ブリッジレポート
(9445) 株式会社フォーバルテレコム

東証2部

ブリッジレポート:(9445)フォーバルテレコム vol.21

(9445:東証マザーズ) フォーバルテレコム 企業HP
谷井 剛 社長
谷井 剛 社長

【ブリッジレポート vol.21】2010年3月期業績レポート
取材概要「「FTフォン」の販売をけん引役に業績を伸ばしてきた同社だが、初期の顧客開拓の一巡と景気悪化が重なり07/3期をピークに弱含みの業績が続いている・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年7月20日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社フォーバルテレコム
社長
谷井 剛
所在地
東京都千代田区神田小川町 3-9-2
決算期
3月
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年3月 13,956 347 327 194
2009年3月 15,042 391 388 133
2008年3月 13,466 337 344 192
2007年3月 12,461 845 840 975
2006年3月 11,024 859 868 841
2005年3月 7,740 470 452 726
2004年3月 6,114 214 205 205
2003年3月 7,746 93 40 69
2002年3月 11,879 -1,732 -1,779 -4,939
2001年3月 18,224 284 134 45
2000年3月 20,503 53 -50 88
株式情報(7/5現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
20,800円 166,932株 3,472百万円 9.7% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
1,500.00円 7.2% 1,199.06円 17.3倍 12,000.95円 1.7倍
※株価は7/5終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
フォーバルテレコムの2010年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告いたします。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
電話機やOA機器の販売を手掛けるフォーバル(8275)グループで通信事業を展開。電気通信事業者から回線を仕入れてエンドユーザーに再販する回線リセーラー(再販業者)であり、ターゲットは中小企業。もっとも、単に回線を再販するだけでなく、一般番号ポータビリティー(従来と同じ電話番号での使用が可能)や携帯電話への発番通知等、独自のサービスを付加している。また、同社のサービスを利用すれば、国内電話、国際電話、インターネット等の請求が一本化される(ワンビリングサービス)ため、ユーザー企業は事務処理を簡素化する事ができる。
 
<事業内容>
事業は、「FTフォン」等の法人向けVoIPサービス(高速ブロードバンド回線を利用した電話やインターネット接続サービス)を提供する新通信サービス事業、法人向け国際電話・市内外電話等のサービスを提供する旧音声系サービス事業、連結子会社(株)トライ・エックス及び同社の子会社(株)新英、タクトシステム(株)が手掛ける印刷や特注文具(ファイル・バインダー等)の製造・販売のドキュメント事業、連結子会社(株)FISソリューションズが手掛ける経営支援コンサルティング及び保険サービスの経営・保険コンサルティング事業、及び情報通信機器販売等のその他事業に分かれる。この他、(株)光通信(東証1部9435)グループの(株)アイ・イーグループとの合弁会社(株)ホワイトビジネスイニシアティブ(出資比率50%)が、「ホワイトビジネスフォンパック(WBP)」の企画開発を手掛けている。
 
 
 
2010年3月期決算
 
 
前期比7.2%の減収、同15.6%の経常減益
企業の情報通信関連支出の減少やユーザーの破綻で「FTフォン」等の利用が減少した他、新規の回線獲得も進まず新通信サービス事業の売上が減少。景気や業績悪化による企業活動の停滞で子会社が手掛ける「印刷」、「特注文具の製造・販売」及び「商業印刷物の企画・編集・制作」等のサービスも落ち込んだ。利益面では、新通信サービス事業で代理店へ払うインセンティブの見直しで売上総利益率が改善。内部統制関連費用の一巡や支払手数料の減少等で販管費も減少したが、減収の影響をカバーできず同11.4%の営業減益。金融費用や持分法投資損失の増加で営業外損益が悪化したものの、特別損失の減少(216百万円→16百万円。09/3期は減損損失156百万円等を計上)により当期純利益は同46.1%増加した。
 
 
新通信サービス事業は、企業の情報通信関連支出の減少やユーザーの破綻でストック収益が減少した他、代理店の経営難による新規獲得件数の減少で一時収益も減少した。利益面では、代理店へ払うインセンティブの減少等で売上総利益率が改善したものの、減収の影響をカバーできず営業減益。旧音声系サービス事業は顧客ニーズ・収益性共に高い新通信事業への移行により売上が減少した。
また、子会社の事業では、景気悪化でドキュメント事業の売上が大幅に減少し営業損失となったものの、経営・保険コンサルティングは減収ながら、経営効率の改善により損益が改善した。この他、情報通信機器等の販売増でその他事業の売上が増加した。
 
