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(2426)

ブリッジレポート:(2426)ピーアンドピー vol.6

(2426:JASDAQ) ピーアンドピー 企業HP
山室 雅之 社長
山室 雅之 社長

【ブリッジレポート vol.6】2011年3月期上期業績レポート
取材概要「前期からグループで取り組んでいるリバイバルプランの成果で収益性の改善が進んでおり、上期は大幅な増益となった。また、上期の業績には反映されな・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年11月30日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ピーアンドピー
社長
山室 雅之
所在地
東京都新宿区新宿3-27-4
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年3月 21,934 374 377 67
2009年3月 18,853 635 642 372
2008年3月 15,808 822 827 404
2007年3月 14,056 678 684 340
2006年3月 6,075 269 255 133
2005年3月 4,667 312 295 156
2004年3月 3,637 281 270 110
2003年3月 2,586 171 172 93
2002年3月 1,891 151 158 28
株式情報(11/12現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
15,230円 103,379株 1,574百万円 2.4% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
900.00円 5.9% 2,418.28円 6.3倍 27,137.03円 0.6倍
※株価は11/12終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
ピーアンドピーの2011年3月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
携帯電話、デジカメや薄型TV等のデジタル家電、或いは食品等、様々な商品の販売促進活動を受託するセールス・プロセス・アウトソーシング(SPO)を中心に、小売店向け棚卸サービス等も手掛けている。全国に広がるサービスネットワークと、接客マナー研修、販売技術研修、商品知識研修などスタッフのスキルアップを支援する充実した教育・研修システムを強みとする。グループは、同社の他、一般事務及びコールセンター事業に強みを持つ(株)ピーアンドピー・キャリア(以下、PPC)、棚卸サービスの(株)ピーアンドピー・インベックス(同、PPI)、携帯ショップへの人材派遣を手掛ける(株)ジャパンプロスタッフ(同、JPS)、及びPPIの100%子会社である迎倍客股有限公司(台北市)。
 
<沿革>
1987年1月、メーカーの商品販売促進活動の支援を目的に設立。2000年8月に一般労働者派遣事業の許可を、03年10月に事業分野拡大を目的に有料職業紹介事業の許可を、それぞれ取得。04年12月、JASDAQに株式を上場した。現在、全国27の主要都市に展開しており、北海道から沖縄まで国内一斉のセールスプロモーションがワンストップで実現できる。
 
<サービス内容>
SPOサービス
放送・通信キャリア、一般消費材メーカー及び各関連企業等をクライアントとし、店頭調査をはじめとした各種調査業務や販促シーンにおける電子看板(デジタルサイネージ)・電子POPのコンサルティング及び管理運営等、幅広く販売及び営業活動を支援する。
 
ストアサービス
生鮮加工技術と現場管理能力を備えた生鮮技術者の派遣・請負、レジトレーナーの派遣・業務請負、マニュアル作成等も含めたレジ業務スタッフの派遣・請負サービス及び、店舗への集客を支援する。
 
人材サービス
コールセンター業務、事務・IT人材の派遣、及び人材紹介、採用代行等のサービスを提供。
 
棚卸サービス
子会社のピーアンドピー・インベックスのサービス分野。棚卸業務を代行し、業務の効率化と営業時間の有効活用を実現する。365日、24時間体制で多様なニーズに対応。
 
 
2011年3月期上期決算
 
<11/3期のスローガン 「品格と高付加価値の創造」>
11/3期は「品格と高付加価値の創造」をスローガンとして掲げ、大きな変化を厭わず「態を変える」ことでサービスの高付加価値化に取り組んでいる。
この一環として、全国案件や大型案件の獲得に向けたSPOサービスの継続的な提案と、将来への備えとしての成長分野への投資と新たなサービス開発に取り組んでおり、併せて、グループ4社のコスト管理の徹底と営業利益の底上げによるグループ組織体制の強化を進めている。
 
