 1,305 544
2000年12月 11,240 1,081 1,213 620
1999年12月 11,201 1,133 957 861
株式情報(5/19現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,078円 16,552,218株 17,843百万円 2.0% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
30.00円 2.8% 54.37円 19.8倍 1,019.47円 1.1倍
※株価は5/19終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
オプテックスの2010年12月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
赤外線を応用した防犯・自動ドア等のセンサ大手。世界でもトップクラスのシェアを有する屋外用センサ等の防犯用製品、自動ドアセンサ、環境関連製品等の製造・販売を行なっており、子会社を通して産業機器用センサの分野にも展開している。1979年に設立され、その翌年には、世界初の遠赤外線利用の自動ドア用センサを開発する等、創業以来、信頼性の高いセンサシステムを提供してきた。98年にはデジタル監視カメラシステム「Wonder Track」を発売し、画像関連分野に参入。2004年には、客数情報システム、来場者計数装置、駐車台数管理システム及び警戒管理、防犯システム等を手掛ける技研トラステムを子会社化。更に05年には、交通関連事業にも参入した。
 
<事業内容>
事業は、防犯事業、自動ドア事業、産業機器事業、環境関連事業、交通関連事業、生産受託(EMS)事業・その他に分かれる。
 
防犯関連事業
主な製品は、屋内外で使われる各種センサ、ワイヤレスセキュリティシステム、画像記録システム等。屋外用センサでは、世界でもトップクラスのシェアを有し、近年では、デジタル画像技術・通信技術等を活かした製品開発にも取り込んでいる。
 
自動ドア関連事業
主な製品は、無目付け用センサ、シートシャッター用センサ、ワイヤレスタッチセンサ等。世界で初めて遠赤外線式自動ドア用センサを開発した同社だが、近年では、画像センシング技術の活用により、ドアの自動開閉だけでなく、入退室者の管理や来店者数カウントなど人の動きを分析できる製品も供給している。
 
産業機器関連事業
連結子会社 オプテックス・エフエー(株)の事業領域。人体用センサだけでなく、物体検知用各種センサにも注力しており、CCDカメラ・液晶モニタ・操作部が一体となった世界初のカラービジョンセンサ「CVSシリーズ」は現場ニーズに即して開発した製品で独自性が高い。
 
EMS・交通関連事業等
アジア向けEMS(生産受託)を展開。交通関連事業は危険な瞬間を記録する「ドライブトレーナー」が主な製品。日常的に運転履歴に加え、交通事故時の映像を録画することも可能。
 
2010年12月期第1四半期決算
 
 
主要3セグメントで回復基調が継続。営業利益が5.2倍に拡大
売上高は前年同期比7.5%増の3,921百万円。国内での建築市況の低迷や小売業の設備投資抑制で自動ドア関連事業が伸び悩んだものの、製造業の設備投資の回復で産業機器関連事業が大きく伸びた他、主力の防犯関連事業の売上も欧州を中心に増加した。利益面では、増収効果と原価低減の進展により売上総利益率が改善。販管費の伸びを抑え、営業利益は同5.2倍に拡大した。為替レートは1ドル=91円(前年同期:94円)、1ポンド(GBP)=142円(同:134円)、1ユーロ=126円(同:122円)。
 
 
防犯関連事業
売上高は前年同期比6.6%増の1,712百万円。警備会社・電設資材業界向け等の苦戦で国内の売上が減少したものの、販売キャンペーン等の効果もあり主力の欧州で売上が増加。屋外用センサの南米向け輸出も堅調に推移した。
 
自動ドア関連事業
売上高は前年同期比1.1%減の924百万円。大口受注のあった北米、欧州での売上が増加したものの、建築市況の低迷による自動ドア用センサの需要回復の遅れや小売業界向けが中心の客数情報システムの低迷で国内が落ち込んだ。
 
産業機器関連事業
売上高は前年同期比28.8%増の1,020百万円。製造業の設備投資の回復で主要市場であるヨーロッパでの売上が増加した他、国内も変位センサ等が好調に推移した。
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
売上の回復を背景に第1四半期末の総資産は21,335百万円と前期末比600百万円増加した。借方では、現預金が減少する一方、有価証券(1,466百万円→2,082百万円)やたな卸資産が増加。貸方では、仕入債務及び有利子負債が増加した。CFの面では、税負担が大幅に減少したものの、運転資金の増加で営業CFが減少、有価証券投資の増加で投資CFのマイナス幅も拡大したため前年同期は459百万円だったフリーCFが21百万円に減少した。配当の支払い等で財務CFもマイナスとなったが、現金及び現金同等物期末残高はほぼ前期末の水準を維持した(前年同期比では増加)。
 
 
2010年12月期業績予想
 
第1四半期決算を受けて上期及び通期の業績予想を上方修正した。売上の面では、建築関連の回復が遅れているものの、産業機器関連が当初の予想以上に伸びる。利益面では、増収効果と原価低減の進展により売上総利益率が予想以上に改善。諸経費の節減により販管費も予想したほどには増加しない見込み。上期予想は前年同期比11.8%の増収、同244.7%の経常増益。
ただ、下期については、第3四半期以降に研究開発費等の一部経費が増加するとして利益予想を引き下げた。通期では前期比15.0%の増収、同90.4%の経常増益を見込んでいる。為替レートの前提は、1ドル=90円(前期:94円)、1ポンド(GBP)=140円(同:146円)、1ユーロ=125円(同:130円)。1株当たり上期末15円、期末15円の配当を予定。
 
 
 
取材を終えて
前期の第2四半期を底にした業績回復が続いており、特に、設備投資の回復と新製品効果で第1四半期に売上が大きく伸びた産業機器関連事業の今後展開には期待が高まる。品質と価格競争力で大手センサメーカーの製品を凌駕する新製品を投入すると共に、Webサイトの活用も含めて販促機能を強化した成果が現れてきた。下期については慎重な姿勢を崩していないが、ギリシャなど南欧問題が欧州経済に与える影響やユーロ安等を考えると妥当な判断であると考える。もっとも、前期の落ち込みが大きかったため利益水準が低い事や産業機器関連事業の成長性等を考えると、会社予想は下振れ要因を排除した下限値と考えていいのではないか。