ブリッジレポート
(2317) 株式会社システナ

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ブリッジレポート:(2317)シスプロカテナ vol.8

(2317:東証1部) シスプロカテナ 企業HP
逸見 愛親 社長
逸見 愛親 社長

【ブリッジレポート vol.8】2010年3月期業績レポート
取材概要「次世代プラットフォームやスマートフォンの市場拡大等でモバイル高速データ通信事業の見通しは明るい。また、システムプロ時代は後発ゆえに苦戦が続・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年6月22日掲載
企業基本情報
企業名
シスプロカテナ株式会社
社長
逸見 愛親
所在地
横浜市西区みなとみらい 2-2-1
決算期
3月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年3月 3,636 490 536 340
2009年10月 8,161 1,261 1,258 1,180
2008年10月 9,603 1,816 2,153 1,275
2007年10月 7,930 1,595 1,555 849
2006年10月 5,917 961 967 602
2005年10月 4,180 717 691 561
2004年10月 3,093 677 643 391
2003年10月 2,461 516 511 280
2002年10月 1,940 398 380 196
2001年10月 1,524 180 175 93
株式情報(6/4現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
55,400円 310,168株 17,183百万円 5.5% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
2,600.00円 4.7% 6,705.64円 8.3倍 27,872.64円 2.0倍
※株価は6/4終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
シスプロカテナの2010年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
データ通信系のファームウェア(主に携帯電話端末や基地局向けの組み込みソフト)開発に強みを持ち、情報システム構築等のシステムインテグレーション事業を育成中だった(株)システムプロが、持分法適用会社だったカテナ(株)を吸収合併し、2010年4月1日にシスプロカテナ(株)として再スタートを切った。新会社は、システムプロの情報システムサービス事業とカテナの金融を中心とするシステム開発事業を連携させると共に、システムプロの移動体高速データ通信システム事業との融合を図り、ユビキタス時代のエアー・シンクライアント・サービス(後述)の実現を目指している。
 
<事業内容>
事業は、モバイル高速データ通信事業、情報システム事業、ITサービス事業、ソリューション営業事業、及びエアー・クラウド事業に分かれる。
 
モバイル高速データ通信事業(旧システムプロの移動体高速データ通信システム事業)
移動体通信キャリア、端末メーカー、及び端末メーカーにソフトウェア製品をライセンスしているソフトウェア開発販売会社(サードパーティー)を顧客とし、携帯電話端末の仕様策定、新機能の設計・開発及び評価を行っている。メール機能、ブラウザ機能、マルチメディアプレーヤー機能、デジタルテレビ機能、GPS機能等で実績が豊富。
 
情報システム事業(旧システムプロの情報システムサービス事業+旧カテナのシステム開発事業)
ネットショッピングや人材派遣等のポータルサイト構築といったオープン系システムを得意とする旧システムプロの情報システムサービス事業と基盤システムの構築や金融機関の基盤業務アプリケーション開発に強みを持つ旧カテナ(株)とのシステム開発事業を統合。オープン系技術と金融分野の業務知識及び基盤系技術を融合した事業展開により新たな領域の開拓を進めていく考え。
 
ITサービス事業(旧カテナのITサービス事業)・ソリューション営業事業(旧カテナのソリューション営業事業)
システム運用、データ入力、及びエンドユーザサポート等のITサービス事業と、ITプロダクト(サーバ、PC、周辺機器、ソフトウェア)の販売やシステムインテグレーションを手掛けるソリューション営業事業は共に旧カテナの事業である。今後は、両事業が一体となって営業展開を進め、他の事業とも連携しながら、「所有するから利用する(クラウド等)へのニーズの変化」に対応する事で事業の拡大と高付加価値化を図る。
 
エアー・クラウド事業(新規事業)
ユビキタス社会の中で生産性を飛躍的に向上させるシステムとして同社が起案したエアー・シンクライアント・サービスを展開していく。同サービスは、スマートフォン等のユビキタス端末と移動体通信網でクラウドシステムを構築しリアルタイムの相互データ通信を実現する。通信回線やサーバ、パソコンを自前で用意する必要の無いクラウドシステムのため、初期投資を抑える事ができ、かつ、いつでもどこでも使いたい時に必要なだけ業務用ソフトウェアを低料金で使う事ができる。旧システムプロが強みとする移動体通信のノウハウと、旧カテナが営業展開するクラウドコンピューティングのシステムインテグレーションを融合させ事業を進めていく。
 
 
2010年3月期決算
 
 
連結・個別共に予想を上回る着地
カテナ(株)との合併を控え、10/3期は5ヶ月間の変則決算となった。次世代プラットフォームやAndroid(米グーグルが提供する携帯端末向けOS)関連の案件増で移動体高速データ通信システムの売上がピーク時並の水準に回復。情報システムサービスではインターネットコンテンツ開発が堅調に推移した。利益面では、コスト削減が順調に進んだ事や全般に保守的な予想だった事もあり、営業利益が大きく予想を上回った。配当は1株当たり1,000円を予定している。
 