 
前年同期比0.9%の増収ながら、同71.4%の経常増益
付加価値の高い大型SPO案件の獲得等で主力のSPOサービスの受注が伸びたものの、本格的なスタートが下期以降となる案件が多かった事に加え、その他のサービスも、(株)ピーアンドピー・キャリアの子会社化効果(09年7月に子会社化)があった人材サービスを除き、消費低迷の影響等で売上が減少した。利益面では、社会保険料の料率改定が売上総利益率の低下要因になったものの、不採算事業からの撤退や前下期から取り組んでいるリバイバルプランの成果で求人費用や不動産関連費用を中心に販管費が減少、営業利益は2.4億円と同74.5%増加した。四半期純利益の増加が同54.2%にとどまったのは、金融収益の減少や資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額など特別損失(0.4億円)の計上、及び税負担の増加等による。
 
 
「高付加価値の大型SPO案件の獲得」では、PPRシステム(P&P Reporting system、後述)、全国又はエリア一括、クロスセル対応、POP制作等売場作りを含む事務局運営等、同業他社にはない高付加価値SPOサービスの提案活動が成果をあげ、放送・通信クライアントのエリア一括案件及びチャネル一括案件、美容品メーカーのPOP制作を含む事務局案件等の獲得に成功した他、請負化が進んでいる移動体通信分野では、従来のモバイル販売だけでなく、ブロードバンドやOA機器のセット販売、或いはPPRシステムの提案により、下期から本格的にスタートする案件を多数獲得した。
「新サービスの開発・拡充」では、業界初の「訪日ツアー紹介サービス」といった「集客」を目的とした新サービスの開発や前期より注力してきたデジタルサイネージ事業のサービス内容の拡充と顧客拡大に取り組んだ。この結果、「訪日ツアー紹介サービス」において、多数のクライアントの獲得に成功。デジタルサイネージ事業においても、アパレルメーカーへのデジタルサイネージシステムの導入に成功した他、チャネル毎に最適なオリジナルコンテンツの提供を行うサービスでその他のメーカーの開拓も進んだ。
また、「リバイバルプランによる販売管理費の削減」では、前期下期より取り組んでいるリバイバルプランに基づき、不動産賃料等をはじめとした各種契約料金の引下げ、不採算拠点の閉鎖、グループ内での人員配置見直し、ゼロベースでの各種経費の見直し等を進めた結果、販売管理費の大幅な削減を実現した。
 
 
SPOサービスでは、付加価値の高いエリア一括の事務局案件の獲得に加え、ブロードバンドやOA機器など他商材の知識を持ちクロスセル販売力があるスタッフへのニーズの高まりを背景に放送・通信分野の売上増加(前年同期比2.7%増)する等の成果をあげたものの、一般消費材メーカーや食品・日用品メーカーの各種キャンペーン案件の減少や規模縮小等の影響をカバーできなかった。この他、大手GMSやスーパー等の収益悪化による派遣・委託ニーズの減少でストアサービスの売上が減少した他、コンビニエンスストアや小売店向けの棚卸サービスも減少。一方、事務派遣・コールセンター派遣を中心とする(株)ピーアンドピー・キャリアの子会社化効果で人材サービスの売上が増加した。
 
 
メーカー各社のキャンペーン案件縮小が響きアウトソーシングの売上が減少する一方、(株)ピーアンドピー・キャリアの寄与で人材派遣の売上が増加した。
 
 
エリア一括の大型案件獲得効果で西日本地区の売上が増加したものの、不採算事業からの撤退の影響で東日本地区の売上が減少した。
 
(3)財政状態
売上債権及び仕入債務の減少等で上期末の総資産は50.5億円と前期末比3.0億円減少。有利子負債に依存しない健全な財務体質が維持されており、上期末の自己資本比率は55.4%と同3ポイント改善した。
 
 
<PPRシステム(P&P Reporting System)とは>
PPRとは、店頭を「リアルタイム」に「見える化」するために同社が独自に開発した営業支援システム。同社が人材派遣やアウトソーシングのサービスを提供している店舗等の売り場情報や各種の経営情報を、Webを介してクライアントへレポートする。このため、クライアントはどこにいても全国の拠点情報をリアルタイムで確認できる。
 