(3)売上総利益
個別では、「ワンビリングサービスOEM」の寄与でストック収益の売上総利益がわずかに増加した他、代理店へ払うインセンティブの減少等で一時収益の売上総利益もわずかな減少にとどまった(この結果、個別の売上総利益率は改善した)。一方、子会社の売上総利益率の悪化は、売上総利益率の高い(株)トライ・エックス及び同社の子会社(株)新英、タクトシステム(株)等の苦戦による。
 
 
 
(5)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
期末総資産は前期末比82百万円増の6,397百万円。短期借入金の返済を進める一方で社債(500百万円)を発行し、資金調達の軸足を長期資金にシフトさせると共に今後の事業資金を確保した。また、投資その他の増加は長期貸付金((株)ホワイトビジネスイニシアティブや(株)リンクアップへの新商材・新サービスの開発資金)の増加による。CFの面では、営業利益の減少で営業CFが減少する中、貸付金の増加で投資CFのマイナス幅が拡大したため、フリーCFが前期比7割弱減少したものの164百万円の黒字を確保。短期借入金の返済や配当の支払いで財務CFもマイナスとなったが、現金及び現金同等物期末残高は前期末に比べてわずかに増加した。
 
 
 
2011年3月期業績予想
 
 
前期比0.3%の増収、同19.0%の経常増益予想
主力の新通信サービスにおいて引き続き厳しい事業環境が続くと見ているが、足下、改善傾向にあるドキュメント事業を中心に子会社の収益改善が見込まれ、営業利益は同15.2%増加する。配当は1株あたり1,500円を予定(上期末700円、期末800円)。
 
 
(2)11/3期の取り組み
11/3期の取り組みとして、①WBP(ホワイトビジネスフォンパック)サービスの本格展開、②直接販売力の強化、及び③粗利益率の向上(高粗利商材の拡販)を挙げている。
尚、WBPサービスとは、固定回線サービス、携帯電話サービス、IP電話サービス、及びブロードバンド接続サービスを一つのパッケージとして商品化し、このサービスの利用に必要な携帯電話(IP電話機)及びゲートウェイ装置も合わせて提供する。固定回線サービスと携帯電話サービスを融合し(FMC)、オフィスの置型電話を整理する事で利便性を損なわずに通信費の削減を実現するサービスであり、必要な機器も同社グループが提供する。固定電話と携帯電話、或いは携帯電話間は内線電話と同じ扱いのため、いつでも、どこにいても、通話料は無料である。
 
①WBP(ホワイトビジネスフォンパック)サービスの本格展開
WBPサービスで使用されるFMC携帯端末は、これまでノキア製を使用していたが、シングルライン対応(ビジネスフォンに不可欠な複数の外線への対応ができない)でアプリケーションも限られていたため、WBPサービスの魅力を十分に訴求できなかった。このため、夏までに現行機種にマルチライン対応(複数の外線への対応)機能を付加する他、第3四半期末にはAndroidアプリ版やiPhoneアプリ版を投入する予定(Android搭載端末やiPhoneはアプリケーションで対応できる)。
また、子会社(株)FISソリューションズの直販部隊に工事部門を設置し、電話工事、LAN機器の設置、及びLAN配線工事を一括して請け負う事ができるよう工事体制を整備する。今後、上記の工事体制を整え、WBPサービスの販売も手掛けていく。
 
②直接販売力の強化
前出の(株)FISソリューションズの直販部隊である「通信機器部門」の営業人員を増員し販売力を強化すると共に、現場の声を反映させやすくする。また、販売代理店網の再拡充にも取り組む。
 
③粗利益率の向上(高粗利商材の拡販)
保険募集人手数料算出システム「ふりわけ君」、電子請求書「Eco-Bill」、及びBilling(ビリング)システムのOEMと言った高粗利商材の拡販を図り、粗利率の向上を図る。
 
 
取材を終えて
「FTフォン」の販売をけん引役に業績を伸ばしてきた同社だが、初期の顧客開拓の一巡と景気悪化が重なり07/3期をピークに弱含みの業績が続いている。今後は、更なるユーザーの獲得はもちろんだが、企業内におけるモバイル利用の標準化を見据えた商品開発(ブロードバンドとモバイルの融合)により業績を拡大させていく考え。ただ、新たなサービスは、これまでの固定回線サービスに加え、モバイルの活用が加わるため、改めて営業体制の整備が必要であり、また、SaaSシステムの構築等のシステム投資、更にはLAN関連の工事体制の整備等、準備のための時間が必要となる。11/3期は「体制整備の期」と考えて、売上高・利益の数値よりも、来期以降の飛躍に向けた施策の進捗に注目したい。