ブリッジレポート
(6914) オプテックスグループ株式会社

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ブリッジレポート:(6914)オプテックス vol.33

(6914:東証1部) オプテックス 企業HP
小林 徹 社長
小林 徹 社長

【ブリッジレポート vol.33】2010年12月期上期業績レポート
取材概要「同社は売上高の伸び悩みを打破するべく07/12期、08/12期と新製品開発を積極化したが、回収期を目前にリーマンショックによる需要急減に見舞われ・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年8月17日掲載
企業基本情報
企業名
オプテックス株式会社
社長
小林 徹
所在地
滋賀県大津市雄琴 5-8-12
決算期
12月
業種
電気機器(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年12月 15,124 620 735 332
2008年12月 20,916 2,661 2,489 1,004
2007年12月 22,167 3,854 4,075 2,377
2006年12月 20,294 3,728 3,921 2,282
2005年12月 19,012 2,655 2,776 1,584
2004年12月 17,138 2,159 2,321 1,297
2003年12月 15,173 2,203 2,215 1,354
2002年12月 13,047 1,595 1,546 951
2001年12月 11,507 1,173 1,305 544
2000年12月 11,240 1,081 1,213 620
1999年12月 11,201 1,133 957 861
株式情報(8/9現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,045円 16,552,093株 17,297百万円 2.0% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
30.00円 2.9% 55.58円 18.8倍 1,011.83円 1.0倍
※株価は8/9終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
オプテックスの2010年12月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
赤外線を応用した防犯・自動ドア等のセンサ大手。世界でもトップクラスのシェアを有する屋外用センサ等の防犯用製品、自動ドアセンサ、環境関連製品等の製造・販売を行なっており、子会社を通して産業機器用センサの分野にも展開している。1979年に設立され、その翌年には、世界初の遠赤外線利用の自動ドア用センサを開発する等、創業以来、信頼性の高いセンサシステムを提供してきた。98年にはデジタル監視カメラシステム「Wonder Track」を発売し、画像関連分野に参入。2004年には、客数情報システム、来場者計数装置、駐車台数管理システム及び警戒管理、防犯システム等を手掛ける技研トラステムを子会社化。更に05年には、交通関連事業にも参入した。
 
<事業内容>
事業は、防犯事業、自動ドア事業、産業機器事業、環境関連事業、交通関連事業、生産受託(EMS)事業・その他に分かれる。
 
防犯関連事業
主な製品は、屋内外で使われる各種センサ、ワイヤレスセキュリティシステム、画像記録システム等。屋外用センサでは、世界でもトップクラスのシェアを有し、近年では、デジタル画像技術・通信技術等を活かした製品開発にも取り込んでいる。
 
自動ドア関連事業
主な製品は、無目付け用センサ、シートシャッター用センサ、ワイヤレスタッチセンサ等。世界で初めて遠赤外線式自動ドア用センサを開発した同社だが、近年では、画像センシング技術の活用により、ドアの自動開閉だけでなく、入退室者の管理や来店者数カウントなど人の動きを分析できる製品も供給している。
 
産業機器関連事業
連結子会社 オプテックス・エフエー(株)の事業領域。人体用センサだけでなく、物体検知用各種センサにも注力しており、CCDカメラ・液晶モニタ・操作部が一体となった世界初のカラービジョンセンサ「CVSシリーズ」は現場ニーズに即して開発した製品で独自性が高い。
 
EMS・交通関連事業等
アジア向けEMS(生産受託)を展開。交通関連事業は危険な瞬間を記録する「ドライブトレーナー」が主な製品。日常的に運転履歴に加え、交通事故時の映像を録画することも可能
 
 
2010年12月期上期決算
 
 
新規製品の寄与で産業機器関連が伸長、防犯関連も海外を中心に堅調に推移
売上高は前年同期比12.5%増の8,164百万円。国内の建築市場の低迷や小売業界の投資抑制で自動ドア関連の売上が減少したものの、品質と価格競争力に優れた新製品の寄与で産業機器関連が大きく伸びた他、販促策の奏功した海外を中心に防犯関連の売上も増加した。営業利益は同8倍弱の756百万円。相対的に収益率の高い製品の売上構成比上昇により売上総利益率が改善する一方、研究開発費の増加等を為替の影響による子会社経費の減少や全社的な経費削減により吸収し販管費を前年同期と同水準にとどめた。
尚、営業外損益の悪化は、為替差損69百万円の計上等による(前年同期比は58百万円の差益を計上)。為替レートは、USドルが91円(前年同期は95円)、英ポンドが139円(同142円)、ユーロが121円(同127円)。
 
 
防犯関連
売上高は前年同期比4.9%増の3,626百万円。警備会社や電設資材業界向けの低迷で国内売上が減少したものの、販促策が奏効した海外が欧州通貨下落の影響を吸収して同12%増加した(センサの販売台数自体は同16%増加)。
自動ドア関連
売上高は前年同期比2.2%減の1,748百万円。欧州でのスライドドア用センサのシェアアップにより海外売上が増加したものの、主力の国内で、建築市況低迷により自動ドア用センサが苦戦した他、小売業界向けの客数情報システムも低迷した。
産業機器関連
売上高は前年同期比51.1%増の2,265百万円。国内において、三品業界(食品、医薬品、化粧品)向けに加え、液晶関連など特定用途向けにアプリケーション機器が伸長。欧州及び中国を中心としたアジア地域での設備投資拡大を背景に海外売上も増加した。
 