 
 
2011年3月期業績予想
 
<新スローガン及びオリジナルキャラクターの立ち上げ>
同社は「販売支援・営業支援」のトップ企業としての知名度向上を目的として、新スローガンを掲げると共に、オリジナルキャラクターを立ち上げた。
(説明会資料より)
 
 
新スローガンは“経営理念を再認識し、SPOサービスを通じて、常にクライアントとスタッフと共に、常に新たな未来を求め、よりよい変化を遂げていくこと”を約束するもの。また、オリジナルイメージキャラクター「アンドピピ」は、同社が様々な企業、スタッフ、社員と共に仕事をしていることを表現している。
 
 
 
 
通期業績予想に変更は無く、前期比9.4%の増収、同32.4%の経常増益
下期は、通信・放送分野のエリア・チャネル一括、世界的なブランド力を有するメーカーの全国大型案件、大型家電量販店内でのクロスセル案件といった大型のSPO案件がスタートする。いずれの案件も付加価値が高く、スケールメリットも享受できる案件であり、加えて、上期の利益も想定以上に進捗しているが、「急激な円高や家電エコポイントの付与条件の変更等の影響が懸念され、先行き不透明感が残る」として業績予想を据え置いた。配当は1株当たり900円の期末配当を予定している。
 
(2)下期の重点施策
下期の重点施策として、高付加価値の大型SPO案件の継続提案実施、新サービスの開発及び拡大、グループの連携強化の3点を挙げている。
 
①高付加価値の大型SPO案件の継続提案実施
携帯電話の販売現場をはじめ、各種メーカー等に対して、SPOサービスの提案営業を継続する。具体的には、各メーカーに対して、企画・プランニングからオペレーション、更にはPPRシステムによるフィードバックやリサーチに至るまで一連のサービスの一括提案に取り組む事で、SPOサービスのワンストップソリューション化を図る。
 
②新サービスの開発及び拡大
集客、売場作り、販売・接客、調査・分析といった店舗支援サービスの拡大や、Web SPOサービスの開発と拡大に取り組む。この他、東アジア圏を中心とした海外事業及びサービスの育成にも取り組む考えで、海外事業担当部署を設置し10月より本格的な取り組みを開始した。
 
 
 
 
③グループの連携強化
グループ内での人事交流を拡大させると共にグループ内管理部門の統合を推進し、人材の有効活用とコスト削減を進める。
 
 
取材を終えて
前期からグループで取り組んでいるリバイバルプランの成果で収益性の改善が進んでおり、上期は大幅な増益となった。また、上期の業績には反映されなかったが、SPO分野における独自サービスの開発と積極的な提案営業により案件の獲得も進んでおり、下期以降の業績に現れてくる見込み。今期の実績が、来期以降の更なる受注につながっていくものと思われる。
もっとも、今下期の利益見通しは慎重で、売上総利益率を低めに想定する一方、販管費には余裕を持たせている模様。このため、我々は売上高が予想に沿った着地となれば、2.6億円弱を予想している下期の営業利益が3.5億円~4億円程度になると考える(会社側が言及しているものではないが)。確かに、史上最高値に迫った円高(11月の米FOMC以降、材料出尽くしの感もあるが)が企業活動に与える影響には注意する必要があるが、上場企業の11/3期上期決算は概ね順調。下期の見通しは慎重ではあるものの、年末年始や年度末にかけて、予期せぬキャンペーンの縮小やキャンセルが発生する可能性は少ないと思われる。逆に、家電エコポイント制度終了に向けた駆け込み特需への対応やスマートフォン市場の拡大を背景にした携帯キャリア各社のユーザー獲得競争の激化等、高い知識と販売力を有する即戦力スタッフに対するニーズは高まっており、同社のビジネスチャンスは拡大している。