 
(2)セグメント別動向(10/3期のカテナの実績を合算)
10/3期のカテナの実績を合算した11/3期以降の新セグメントベースでの実績は次のとおりである。
 
 
キャリア向けでは、次世代プラットフォームの仕様・開発案件やスマートフォン向けアプリケーションの検討案件の獲得が進んだ他、評価案件も案件数が増加した。また、端末メーカー向けでは、Android関連を中心に受注が伸びた他、IUTS(Intellectual User Test by Systempro:同社が開発した不具合削減のための戦略的評価スキーム)を中心に不具合削減に向けた提案営業も成果を挙げ新規案件の獲得が進んだ。
 
 
銀行向けでは、大規模大型案件が寄与した他、制度改定等で既存業務も堅調に推移。保険向けも統合案件の開発が始まり増収に寄与した。また、新体制の発足に向け、収益体質の強化も進んだ。
 
 
官公庁向けスポット案件(社会保険庁向けのデータ入力)の寄与で09年10-12月期に売上が多く伸びた反動で10年1-3月期の売上が減少したものの、生保向けの大口案件の受注に成功する等、全般に堅調な受注が続いており売上高は計画を上回った。
 
 
大手電機メーカーを中心に大手製造業からの受注が回復し10年1-3月期の売上が大きく増加した。米HP社のBlade Sarver(ブレードサーバ)を用いたシステム構築等が好調に推移した模様。
 
 
2011年3月期業績予想
 
 
次世代プラットフォーム向けやAndroid関連を中心にモバイル高速データ通信事業の伸びが見込まれる他、オープンシステムによる金融機関向け勘定システムの開発等で情報システムも堅調に推移する見込み。利益面では、本社移転費用2億円、地代家賃の増加1.4億円、及びのれん償却費2.4億円(12億円を5年償却)等、一時的な要因も含めてコスト増を見込んでいる。配当は、1株当たり合併記念配200円(上期末100円、期末100円)を含む2,600円(上期末1,300円、期末1,300円)を予定。
 
 
 
中期経営計画(11/3期~13/3期)
 
 
13/3期に売上高約530億円、営業利益39億円の達成を目指している。事業別の取り組みは次の通り。
 
 
ユビキタス社会の到来を見据えて(2015年にはLTE等の次世代通信が普及期に入ると見られている)、次世代端末や次世代スマートフォンの開発支援に積極的に取り組むと共に、今後、無線通信の標準装備が想定される家電や自動車等の非携帯分野での開発支援にも力を入れていく。また、Android関連の豊富な経験を活かした自社企画製品(端末やモジュール)の開発と販売及びOEM供給、更にはエアー・シンクライアントを活用したサービスやアプリケーション等の新しい分野にも展開していく。
 
 
情報システム事業
旧カテナとのシステム開発事業部では、銀行、生損保等の金融機関を主要顧客としてソフトウェアの開発を行っていた。世界同時不況の影響を受けて、現在の顧客のIT投資は低調だが、凍結・先送りされた案件も含めて顧客のIT投資の潜在需要は旺盛。今後、金融系システムの統合対応や共同センター化等の大型案件の需要も見込まれる事から、同社では中長期的には拡大基調で推移すると見ている。金融系の業務知識と基盤系技術及びオープン系技術を融合し、優良な顧客資産の活用と新規開拓、更には新規領域への展開を図る。
 
 
 
ITサービス事業及びソリューション営業事業
システム運用、データ入力、及びエンドユーザサポート等のITサービス事業と、ITプロダクト(サーバ、PC、周辺機器、及びソフトウェア)の販売やシステムインテグレーションを手掛けるソリューション営業事業が一体となって営業展開を進め、情報システムサービス事業とも連携しながら、「所有するから利用する(クラウド等)へのニーズの変化」に対応する事で事業の拡大と高付加価値化を図る。
 
 
エアー・クラウド事業
クラウド型サービスの代表的なサービスであるGoogleの企業向けサービス「Google Apps Premier Edition」の販売を通じ、企業内コミュニケーションのコンサルテーションを行う共に、ITサービス事業における「導入支援・インストラクション・ヘルプデスク」業務等のサービス提供をエアー・クラウドで行っていく。また、中長期的には、業務システムがクラウド型のシステムに移行していく中、顧客が最適なシステムを選択出来るよう、自社でのサービス企画・開発を推進していく。
 
 
 
取材を終えて
次世代プラットフォームやスマートフォンの市場拡大等でモバイル高速データ通信事業の見通しは明るい。また、システムプロ時代は後発ゆえに苦戦が続いた情報システム事業もカテナのシステム開発事業を取り込んだ事で技術基盤及び顧客基盤の強化が進んだ。情報システムの開発では過去の取引実績がものを言うため、新参者が事業を拡大するのは容易ではなく、これまでの同社はモバイル高速データ通信事業で培った提案力や営業力を十分に活かす事ができなかった。また、旧カテナにしても、受動的な営業にとどまっていたため、優れた顧客資産を有効活用できていなかった。今後は旧システムプロの提案力・営業力を活用する事で旧カテナの顧客資産の深耕が進み、こうした実績が新たな優良顧客の開拓につながっていくものと考える。また、システムインテグレーションや運用・保守、或いはデータ入力等、ITサービス事業やソリューション営業事業のシナジーも期待できる事から、今回の合併により同社の中長期的なポテンシャルが格段に高まったと考える。