 
(4)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
上期末の総資産は前期末比491百万円増の21,227百万円。借方では、受注・売上の回復で売上債権やたな卸資産が増加した他、有価証券(1,466百万円→1,926百万円)及び投資有価証券等(2,010百万円→2,196百万円)が増加。一方貸方では、有利子負債や未払法人税等(44百万円→225百万円)が増加した。CFの面では、運転資金が増加したものの、税還付があった事等でほぼ前年同期並みの営業CFを確保。一方投資CFは、設備投資関連の支出が減少したものの、投資有価証券の取得等が増加した事でマイナス幅が拡大した。短期借り入れにより財務CFのマイナス幅が縮小したため、現金及び現金同等物の上期末残高は6,476百万円と前期末比29百万円増加した。
 
 
 
2010年12月期業績予想
 
 
前年同期比17.4%の増収、同29.7%の経常増益予想
引き続き産業機器関連で高い伸びが見込まれる他、防犯関連も海外を中心に売上が増加する。また、自動ドア関連も国内の底打ちで増収に転じる見込み。利益面では、研究開発費等の増加を織り込んだため、営業利益率が上期比で低下するものの、増収効果と売上構成比の良化により営業利益は同31.9%増加する見込み。
 
 
通期では前期比15.0%の増収、同104.0%の経常増益を見込んでおり、1株当たり15円の期末配当を予定している(上期末配当15円を合わせて年30円)。
 
 
(3)今後の注力分野 -ハイセキュリティ市場、照明制御事業-
①ハイセキュリティ市場
軍事施設、空港、国境、石油コンビナート等を対象としたハイセキュリティ市場へ本格参入する。
 
 
重要施設におけるテロに対するリスクの高まりを背景にハイセキュリティ市場の拡大が続いており、特にファイバーセンサやレーザーセンサの需要が拡大している。
 
 
ファイバーセンサとは、フェンスや地中に設置されたセンサに加わる歪や振動を検知し、侵入場所をリアルタイムに検出する侵入検知センサで、①落雷、高圧送電線、レーダーの電波等による電気的、電磁的干渉の影響を受けない、②防爆仕様が要求される施設に対応可能、③長距離の監視に適しており、設置工事が容易、④長期耐用年数(光ファイバーは塩害に強く海岸地帯でも20年以上の耐用年数がある)等の特徴を有する。
 
 
同社はファイバーセンサの技術・製品及びハイセキュリティ市場向け販路(主に北米)を獲得するべく、光ファイバー侵入検知システムの開発、製造、販売を手掛けるFiber SenSys,LLC(米国オレゴン州)の事業を買収する(8月末に設立する100%出資の米国現地法人FIBER SENSYS INC.が買収の主体となる)。Fiber SenSys,LLC の主力製品である光ファイバーセンサは主にフェンスに設置し、「乗り越え」や「切り破り」の際に生じる、たわみや振動を検知して侵入場所を瞬時に検出する。政府・軍関係施設の他、電力施設、石油・天然ガス施設、化学工場等の重要施設での採用が進んでおり、実績は世界トップクラス。
 
Fiber SenSys,LLCは、売上、収益共に順調に推移していたが、リーマンショック後の需要の急激な落ち込みで2009年は売上が急減し損失計上を予後なくされた。しかし、2010年は市場の回復で増収に転じ、利益計上が見込まれる。

(説明会資料より)
 
②調光型LED照明システムによる照明制御事業
調光型LED照明システムは、消費電力の少ないLEDと起動用のセンサを組み合わせて、必要な時だけ点灯させる「センシング技術」と必要な明るさに制御する「調光技術」で、光とCO2と電気代をコントロールする。
 


(説明会資料より)
調光型LED照明システムの特徴
① 省エネ効果 業界NO.1
② ワイヤレスネットワークで2つのメリット
③ 設置環境に合わせた製品ラインアップ
④ 簡単にカスタマイズできる調光
工場、倉庫、駐車場、ガソリンスタンド、体育館等での利用を想定しており、照明メーカーとのタイアップも含め事業を進めていく。
 
 
調光型LED照明システムは、1台のセンサで複数の照明を制御できるため、人やモノをセンサで検知すると複数の照明が同時に点灯する。各照明はワイヤレスでネットワークされているため配線工事が不要で、有線ネットワークに比べて工事費を大幅に削減できる。
 
 
また、設置現場に応じた最適なセンシングを可能にするためセンサ数百機種を取り揃えている他、点灯パターンを簡単にカスタマイズできる調光機能(GUI設計:特許取得中)を搭載している事も強みである。通常は、待機時に10%の光量で点灯し、センサ検知時にやわらかに100%に増光。その後10%に徐々に減光する。フラッシングによる威嚇機能も備える。
 
 
 
取材を終えて
同社は売上高の伸び悩みを打破するべく07/12期、08/12期と新製品開発を積極化したが、回収期を目前にリーマンショックによる需要急減に見舞われた。このため、設立30周年を迎えた09/12期は利益が急減したが、前下期以降、市場が落ち着きを取り戻す中で新製品効果が徐々に顕在化してきた。特にWebサイトの活用も含めて販促機能を強化すると共に、品質と価格競争力で大手センサメーカーの製品を凌駕する新製品を投入したFA用センサの躍進は目覚しい。また、新たな取り組みであるハイセキュリティ市場への参入や調光型LED照明システムによる照明制御事業は「安全」と「エコ」といった時代のニーズにも合致したもので潜在成長力は大きいと考える。既存事業の強化と新規事業の育成がバランス良く進んでいる事を評価したい。